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定例の交流会にて
定例の交流会にて・12 ◇第一皇子クリスティ視点
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俺の名はクリスティ。リーヴェルト帝国の第一皇子であ~るっ。
……って。第一王子だけど、皇帝陛下の後継者ってワケじゃないんだよねぇ~。
後を継ぐのは、第一皇女である姉のディアーネに決まっちゃってるんだ。
側妃の子なのに凄いよな。……あぁ、それは俺もだけど。
弟のジェフ……ジェフリーは王妃様の子で、年齢は俺と同じだ。
たった二ヶ月程度、俺が先に生まれたからって、俺が第一皇子でジェフが第二皇子ってワケ。
そこら辺の事情とか考えたら難しい話なんだけど、俺としては、自分が皇帝位に着くとか考えられないから。小さい頃から姉が背負ってくれてるのは凄く感謝だ。
ジェフとは、お互いの立場を考えたら「相手の事を良く思ってないのでは…」なんて噂をされたり、してたみたいだけどさ。
実はそんな事、全然、無いんだぞっ?
お城の使用人や騎士達の前でも、それなりに気を遣いながらだけど、ちゃんと会話もしてるし。ジェフは結構、俺の事をフォローしてくれたりもするし。
あっ、気を遣いながらって言っても、イヤラシイ計算とか足を引っ張られないようにってのじゃなくて。
本当に、あの……皇子としての威厳を損なわないように、さ。
お互いに気を付けて、注意し合おうって感じなんだ。
むしろ、比較的、俺とジェフは仲が良い方だって、俺は思ってる。
日頃からお互いの事をちゃんと見てるからな。
だから今も……。
ダディ、こと皇帝陛下が主催の『交流食事会』で。
今回もジェフが凄ぉ~く緊張してる事、俺はバリバリ分かってる。
あぁ、そうだ。そもそも、さ。
幼い頃から立派な皇子としての教育を施されてる俺とジェフが。何を今更そんなに気を付けて、お互いを注意し合うんだって話をすると、さ。
今ちょうどヒマだから、サラッと話しちゃうけど。
……そんな事を話してて大丈夫なのか、って? 大丈夫、大丈夫。
もうしばらくは、ダディと宰相閣下の雑談が続くから。
そんな話は執務室で済ませてくれればいいのに、って話を延々と垂れ流すだけなんで、別にちゃんと聞いてあげる必要は無いんだってば。
何の話だっけ? そうだ、ジェフと注意し合ってる、って話だったな。
俺達は二人とも、別に、礼儀作法とか外交上で必要になる知識とか、そんなのは特に問題無いんだ。
物凄く素晴らしい、完璧な麗人って程じゃなくても、そこそこイケてるからな。
それよりもっ! 俺達の問題は、お互いに、顔だっ!
不細工とかじゃない、表情筋の問題なんだ。
俺もジェフも、どっちかって言うと……ゴメン、言葉を選ばないで表現すると。
…………笑顔に難がある。
ジェフの笑顔は、ゼロから百への両極端だ。
全く感情の無い表情が笑うと一転、……まるで二歳児のような満面の笑い顔になる。
擬態語で表現すると、ニパアァーッとか。口がパカァーンっって感じ。
正直、第二皇子じゃなくても、それなりに成長した男としてどうなんだって笑顔。
それが……その笑顔が。
とある人に関する事に限っては、途端に『コワイ』表情になるんだけど。
……そう。そうそう。
宰相閣下の長男であるレオナルド、……レオに関わる事、ね。
すっごい怖いぞ? ホント。
見開ききった目で。瞳孔が開いてるようで。虚ろな感じに俺を見てるのに目が合わない。本人の焦点も合ってないような瞳なんだ。
口元だけが弧を描いた形で固まってる。微動だにしない。
その顔を見るたびにいつも、俺は何か口封じの為に殺されるのか、って思うもん。
喋ったら喋ったで、ジェフは割と嫌味な言い方をしちゃうクセがあるからなぁ。
顔の造形自体は結構良いんだけどなぁ、ジェフって。ダディに似てるし。
でも丁度良い微笑が作れないから、黙って真顔でいるのが一番可愛いんだよな。
かく言う俺の方は、表情筋が緩いみたいでさ。
自分でも知らない内にヘラヘラ、ニヤニヤしてるっぽい。
自分ではちょっと唇に笑みを浮かべてみたツモリでも、ジェフにはすぐ「口元がだらしない」って言われるんだよなぁ。
おかしいぞ? これでも俺、コッソリ『人形皇子』って呼ばれてるのに。
人形って表現には悪口の意図も含まれてるのは、俺だって一応、分かってる。でも悪意部分だけ、気にしない事にしてるんだ。人形自体は綺麗な物だし、つまり俺も綺麗に整ってる、って事だろ?
だから俺も整った微笑を作れるハズなのに……、……え? あ、そう? 人形状態なのは真顔の時だけ、かぁ。
あ、ダディ達の話が一区切り付きそうだ。
じゃあそろそろ、俺も。
俺達『息子同士』も、喋り始めて良い時間だよな?
……って。第一王子だけど、皇帝陛下の後継者ってワケじゃないんだよねぇ~。
後を継ぐのは、第一皇女である姉のディアーネに決まっちゃってるんだ。
側妃の子なのに凄いよな。……あぁ、それは俺もだけど。
弟のジェフ……ジェフリーは王妃様の子で、年齢は俺と同じだ。
たった二ヶ月程度、俺が先に生まれたからって、俺が第一皇子でジェフが第二皇子ってワケ。
そこら辺の事情とか考えたら難しい話なんだけど、俺としては、自分が皇帝位に着くとか考えられないから。小さい頃から姉が背負ってくれてるのは凄く感謝だ。
ジェフとは、お互いの立場を考えたら「相手の事を良く思ってないのでは…」なんて噂をされたり、してたみたいだけどさ。
実はそんな事、全然、無いんだぞっ?
お城の使用人や騎士達の前でも、それなりに気を遣いながらだけど、ちゃんと会話もしてるし。ジェフは結構、俺の事をフォローしてくれたりもするし。
あっ、気を遣いながらって言っても、イヤラシイ計算とか足を引っ張られないようにってのじゃなくて。
本当に、あの……皇子としての威厳を損なわないように、さ。
お互いに気を付けて、注意し合おうって感じなんだ。
むしろ、比較的、俺とジェフは仲が良い方だって、俺は思ってる。
日頃からお互いの事をちゃんと見てるからな。
だから今も……。
ダディ、こと皇帝陛下が主催の『交流食事会』で。
今回もジェフが凄ぉ~く緊張してる事、俺はバリバリ分かってる。
あぁ、そうだ。そもそも、さ。
幼い頃から立派な皇子としての教育を施されてる俺とジェフが。何を今更そんなに気を付けて、お互いを注意し合うんだって話をすると、さ。
今ちょうどヒマだから、サラッと話しちゃうけど。
……そんな事を話してて大丈夫なのか、って? 大丈夫、大丈夫。
もうしばらくは、ダディと宰相閣下の雑談が続くから。
そんな話は執務室で済ませてくれればいいのに、って話を延々と垂れ流すだけなんで、別にちゃんと聞いてあげる必要は無いんだってば。
何の話だっけ? そうだ、ジェフと注意し合ってる、って話だったな。
俺達は二人とも、別に、礼儀作法とか外交上で必要になる知識とか、そんなのは特に問題無いんだ。
物凄く素晴らしい、完璧な麗人って程じゃなくても、そこそこイケてるからな。
それよりもっ! 俺達の問題は、お互いに、顔だっ!
不細工とかじゃない、表情筋の問題なんだ。
俺もジェフも、どっちかって言うと……ゴメン、言葉を選ばないで表現すると。
…………笑顔に難がある。
ジェフの笑顔は、ゼロから百への両極端だ。
全く感情の無い表情が笑うと一転、……まるで二歳児のような満面の笑い顔になる。
擬態語で表現すると、ニパアァーッとか。口がパカァーンっって感じ。
正直、第二皇子じゃなくても、それなりに成長した男としてどうなんだって笑顔。
それが……その笑顔が。
とある人に関する事に限っては、途端に『コワイ』表情になるんだけど。
……そう。そうそう。
宰相閣下の長男であるレオナルド、……レオに関わる事、ね。
すっごい怖いぞ? ホント。
見開ききった目で。瞳孔が開いてるようで。虚ろな感じに俺を見てるのに目が合わない。本人の焦点も合ってないような瞳なんだ。
口元だけが弧を描いた形で固まってる。微動だにしない。
その顔を見るたびにいつも、俺は何か口封じの為に殺されるのか、って思うもん。
喋ったら喋ったで、ジェフは割と嫌味な言い方をしちゃうクセがあるからなぁ。
顔の造形自体は結構良いんだけどなぁ、ジェフって。ダディに似てるし。
でも丁度良い微笑が作れないから、黙って真顔でいるのが一番可愛いんだよな。
かく言う俺の方は、表情筋が緩いみたいでさ。
自分でも知らない内にヘラヘラ、ニヤニヤしてるっぽい。
自分ではちょっと唇に笑みを浮かべてみたツモリでも、ジェフにはすぐ「口元がだらしない」って言われるんだよなぁ。
おかしいぞ? これでも俺、コッソリ『人形皇子』って呼ばれてるのに。
人形って表現には悪口の意図も含まれてるのは、俺だって一応、分かってる。でも悪意部分だけ、気にしない事にしてるんだ。人形自体は綺麗な物だし、つまり俺も綺麗に整ってる、って事だろ?
だから俺も整った微笑を作れるハズなのに……、……え? あ、そう? 人形状態なのは真顔の時だけ、かぁ。
あ、ダディ達の話が一区切り付きそうだ。
じゃあそろそろ、俺も。
俺達『息子同士』も、喋り始めて良い時間だよな?
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