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第三章 ~改めてゲームを見守ろうとしてから自分の名前を思い出すまで~
この人からオレの名前を聞くとは思わなかった
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時間……オヤツに丁度良い頃合い。
場所……小洒落た感じの軽食屋さん。スイーツのメニュー多め。
面子……オレ。フィロウ。カシュ。そしてたぶん、ビリー。
前話でオレがビリーの名前を声にしたら、陽キャ……改め、たぶんビリーは踵を返したんだけど、カシュに掴まった。
ついオレも「ビリーだろ」って大声出しちゃって、他の客から注目浴びちゃったりして。
オレも悪いけどカシュも悪い。ビリーに「置いてかないで~」って縋ったもんだからアレだ。
フィロウが何故かとても鋭い声で「逃げないでサッサと席に着きなよ」って言ったのは、なんかやたら怖かったぞ。
で、今……。オレ達四人は、同じテーブルを囲んでる。
オレの隣にはフィロウ。
オレの前にはビリー。
ビリーの隣、つまりフィロウの向かいにカシュ。
カシュは酷く申し訳無さそうな表情でオレを見て、何かを耐えるような視線をビリーに向け。……を、落ち着かない様子で繰り返してる。
何だか虐めてるみたいで、オレも落ち着かないぞ。
フィロウは、何でか分かんないけど凄い冷たい瞳でビリーを見下ろしてる。フィロウの背が一番高いから物理的にだけど。
完璧な王子様が下賤な輩を侮蔑する視線ってこんな感じかな。……あ、これじゃビリーへの悪口だ。ナシ、無し。
ビリーは、オレの正面に座ってるのにちっとも視線が合わない。
いや、合うワケが無い。ずっと斜め下を見てるんだから。
そして一言も話さない。一声も出さない。
どうしたんだ、三人とも。……特にビリー。
視線を合わせるとか合わせないとか以前に、その、何て言ったらいいか……。
めっちゃ、デビューしちゃってるじゃん。確実にそれ、大学デビューだろ、十六歳だけどっ。
兵士達と一緒に養育所を出てから、まだ一年と数ヶ月くらいだぞ。何がどうなったらそんな感じになるんだよ~。
あんなに庇護欲をそそる儚げキャラだったビリーが。
今の見た目だと、夏はサーフィン、冬はスノボ、正月から始まってイベント時期にはパーティ参加必須な感じがバリバリなキャラじゃないか。
別人かもって思ったけど、でもこうしてジッと顔を見てたら確かにビリーなんだよなぁ。
あっれ、意外とビリーって凛々しいタイプの顔立ちしてたんだな。
って、オレが無言で考え事してた所為かも知れないけど。
ビリーとカシュが注文した品が来るまで、誰も口を開かなかった。
カップから湯気が立ち昇るのを放置したまま、カシュが隣のビリーを見ながら呟く。
「やっぱり、ヴィルって……。ビリー、なんだ…ね……?」
「……うん。」
「これからは……ビリーって、呼んだ方がいい?」
「……ううぅん。ヴィル……が、いい。」
カシュが確認してくれて良かった、ちゃんとビリーだった。
リッカとリオみたいに、オレの思い込みじゃなくて良かった。
ホッと一安心してるオレの耳を、カシュとビリーの会話が素通りしてく。
「じゃあ、ヴィル……? ヴィルの、ずっと好きな人って……あの人がやっぱり……。」
「…………うん。」
「……そっか。」
二人を見守ってたら、急にカシュが、真面目な顔でコッチを見る。
畏まった雰囲気出すから、オレもちょっぴり畏まってみた。
「じゃあ、改めてご挨拶だね。ヴィルの恋人にして貰ってる、カシュです。よろしくね、イグゥさん?」
「っはああぁぁっっ?」
びび、ビックリした。
変な大声出た。
思わず立ち上がった。
ちょっと待ってくれ。
頭の中で。カチッって。何かがハマった。
イグゥ……。
養育所で、ビリーやヴィーに、そう呼ばれてた。オレの愛称。
名前は。……イグザ。
XZAって書いて、イグザ。
ゲームのモブ妻はAから始まってXYZまでいるけど。
モブ妻になれない、XZAが、オレだ。
カシュの台詞の内容とか、色々突っ込みたい感が満載なのはまぁ良しとして。
まさか、オレの名前……ビリーじゃなくてカシュの口から出るとは、なぁ……。
それであの、全然関係無いんだけど、今かなりフィロウの顔が怖い。
だけどそれを今、気にしてる場合じゃない。
オレ、行かなきゃならないトコがある。
「フィロウっ、ゴメン、あの…」
「ん、どうしたの? イグゥ?」
さっそく愛称で呼ばれるオレ。
嘘みたいに蕩ける笑顔を見せるフィロウ。逆に超怖い。
「オレ、大至急の用事が出来た。それで悪いんだけ…」
「分かったよ。また今度ね? イグゥ。」
「あぁ、ホント、ゴメン。ビリーもカシュも、ゴメン。またなっ。」
フィロウが理由とか聞いて来なくて良かった。
その僅かな時間もオレ、惜しいから。
慌ただしく三人に挨拶して、速足でお店を出て、オレは駆け足になった。
オレは走る。とにかく走る。
足の疲れなんか感じないくらい、気持ちが高揚してた。
オレの名前が分かったんだ。
イグザ……。
早く知らせたくて。オレの名前を呼んで欲しくて。
ルサーの家まで、オレは必死に走った。
場所……小洒落た感じの軽食屋さん。スイーツのメニュー多め。
面子……オレ。フィロウ。カシュ。そしてたぶん、ビリー。
前話でオレがビリーの名前を声にしたら、陽キャ……改め、たぶんビリーは踵を返したんだけど、カシュに掴まった。
ついオレも「ビリーだろ」って大声出しちゃって、他の客から注目浴びちゃったりして。
オレも悪いけどカシュも悪い。ビリーに「置いてかないで~」って縋ったもんだからアレだ。
フィロウが何故かとても鋭い声で「逃げないでサッサと席に着きなよ」って言ったのは、なんかやたら怖かったぞ。
で、今……。オレ達四人は、同じテーブルを囲んでる。
オレの隣にはフィロウ。
オレの前にはビリー。
ビリーの隣、つまりフィロウの向かいにカシュ。
カシュは酷く申し訳無さそうな表情でオレを見て、何かを耐えるような視線をビリーに向け。……を、落ち着かない様子で繰り返してる。
何だか虐めてるみたいで、オレも落ち着かないぞ。
フィロウは、何でか分かんないけど凄い冷たい瞳でビリーを見下ろしてる。フィロウの背が一番高いから物理的にだけど。
完璧な王子様が下賤な輩を侮蔑する視線ってこんな感じかな。……あ、これじゃビリーへの悪口だ。ナシ、無し。
ビリーは、オレの正面に座ってるのにちっとも視線が合わない。
いや、合うワケが無い。ずっと斜め下を見てるんだから。
そして一言も話さない。一声も出さない。
どうしたんだ、三人とも。……特にビリー。
視線を合わせるとか合わせないとか以前に、その、何て言ったらいいか……。
めっちゃ、デビューしちゃってるじゃん。確実にそれ、大学デビューだろ、十六歳だけどっ。
兵士達と一緒に養育所を出てから、まだ一年と数ヶ月くらいだぞ。何がどうなったらそんな感じになるんだよ~。
あんなに庇護欲をそそる儚げキャラだったビリーが。
今の見た目だと、夏はサーフィン、冬はスノボ、正月から始まってイベント時期にはパーティ参加必須な感じがバリバリなキャラじゃないか。
別人かもって思ったけど、でもこうしてジッと顔を見てたら確かにビリーなんだよなぁ。
あっれ、意外とビリーって凛々しいタイプの顔立ちしてたんだな。
って、オレが無言で考え事してた所為かも知れないけど。
ビリーとカシュが注文した品が来るまで、誰も口を開かなかった。
カップから湯気が立ち昇るのを放置したまま、カシュが隣のビリーを見ながら呟く。
「やっぱり、ヴィルって……。ビリー、なんだ…ね……?」
「……うん。」
「これからは……ビリーって、呼んだ方がいい?」
「……ううぅん。ヴィル……が、いい。」
カシュが確認してくれて良かった、ちゃんとビリーだった。
リッカとリオみたいに、オレの思い込みじゃなくて良かった。
ホッと一安心してるオレの耳を、カシュとビリーの会話が素通りしてく。
「じゃあ、ヴィル……? ヴィルの、ずっと好きな人って……あの人がやっぱり……。」
「…………うん。」
「……そっか。」
二人を見守ってたら、急にカシュが、真面目な顔でコッチを見る。
畏まった雰囲気出すから、オレもちょっぴり畏まってみた。
「じゃあ、改めてご挨拶だね。ヴィルの恋人にして貰ってる、カシュです。よろしくね、イグゥさん?」
「っはああぁぁっっ?」
びび、ビックリした。
変な大声出た。
思わず立ち上がった。
ちょっと待ってくれ。
頭の中で。カチッって。何かがハマった。
イグゥ……。
養育所で、ビリーやヴィーに、そう呼ばれてた。オレの愛称。
名前は。……イグザ。
XZAって書いて、イグザ。
ゲームのモブ妻はAから始まってXYZまでいるけど。
モブ妻になれない、XZAが、オレだ。
カシュの台詞の内容とか、色々突っ込みたい感が満載なのはまぁ良しとして。
まさか、オレの名前……ビリーじゃなくてカシュの口から出るとは、なぁ……。
それであの、全然関係無いんだけど、今かなりフィロウの顔が怖い。
だけどそれを今、気にしてる場合じゃない。
オレ、行かなきゃならないトコがある。
「フィロウっ、ゴメン、あの…」
「ん、どうしたの? イグゥ?」
さっそく愛称で呼ばれるオレ。
嘘みたいに蕩ける笑顔を見せるフィロウ。逆に超怖い。
「オレ、大至急の用事が出来た。それで悪いんだけ…」
「分かったよ。また今度ね? イグゥ。」
「あぁ、ホント、ゴメン。ビリーもカシュも、ゴメン。またなっ。」
フィロウが理由とか聞いて来なくて良かった。
その僅かな時間もオレ、惜しいから。
慌ただしく三人に挨拶して、速足でお店を出て、オレは駆け足になった。
オレは走る。とにかく走る。
足の疲れなんか感じないくらい、気持ちが高揚してた。
オレの名前が分かったんだ。
イグザ……。
早く知らせたくて。オレの名前を呼んで欲しくて。
ルサーの家まで、オレは必死に走った。
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~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
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※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
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