【完結保証】超能力者学園の転入生は生徒会長を溺愛する

兔世夜美(トヨヤミ)

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第九章 胡蝶の夢

第四話 今だけ俺に/きみの罪悪

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「うわ…」
 吾妻はスマートフォンを見てそう呟いた。
 時刻は夜の六時。
 結局あのあと、201号室には戻れなかった。
 まだ明日だとわかっているが、やはりどうしようと思ってしまう。
 白倉を前にすると困る。
 なにより抱かなくてもあんな風に無防備にすり寄ってこられただけで。

(当初の目的は果たして達成できるんだろか…岩永の方が向いてるよ…)

 確実に岩永の方が向いてる。
 あいつなら目的のためになんでもやるだろう。
「…いや」
 そこまで考えて吾妻は否定した。
 自分は、違う世界のとはいえ、白倉が相手でなければここまで困らない。
 逡巡しない。
 岩永も、村崎が相手なら、きっと自分のように迷うだろう。
 吾妻は一呼吸を置いて、201号室の扉を開けた。
「…白倉?」
 一瞬、誰かの元に行っていて、いないかと思ったが、明かりはついていた。
 白倉に限って、電気をつけっぱなしで部屋を空けないだろう。
「白倉…」
 リビングに顔を覗かせて、吾妻は言葉を失った。
 白倉はソファの上にいた。
 幼子のように膝を抱えて、膝に顔を埋めて。
 泣いている気がして、そっと近寄る。
 瞬間、白倉は顔を上げて、吾妻の方を見た。
 驚いた吾妻を見上げる顔は、微笑んでいた。
 変わらず明るく、嬉しげに。
「もう、遅かったじゃん」
 甘えたように、自分の服を掴む。
「ああ、すまん。
 ちょっと、…」
「俺がはやく帰ってきてって言ってるのに、そんなに焦らしたい?」
「……いや」
 あ、なんかやばい話の流れだ。
 白倉はまたも頬を染めて恍惚と笑んでいる。
 また無邪気にすり寄られるか、迫られるか。
 そこまで危惧したとき、白倉の赤い顔を見て、ハッとした。
 目尻が赤い。翡翠の瞳も。
「…白倉、泣いてた?」
 思わずそう尋ねていた。
 白倉は一瞬目を瞠って、すぐ笑った。
「なに言ってるの?
 なんで泣くんだよ。理由がない。
 おかしな吾妻」
 明るく、笑いをにじませて言う。
「だけど、」
 手を伸ばして、目尻に指を這わせると、びくっと肩を揺らした。
 その表情が一瞬怯えた。
 ああ、やっぱり。
「もしかして、昨日も、今朝も、…ずっと、そんな気持ちでいた?」
 これは憶測だ。
 自分はいつもの白倉を知らないから。
 だから、もしかしたら、こちらの俺だったら、すぐに、昨日にでも気づいたのかもしれない。
 白倉が瞳を揺らす。
 彼が本当は不安がっていたこと。
 こちらの俺なら、気づいたのかもしれない。すぐに。
 なぜか、無性に悔しくなった。
「……目ぇ、かゆいからこすった」
 視線を逸らして、そんな見え透いた嘘を吐く。
 頬に手を触れさせると、また少し震える。
「僕のこと?
 …岩永のこと?」
 吾妻の問いに、白倉は泣きそうな顔をひらめかせる。
 すぐに、笑みに変えようとするけど、頬をつまんで制止した。
「…岩永は、無事だよ」
 その顔を見下ろして言うと、白倉はもう取り繕えないのか、顔を歪めた。
「岩永は、ここにおる。
 もう一度なんて、ない」
 言いながら、嘘臭いと知っていた。
 白々しいと知っていた。
 嘘を吐いていると知っていた。
 自分たちはまたきっと、彼らを傷つける。
 自分がやらなくてもあいつはやる。
 あいつは望んでる。
 こちらの自分自身の不幸を。
 俺はそれを止めないだろうこともわかってる。
 だから、これは嘘だ。詐欺だ。真っ赤な、ひどい嘘。
 白倉は首を横に振る。
「だけど、あいつは、なんか、変だ」
「…うん」
 それは否定できなかった。
 自分もそう思ったから。
「確かに、…いつものあいつじゃない」
「…だから、また、あいつが」
「だけど、記憶は、なくしてない」
 白倉はまた首を横に振る。
「白倉、望んでないだろ?」
 わざとそう言うと、白倉は瞳を見開いた。
 耳を疑ったように。
「なら、信じてて。
 岩永はなにも変わらんって、もう一度はないって、…大事なら」
 いつの間にか、必死になっていた。
 白倉の心に揺り動かされたように、自分が。
 加害者のはずの、自分が。
「…疑うだけじゃ、…なんも守れない」
「…………」
「…白倉」
 名前を呼んで、そっと顔を近づけて、額を合わせた。
 触れた瞬間、白倉が一瞬目を瞑った。
「…なら、どうしたら、守れんの…?」
 不安そうな声が、聞こえた。
 自分を間近で見つめる翡翠。
「…わからんけど、なんか、大変なことが起こる気がして…怖いのに」
 記憶隠蔽は解けていない。
 でも、白倉の奥底で解けだしている。
 だから、白倉はずっと不安だった。
 そうだ。
 ずっと、彼は強がっていた。
「…ずっと、そんな気持ちでいたんだね…」
 囁くように言って、腕の中に抱き込んだ。
 優しく。
「…僕に気づかれたくないって、隠してたんだね…」
 だから、今朝からずっと、あんな風に甘えて。
 甘い話をして、ごまかして。
 あれは全部、嘘だった。
 嘘じゃなくても、ごまかしだった。
 自分に知られたくなかったから。
「……だって」
 白倉の声が、震えた。
「…違う。
 俺はそんな優しくない。
 …俺が、怖いから…」
 吾妻の背中に手を回して、きつくしがみついてくる。
「俺が、怖くて、現実逃避したくて、お前に抱かれてたら、一瞬でも考えずにすむなんて…お前の気持ちも、嵐の気持ちも、無視して…」
 あれは、嘘だった。
 本心じゃなかった。
 不安から出た言葉。
 演技。強がり。
 俺が、こちらの吾妻だったら。
 彼の本物の吾妻だったら、最初から見破っていたはずの。
 見破れていたはずの。
 でも俺は、彼の吾妻じゃないから、気づかなかった。
 それが、なぜかすごく悔しい。
「…岩永は大丈夫だよ」
 強く抱きしめて、そう言う。
「岩永は、ずっと、ここにいる。
 なんもない。
 もう一度はない。
 …あいつは、」
 本当は自分だって、あいつだって知らない。
 なぜ、あの岩永があんなに変わってしまったのか。
 その理由。
 違法使用を気に病んだだけじゃない気がする。
 それくらい、はっきりとした変化。
「……村崎から離れないよ」
 確証はない。
 でも、どこかで確信していた。
 俺の知るあいつはあんなに村崎が好きなんだから、あの岩永だってそうだ。
 離れるはずがない。
「……だけど、お前は確証、なんにもないだろ」
「うん…」
 白倉の肩が少し揺れていた。
 胸元に押しつけられた頭。柔らかい髪に、口元を埋める。
「ただの、気休めだよ」
 そう。意味のない気休め。
 嘘だ。
 破ると決まっている約束だ。
 もう傷つけないなんて、誓えない。

 白倉のことも。

「…だけど、言わせてほしい。
 …ずっと言ってたら、真実になるかもしれないから」
 嘘から出た真、という言葉がある。
 その通りに行くはずがない。
 でも、今はそう言いたかった。
 ただ、泣いて欲しくなかった。
 俺の白倉はただ一人だ。
 彼は違う。
 でも、今だけ、俺に、君の愛しい恋人の代わりをさせて。
 そこに、意味も理由もなくても。



 翌日、訓練があったが、戦闘鳥籠<バトルケイジ>は全て予約が入っていたため、トレーニングルームに来ていた。
 時波が「少し席を外す」と言っていなくなったので、自分と白倉と藍澤だけだ。
「時波はなんの用事だろうな」
「九生に用事だと思う」
 藍澤の疑問に、白倉が答える。
「あいつが方舟だから?」
「うん」
 吾妻が確認すると、白倉は頷く。
 岩永のことを聞きたいのだろうとわかって、藍澤も納得する。
「じゃあ、時波が来るまで個々で練習するか…」
「戦闘鳥籠<バトルケイジ>じゃないし、そうなるな」
 視線を広いトレーニングルーム内に巡らせると、ちょうどこちらに向かってくる男と目があった。
「あれ?」
 吾妻は思わずそう声を漏らした。
「…なんじゃ? その反応は?」
 今話題に出た九生じゃないか。
「九生。…時波がお前を探しに行ったんやけど…」
「ああ、なるほど。
 今日は俺らもトレーニングルームじゃ」
 九生は納得して、「そのうち来るじゃろ」と暢気に言った。
 時波が戦闘鳥籠<バトルケイジ>の方に行ったと予想できたからだろう。
 九生は不意に吾妻をじっと見たが、特になにも言わず白倉に視線を向ける。
「なんじゃ?
 こいつ今日はおとなしいの?」
「おい、僕は猛獣じゃない」
 かと思ったら白倉にそう訊いたので、思わずつっこむ。
「似たようなもんじゃろ。
 エロスケコマシ」
「…なんだそれ…」
 またわからなくなる。
 こちらの俺は果たして我慢強いのか、純情なのか、やらしいのか、どれなんだ。
「いつもならおかまいなしに白倉を抱っこしとるから……」
 いつも?
 いつもそんなことをしていて、なのに肉体関係なし?
 わからない。
 内心首を傾げる。
「…まあそういう話はおいといて」
 九生は唐突に声を潜めて、顔を近づけてきた。
 トレーニングルームの隅で、四人で固まる。
「岩永のことじゃったら、俺らもなんもわからんのじゃ」
 時波の用件もわかっていたのだろう。
 九生はそう言う。
「監視カメラの映像以上のことは、俺も先生らもしらん」
「…だったら」
 白倉は途中で言葉を切る。
 なにがあったんだ。
 でもそれを、九生たちも知らない。
「もし、なにかがあったとしたら…約一年前と似たことじゃ」
 その言葉に、白倉は目を見開いて、泣きそうに揺らす。
「記憶が消えるっちゅうことじゃなく、記憶が消える原因…に似た現象かの」
「…暴走キャリアみたいな、内部の干渉?」
「そう」
 自分の言葉に、九生は頷く。
「やから、なにが起ことたかはわからん。
 じゃが、内部でなにかは起きとる。
 今回は記憶じゃないかもしれん」
 不安げな白倉を見つめて、九生ははっきり口にした。
「やから、誰かが、あいつの傍につかず離れずいることが必要じゃ。
 些細な言動も見逃さずにな。
 …村崎がおるじゃろ」
 白倉は、どうにか頷く。
「それに、流河も御園二人も、お前さんもおる。
 …もう一度はなか。
 あるなら、俺達で止めればよか」
「…うん」
 白倉は今度は大きく頷いた。
 説得力がある。
 自分が相手じゃ、こんな風に信じてくれなかった。
 やっぱり、少し、悔しい。

「吾妻」

 思考を破るように、名を呼ばれた。
 気づくと、白倉と九生は向こうの方にいた。
 思案に沈んでいたらしい。
 背後を振り向くと藍澤がいた。
「練習だって」
「…ああ」
「なにぼーっとしてる?」
 藍澤の言葉に、曖昧に返事をする。
 藍澤は特に不思議に思わないらしく、納得した。
「あ、そうだ。
 お前、これこの前忘れてったぞ?」
 藍澤は唐突にポケットから、ストラップを取り出した。
「ほら、この前」
 藍澤の手のひらに乗っているのは、なんかやけに不気味なお化けのストラップだ。
 吾妻は内心、「なんねこれ」と思った。
「遠回しな返却かと疑ったぞ」
 その言葉に、もしかして藍澤が贈ったものかと考える。
「…いや、忘れてただけだよ。
 だけど、趣味悪い」
「ああ、すまん。
 ZIONで見たとき、一番インパクトがあったから」
 つい、と藍澤は笑う。
 なるほど。ZIONのデートの時のか。
 吾妻が受け取ると、藍澤は満足そうに微笑む。
「じゃあ、練習行くぞ。またなくすなよ」
「ああ、わかってる」
 とりあえず服のポケットにつっこんだ。
 藍澤と並んで、歩き出す。



 ノートパソコンがつきっぱなしだ。
 ホテルの一室。
 テーブルに置いたノートパソコンには、映像が流れている。
 NOAの内部の様子のようだ。
 ノートパソコンの持ち主は眠っていた。
 テーブルにうつぶせて、眼鏡をかけたまま。
 実際には、本気で眠っているというより、うつらうつらしている。
 現実と夢の境をさまようように。
 肩を叩く感触がした。
 優しい手。
「駄目だよ。ちゃんとベッド行って寝なきゃ」
 落ち着いた柔らかい声。
 何度もそうやって起こされた。
「岩永くん。
 風邪ひくよ」
 寝ぼけた瞳で、見上げる。
 オレンジ色の髪が見えた。笑った唇。
 でも、それが誰かを頭が理解した瞬間、飛び起きていた。
 椅子を蹴倒して立ち上がった岩永の背後には、誰もいない。
 部屋には、岩永と、寝台に横になったままの吾妻だけ。
 他には誰もいない。
 心臓が早鐘みたいに鳴っている。
「…また」
 心臓の上を掴んで、呟く。
「…なんで、いつも」
 小さな声。
 かすれた声だ。
「…出てくんな」
 願った。
 心から。
 胸が痛い。
「そうは言っても、岩永くんのせいなんだよ?」
 間近で響いた彼の声に、岩永は息を飲んで視線を巡らせた。
 窓の近くに佇んでいる、彼の姿がある。
 相変わらずの微笑み。オレンジの髪色が日差しに透ける。
「君が、自分の中に俺を取り込んだりするから」
「…うるさい」
「おかげで俺は、いつまで経っても君の中から出られない」
「…うるさい」
 目をふさいでも無理だ。
 この目には見える。
 だって、実体じゃない。
「……岩永くん」
 その声は、本当は現実じゃない。
「…もう、やめようよ」
「うるさい!」
 訊きたくなくて、大声で叫んだ。
 生み出した風が窓ガラスを粉々にする。
 もう、そこには彼はいない。
 どこにもいない。
 あれは、ただの、幻。
 きっと、そう。
 肩で呼吸をして、そのままその場に座り込んだ。
「……やって、お前は」
 ほとんど吐息のような声で言った。
 もう、そこにいないのに。
「……出てくんな」
 繰り返した。
 もう、思い出すな。
 忘れてくれ。
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