101 / 103
第十章 Butterfly Effect
第二十一話 守りたかったものは
しおりを挟む
恐ろしい夢を見たときのように飛び起きた。
全身が汗に濡れている。
時計の音が響く静かな寝室。
「…」
今のは夢?
いや、耳に触れた声は、あまりにリアルだ。
村崎は胸元に手を当て、速く脈打つ鼓動を感じる。
夢じゃない。
自分は確かにあの声を聞いた。
動揺したまま寝台を降りる。
そのままリビングに向かった。
「あ、おはよう。静流」
「………」
リビングの椅子に腰掛けた岩永がこちらに気付いて微笑む。
流河の声が、耳の奥で繰り返す。
一体なにがあったというんだ。
「…静流?
どないしたん?」
青い顔で凍り付いている村崎に、岩永は心配そうに立ち上がる。
村崎に近寄ってきた。
「……あ、いや、……なんでもない」
「……なんでもないって顔でも………ああ。
あいつが見つかるかって?
今日の十二時までやもんな」
岩永はそう結論づけて、複雑そうに笑った。
それも外れていないので、頷いておく。
会えるか心配なのも事実だ。
「…ちゅうか、なんでおる?」
岩永は202号室で寝ていたはずだ。
「ああ、話がしたくて。
今日は静流忙しいよなって思ったから」
「…そうか」
村崎は納得し、冷誠二庫からペットボトルを取って、椅子に腰を下ろした。
岩永も椅子に座り、こちらを見る。
「静流ってほんまあいつ好きやなあ」
「…これを聞くのは残酷やが、そっちの儂は違ったんか?」
「……ううん」
岩永は少し寂しげな顔はしたが、微笑んで否定した。
「同じ。
そんな風に、愛してくれた。
…やから、会いたい」
「…そうか」
ああ、そういえば、言っていた。
向こうの世界の自分が死んだのは、岩永を庇ったせいだと。
それほどに彼を愛していた。
おかしいと思わない。自分だって、きっと。
「……あいつが羨ましい。
静流のそばにおりたい。
…それだけで幸せなのに」
「……」
なにも言えない。
彼の痛みが、今は少しわかるから。
「…お前は全く憎らしいが、…少し共感は出来る」
「…そう。
それは嬉しい」
突き放せない。
そんな、切なげに微笑む顔を見てしまうと。
大事にしたいと思う。笑わせたいと思う。
彼は違うのに。
「一番後悔しとるのは、お前のそばに本来おるべき男や」
「…?」
首を傾げた岩永の瞳を見つめ、心の底から告げる。
「…そんな儚げな顔をするお前を、抱きしめられんことを、そばで守れんことを、…儂なら悔しく思う。
死ぬほど、辛く思う。
…やから、同じやろう」
「……………静流が?」
「ああ」
岩永は呼吸を止め、震えた手で口元を押さえる。
自分ですらこうなのだ。
なら、本来彼のそばにいるはずの、もう一人の自分は、もっとずっと、悔しい。
「もし幽霊が存在するなら、儂はお前のそばにおると思うが」
「……………はは」
岩永は泣きそうな顔で微笑み、顔を押さえる。
瞳が潤んだ。
「…ごめん。
それは嬉しい。
でも、悲しい。
…触れたいし、声が聞きたい」
「…やろうな。
儂もそれは我慢出来ん。
…抱きしめたいと思う」
「…っ」
岩永は涙を堪えるようにしばらく俯いて、身を震わせていた。
不意に顔を上げる。
その瞳は少し赤い。
「…ありがとう」
揺れる瞳を、悲しい笑顔を見るたび思う。
もう一人の自分が目の前にいたなら、殴ってしまいたい。
きっとそれしか、岩永を救う方法がなかったのだとしても、庇うな。
二人一緒に生きられないなら、庇うな。
一人、置き去りにするなと思う。
彼を苦しめるな。
今は、そう思う。
着替えに一度寝室に戻って、ため息を吐く。
やっぱり、間違いじゃないかと思う。
あの彼が、流河になにか出来ると思えない。
出来ないと思う。
「君は罪作りだね」
間近で響いた明るいトーンの声に、弾かれたように振り返る。
壁に背を預ける格好で、流河がそこにいた。
「あ、やっぱ見えるんだね。
一度接触すれば話せるんだ」
「……………」
夢だと思ってはいなかったが、改めて現実だと実感する。
あの出来事も、今目の前にいる男も、嘘じゃない。
「随分優しいんだね。
以前はすごく嫌っていたみたいだけど」
「………あいつが嵐やからや」
「ま、そうだろうね」
流河は笑って頷き、「君が岩永くんを突き放すのって不可能に近いよ」と語る。
警戒を滲ませた村崎の顔を見上げ、にっこりと微笑む。
「しかし、君は彼が憎いの?」
「……全く憎まん、というのは無理や」
「……ふうん」
流河の表情と声は意外そうだ。
「…こっちの岩永くんの暴走のスイッチ、押したのが本当に彼だと思うんだ?」
「…どういう意味や?」
「そのままの意味」
流河は淡々と言い、どこか呆れたように自分を見る。
「暴走キャリアが暴走を起こすのは、暴発と同じだから。
コントロール権を失う。それだけ。
暴走キャリアの場合、元々制御出来てない未覚醒の超能力。
それを無意識に体外に出さないよう抑え込む仕組みが、俺たちにはある。
でももう抑え込めなくなって、飽和しきって、爆発する。
それが暴走。
…特定の感情とか、誰かの働きかけとか、関係ないんだよ。
病気と一緒で、時期が来れば爆発するの。そういうもの」
「……」
流河の語る言葉は、嘘だと言えない。
彼の世界は、この世界より時間が進んでいる。
あのときも言っていた。
詳しい仕組みが解明されていてもおかしくない。
それに村崎が聞いても、反論の余地がなかった。
「岩永くんはなにもしてないよ。
たまたま客席にいただけさ」
「…………ほな、でも、あいつは、否定せんかった」
それは確かに筋が通るけど、岩永が全く否定しなかったのも事実だ。
自分の責任ではないなら、反論してもいいはず。
「…彼さあ、棄権したんだよね。
五月二十日。
向こうの村崎くんに心配されて、棄権したんだ」
その言葉に記憶がよみがえる。
自分も止めた。
去年の五月二十日。
でも、岩永は頷かなかった。
「棄権した結果、彼は暴走を起こさなかった。
そうなると、午後の試合が何事もなく行われる。
そして、午後の試合で別の誰かが暴走を起こした。
…五月二十日にNOAが壊滅するのは、もう運命だったんだよね」
今まで抱えてきた謎がほどけていく。
流河は見開かれた村崎の瞳を見つめ、妖しく笑う。
「岩永くんが暴走するか、別の誰かが暴走するか、その二択。
でも、岩永くんが暴走するほうが、被害は少ない。
彼の能力は吸収。
直接人間に危害を加えることは出来ない。
最悪な能力だって、こっちの俺は言ったけど違う」
「………ああ、そうか」
うすぼんやりと理解した。
彼は暴走のスイッチを押していない。
おそらく、あの日岩永が棄権しないようになんらかの方法で働きかけただけ。
その結果、岩永は暴走したのだから、責められても彼は否定しないだろう。
でも、その結果、多くの生徒が死なずに済んだのなら。
「…あいつは、ただ、同じものを見たくなかったんか」
やっとわかった。
腑に落ちた。
彼はただ、同じ悲劇を見たくなかった。
自分の世界と同じものを、見たくなかったのか。
「………彼は優しい人だよ。
本気で誰かを不幸に出来ない」
「………」
村崎は戸惑い、流河の顔を見下ろす。
わからない。
ならなぜ、流河は。
「ヒント聞いたんだろ?」
不意に明るい口調で尋ねられ、困惑した。
遅れて雪代のことだと気付く。
「…ああ」
「なんて?」
「……身近な人間に聞けとか、」
身近な人間と言われても漠然としすぎてよくわからないが。
まあ流河や優衣、白倉たちは除外だろう。
知っていたら言うはずだ。
「灯台もと暗しって言うよね」
「………?」
「君の家さあ、今、無人じゃない?
それに志津樹くんって、岩永くんのこと、わりと好きだよね」
「……………、」
息をのんで固まる。
流河の可笑しそうな笑みを見下ろし、考えた。
そういえば、
『とにかく、家にいるんですね?
ならいいです。
勝手にいなくならないでください』
昨日見た弟の様子が妙におかしかった。
あの電話の相手は。
「あぁ!?」
理解した瞬間大声を上げていた。
もしそうだとしたら、なんで弟は黙っているんだ。
理由によってはただじゃ済まさない。
「し、静流?
どないした?
なに今の大声」
びっくりして顔を覗かせた岩永に構わず、寝室を飛び出した。
しかし、試合の時間が迫っていたため、行けなかった。
もどかしく思いながら、第二回戦の試合に臨む。
第二回戦の相手も苦戦するほどの相手ではなく、快勝だった。
岩永も今回は手加減しながら戦いに参加していた。
これで、昨日の試合は体調不良だった、と思ってもらえれば良いが。
「あいつは?」
岩永の姿が見えないので流河に尋ねると、「飲み物買いに行ったよ」とのこと。
すっかりチームメイトとして馴染んでいるところは、岩永らしい気もする。
廊下を走って、その姿を探した。
談話室の自販機の前に彼が立っているのが見えた。
ほっとして駆け寄る。
岩永は落ちてきた炭酸ジュースを取って、身を起こす。
プルタブに指をかけた瞬間、缶がはじけ飛んだ。
岩永は目を瞑って腕で顔を庇う。
村崎が素早く周囲を見回すと、反対側の通路に逃げていく男の姿を見つけた。
あれは、昨日の対戦相手だ。
反射的に追いかけようとした村崎は、岩永に名を呼ばれ、思わず振り返る。
あまりにせっぱ詰まった声だったからだ。
真横にあった自販機が倒れてくる光景に、なぜかなにも出来なかった。
全身が汗に濡れている。
時計の音が響く静かな寝室。
「…」
今のは夢?
いや、耳に触れた声は、あまりにリアルだ。
村崎は胸元に手を当て、速く脈打つ鼓動を感じる。
夢じゃない。
自分は確かにあの声を聞いた。
動揺したまま寝台を降りる。
そのままリビングに向かった。
「あ、おはよう。静流」
「………」
リビングの椅子に腰掛けた岩永がこちらに気付いて微笑む。
流河の声が、耳の奥で繰り返す。
一体なにがあったというんだ。
「…静流?
どないしたん?」
青い顔で凍り付いている村崎に、岩永は心配そうに立ち上がる。
村崎に近寄ってきた。
「……あ、いや、……なんでもない」
「……なんでもないって顔でも………ああ。
あいつが見つかるかって?
今日の十二時までやもんな」
岩永はそう結論づけて、複雑そうに笑った。
それも外れていないので、頷いておく。
会えるか心配なのも事実だ。
「…ちゅうか、なんでおる?」
岩永は202号室で寝ていたはずだ。
「ああ、話がしたくて。
今日は静流忙しいよなって思ったから」
「…そうか」
村崎は納得し、冷誠二庫からペットボトルを取って、椅子に腰を下ろした。
岩永も椅子に座り、こちらを見る。
「静流ってほんまあいつ好きやなあ」
「…これを聞くのは残酷やが、そっちの儂は違ったんか?」
「……ううん」
岩永は少し寂しげな顔はしたが、微笑んで否定した。
「同じ。
そんな風に、愛してくれた。
…やから、会いたい」
「…そうか」
ああ、そういえば、言っていた。
向こうの世界の自分が死んだのは、岩永を庇ったせいだと。
それほどに彼を愛していた。
おかしいと思わない。自分だって、きっと。
「……あいつが羨ましい。
静流のそばにおりたい。
…それだけで幸せなのに」
「……」
なにも言えない。
彼の痛みが、今は少しわかるから。
「…お前は全く憎らしいが、…少し共感は出来る」
「…そう。
それは嬉しい」
突き放せない。
そんな、切なげに微笑む顔を見てしまうと。
大事にしたいと思う。笑わせたいと思う。
彼は違うのに。
「一番後悔しとるのは、お前のそばに本来おるべき男や」
「…?」
首を傾げた岩永の瞳を見つめ、心の底から告げる。
「…そんな儚げな顔をするお前を、抱きしめられんことを、そばで守れんことを、…儂なら悔しく思う。
死ぬほど、辛く思う。
…やから、同じやろう」
「……………静流が?」
「ああ」
岩永は呼吸を止め、震えた手で口元を押さえる。
自分ですらこうなのだ。
なら、本来彼のそばにいるはずの、もう一人の自分は、もっとずっと、悔しい。
「もし幽霊が存在するなら、儂はお前のそばにおると思うが」
「……………はは」
岩永は泣きそうな顔で微笑み、顔を押さえる。
瞳が潤んだ。
「…ごめん。
それは嬉しい。
でも、悲しい。
…触れたいし、声が聞きたい」
「…やろうな。
儂もそれは我慢出来ん。
…抱きしめたいと思う」
「…っ」
岩永は涙を堪えるようにしばらく俯いて、身を震わせていた。
不意に顔を上げる。
その瞳は少し赤い。
「…ありがとう」
揺れる瞳を、悲しい笑顔を見るたび思う。
もう一人の自分が目の前にいたなら、殴ってしまいたい。
きっとそれしか、岩永を救う方法がなかったのだとしても、庇うな。
二人一緒に生きられないなら、庇うな。
一人、置き去りにするなと思う。
彼を苦しめるな。
今は、そう思う。
着替えに一度寝室に戻って、ため息を吐く。
やっぱり、間違いじゃないかと思う。
あの彼が、流河になにか出来ると思えない。
出来ないと思う。
「君は罪作りだね」
間近で響いた明るいトーンの声に、弾かれたように振り返る。
壁に背を預ける格好で、流河がそこにいた。
「あ、やっぱ見えるんだね。
一度接触すれば話せるんだ」
「……………」
夢だと思ってはいなかったが、改めて現実だと実感する。
あの出来事も、今目の前にいる男も、嘘じゃない。
「随分優しいんだね。
以前はすごく嫌っていたみたいだけど」
「………あいつが嵐やからや」
「ま、そうだろうね」
流河は笑って頷き、「君が岩永くんを突き放すのって不可能に近いよ」と語る。
警戒を滲ませた村崎の顔を見上げ、にっこりと微笑む。
「しかし、君は彼が憎いの?」
「……全く憎まん、というのは無理や」
「……ふうん」
流河の表情と声は意外そうだ。
「…こっちの岩永くんの暴走のスイッチ、押したのが本当に彼だと思うんだ?」
「…どういう意味や?」
「そのままの意味」
流河は淡々と言い、どこか呆れたように自分を見る。
「暴走キャリアが暴走を起こすのは、暴発と同じだから。
コントロール権を失う。それだけ。
暴走キャリアの場合、元々制御出来てない未覚醒の超能力。
それを無意識に体外に出さないよう抑え込む仕組みが、俺たちにはある。
でももう抑え込めなくなって、飽和しきって、爆発する。
それが暴走。
…特定の感情とか、誰かの働きかけとか、関係ないんだよ。
病気と一緒で、時期が来れば爆発するの。そういうもの」
「……」
流河の語る言葉は、嘘だと言えない。
彼の世界は、この世界より時間が進んでいる。
あのときも言っていた。
詳しい仕組みが解明されていてもおかしくない。
それに村崎が聞いても、反論の余地がなかった。
「岩永くんはなにもしてないよ。
たまたま客席にいただけさ」
「…………ほな、でも、あいつは、否定せんかった」
それは確かに筋が通るけど、岩永が全く否定しなかったのも事実だ。
自分の責任ではないなら、反論してもいいはず。
「…彼さあ、棄権したんだよね。
五月二十日。
向こうの村崎くんに心配されて、棄権したんだ」
その言葉に記憶がよみがえる。
自分も止めた。
去年の五月二十日。
でも、岩永は頷かなかった。
「棄権した結果、彼は暴走を起こさなかった。
そうなると、午後の試合が何事もなく行われる。
そして、午後の試合で別の誰かが暴走を起こした。
…五月二十日にNOAが壊滅するのは、もう運命だったんだよね」
今まで抱えてきた謎がほどけていく。
流河は見開かれた村崎の瞳を見つめ、妖しく笑う。
「岩永くんが暴走するか、別の誰かが暴走するか、その二択。
でも、岩永くんが暴走するほうが、被害は少ない。
彼の能力は吸収。
直接人間に危害を加えることは出来ない。
最悪な能力だって、こっちの俺は言ったけど違う」
「………ああ、そうか」
うすぼんやりと理解した。
彼は暴走のスイッチを押していない。
おそらく、あの日岩永が棄権しないようになんらかの方法で働きかけただけ。
その結果、岩永は暴走したのだから、責められても彼は否定しないだろう。
でも、その結果、多くの生徒が死なずに済んだのなら。
「…あいつは、ただ、同じものを見たくなかったんか」
やっとわかった。
腑に落ちた。
彼はただ、同じ悲劇を見たくなかった。
自分の世界と同じものを、見たくなかったのか。
「………彼は優しい人だよ。
本気で誰かを不幸に出来ない」
「………」
村崎は戸惑い、流河の顔を見下ろす。
わからない。
ならなぜ、流河は。
「ヒント聞いたんだろ?」
不意に明るい口調で尋ねられ、困惑した。
遅れて雪代のことだと気付く。
「…ああ」
「なんて?」
「……身近な人間に聞けとか、」
身近な人間と言われても漠然としすぎてよくわからないが。
まあ流河や優衣、白倉たちは除外だろう。
知っていたら言うはずだ。
「灯台もと暗しって言うよね」
「………?」
「君の家さあ、今、無人じゃない?
それに志津樹くんって、岩永くんのこと、わりと好きだよね」
「……………、」
息をのんで固まる。
流河の可笑しそうな笑みを見下ろし、考えた。
そういえば、
『とにかく、家にいるんですね?
ならいいです。
勝手にいなくならないでください』
昨日見た弟の様子が妙におかしかった。
あの電話の相手は。
「あぁ!?」
理解した瞬間大声を上げていた。
もしそうだとしたら、なんで弟は黙っているんだ。
理由によってはただじゃ済まさない。
「し、静流?
どないした?
なに今の大声」
びっくりして顔を覗かせた岩永に構わず、寝室を飛び出した。
しかし、試合の時間が迫っていたため、行けなかった。
もどかしく思いながら、第二回戦の試合に臨む。
第二回戦の相手も苦戦するほどの相手ではなく、快勝だった。
岩永も今回は手加減しながら戦いに参加していた。
これで、昨日の試合は体調不良だった、と思ってもらえれば良いが。
「あいつは?」
岩永の姿が見えないので流河に尋ねると、「飲み物買いに行ったよ」とのこと。
すっかりチームメイトとして馴染んでいるところは、岩永らしい気もする。
廊下を走って、その姿を探した。
談話室の自販機の前に彼が立っているのが見えた。
ほっとして駆け寄る。
岩永は落ちてきた炭酸ジュースを取って、身を起こす。
プルタブに指をかけた瞬間、缶がはじけ飛んだ。
岩永は目を瞑って腕で顔を庇う。
村崎が素早く周囲を見回すと、反対側の通路に逃げていく男の姿を見つけた。
あれは、昨日の対戦相手だ。
反射的に追いかけようとした村崎は、岩永に名を呼ばれ、思わず振り返る。
あまりにせっぱ詰まった声だったからだ。
真横にあった自販機が倒れてくる光景に、なぜかなにも出来なかった。
0
あなたにおすすめの小説
多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】
23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも!
そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。
お願いですから、私に構わないで下さい!
※ 他サイトでも投稿中
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
【ご報告】
2月28日より、第五章の連載を再開いたします。毎週金・土・日の20時に更新予定です。
また、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。
引き続きよろしくお願いいたします。
異世界転移したら、神の力と無敵の天使軍団を授かったんだが。
猫正宗
ファンタジー
白羽明星は気付けば異世界転移しており、背に純白の六翼を生やした熾天使となっていた。
もともと現世に未練などなかった明星は、大喜びで異世界の大空を飛び回る。
すると遥か空の彼方、誰も到達できないほどの高度に存在する、巨大な空獣に守られた天空城にたどり着く。
主人不在らしきその城に入ると頭の中にダイレクトに声が流れてきた。
――霊子力パターン、熾天使《セラフ》と認識。天界の座マスター登録します。……ああ、お帰りなさいルシフェル様。お戻りをお待ち申し上げておりました――
風景が目まぐるしく移り変わる。
天空城に封じられていた七つの天国が解放されていく。
移り変わる景色こそは、
第一天 ヴィロン。
第二天 ラキア。
第三天 シャハクィム。
第四天 ゼブル。
第五天 マオン。
第六天 マコン。
それらはかつて天界を構成していた七つの天国を再現したものだ。
気付けば明星は、玉座に座っていた。
そこは天の最高位。
第七天 アラボト。
そして玉座の前には、明星に絶対の忠誠を誓う超常なる存在《七元徳の守護天使たち》が膝をついていたのだった。
――これは異世界で神なる権能と無敵の天使軍団を手にした明星が、調子に乗ったエセ強者を相手に無双したり、のんびりスローライフを満喫したりする物語。
魔王城の清掃係ですが、ラスボスに懐かれて世界を磨くことになりました
由香
恋愛
異世界に転移したら、なぜか魔王城の清掃係に就職していました。
巨大な玉座、血のついた回廊、禍々しい装飾品の数々。
今日も黙々と床を磨いていたら――
「お前の磨いた床は、よく眠れる」
恐怖の象徴と名高い魔王様に懐かれました。
見た目は完全にラスボス。
中身はちょっと不器用で、独占欲強めの努力型。
勇者は帰還の道を示し、魔王は隣を選べと願う。
光と闇のはざまで、選ぶのは――ただの清掃係。
戦争よりも、まず床。
征服よりも、まず対話。
これは、世界最強の存在に溺愛されながら
世界平和を“足元から”始める物語。
甘くて、少し熱くて、ちゃんと選ぶ恋。
薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~
黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。
─── からの~数年後 ────
俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。
ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。
「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」
そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か?
まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。
この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。
多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。
普通は……。
異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。
勇者?そんな物ロベルトには関係無い。
魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。
とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。
はてさて一体どうなるの?
と、言う話。ここに開幕!
● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。
● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる