せっかくBLゲームに転生したのにモブだったけど前向きに生きる!

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第五章 ~ゲームに無かった展開だから遠慮しないで歯向かう~

まず伝えておかなきゃいけない言葉

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メリクルが引っ掻き回して去った直後。


「あの事、とは何だ?」
「え、あ……あぁ……。」

普通に問い質されるオレ。
返答に詰まる怪しいオレ。


もぉ~っ、メリクルが変な爆弾置いてくからぁ~。
これ完全に、オレが話さなきゃダメな感じになってるじゃんっ。

メリクルが言った『あのこと』って、アレだろ。解散したハズのハーレムが休止状態になってて、ユーグもリッカも書類上は『妻』に戻ってる話だろ。
近い内に話す必要はあるな、ってのは分かってるけどさ。まだオレ、どういう風に伝えるかも思い付いてないんだぞ。出来れば二人一緒に伝えるのが良いかなぁ、程度にしか決めれてない。


「……イグザ? あの事とは?」
「あぁ、うん……。」

ユーグは、下手な言い訳は許さない、って目でオレを見てる。
この状況は割と真剣に、誤魔化しが利きそうにない感じ。


オレはちょっと悩んで一生懸命考えて。



決めた。全部話す。
少なくともユーグ本人に関わる事柄を秘密にするのは、基本的にナシだ。

たぶんユーグにはとてもショックな話。
だけど、オレも一緒に支えるから。


「ユーグ。色々あるから、座って話そう。」
「勿論だとも。……あちらで聞こうか。」



ユーグはオレを応接セットの長ソファへと案内した。
先にオレを座らせてから、くっ付きそうなくらい隣に腰掛けるユーグ。

ちょっ……、かなり近いんだけどっ。コレ、恋人同士でイチャ付く距離!
全然イヤじゃないけど、オレ、自分が途中でムラムラしないか心配だ。


「嫌でなければ、このまま話してくれ。なるべくイグザのそばで聞きたい。……恐らく悪い話、なのだろう?」

ドキドキしたオレの横で、ユーグはちょっと辛そうに笑みを浮かべた。
自分の足の上に置いた手で、ギュッて握り拳を作る。

「悪い、話だけじゃないぞ? いい話……、うん、たぶん……いい話も、ある。」
「良い話と悪い話の両方、か。……何かの童話のようだな。」

クスクス……。

囁くような含み笑いを零したユーグは、握り拳を解いてオレの太腿へ乗せる。
表情は硬い。ジッとオレを覗き込んだ瞳は切れ者の上司風じゃなくて、不安そうなネコだった。


「イグザ……。良い報せと悪い報せがあるなら、良い方から聞かせてくれないか? その……、悪い方を先に聞いてしまうと、気分がそちらに引き摺られて、良い方をきちんと理解出来なくなってしまいそうだ。」

安心させる為に、ユーグの手の上から自分の手を重ねた。
縋るように手を握って来るから、指を絡ませる。

「あぁ、分かった。そうする。」
「良い話の内容によっては、悪い方の話が予想出来るかも知れないだろう? 両方の話が関連していて、予想が付けば……心の準備も出来るというものだ。」
「あ~、……うん。」


話の関連性、かぁ。
確かにあるけど、ちょっと当初の予定から変わっちゃったんだよなぁ。

オレと恋人同士になってくれ、って言うツモリだった。それだけだった。
それが急に、ハーレムは休止状態なだけで死んでなくて、ユーグはまだ妻の地位にあって。妻に手を出したオレがハーレムに慰謝料請求どうのこうのって話になって。
更にオレの身体に天守のシルシが見付かったから、一方的な慰謝料の話から『天守同士の争い』に発展する可能性が高いワケで。ユーグはそれに巻き込まれるんだよな。あぁ、それはリッカもだ。

そもそもユーグに言う台詞も。
恋人改め、妻になってくれ。に変更だな。それと、ルサーに会ってくれ。だ。


……いや、その前に。伝えなきゃいけない別の言葉があるじゃないか。



「ぁの、ユーグ。……上手く伝えれるか分かんないけど、聞いて欲しい。」

長ソファに座った状態だけど、背筋を伸ばして居住まいを正した。
ユーグもちょっと緊張した面持ちで、キュっと唇を閉じる。


「知り合って間もないんだけど……あれから、ユーグのこと……、色々考えて。」
「ほぉ……?」
「オレには……ユーグも知ってる、だろうけど……。ルサーって恋人が居て……。」
「…あぁ。」
「でもオレ、は……。……ユーグが好きだ。」
「………。」
「……? ……って、思ってる。」
「………。」
「……? ん、だけど……あの。……ユーグ?」
「………。」


もしもし~? ユーグぅ~? 聞いてるか~?
あんまり反応が無いから不安になって来るぞ?



ちょっと心配になったオレだけど、ユーグの耳にはちゃんと聞こえてたようだ。
じわり、じわり。ユーグの頬に赤みが差す。

「聞いた、ぞ……? もう、取消は受け付けない…からな?」
「あぁ。返品不可でよろしくな、ユーグ。」

目の前のユーグは、くしゃっと泣き笑いのような表情になった。
両腕を伸ばす仕草にお強請りを理解したオレは、ちょっと背筋を丸めながら、ユーグの腰を抱き寄せる。ちゃんと届くようになったオレの肩に腕を回して、ユーグがしがみ付いた。


「……悪い報せが、どんなもので……あっても……。……幸せ、だ。」

オレの耳を擽りながら入って来るユーグの声は濡れてた。
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