【完結保証】超能力者学園の転入生は生徒会長を溺愛する

兔世夜美(トヨヤミ)

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第十章 Butterfly Effect

第七話 神のみぞ知る

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 その日、化野はやけに上機嫌だった。
 この悪天候だというのに、鼻歌までくちずさんでいる。
 100号室に昨日から泊まっていた雪代や若松も少し不気味に思っていると、部屋のインターフォンが鳴った。
 NOA高等部男子寮の中でもっとも絢爛豪華な部屋だ。
 内装も設備も、どこかの大財閥の主人の部屋、というようなすごさ。
「若松。
 お客」
 鼻歌を止めて、化野は笑顔でそう命じる。
 若松が眉を寄せる。
「お前の客だろう?」
「若松は俺の友達だろ?」
 なにを言ってるんだこいつ、という顔をして言ったら、同じ顔をして返された。
 若松は言葉を失う。
「友達の友達は友達。
 はい行ってらっしゃーい」
「……なんだそれは」
 そもそもまだ顔も見えない来訪客が「化野の友達」とは限っていないのに、この自信。
 こんな朝早くの来訪なのだ。
 教職員かもしれないのに。
「若松の友達だよ。
 はやく呼んできてよ」
 内心、相手が誰かわかってるんじゃないのか、と思ったが、言うのをやめた。
「諦めろ。
 素直に行って来い」
 雪代はまるきり傍観者の顔で手を振る。
「お前のその態度が釈然としないが、…わかった」
 若松はしかたなく玄関に向かう。
「で?
 誰なんだ?」
 遠ざかっていく若松の背中を見送りながら、雪代が小声で問いかけた。
 化野に顔を寄せる。
「俺にだけ教えてくれてもいいと思うが」
「鷹明ってば。
 自分は特別待遇だと思うんだ」
 少し意地悪に笑った化野の顔を見下ろし、雪代は薄く笑う。
「思っているさ。
 お前の友達だからな」
 若松にやったことをそっくり返され、化野は瞳を瞠る。
 それから、しょうがないと言いたげに笑った。
「俺、一番敵にしたくないの、お前なんだよね」
「それは光栄だ」
「ずっと親友でいてね、鷹明」
 不意に可愛らしく微笑んで、無邪気な口調で言い、化野は立ち上がる。
 若松がリビングに戻ってきた。
 雪代は化野の背中を見て、「全く」と呟く。
 笑いが滲んでいる声だ。
「神というか、魔性だな」
 結局教えてくれなかったし。
 そう呟いて、彼の傍に向かった。
 来訪客は流河と優衣だった。
 多分、化野は想定していたのだろう。
「いらっしゃい。
 俺の部屋に来るなんて珍しい。
 と言いたいとこだけど、君たちが俺を頼るなら岩永絡みだろう」
 化野はリビングのテーブルに着くよう勧めて、椅子の一つに腰を下ろした。
「最近、大変だったみたいだしね。
 どうしたの?」
「…」
 流河と優衣は椅子を引いて座りながら、なにか言いたげに顔を見合わせる。
「ちゅうか、お前、わかっとんのと違う?」
「え?」
「化野くんの場合、だいたいお見通しだからさ。
 用件を単刀直入に聞いていいかな?」
 優衣と流河に率直に言われ、化野は瞳をぱちぱち瞬いた。
 そして不意に、にこやかに笑う。
「…まあ、わかってはいるんだけどね?」
 肯定して、雪代が淹れた紅茶のカップに手を伸ばした。
 雪代は、流河と優衣の前にもカップを置くが、彼らは手を伸ばさない。
 それどころじゃないという風に。
「流河。御園。
 そんなに慌てずとも良い」
 雪代は自分の分のカップを口に運んでから、悠然と言った。
「お前も知っとんのか?」
「いや?
 全く」
 優衣に睨まれ、おどけて答えた。
「ただ、わかってると思うが、朔螺は意地悪ではぐらかす真似はしない。
 黙っているときはそれなりの理由があるし、最終的には皆の良い方に動く。
 全知全能みたいなとこがあるが、本物の神と違うところは、お前達に対して信頼と情があるところだ。
 特別待遇。
 お前達を見捨てる真似はしないさ」
 雪代の実感のこもった言葉に、二人は互いの顔を見る。
「だから、ひとまず朔螺にあわせてみろ。
 岩永が本気で危険なときに、暢気にしている奴じゃない」
「……まあ」
「それは」
 確かにそうだ。
 流河も優衣もそう思う。
 得体が知れないが、化野は友人思いだ。
「…ほな、知っとるけど、全部は言えへん、て感じか?」
「うん。
 俺にとってもまだ未確定な部分が多いんだ。
 そもそもパラレルワールドっていうのはやっかいでね、少しのバランスでとんでもないことになる」
 化野は腕を組んでため息を吐いた。
「彼らが言ったと思うけど、『一つの選択肢を違えた世界』。
 どういうことだと思う?」
「……え?」
 流河と優衣は戸惑う。
 いきなり言われてもわからない。
「全てのパラレルワールドが行き来出来るわけじゃないんだ。
 特別距離が近い世界同士だけ。
 で、違えた選択肢が多ければ多いほど遠く、少なければ少ないほど近い」
「…つまり、あいつらの世界は、一つしか違えてへんから、一番近い?」
 化野は笑みを浮かべて頷く。
「一つしか違えてない世界っていうのは、つまり隣だ。
 引き合う。
 だから、もし俺が迂闊なことを言うと、あっちの世界と似た状況になりかねない」
「…?」
 意味がわからない。
 そろって頭の上にクエスチョンを浮かべた。
「一つだけしか違わないってことは、この世界も、彼らの世界と同じ未来になりそうだったってこと。
 だから、分岐点から時間の経った今でも、選択を一つ誤れば、向こうの世界と同じ未来が待ってる。
 彼らが世界を渡ってくるくらいだから、少なくとも俺達にとって『良くない未来』なんだ。
 彼らはその未来を変えようとあがいてる。
 だから、俺はあまり迂闊なことを言えない」
 君たちの選択肢を左右しちゃいけないから、と妖しく微笑んで言う。
「……なんとなくわかったけど、それが今回の岩永くんがいなくなったことと」
「関係はあるよ。
 岩永のリバウンドはその『良くない未来』への分岐点だ」
 流河と優衣が目を瞠り、同時に息を飲んだ。
「白倉が巻き戻した時間。
 でも結果、あれは失敗だ。
 超能力の行使に失敗すると、リバウンドが待っている。
 叶えようとした事象が大きければ大きいほど、でかいリバウンドが」
「…」
 流河が口を開くが、震えて声が出ない。
 怖くて訊きたくない。
「そのリバウンドを阻止できるか出来ないか。
 それが、この世界と、彼らの世界を分かつ分岐点。
 阻止できなかったら、…彼らの世界と同じ未来が待っている」
「…その、未来って、」
 流河の問いを、化野は笑顔で封じる。
 訊かないほうがいい、と言いたげに。
「…まあ、分岐点というくらいだから、希望はある。
 がんばって。
 君たち次第」
「…具体的方法は、お前も見えてへんのか?」
 優衣の問いに、化野は苦笑した。
「そこまで万能だったらいいんだけどね、あいにく本物の神様みたくはいかないんだ」
「…わかった」
 優衣と流河は椅子から立ち上がる。
 結局紅茶には口を付けないままだ。
「最後に、岩永くんの居場所は訊いてもいいのかな?」
「もちろん。
 今すぐこの寮を出てごらん。
 道案内に会えるから」
 悠然とした化野の笑みに釈然としないものを感じながらも、優衣と流河は礼を言ってすぐに背中を向けた。
 部屋を後にする。
「……ああは言ったが、見えてるんじゃないのか?」
 二人が部屋を出ていったのを確認してから、雪代は尋ねた。
「お前が上機嫌な理由だろう?」
「…んー」
 雪代の言葉に声を伸ばして、カップの中身を飲み干しながら、化野はやはりご機嫌だ。
「出てきて欲しい人がやっと出てきたんだよねぇ。
 よかったよ。
 彼が出て来れなかったら、最悪な状況になりかねない」
「……」
 言っている内容はわからないが、意味はなんとなくわかる。
「ちなみに、誰のことか訊いてもいいか?」
「ふふー。
 鷹明でも、さすがにまだ内緒かなー」
 化野はまるで少女のように可憐に微笑んで答える。
「でも、とりあえず、俺はずっとその人にはやく舞台にあがって欲しかったんだ。
 待ちに待っていた、って感じだね」
「……物語でいう、キーパーソン、というやつか?」
 そう言うと、化野はにっこり笑って頷いた。
「さすが鷹明。
 まあ、そういうことなんだ」
 つまり、今日はこれ以上教えてもらえないらしい。
 まあ、それでもいい。
 いずれ、わかるんだろうし、流河達に言った言葉に嘘はない。
 化野は、決して誰かを見捨てない。



 岩永は「しー」と合図をして、自分自身が眠る寝台の傍にしゃがみ込む。
 時間凍結した世界の中で、声を潜める意味はないのに。
「お前は…」
「まあ黙って。
 今はこいつが先」
 しかし、気になる。
 なんで彼が違う世界の自分自身を助けようとするのか。
 そんなことをするなら、元々心中しなければ良い話で、そもそも今の岩永はなにも事情を知らないはずだ。
 それにしても、彼の時間凍結は見事だ。
 確実に五分は経ったのに、全く綻ばない。
 彼は寝台で眠る自分自身の胸元に右手を当てる。
 その手が唐突に沈んだ。
 目の錯覚ではない。
 岩永の体内に手が埋没したのだ。
 時波は息を飲む。
 自分の見ているものが信じられない。
 体内に手を突っ込んだ。侵入させた。
 血は吹き出さず、傷口もない。
 水面に手を入れたように、わずかな波が生まれただけだ。
「…うわ、予想以上」
 彼はげんなりした口調でそう呟き、つっこんだ手を引っこ抜いた。
 その手には鈍く輝く球体が握られていたが、一瞬で消える。
「…まさかここまで暴走キャリア化させとるとは…。
 そら吐血するわ…」
 呆れた、と彼は呟く。
「…なに、を、したんだ?」
 時波は思いきって尋ねたが、声が震えた。
 今でも信じられない。
「ん?
 体内に侵入して、暴走キャリア化しとる能力いくつか引っこ抜いたん」
「…………」
 笑顔でさらっと言ったが、内容は常軌を、というか、超能力の限界を逸している。
 そんな芸当、岩永にできるはずがない。
「またまた。
 そないな顔して。
 こんくらいの真似、自分も出来るはずやけどな?」
「…」
 笑みをたたえたままの岩永の台詞の意味がわからない。
 いや、目の前にいるのは、本当に岩永なのか?
「嘘ちゃうで。
 自分の二つ目の能力。
 やってやれんことはない」
 時波に一歩近づき、笑みを深めるその顔。
 どこか、悪魔に似ている。
「…どう?
 このこと、黙っとってくれるなら、自分の二つ目の能力、覚醒させたってもええよ」
「……」
 知らず、唾を飲み込んだ。
「出来るのか…?」
 九生ですら、なかなか完全覚醒させられないのに。
「出来る」
 岩永は悠然と微笑み、断言した。
「ただし、今起こったことを、俺のことを、こいつら全員に秘密にして」
 その内容は、すぐに頷くにはためらわれる。
「あったほうがええはずや。
 今後、白倉を守るために。
 自分の意志で扱えな、あとで後悔すんで」
「……」
 それでも迷った。
 時間が止まったままの、白倉の顔を見る。
 ぴくりとも動かない顔。
「……リバウンド」
 不意に岩永がぽつりと呟いた。
 弾かれたように彼の方を向く。
「起こっとるで。
 白倉の時間操作の力は、失敗した」
 その顔にはもう笑みはない。
 真剣な眼差しだ。
「ほら、この身体」
 示されて、ハッとした。
 そうだ。
 自分より十センチは低かったはずの岩永の身長が、今は同じくらい。
 一日で十センチも伸びるはずがない。
「時間が急速に進んどるんや。
 巻き戻された時間が、元に戻ろうとしとる。
 もし、最後まで戻ったら、どうなるか」
 その先は容易に想像が付く。
 最後に待っているのは、岩永二人の死だ。
 時間を巻き戻したのは、彼ら二人が息絶えたあと。
 巻き戻した時間の最初まで戻るなら、彼らが命を落としたあとまで戻る。
「多分、こいつの症状も、リバウンドやろ。
 暴走キャリアを急速に悪化させてもうた原因は」
 彼は自分自身を指さし言う。
「個々で起こるリバウンドが違う。
 まあ、そもそも白倉自身、うまく扱えてへんかったからな。
 俺は記憶をリセットされたんに、こいつは全然やったやろ」
 確かに、目の前の岩永は記憶をリセットされた。
 だが、もう一人の岩永は、身体にも記憶にも異変がなかった。
 巻き戻した中心にいた村崎に至っては全く。
「…やけど、リバウンドの最終地点は一緒。
 そして、このリバウンドはでかい。
 二人の命を左右しとるからな。
 つまり」
 岩永の指が、動かない白倉を示す。
「術者に、一番でかいリバウンドが還る」
 時波が呼吸を失い、凍り付いた。
 白倉の顔を見やって、青ざめる。
「死ぬか、はたまた昏睡状態か、記憶が失せるか。
 わからんけど、ただじゃすまん。
 …阻止したいなら、二つ目の能力はいるはずやけどな?」
 岩永は悪魔のように微笑んだ。
 わからない。
 岩永はなにも知らないはずなのに。
 じゃあ、ここにいる岩永は一体だれなんだ?
 時波はしばらく微動だにしなかったが、数分後にゆっくりと振り返った。
 まだ迷い、不安に揺れた瞳を、岩永に向ける。
「わかった」
 声も、揺らいでいたが、はっきりそう言った。
「お前の申し出を受けよう」
「ほな、ちょっと、外出るか」
 岩永はにっこり笑って、雨も停止したままのベランダの外を指さした。
 夜明けの時刻を過ぎ、白んだ空も止まっている。

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