【完結保証】超能力者学園の転入生は生徒会長を溺愛する

兔世夜美(トヨヤミ)

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第十章 Butterfly Effect

第十七話 満天星の牢獄

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 一人、高層ビルの屋上に佇み、吾妻はため息を吐いた。
 気持ちがふさぎ込む。
 どうしたらいい。

(岩永は、諦めてる…)

 彼は、諦め始めている。
 最初に自分に手をさしのべ、一緒に行こうと言ったのは彼なのに。
 仕方がないのも、本当はわかっている。
 いくつもの超能力を吸収し、使用してきた彼の身体は、おそらくとっくに限界なんだろう。
 だから、彼が弱気になるのも仕方ないとは思う。
 でも、どこかで裏切られた気になるのも本当。
 自分には、今の自分には、岩永しかいないのに。
「……だけど」
 自分自身、迷っている。
 彼らをよみがえらせるには、必要不可欠なのが白倉。
 彼の能力。
 死者をよみがえらせることが可能だと、奇しくもこの間、岩永を生き返らせたことで証明した。
 しかし、結果失敗している。
 リバウンドが起こっている。
 岩永が、白倉が、死ぬかもしれない。
 それは嫌だ。
 それに、もし阻止できても、白倉を危険にさらすとわかっていて、彼の力を利用できるのか?
 今回阻止できても、二度はないかもしれない。
 彼らを生き返らせることは、この世界の白倉を失うことかもしれない。
 それでいいのか?
 自分に微笑みかけてくれた白倉を、あの優しさを利用して。
 そしてもし、白倉が死んでしまったら、この世界の自分はどうする?
 寸分違わず予想できる。きっと、自分と同じことをする。
 それではなにも終わらない。
 なにより、自分は二度も、白倉を失って大丈夫なのか。
 心が保つのか。
 その微笑みを、優しい声を、触れる柔らかい手を、二度も失って、自分は。
「……………白倉」
 どうしたらいいのか、わからない。
 だからこそ、前に進めない。
 岩永の元に帰れない。
 目をぎゅっと瞑り、膝を抱える。
 もうこのまま、なにも考えたくない。
 しかし、背後で感じた人の気配に、弾かれたように立ち上がり、振り返った。
 上空を吹く強い風にあおられながらそこに立っていたのは、岩永だ。
 ノーセットの亜麻色の髪が揺れている。
 碧い瞳が自分を見上げて微笑んだ。
「………………………」
 吾妻はすぐに言葉が見つからなかった。
 彼は一体、どちらの岩永だ?
 普段ならすぐにわかるのに、今は戸惑うくらいにわからなかった。
 それくらい、彼は妖しく微笑み、悠然と自分の前に立つ。
「どないした?
 吾妻。
 びっくりした顔して。
 帰って来うへんから心配したんやで?」
「……あ、ああ」
 その言葉にかすかにほっとした。
「…いや、ちょっと考え事」
「考え事?」
 空は暗く、月も見えない曇り空。
 遙か下方で、ネオンライトが輝いている。
「………あんたもじゃない?
 諦めかけてる。
 …僕も、悩んでる」
 岩永は腕を組み、吾妻の顔を見上げて口の端を上げる。
「…………ふうん」
 そのおもしろそうな声の響きと言葉に、初めて吾妻は違和感を感じた。
 彼は本当に自分の良く知る岩永か?
「なんや。つまりお前ら、俺たちがなにもしなくても諦めそうなんや。
 へーえ。
 ま、あの身体じゃ、仕方ないか」
「…………………あんた」
 吾妻は息をのみ、かすれた声を上げる。
 間違いない。彼はこの世界の岩永だ。
 でも、なんでこんなに、違和感がない?
 なんでこんなに、彼に似ている?
「…どうして」
「なんでって、お前に用事があったからに決まっとるやん。
 大変やったんやで。探すん」
 岩永は余裕に満ちた笑みを崩さず、腕も組んだままだ。
 風に髪と服があおられ、音を立てる。
「あっちの俺の方が強情やし、敵意強いから、素直に話聴かへんやろ?
 となったらお前が先かなあって」
「…………………あんた、ほんとに岩永?」
 それは確かにそうなのだが、言っていることは的を得ているのだが、違和感ばかりが目について、そう口にしていた。
 岩永だと思うのだが、態度や表情、雰囲気が、つい最近見たあの、右も左もわかっていなかった彼とはかけ離れすぎていて。
 岩永は「おや?」と言いたげに片眉を上げる。
「…………お前が言うほどかあ。
 しかし、俺はほんまに岩永やし。
 ほら、そっちの俺もこんなんやろ?
 考え方や精神状態でこうなるんやて」
「………」
 そんなことを言われても全く納得がいかない。
 吾妻は立ちつくし、どうしたらいいか迷う。
「そんなことええから、俺の話を聞かへん?
 時間ないやろ?
 特にそっちの俺」
「…………………、」
 不敵に微笑んだ唇。強気に輝いた蒼い瞳。
 吾妻は息をのみ、耳を疑った。
「……あんた、そういえばさっきも、あいつの身体のこと知っとるようなこと言った。
 どうして?」
「そら知っとるわ。
 リバウンドで悪化した暴走キャリア、鎮めたの俺」
 親指を立てて自分を指さし、岩永は胸を張る。
 吾妻は理解が出来ずに、呼吸も止まった。
「………なんで気付かへん?」
 岩永はにやりと笑んで、手を大きく広げた。
「今、ここが無風状態な理由を」
「……っ」
 気付かなかった。
 話に気を取られていて。
 慌ててビルの下を見やった。
 下の道路を走っているはずの車が全て停止している。
 風も吹かない。
 なにも動いていない。
 吾妻は身を震わせながら、岩永を振り返った。
「これが証明。
 俺は今これだけのことが出来る。
 やから、あいつと似て見えたんやない?」
「…………あり得ない」
 茫然として呟く。
「あんたが、そんなこと出来るはずがない!」
 岩永に向き直り叫んでいた。
「あんたにそんな能力はない!」
 よくわからない。
 でもなぜか、否定したくて、嘘だと思いたくて大声で叫んでいた。
 ただ、怖かったのだと思う。
 岩永は腰に手を当て、悠然と笑っている。
「否定してどうなる?
 現実に起こっているのに。
 ……怖い?
 一体なにが?」
「…………」
 わからない。
 ただ、想定外すぎて、衝撃が大きすぎて、漠然としたことしかわからない。
「………俺の握っている切り札なら、お前にとって良いことなのに。
 お前は白倉を二度もなくしたくない。
 もう一人の俺はもう不可能やと思い始めとる。
 やけど、叶える術ならここにある」
 岩永はゆっくりと足を踏み出す。
「俺は、白倉を苦しめることなく、お前たちの目的を叶える方法を知ってる」
 その低い声によどみも揺らぎもない。
「白倉に会いたいやろ?
 やから、世界を渡ってきた。
 もう一度、白倉に会うことだけを夢見て」
 吾妻の前に立ち、岩永は手を差し出す。
「手を取れ。
 それで、お前の願いは叶う」
 既視感を感じて、吾妻は背後によろけた。
 目眩のような感覚。
 胸が痛い。
 同じだ。
 あの日、雨の夜。街で、自分に手を差し出した彼と。
 自分にとって、すがれるものはそれしかなかった。
 それだけが、生きる希望。救いの手。
 目の前の彼に、あの日、雨の下で自分に手を差し出した彼の笑顔が重なる。

「吾妻」

 わかっていた。
 自分には、彼しかいなかった。



「お前、白倉に会ってなにしたい?」
 彼がそう聴いてきたのは、暑い夏の日。
 NOAの広い庭には青々と茂った木々が立ち並び、蝉の声が響いていた。
 前を歩く岩永はアイスをかじりながら、不意に足を止めて自分を振り返る。
「………たくさんありすぎてわからない」
「そうか。
 俺も多分そう」
 あのころの記憶は靄がかった夢のようで、あまり覚えていない。
 岩永と話した時の記憶ばかりが、鮮明だ。
 なんとなく、彼と話すことは心地よかった。
 違う。きっと楽だった。
「…キスしたいし、抱きしめたいし、…ああでも、名前呼んでくれたらそれだけできっと泣く」
 そう言って切なげに微笑む岩永の姿。
 彼の話すこと、なにもかも、理解できた。
 なにもかも、痛いほどに共感した。
 自分となにもかも、同じだった。
 願いも痛みもなにもかもが一緒で、そんな岩永と話しているときだけは、なにも我慢せずに済んだ。
「…俺、白倉に本貸しとってなあ。
 あ、DVDは借りたまんま返してないわ。
 話そうと思っとったこともまだ話してないし。
 ……明日でええか明日で、って先延ばしにしとったら、明日がなくなってた。
 馬鹿やな」
「………ううん」
 寂しげな笑顔を見ると、素直にそう言えた。
 そんなことない、と口に出来た。
 彼の痛みが、手に取るようにわかる。
 同じだ。
「………静流にも、言いたいこと一杯あったのに。
 一番近くにおったから、いつでも言えるって、甘えて………」
 岩永は震えた息を吐いて、顔を手で押さえた。
「………会いたいなあ」
「……うん」
 すごくよくわかる。
 彼の痛みは、自分の痛みと同じだ。
 その寂しさも悲しさも、なにもかもが。
 すがれるものは、岩永しかいなかった。
 なにもかも理解して、そばにいてくれる。
 自分の痛みを聴いてくれる。
 なにも無理せず、あるがままに寄り添える。
 彼がそばにいるときだけ、少し呼吸が楽だった。
 彼がいるときだけ、世界が少し明るかった。
「岩永くん!
 吾妻くん!」
 不意に校舎の方から明るい声が響いて、あわただしい靴音が響いてきた。
 オレンジ色の髪を揺らして走ってきた男が、岩永に軽く抱きついてすぐ離れた。
「相変わらず仲がいいね君たち。
 なんの話?」
「流河…今の衝撃でアイス落ちた…」
「あ、ごめん!」
 岩永が地面に落ちて溶けていくアイスを示す。
 彼は途端すまなそうな顔をして謝る。
「おごるよ!
 ほんとごめん!」
「ほなこいつにもおごって。
 三人で食おう」
「お安い御用だ!」
 彼の登場に自分は少し落胆しながら、一緒にいることはさほど嫌ではなかった。
 よく考えたら三人でいることが多かった。
 白倉も村崎もいない。
 ほかの多くの友人たちも亡くなり、必然的に三人でいることが多かった。



 強く手を振り払う。
 背後に飛んで距離を取った。
 目の前に立つ岩永を睨み付ける。
「…嫌だ。
 あんたは、…あいつとは違う!」
 風が静止したビルの屋上。
 のんびり佇むその姿を、忌々しく思う。
 彼は違う。
 岩永じゃない。
 自分の良く知る彼じゃない。
 彼のそばにいると楽だった。なにもかも共有できた。
 彼がそばにいるときだけ、息が出来たような気がした。
 彼がそばにいるときだけ、世界がクリアだ。
 目の前の男は、彼じゃない。
「…まあそらそうやろう。
 あいつの痛みは俺にはわからん。
 でもええの?
 俺は、白倉と静流を取り戻す方法を知ってる」
「…根拠がない」
「あるよ?」
 岩永は飄々としていて、つかみ所がない。
「揺るぎない根拠はある。
 でも、今の自分は聞き入れへんと思うから、単純に行こうか」
 不敵な笑みは変わらない。
 自分に恐怖など全く抱いていない。
 彼は本当に、岩永か?
 この世界の彼は、弱かった。
 そんな風に揺らがず自分に挑む強さはなかったはずだ。
 まして、そんな切り札を持っているはずがない。
「俺と戦え。
 負けた方が勝った方に従う。
 シンプルに行こうや」
「……僕にメリットがない」
「あるやん。
 お前の愛する白倉に会える」
「信憑性がない!」
 叫んだ瞬間、急に足下がすくわれ、地面に倒れ込んだ。
 反射的に起きあがって、足元を見る。
 なにもない。
 なのに、今、なにかが自分の足を抱え上げたような感覚があった。
「……」
 肩に触れた感触に我に返る。
 岩永は視界のどこにもいない。
 じゃあ、肩に触れるこの手は。
「これだけ長い時間凍結が可能な時点で察しろ。
 今の俺は、――――お前より強い」
 耳元で聞こえた低い声。
 瞬間、強い衝撃に屋上の反対側の端っこまで吹っ飛ばされ、危うく落ちそうになった。
「そもそもその身体はお前のものやない。
 故に、勝つのは容易い。
 まあ、本来のお前やったとしても負けへんけど」
 岩永は今さっきまで自分が立っていた場所に佇み、拳を鳴らす。
「さて、証明しようか。
 俺がお前に勝てるなら、その時点であり得ないことはない。
 今の俺に不可能があると思うな」
「………………………」
 どうにか立ち上がる。
 声を失ったまま、なにも浮かばない。
 だって、もし本当に、彼の言うことが真実ならば。
 もし本当に、その願いが叶う術があるならば。



「…………村崎くんも帰ってきません!」
 一方そのころのNOA男子寮202号室。
 頭を抱えてテーブルに突っ伏した流河に、向かいに座っていた優衣がため息を吐く。
 岩永の行方は以前と知れず、おまけに探しに行った村崎も帰ってこない。
 時刻はもう十一時半だ。
「……ああ、どうしよう。
 岩永くん大丈夫かなあ…!」
 今にも泣き出しそうな流河の様子を見ていると、優衣はなにもかも言ってしまいたくなる。
 岩永がいなくなった原因はきっとあの男だ。
 もう一人の自分だ。
 しかし言えない。
 自分自身に腹が立つ。
 優衣は再びため息を吐いて、ふと壁にかかったカレンダーを見て、ぴしり、と固まった。
「……流河、まずい」
「…え?」
 顔を上げた流河の瞳には涙が浮かんでいたが、優衣の顔は真っ青だ。
「……明日から、チーム戦の本戦やん?」
「………………………」
 流河は見事にフリーズしたあと、ゆっくりとカレンダーを振り返って、またブリキの人形のようにこっちを向いた。
「…………………………それどころじゃないとは思うけど、……延期にはならないよね。
 ……俺たち、不戦敗…?」
 岩永も村崎もいないし。
「…まあ、多分延期はないな…」
 学園全体を巻き込んだのは、七月七日の時だけだし、記憶隠蔽が解けていない生徒も多いだろう。
 そんな場合じゃないのはわかってる。
 でも、せっかくみんなでがんばってきた大会を、みすみす不戦敗で逃すのも。
 泣きたくなってきて、二人はそろってテーブルに突っ伏した。
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