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強面の三十路兵士団長 × 若きエリート騎士団副長
1.強面の三十路兵士団長 × 若きエリート騎士団副長
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「うぅ……、な…なんで……私が、こんな目に……。」
あの病気は、文官等の職業病なはずだ。
成人病と言われるようになって久しいが……それでも自分のような、常に身体を動かし、体調にも万全の注意を払っている者には無縁の病気ではないのか。
大きな枕に抱き付きながら、若きエリート騎士団副長、モナイ・ヨーナは恥辱に震えていた。
震えているのは比喩表現だけではない。
人には言えない身体の一部が……。
はっきり言ってしまえば肛門の窄まりが、ブルブルと細かく震えてしまっている。
痙攣と呼ぶ程は激しくないものの、本人には分かる程度のとても細かな振動。
それを現代風に説明すると、バイブ設定にしたスマホに着信があった時のような。
そんな微弱な震えが、自分の肛門から裸の身体全体に広がっているのではないかと感じ。
胸中、穏やかでないモナイは、枕に顔を埋めて羞恥に耐えようとした。
――― 突発性肛門縁異状振動。
モナイが患った病は、通称『振動病』と呼ばれている。
尻穴の襞が突然、細かく振動し続ける病。
一度症状が起きてしまうとしばらく続くのが通常だ。一時的に治まってもまた振動を再開する。
最も簡単な対処法は、肛門の中に、それなり以上の硬さを持った物を入れる事。
あまり硬すぎても振動を続ける孔が傷付いてしまう為、入れる物は人体がベターだ。
精液を注入すれば落ち着いた状態が長持ちするという説もあるが、個人差が大きく、あくまで仮説の域を出ない。
この病が完治したという例は、今の所、無かった。
最初に振動の症状を感じた時、モナイは気の所為だと判断した。
そう思えるぐらい、振動は弱かったし、時間もほんの一瞬だったのだ。
だが何度か振動を認識していく内に、一回当たりの時間が段々と長くなって行き。今では振動がある時と無い時の割合がほぼ半々になってしまっている。
振動を感じている時は、その場所が場所なだけに、気になって仕方が無い。
そんな部分を気にしていると誰かに知られたくないから、余計に万全では無くなる。
もっと時間が長くなり、四六時中、振動するようになってしまったら……。
そういえば、振動が強くなる事もあると聞いた。
まさかとは思うが、もっと振動が強くなって、音が鳴るぐらい激しくなってしまったら……。
考えて恐ろしくなり。
かと言って、部下や上司に知られるのが嫌で。
とうとうモナイは。
通常であれば関りが薄いであろう、兵士団長のナンディ・マサラーを頼る事にした。
「魔術師は、何をしているのだ……、……治療術師も、だ。」
恨めしい言葉がモナイの口を吐いて出た。
一日を座って過ごす場合も多いという、様々な術師達の事が、モナイの頭をよぎる。
恐らくは患者も多いだろうに。彼等がこの病の治療薬を作り出したり、病を撲滅しようという動きがあるという話は、騎士団副長であるモナイの耳にさえ聞こえて来ない。
尻穴の襞が震えるだけで、痛みや快楽を感じて動けなくなる事はない。生命に関わる病気でもない。対症療法があるから、それで良いとでも考えているのだろう。
術師連中は……優れた者であればある程、己の目的から外れた事柄に対しては指の一本ですら動かそうとしないものだ。
ぐるぐると思考を巡らせようとも、応えてくれる者はいない。
それにもう、後戻りは出来ない所まで来ている。
既にモナイは湯浴みを済ませ、裸でベッドにうつ伏せになっている。
肌がほんのりと赤く色付いているのは、湯船で身体が温まった所為だけではないだろう。
そしてこの度、モナイの症状を緩和する処置に付き合ってくれる事になったナンディも、ベッドのそばでローションの準備をしている真っ最中。自分の体温で人肌程度まで温めているのだ。
もちろん彼も既に身体を洗い終えている。
「もう少しだとは思うんだが……待たせて悪いな、ヨーナ副長。」
気遣いを有難いと考えるべきなんだろうが。
やけに生々しくて、モナイは、情けない現実を叩き付けられた気分になった。
あの病気は、文官等の職業病なはずだ。
成人病と言われるようになって久しいが……それでも自分のような、常に身体を動かし、体調にも万全の注意を払っている者には無縁の病気ではないのか。
大きな枕に抱き付きながら、若きエリート騎士団副長、モナイ・ヨーナは恥辱に震えていた。
震えているのは比喩表現だけではない。
人には言えない身体の一部が……。
はっきり言ってしまえば肛門の窄まりが、ブルブルと細かく震えてしまっている。
痙攣と呼ぶ程は激しくないものの、本人には分かる程度のとても細かな振動。
それを現代風に説明すると、バイブ設定にしたスマホに着信があった時のような。
そんな微弱な震えが、自分の肛門から裸の身体全体に広がっているのではないかと感じ。
胸中、穏やかでないモナイは、枕に顔を埋めて羞恥に耐えようとした。
――― 突発性肛門縁異状振動。
モナイが患った病は、通称『振動病』と呼ばれている。
尻穴の襞が突然、細かく振動し続ける病。
一度症状が起きてしまうとしばらく続くのが通常だ。一時的に治まってもまた振動を再開する。
最も簡単な対処法は、肛門の中に、それなり以上の硬さを持った物を入れる事。
あまり硬すぎても振動を続ける孔が傷付いてしまう為、入れる物は人体がベターだ。
精液を注入すれば落ち着いた状態が長持ちするという説もあるが、個人差が大きく、あくまで仮説の域を出ない。
この病が完治したという例は、今の所、無かった。
最初に振動の症状を感じた時、モナイは気の所為だと判断した。
そう思えるぐらい、振動は弱かったし、時間もほんの一瞬だったのだ。
だが何度か振動を認識していく内に、一回当たりの時間が段々と長くなって行き。今では振動がある時と無い時の割合がほぼ半々になってしまっている。
振動を感じている時は、その場所が場所なだけに、気になって仕方が無い。
そんな部分を気にしていると誰かに知られたくないから、余計に万全では無くなる。
もっと時間が長くなり、四六時中、振動するようになってしまったら……。
そういえば、振動が強くなる事もあると聞いた。
まさかとは思うが、もっと振動が強くなって、音が鳴るぐらい激しくなってしまったら……。
考えて恐ろしくなり。
かと言って、部下や上司に知られるのが嫌で。
とうとうモナイは。
通常であれば関りが薄いであろう、兵士団長のナンディ・マサラーを頼る事にした。
「魔術師は、何をしているのだ……、……治療術師も、だ。」
恨めしい言葉がモナイの口を吐いて出た。
一日を座って過ごす場合も多いという、様々な術師達の事が、モナイの頭をよぎる。
恐らくは患者も多いだろうに。彼等がこの病の治療薬を作り出したり、病を撲滅しようという動きがあるという話は、騎士団副長であるモナイの耳にさえ聞こえて来ない。
尻穴の襞が震えるだけで、痛みや快楽を感じて動けなくなる事はない。生命に関わる病気でもない。対症療法があるから、それで良いとでも考えているのだろう。
術師連中は……優れた者であればある程、己の目的から外れた事柄に対しては指の一本ですら動かそうとしないものだ。
ぐるぐると思考を巡らせようとも、応えてくれる者はいない。
それにもう、後戻りは出来ない所まで来ている。
既にモナイは湯浴みを済ませ、裸でベッドにうつ伏せになっている。
肌がほんのりと赤く色付いているのは、湯船で身体が温まった所為だけではないだろう。
そしてこの度、モナイの症状を緩和する処置に付き合ってくれる事になったナンディも、ベッドのそばでローションの準備をしている真っ最中。自分の体温で人肌程度まで温めているのだ。
もちろん彼も既に身体を洗い終えている。
「もう少しだとは思うんだが……待たせて悪いな、ヨーナ副長。」
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やけに生々しくて、モナイは、情けない現実を叩き付けられた気分になった。
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