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第四章 ~なんだかんだでゲームに沿う形でハーレムっぽい感じになる~

ワタワタしたオレ

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「昨夜……って?」

リオが不思議そうに問い掛けて来る。
どうやら完全にリオの興味を惹いたっぽい。

「アンタ昨夜、オネェに心配されるような事……、何かあったの?」
「あー、うん……あの。」

これはあれだな。
たぶんこの流れでオレ、リオにも色々バレるやつだ。
だってオレ、この場で何も話さずにいれる選択とか、上手い嘘や言い訳も浮かんでないから。


「オレさ、ルサーの家に居候してるんだけどさ。………その…。け、……ケンカ、しちゃって。」
「え、ルサーと? 何で?」

そうだよな。そう聞くよな。

「うーん……ゴメン。内容はちょっと、勝手に言えないんだ。」
「……そっか。分かった。」

分かってくれたリオはちょっと寂しそうな感じだけど。
内容を言っちゃうと、ルサーが王子って話にも発展しかねないし。


「それにしても、さぁ……?」

わざとオレを揶揄うような表情を浮かべ、リオがオレを見上げる。

「ルサーとケンカしてしょんぼりしてたんだろ? おれの事も頼ってくれれば良かったのに。」
「いやぁ、流石に遅い時間だったしなぁ。」
「そうね、流石にあの時間じゃ……。」

ちょっと唇を尖らせたリオに、オレが答える。
リッカもオレをフォローしてくれようとして同意を……。


………あ。



「遅い時間? ……昨日の話じゃなかった?」

リオにも気付かれた。
昨夜の心配をしてたのに『遅い時間』って言ったら。つまりケンカしたのは、昨夜じゃなくて一昨日だって。

「もしかして、病院から出た直後にケンカした、って事? なぁ……、おれに何か、隠して……る?」

リオの笑顔がちょっと強張った。
ひょっとして自分の所為でオレとルサーがケンカしたんじゃないか、って考えたのかも知れない。

「いや、確かに、ルサーを怒らせたのは一昨日の夜だけど……。言っとくけど、リオの所為じゃないからな?」
「おれには言えない?」


リオの心配は杞憂だし、オレは速やかにその心配を取り除いてやりたいんだけど。

だけどマズイ、これ。
このままオレの行動をバラしてったら……。
オレはともかく、リッカやユーグの話まで出ちゃうぞ。
リオに知られても大丈夫か、ちょっと先に一回、リッカと話した方がいいか?


そう思ってリッカを見たら。
リッカの目元が赤くなってる。どんどん、ジワジワ、更に頬も赤くなってく。

「んっと……、り、リッカ。ちょっと話が…っ、廊下、出よっか?」
「え? え、えぇ…」
「ここじゃ話せないような事、なんだ……?」

リオが悲しそうに呟く。
怒ってるんじゃなく、悲し気ってのはキツい。

そういう表情とか様子とか、オレ、弱いんだって。


…………ぎゅ。


「あ……っ。」
「ゴメン。リオを悲しい気持ちにさせたいワケじゃなかった……。」

節操が無いって定評のあるオレ。
とうとうリオの肩を引き寄せて抱き締めてしまう。の巻。


雰囲気が変わったのを察したのか、さり気なくギャラリーが解散してく。
心遣いは有難いんだけど、病室に三人って……あ、これ、どうしよう。


「おれには言わないって決めてる? それだったら仕方ないけど、そうじゃないなら……話してくれよ。好きな人から内緒にされてるって、ソッチの方が嫌だ。」

……これ。リオは察してるな。




その後。


リッカが頷いてくれたのもあって。


一昨日の夜からの、オレとリッカとユーグについて、リオに話した。
しかもオレの話し方が良くなかったのか、昨日の日中についての話とか、ビリーの話とかまで。






全部を聞き終えたリオは。

「……もぉ~~~おっ。アンタって結構、節操無いなぁ……。」
「めっ……面目次第もございませぬ。」

膨れた。
人差し指でオレの手の甲をグリグリしてる。


「仕方ないわよネん。タチ、だもの……。」

リッカも苦笑交じりだ。
自分もその一端になってるから、膨れたりはしないけど。


「まぁ、なんとなく分かってたけどさ。……だってアンタ、チョロくて。おれの事も断れないくらいだもんな。」

グリグリしてた場所を、今度は優しく撫でるリオ。
その手を止めて、近い位置からオレを見上げる。


「そんな男が好きなんだから……。おれも大概、チョロいなぁ。」


言葉だけじゃなく、微笑むリオの眼差しからも。オレへの好意が溢れてた。
節操の無い男を好きになった、って自嘲めいた笑顔だけど。
なんか吹っ切れたようで、清々しくて……凄く綺麗だ。
オレの語彙力が乏しくてアレなんだけどさ。


節操無しでチョロいオレは、ドキッてした。
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