せっかくBLゲームに転生したのにモブだったけど前向きに生きる!

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第三章 ~改めてゲームを見守ろうとしてから自分の名前を思い出すまで~

オレと一緒に帰ろ

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賑やかな灯りのお店は、だいぶ遠くに来たけど、今ここで引き返せばまだ間に合う時間だ。
だからルサーは今、オレにビリーの話をしたんだろう。

お店に行けば、ビリーと会えるかも知れない。
そしたらオレの、名前に関する色々な記憶が戻るかも知れない。


「ひょっとすると、お前の記憶も……戻るかも知れねぇ、な。」

ルサーも同じこと考えたんだな。
沢山のエピソードは覚えてるのに、幾つかの名前が思い出せないなんてオカシなこと……今のルサーは信じてくれてるんだ。

だけど、オレは。


「……ルサー。帰ろ?」

家への帰り道に向かって、ルサーの手を引いた。



ルサーはオレの行動に驚いたみたいで、動かなかった。

「お前……っ。い、いいのか……?」
「あぁ。別に今日じゃなくて良いよ。……それにさ、今からだとお店の邪魔になるだろ? さっき、叱られたばっかりじゃん。」

オレは出来るだけ明るい声を出す。
別に、焦ってビリーに会いたいわけじゃない。ルサーにそれを分かって貰う為に。

それに……。

「兵士を辞めたからって、今のビリーが不幸なんだって決め付けなくていい。……ルサーだって、そう言っただろ。だから、今すぐ確認しなくていいんだ。」
「……そうか。分かった。」


そう言ってくれたルサーに、オレはホッとした。

もしかしたらルサーにとっては、オレがさっさと記憶を取り戻して元いた養育所に帰るのが……いいのかなって、ちょっと思ったから。
もしオレが、自分の名前や養育所への帰り方を思い出したら、出て行かなきゃいけないのかもって思ったら。

その問題に直面するのを、少しでも先延ばしにしたかった。
だからオレは、今日はお店に行かない。



「そう言えば、なぁルサー? 最近、帰りが遅かったのって……。」
「あぁ……いや、まぁ……。ちょっと、仕事のついでに、色々聞いてたっつ~か……。」
「オレの為に、だよな?」

他の町にいる人からも情報を集めてた、っても言ってたし……。
それなのに、オレ……ルサーが娼館で遊んでたんじゃないかって、勝手に誤解してた。あーもう、オレのバカっ。


「ごめんっ、ルサーっ。」

オレはルサーの正面に回って、両手を合わせた。
ルサーがビックリしたようにオレを見る。今日はビックリさせてばっかりだ。

「そんなの全然知らないで、オレ、勝手に怒ったりした。」
「……まぁ、俺も黙ってたからな。気にするな。俺も悪かった。」

お互い様だな、ってルサーが微笑む。

良かった。やっと笑ってくれた。


「なんで黙ってたんだ? せっかく色々してくれてたのに。」
「それは……ぁ~、その……。か、確実な話じゃねぇし。変に期待だけさせるのも……って……思ってな。あぁ、さっき話したのも、それっぽいってだけで、確実な話じゃねぇからな?」
「じゃ、お店にいるのも、実はビリーじゃないって可能性もあるんだよな。」
「まぁそう……だな。」
「じゃあ、さ……。」

何度か心に引っ掛かってたことを、オレは口に出す。
もうハッキリ言っちゃった方がいいや。

「もうちょっと……一緒に住んでても、いいか?」



「……好きなだけ居ろ。今更、だ。」

しばらくの沈黙の後、ルサーはそう答えてくれた。


なんだろう。
凄い嬉しいし、ホッとした。


ルサーと一緒に居てもいいんだって、それが嬉しかった。





賑やかに通行人が行き来する酒場通りは、もうかなり遠い。

正面にいるルサーに、一歩、二歩、近付く。
ちょっとだけオレを見上げる姿勢のルサーが、すぐそばにいる。


「ルサー。キスしたい。」
「な……っ!」
「……しよ?」

狼狽えてるルサーを、背後の壁に追い詰める。

他所んちの壁だけどゴメンなっ。


「……ったく、今更だろ。好きにし……っんん。」


許可も貰えたし、オレは遠慮なくルサーの唇に、自分ので触った。


何度か啄んでると、ルサーの手がオレの脇腹辺りを掴む。
逃げられないように、オレもルサーの背中に腕を回して。

しばらくそうしてた。




「一緒に帰ろ? ルサー。」
「……腹、減ったな。」


誤魔化すのがヘタなルサーは耳まで真っ赤になってた。
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