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第三章 ~改めてゲームを見守ろうとしてから自分の名前を思い出すまで~

ちょっと落ち着こう

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浴室でのもう一戦は完全にバブルバスの中で。
オレの上にリッカを跨がせて、向かい合わせで抱き合って。
泡湯の中だと浮力があるから楽に抱えて動かせた。

それが終わった頃には、リッカは結構お疲れ気味で。
しがみ付いて来るリッカの色香に精一杯抵抗しながら、オレは二人分、身体に付いた泡を丁寧に洗い流した。
それと一緒に、中出ししちゃった精液も掻き出さなきゃって、リッカの中に指を入れたんだけど。
泡風呂の中でシた所為か、殆ど入って無かった。



脱衣所で、ユーグと鉢合わせた。
オレとリッカを見て、口元に作り物っぽい弧を描く。

「丁度良い頃合いだったようだな。楽しめたか?」
「ん、あぁ。お陰様……で?」
「……キミは変な男だ。」

リッカはグッタリしてて、一応オレが返事したんだけど。
妙な疑問形になっちゃったからか、ユーグも微妙な表情になって。さっさと浴室に入ってく。

シャワーの音を聞きながらリッカの身体を拭くオレ。
オレは若いし健康優良児で風邪とか引かないから、自分のは後回しでいい。




脱衣所よりも暖かい寝室に戻って来た。


「ゴメンなさい、ね……?」

バスローブみたいのを着せて、ソファに座らせて。リッカの髪をタオルで揉んでたら。
ポソッて呟く声がした。

「いいトシして我慢出来なくって……。アナタに恋人いるの、知ってたのに。」

リッカが所在無さげな様子で、バスローブの裾を指で摘まんでる。
俯いたリッカの髪を片側に流して、反対側の首元にチュッて音を立ててキスした。

リッカの、この……耳の下から肩への、首筋ライン。
凄い綺麗だって思う。かなり気に入ってる。

ピクッて背筋を震わせるリッカ。


「リッカを、そうさせたのはオレ。だから……オレの所為ってことで。」
「……。」
「謝るなよ?」

ビックリしたように目を見開いたリッカが謝らないように、同じ場所に吸い付いた。
首をコックリ縦に振るのが唇からも伝わって来た。



「なんだ。シテないのか。」
「ユーグっ。……はやっ。」
「汗を流すだけだからな。」

さっき浴室に入ったばっかりのユーグが、もう出て来た。
瘠せてるけど貧相じゃない、引き締まった細身の裸を惜しみなく見せ付けながら。
わざわざ裸で寝室に来てからバスローブを羽織るって、あざとい。

「でもホラ……アレ、は? 中の……精液、掻き出さなくていいのか?」
「いいも何も……。二~三回分くらいの精液なら、ネコの身体は問題無く吸収するぞ?」
「ええぇっ? そうなのかっ?」


そっ、それは知らなかった。すっごいビックリ。
……そうか、だからリッカの中に全然残って無かったんだ。
あれ? でもオレ、ルサーに入ってたヤツ、掻き出したような……あ。二~三回分で済まなかったからか。


「意外と知らないタチが多い話だ。……それはともかく。」

オレに向かって悪戯っぽい視線を向けるユーグ。

「いい男に髪を拭いて貰うとは、中々に羨ましい情景じゃないか。……私にもしてくれるか?」
「いいよ? おいで、ユーグ。」
「……っ。……へ、変な男だ。」

自分から「してくれ」って言ったクセに、なんでかユーグは口を尖らせた。
それでもリッカの隣に腰掛けて、ユーグは背凭れに身体を預ける。


「ユーグ、拭くぞ?」
「くれぐれも丁寧に頼むぞ。若い男の髪とは違うのだからな?」
「分かってる、って~。意外に癖っ毛だもんな、ユーグ。」

ゲームでのユーグは毛先の方だけ縦ロール気味だった。
今のユーグが普段どんな髪型かは知らないけど、今日の髪型は緩めの前髪上げで全体的に纏まった感じ。

濡れた後の髪は意外と長めで、ついつい弄りたくなる。
新しいタオルで軽く押さえながら、まだ水分たっぷりな毛先を指に巻いた。


「悪戯しないでくれ。また……そういう気分になりそうだ。」
「もうちょっと拭いてから、な?」

タオルで優しく拭かれてる内に、ふんわり気持ち良くなって来たんだろう。
オレを見上げるユーグの瞳が、また熱っぽくなってて。
我慢するよう言い聞かせて瞼に唇で触れたら、ユーグから焦れた声が洩れる。

背凭れの後ろから覆い被さるようにしてユーグの髪に触ってたら、やっぱりまたユーグから、甘いような不思議な匂いがする。
バスローブの隙間、襟元からのが特に強い。


好奇心で、襟を掴んで後ろ側に大きく広げた。匂いが広がる。
思わずオレはバスローブの中へ……、項から背中、腰の方まで手を突っ込んだ。

「ユーグ、香水付けてる?」
「いや? 今は……、……っっ! ぁ、あ、はァッ……!」

指の腹にザラッとした手触り。
それが何かって、ユーグの反応で明らかだ。


『割れた実』……スイッチ、押しちゃった。
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