せっかくBLゲームに転生したのにモブだったけど前向きに生きる!

左側

文字の大きさ
129 / 364
第四章 ~なんだかんだでゲームに沿う形でハーレムっぽい感じになる~

気付けば惚れてた男・2 $ルサー$

しおりを挟む
外はかなり明るくなった。もうすぐ昼って所か。
気付いた俺は重たい腰を上げた。


このままウダウダしてても仕方ねぇ。
腹も減って来た。こんな時でも、よくまぁ減るモンだ。

思い出してみれば、あん時……宮殿に幽閉されてた時だって。
二日目ぐらいにゃ、ちょっとずつメシを食ってたな。
案外と俺は図太く出来てるらしい。

「はぁ……。何か……食うか。」

誰も居ねぇのに独り言とか。

鍋の蓋を取って見ると、ベーコンと野菜のスープが出来上がってた。
適当に温めて皿に盛り付ける。
さっそく食べ始めたものの。あんまり味が分からねぇ。
アイツが作った料理なんだから、美味いハズなんだがな……。



惰性でスプーンを口に運びながら、俺はついついアイツの事を考えてた。
空腹が満たされて少しは余裕が出て来たのかも知れん。
アイツが出てった現実を徐々に受け入れながら、今はどこで何をしてるのか……誰といるのか……。そんな事ばっかりだ。


あんな時間に出てって、昨夜はどうやって過ごしたんだ?
誰か、男の所にでも……いや。いくらアイツがタチだって、すぐに都合良くネコに出会えるとは限らねぇ。
ネコの方だって、あんな遅い時間までタチを漁ってるワケでもねぇし。そもそも男を欲しがってる奴ならとっくに相手を見付けてる時間だったろう。

行き場の無ぇアイツが暗い道をトボトボ歩いてる姿が容易に思い浮かんだ。
アイツは自分の名前も分からねぇし、どっか抜けてるトコもある。

まさか野宿とかしてねぇよな?
腹を空かせたりしてねぇよな?


ツライ思いをしてねぇといいんだが……とか考えた時に、ふと思い出した。
病院で、元・タチ娼夫のリオが言ってた事を。

――― 「彼の事が好き。好きだって告白した。」
――― 「ルサーを蹴落とすツモリじゃない。」

……ハッ、ざまぁねぇ。俺を蹴落とすとか、それ以前の話だ。
出てったアイツは、ひょっとしたらリオの所にでも転がり込むんだろうか。
リオは若いし、美形だし、アイツの事が好きだって真正面から口に出す勇気も持ってる。
アイツが「一緒に暮らしたい」って言えば、リオならきっと素直に喜ぶだろう。



食事が終わっても、アイツは帰って来ねぇ。
不貞腐れたガキみたいに皿をテーブルの離れた位置に押しやり、俺はまた突っ伏した。

何もやる気がしねぇ。
今日はずっとこうやってダラダラ過ごすツモリだ。
心のどっかで期待して、待ってる。
何も無かったように、ひょっこりアイツが帰って来る事を。

……休日をこんな風に過ごすなんて思ってもなかった。






呼出音が鳴る音に、自分がウトウトしてた事に気付いた。
ベルはやたら忙しなく室内に響く。

大昔にあった時のように俺はそれを無視した。
あの頃と違って今の俺は、兵士としてそれなりに知り合いはいる。
だから誰かが訪ねて来る可能性はあったんだが。生憎と、今は相手が誰であれ、対応してやれる気力が無ぇ。
それに今日は休みだ。放っておいたら諦めるだろうと判断した。

だが呼出音はしつこかった。
気の所為か、玄関扉を叩くような音まで聞こえ出す。

「……ったく、誰だ? ……くそッ。」

もし家の外で騒ぎ出すようなら流石に近所迷惑だ。
俺は仕方なく、悪態を吐いて立ち上がった。



廊下に出た俺の耳に、玄関で叫んでるらしい男の声が入って来る。
思わず俺の足は止まった。

「ルサー、開けてくれぇっ!」

扉を叩きながら俺の名を呼んでるのは、アイツの声だった。
何度も何度も、あんな大声で。

縺れる足で玄関まで、やっと辿り着いて、慌てて扉を開けた。
ちょっとでも躊躇してたら、そのままアイツの声が消えそうな気がして焦った。


「ルサー!」

俺を見たアイツが嬉しそうな顔を見せる。
逆にアイツを見た俺は……どんな顔をしたらいいか、分からなくなった。

今、俺の前にアイツが居るのを見たら。
ホッとした。……あぁ、ホッとしたんだ、俺は。
なのに、なんで俺は……こんな苦しいんだ?

「昨夜、何処に行ってた。」

ようやく俺の口から出たのがコレだ。
俺はただ、心配だっただけだ。責めたいワケじゃねぇのに。


地べたに手を付いて謝るアイツを、決して素直とは呼べない言い方で、家の中に入れた。

もうちっと違う言い方もあったろうよ。
あんまりにも臆病過ぎて……自分が情けねぇ。
リオは、俺がアイツの恋人だと思ったから義理を通そうとしたのによ。
肝心の俺は、同じ土俵に立ててさえ居なかった。


アイツがちゃんと付いて来てるか。不安になって振り返る。
視界がぼやけてると思った瞬間、俺はアイツに抱き竦められてた。

耳元でアイツが優しく謝る。
俺の過去について、殆ど知らねぇって言ったアイツを、信じる事にした。


ちょっと前にも抱き合ったハズだってのに。随分と久し振りな感じがする。
アイツの腕の中で、肩の辺りにそっと顔を埋めた。

息を吸い込むと、鼻腔に感じる石鹸の匂い。……石鹸?


石鹸、か……。
そうか、昨夜は……風呂に入れるようなトコにいた、ってワケだな?



胸の中で急激に湧き上がる苛立ちは、明らかに、嫉妬だった。
アイツが……俺の知らねぇ奴と一緒に過ごしたって事実が頭に来た。

ちょっと前まで、そんな可能性は散々考えてたのに、な。
明らかにタチっぽく見えるアイツが、いつまでも放っとかれるワケが無ぇ。


だがこうやって現実に直面して、目の奥がカッと赤くなる錯覚を感じるぐらいには。
俺の感情は波立ってた。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

泥酔している間に愛人契約されていたんだが

暮田呉子
BL
泥酔していた夜、目を覚ましたら――【愛人契約書】にサインしていた。 黒髪の青年公爵レナード・フォン・ディアセント。 かつて嫡外子として疎まれ、戦場に送られた彼は、己の命を救った傭兵グレイを「女避けの盾」として雇う。 だが、片腕を失ったその男こそ、レナードの心を動かした唯一の存在だった。 元部下の冷徹な公爵と、酒に溺れる片腕の傭兵。 交わした契約の中で、二人の距離は少しずつ近づいていくが――。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…

こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』  ある日、教室中に響いた声だ。  ……この言い方には語弊があった。  正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。  テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。  問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。 *当作品はカクヨム様でも掲載しております。

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜

キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」 (いえ、ただの生存戦略です!!) 【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】 生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。 ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。 のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。 「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。 「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。 「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」 なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!? 勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。 捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!? 「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」 ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます! 元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした

和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。 そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。 * 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵 * 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください

僕がサポーターになった理由

弥生 桜香
BL
この世界には能力というものが存在する 生きている人全員に何らかの力がある 「光」「闇」「火」「水」「地」「木」「風」「雷」「氷」などの能力(ちから) でも、そんな能力にあふれる世界なのに僕ーー空野紫織(そらの しおり)は無属性だった だけど、僕には支えがあった そして、その支えによって、僕は彼を支えるサポーターを目指す 僕は弱い 弱いからこそ、ある力だけを駆使して僕は彼を支えたい だから、頑張ろうと思う…… って、えっ?何でこんな事になる訳???? ちょっと、どういう事っ! 嘘だろうっ! 幕開けは高校生入学か幼き頃か それとも前世か 僕自身も知らない、思いもよらない物語が始まった

処理中です...