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第五章 ~ゲームに無かった展開だから遠慮しないで歯向かう~
今日はルサーから抱き付いてくれた記念日
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仕事上がりのルサーと一緒に、ウチに帰って来た。
ルサーは恥ずかしがって「迎えに来る気なら出来れば朝の内に言っといてくれ」って言ってたけど、それでもちょっと嬉しそうで、密かに口角が上がってたのをオレは見逃してない。
ルサーを見てたら、なんか凄い気持ちが落ち着いて来る。
ウェネットは癒し系キャラだったけど、オレにとっては、ルサーはもっと癒される。
ルサーがシャワーを浴びてる間にオレは晩御飯を用意する。
今日は軽めに、鶏肉の挽肉をミートボールにして、後は残りの挽肉と細かな野菜を具材のマカロニグラタン。
スープはジャガイモをポタージュにした。
「今日も美味そうだな。」
料理の準備も出来て、飲み物を用意しようかな~って頃にルサーが姿を見せた。
台所に漂う匂いにルサーは顔を綻ばせる。
もう何度もだけど、こうやって褒められるのがオレは、未だにコッソリ照れ臭い。
食卓テーブルに、いつもの席にルサーと向かい合って座る。
食事の邪魔にならないように飲み物は、水の入ったピッチャーを置いた。
あ~、しまった。
エステードさんに頼んで、珈琲紅茶を分けて貰えば良かったなぁ。
ちょっとだけ後悔しながら食事を摂ってたら、向かい側からルサーが窺うような視線をオレに向けてた。
機嫌が悪そうって表情じゃないんだけど、逆にオレも不思議に思ってルサーを見返した。
「……ルサー、どうしたんだ?」
「そりゃあコッチの台詞だ。どした? ……イグザ。」
瞬間、ドキッとした。
オレとしては普段と変わらないツモリ。
ルサーを迎えに行くまでは頭が痛くなりそうなくらい、胸の中がモヤモヤして荒れてる感じがしてたけど。ルサーの顔を見て、そんな気持ちはどっかに消えた気でいた。
でもやっぱりルサーが見たら、きっと何か違うんだろう。
「お前にしちゃ、何だか妙に大人しいじゃねぇか。」
「そ…う、かな……?」
そんなこと無いぞ、って言い掛けて止めた。
何だか嘘を吐くみたいに感じて。
ルサーに心配させたくはないけど、実際、何も無かったワケじゃない。
ただ……ちょっと言い難くて中途半端な返事になった。
ハーレムの話とか、イクシィズの悪口とか、そんなのは流石にちょっと……。
完全に他の男の話だからなぁ。
ルサーは話して欲しいタイプだから、話した方がいいのかも知れないけど。何をどう言ったらいいかが正直、分かんない。
「……そうか。」
それっきりルサーは深く聞いて来なかった。
黙々と食事を進めてく。オレも。
嘘は吐いてないけど黙ってたのが気に掛かって、オレはグラタンを口に運びながらルサーを覗き見た。
ちょうどタイミング良かったのか、悪かったのか。
「イグザ、美味いぞ?」
目が合ったルサーが瞳を細めてちょっと笑う。
オレは嬉しくなったのに、なんでか苦しい感じもして頷くだけだった。
* * *
ご飯を食べた後。
洗い物はなるべく早めに片付ける主義のオレは、さっそく食器類を洗ってた。
綺麗にした食器をカゴに入れて、お茶のお替わりを確認しようかな。
って考えてたら、オレの背後に気配。
「イグザ。」
「あ、お茶か?」
居間でお茶を飲んでるハズのルサーが台所に来てる。
てっきり飲み物が無くなったのかと思ったから、持ってた皿を手早くカゴに並べて、タオルで手を拭いた。
ふわ……ぎゅっ。
オレが振り返る前に背中が暖かくなる。
ルサーが……。
ルサーがオレに、後ろから、抱き付いてるんですけどぉ~!
何だろう、これ凄い、テンション上がるんだけど!
「るっ、ルサー? ぁの、えっと…」
「…なぁ、俺には、言い難い事か?」
そっと気遣うような、それでいてちょっと拗ねたようなルサーの囁き声。
甘えた感じの声音に似てて、オレは身体の中心が熱くなるのを感じた。
オレの方がルサーよりまぁまぁ背が高くて、ルサーはオレの肩辺りの後ろに顔を付けてる。ルサーの両腕がオレのお腹辺りでギュッってしてる。
お返しにルサーの手を、オレの手でギュッと握った。
凄く熱く感じるのは人の体温だから、って理由じゃない。
「オレも、イグザに話してねぇ事があるから……言えたモンじゃねぇが。その…」
ルサーの顔、見たいなぁ。
今、どんな表情で言ってるんだろう。
「その……何て言うか……。俺が慰めるのも出来ねぇ、か……?」
首を捻って目にしたルサーは。
挑戦的にオレを見る視線はたっぷり色気を湛えたてるクセに、真っ赤になってるルサーの破壊力は。
過去最高、かも。
ルサー、そんな風に気を遣ったりしなくていいんだ。
元気が無いからって身体で慰めて貰わなくっても、ただルサーと一緒にいるだけでも……オレ、そういう時間も好きだから。
抱き締めてるだけで、凄い気持ちが穏やかになるし、心が晴れてく感じがするし。
オレのこと大事に思ってくれてるの、凄い嬉しい。
愛してる、って大人っぽい言葉はオレに似合わないけど。好きだ……愛してる。
……って紳士的な言葉を吐く余裕も無く。
オレは。
「ルサアああぁぁっっ!」
「うわああぁぁぁぁっ!」
ルサーに襲い掛かっちゃった。
ルサーは恥ずかしがって「迎えに来る気なら出来れば朝の内に言っといてくれ」って言ってたけど、それでもちょっと嬉しそうで、密かに口角が上がってたのをオレは見逃してない。
ルサーを見てたら、なんか凄い気持ちが落ち着いて来る。
ウェネットは癒し系キャラだったけど、オレにとっては、ルサーはもっと癒される。
ルサーがシャワーを浴びてる間にオレは晩御飯を用意する。
今日は軽めに、鶏肉の挽肉をミートボールにして、後は残りの挽肉と細かな野菜を具材のマカロニグラタン。
スープはジャガイモをポタージュにした。
「今日も美味そうだな。」
料理の準備も出来て、飲み物を用意しようかな~って頃にルサーが姿を見せた。
台所に漂う匂いにルサーは顔を綻ばせる。
もう何度もだけど、こうやって褒められるのがオレは、未だにコッソリ照れ臭い。
食卓テーブルに、いつもの席にルサーと向かい合って座る。
食事の邪魔にならないように飲み物は、水の入ったピッチャーを置いた。
あ~、しまった。
エステードさんに頼んで、珈琲紅茶を分けて貰えば良かったなぁ。
ちょっとだけ後悔しながら食事を摂ってたら、向かい側からルサーが窺うような視線をオレに向けてた。
機嫌が悪そうって表情じゃないんだけど、逆にオレも不思議に思ってルサーを見返した。
「……ルサー、どうしたんだ?」
「そりゃあコッチの台詞だ。どした? ……イグザ。」
瞬間、ドキッとした。
オレとしては普段と変わらないツモリ。
ルサーを迎えに行くまでは頭が痛くなりそうなくらい、胸の中がモヤモヤして荒れてる感じがしてたけど。ルサーの顔を見て、そんな気持ちはどっかに消えた気でいた。
でもやっぱりルサーが見たら、きっと何か違うんだろう。
「お前にしちゃ、何だか妙に大人しいじゃねぇか。」
「そ…う、かな……?」
そんなこと無いぞ、って言い掛けて止めた。
何だか嘘を吐くみたいに感じて。
ルサーに心配させたくはないけど、実際、何も無かったワケじゃない。
ただ……ちょっと言い難くて中途半端な返事になった。
ハーレムの話とか、イクシィズの悪口とか、そんなのは流石にちょっと……。
完全に他の男の話だからなぁ。
ルサーは話して欲しいタイプだから、話した方がいいのかも知れないけど。何をどう言ったらいいかが正直、分かんない。
「……そうか。」
それっきりルサーは深く聞いて来なかった。
黙々と食事を進めてく。オレも。
嘘は吐いてないけど黙ってたのが気に掛かって、オレはグラタンを口に運びながらルサーを覗き見た。
ちょうどタイミング良かったのか、悪かったのか。
「イグザ、美味いぞ?」
目が合ったルサーが瞳を細めてちょっと笑う。
オレは嬉しくなったのに、なんでか苦しい感じもして頷くだけだった。
* * *
ご飯を食べた後。
洗い物はなるべく早めに片付ける主義のオレは、さっそく食器類を洗ってた。
綺麗にした食器をカゴに入れて、お茶のお替わりを確認しようかな。
って考えてたら、オレの背後に気配。
「イグザ。」
「あ、お茶か?」
居間でお茶を飲んでるハズのルサーが台所に来てる。
てっきり飲み物が無くなったのかと思ったから、持ってた皿を手早くカゴに並べて、タオルで手を拭いた。
ふわ……ぎゅっ。
オレが振り返る前に背中が暖かくなる。
ルサーが……。
ルサーがオレに、後ろから、抱き付いてるんですけどぉ~!
何だろう、これ凄い、テンション上がるんだけど!
「るっ、ルサー? ぁの、えっと…」
「…なぁ、俺には、言い難い事か?」
そっと気遣うような、それでいてちょっと拗ねたようなルサーの囁き声。
甘えた感じの声音に似てて、オレは身体の中心が熱くなるのを感じた。
オレの方がルサーよりまぁまぁ背が高くて、ルサーはオレの肩辺りの後ろに顔を付けてる。ルサーの両腕がオレのお腹辺りでギュッってしてる。
お返しにルサーの手を、オレの手でギュッと握った。
凄く熱く感じるのは人の体温だから、って理由じゃない。
「オレも、イグザに話してねぇ事があるから……言えたモンじゃねぇが。その…」
ルサーの顔、見たいなぁ。
今、どんな表情で言ってるんだろう。
「その……何て言うか……。俺が慰めるのも出来ねぇ、か……?」
首を捻って目にしたルサーは。
挑戦的にオレを見る視線はたっぷり色気を湛えたてるクセに、真っ赤になってるルサーの破壊力は。
過去最高、かも。
ルサー、そんな風に気を遣ったりしなくていいんだ。
元気が無いからって身体で慰めて貰わなくっても、ただルサーと一緒にいるだけでも……オレ、そういう時間も好きだから。
抱き締めてるだけで、凄い気持ちが穏やかになるし、心が晴れてく感じがするし。
オレのこと大事に思ってくれてるの、凄い嬉しい。
愛してる、って大人っぽい言葉はオレに似合わないけど。好きだ……愛してる。
……って紳士的な言葉を吐く余裕も無く。
オレは。
「ルサアああぁぁっっ!」
「うわああぁぁぁぁっ!」
ルサーに襲い掛かっちゃった。
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