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第五章 ~ゲームに無かった展開だから遠慮しないで歯向かう~
ノマルの町のハーレムについて話そう
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しばらく抱き締め合ってから。
ゆっくり身体を離したユーグはもう一度「幸せだ」って呟いて目を細めた。
「……ゅ、ユーグ。悪い方の話、なんだけど……。」
ユーグが待ってる。
言わなきゃならないのに、口が渇く。
いずれは分かる……今だって調べればすぐ明らかになるんだから。ずっと隠してはおけないんだから。
あの場で言っても良かったものを、せっかくメリクルが『黙っててくれた』んだ。
オレが全部言うって決めただろ。
一度、深呼吸する。
……よし、言うぞ!
「ハーレムの、話なんだ。」
「イクシィズの……だな?」
「あぁ。確か、解散したって話だったと思うんだけど……それが、何年も経って今更な話なんだけど。今は、解散状態じゃ、ない……みたいなんだ。」
一回、二回。ユーグが瞬きする。
オレの言葉の意味を確認してるんだろうユーグは、表情が固まってて。
「休止状態になってる、らしいんだ……。」
「…………そうか。」
歯切れ悪いオレの言葉。
身体がオレへ向くように斜めに座ってたユーグは、ソファにきちんと座り直して。オレの身体に頭を預ける。
自然と手を繋いだ。
オレはしばらくの間、黙ってこうしてるツモリでいる。
ちょっと考えたいけど触れていたいんだろう。たぶん、気持ちを落ち着かせる為に。
突然こんな話をされたユーグがどう感じてるか、オレには満足に想像も出来ない。
驚きはあるだろう。他には……怒ってる? 悲しい? 昔を思い出した? それとも、もう年月が経ち過ぎてて、呆れてるだけ?
イクシィズのハーレムにいた頃のユーグは、ハタから見れば。
……天守がちょくちょく宮殿に、ユーグに会いに来てる。
……しょっちゅう天守からデートに誘われて町へ出掛けてる。
妻の中で一番、可愛がられてた。
そんな風に見えてた。
だけど、今のオレにはそう思えない。
ウェネットが見て来た記憶と、廃人ゲーマーがやってた知識と、この世界で生きて来たオレの感覚とが。それを否定してる。
ユーグを訪れたハズの天守が他の妻とばっかり楽しそうに話してなかったか?
デートに出掛けたユーグがほんの一時間程度で宮殿に帰って来なかったか?
ゲームの攻略法でなら、一つの行動コマンドで二人のキャラに会えるよう狙うとか、デート中に発見した他キャラに目的をシフトするとか。ゲームでならアリだけど。実際にやるなんて……酷くないか?
ゲーム知識があったウェネットだから、イクシィズの言動を『諦め』られた。
そうじゃないユーグはきっと傷付いただろう。
「休止状態、か。……と、すると。」
ユーグの冷静な声に意識を引き戻された。
オレはユーグへと顔を向けたけど、俯いてて表情があまり分かんない。
「現状、私の立場は未だイクシィズの『妻』という事になるか。」
「あぁ……。そう、だな……。」
淡々とした声で状況を整理するユーグ。
オレは瞬間的に感じた苛立ちを隠して相槌を打つのが精一杯だ。
そうなんだよなぁっ。ユーグは今、イクシィズの妻っ。
凄い嫌だ。……腹立つ。
「で、あれば……そうか、成程。妻に手を出した男には、天守から慰謝料の請求が考えられるな。」
そう、それ。今の問題はそれ。
散々っぱら放置して、今更になって夫ヅラされるのは腹立たしいけど。オレがユーグやリッカに手を出したってのは事実だからな。
大人しく応じる気持ちは無いから『天守同士の争い』をするツモリ。でも完全にゼロに出来るかとか、万が一に負けた場合を考えると……。
今からでも働こうかな、オレ。
タチ娼夫以外で仕事あるかな。
「そうか……、…っ、ふ……ふふ。」
頭が痛くなるオレの耳に。ユーグの……小さいけど笑い声が聞こえる。
ちょっと肩を震わせたユーグは顔を上げて、オレを見上げた。
……えっ? ユーグ、笑顔なんだけど? なんでだ?
「ふふっ、……安心すると良い。慰謝料は私が払おう。その為の準備はしてある。」
「……ふへ?」
ユーグの鮮やかな笑顔にちょっと見惚れた。
割と本気で間抜けな声を出すオレ。
ひょっとして、さ……。ユーグ……?
「知っ、て……た?」
「いいや? 可能性に、備えていただけだ。……放置により『見做し解散』となったハーレムでも、放置した事情に正当な理由が認められれば、何年後であろうとも復活出来る。という仕組みを知ってから、ずっと。」
緩く首を振ったユーグは、オレに凭れてた上体を起こした。
表情も目線も、もう落ち着いてるようだ。
「……イクシィズのハーレムは当時でも既に、大陸有数の大きさだったからな。単に忙しかった、というだけでも認められるだろう。」
「……そうだな。」
「例え、解散から何年が経とうとも。ある日いきなり、ハーレムの妻に戻される可能性は考えていたさ。それが最悪のタイミングで起こる事もあり得ると。」
聞けば聞くほど勝手な話だ、って思う。
自分が望んで入宮させただろう妻を、精神的にも立場的にも不安定にさせといて。ハーレム側の都合で、無期限でどうにでも出来るなんて。
解散後に、傷付いてた妻が別な誰かと人生をやり直す。それも許さないなんて。
だけど、そんな状態から抜け出す為の方法を。
ユーグはちゃんと考えてたっぽい。
ゆっくり身体を離したユーグはもう一度「幸せだ」って呟いて目を細めた。
「……ゅ、ユーグ。悪い方の話、なんだけど……。」
ユーグが待ってる。
言わなきゃならないのに、口が渇く。
いずれは分かる……今だって調べればすぐ明らかになるんだから。ずっと隠してはおけないんだから。
あの場で言っても良かったものを、せっかくメリクルが『黙っててくれた』んだ。
オレが全部言うって決めただろ。
一度、深呼吸する。
……よし、言うぞ!
「ハーレムの、話なんだ。」
「イクシィズの……だな?」
「あぁ。確か、解散したって話だったと思うんだけど……それが、何年も経って今更な話なんだけど。今は、解散状態じゃ、ない……みたいなんだ。」
一回、二回。ユーグが瞬きする。
オレの言葉の意味を確認してるんだろうユーグは、表情が固まってて。
「休止状態になってる、らしいんだ……。」
「…………そうか。」
歯切れ悪いオレの言葉。
身体がオレへ向くように斜めに座ってたユーグは、ソファにきちんと座り直して。オレの身体に頭を預ける。
自然と手を繋いだ。
オレはしばらくの間、黙ってこうしてるツモリでいる。
ちょっと考えたいけど触れていたいんだろう。たぶん、気持ちを落ち着かせる為に。
突然こんな話をされたユーグがどう感じてるか、オレには満足に想像も出来ない。
驚きはあるだろう。他には……怒ってる? 悲しい? 昔を思い出した? それとも、もう年月が経ち過ぎてて、呆れてるだけ?
イクシィズのハーレムにいた頃のユーグは、ハタから見れば。
……天守がちょくちょく宮殿に、ユーグに会いに来てる。
……しょっちゅう天守からデートに誘われて町へ出掛けてる。
妻の中で一番、可愛がられてた。
そんな風に見えてた。
だけど、今のオレにはそう思えない。
ウェネットが見て来た記憶と、廃人ゲーマーがやってた知識と、この世界で生きて来たオレの感覚とが。それを否定してる。
ユーグを訪れたハズの天守が他の妻とばっかり楽しそうに話してなかったか?
デートに出掛けたユーグがほんの一時間程度で宮殿に帰って来なかったか?
ゲームの攻略法でなら、一つの行動コマンドで二人のキャラに会えるよう狙うとか、デート中に発見した他キャラに目的をシフトするとか。ゲームでならアリだけど。実際にやるなんて……酷くないか?
ゲーム知識があったウェネットだから、イクシィズの言動を『諦め』られた。
そうじゃないユーグはきっと傷付いただろう。
「休止状態、か。……と、すると。」
ユーグの冷静な声に意識を引き戻された。
オレはユーグへと顔を向けたけど、俯いてて表情があまり分かんない。
「現状、私の立場は未だイクシィズの『妻』という事になるか。」
「あぁ……。そう、だな……。」
淡々とした声で状況を整理するユーグ。
オレは瞬間的に感じた苛立ちを隠して相槌を打つのが精一杯だ。
そうなんだよなぁっ。ユーグは今、イクシィズの妻っ。
凄い嫌だ。……腹立つ。
「で、あれば……そうか、成程。妻に手を出した男には、天守から慰謝料の請求が考えられるな。」
そう、それ。今の問題はそれ。
散々っぱら放置して、今更になって夫ヅラされるのは腹立たしいけど。オレがユーグやリッカに手を出したってのは事実だからな。
大人しく応じる気持ちは無いから『天守同士の争い』をするツモリ。でも完全にゼロに出来るかとか、万が一に負けた場合を考えると……。
今からでも働こうかな、オレ。
タチ娼夫以外で仕事あるかな。
「そうか……、…っ、ふ……ふふ。」
頭が痛くなるオレの耳に。ユーグの……小さいけど笑い声が聞こえる。
ちょっと肩を震わせたユーグは顔を上げて、オレを見上げた。
……えっ? ユーグ、笑顔なんだけど? なんでだ?
「ふふっ、……安心すると良い。慰謝料は私が払おう。その為の準備はしてある。」
「……ふへ?」
ユーグの鮮やかな笑顔にちょっと見惚れた。
割と本気で間抜けな声を出すオレ。
ひょっとして、さ……。ユーグ……?
「知っ、て……た?」
「いいや? 可能性に、備えていただけだ。……放置により『見做し解散』となったハーレムでも、放置した事情に正当な理由が認められれば、何年後であろうとも復活出来る。という仕組みを知ってから、ずっと。」
緩く首を振ったユーグは、オレに凭れてた上体を起こした。
表情も目線も、もう落ち着いてるようだ。
「……イクシィズのハーレムは当時でも既に、大陸有数の大きさだったからな。単に忙しかった、というだけでも認められるだろう。」
「……そうだな。」
「例え、解散から何年が経とうとも。ある日いきなり、ハーレムの妻に戻される可能性は考えていたさ。それが最悪のタイミングで起こる事もあり得ると。」
聞けば聞くほど勝手な話だ、って思う。
自分が望んで入宮させただろう妻を、精神的にも立場的にも不安定にさせといて。ハーレム側の都合で、無期限でどうにでも出来るなんて。
解散後に、傷付いてた妻が別な誰かと人生をやり直す。それも許さないなんて。
だけど、そんな状態から抜け出す為の方法を。
ユーグはちゃんと考えてたっぽい。
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