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第五章 ~ゲームに無かった展開だから遠慮しないで歯向かう~
皆で囲んで勉強するのって懐かしいな
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※「≪台詞≫」は旧帝国語での会話です。
「……ッガーラ?」
「……違う。……kガーラヴ。」
「うっ……ッガーラブ?」
「惜しい。……kガーラヴ。」
出発した馬車がフィロウの家に着くまで約十五分から二十分。
この狭い空間は『ビリー以外は共通語禁止エリア』になった。
今ビリーはフィロウに、旧帝国語の最も独特かつ基本的な発音の一つを教えてる。
ガ、の発音の前に詰まったような引っ掛かり音があるんだけど。か行をハッキリ発音しきらない、微妙な『k』の聞き取りと発音だ。
『k』は大丈夫なオレは、さ行を発音しきらない微妙な『s』を練習させられた。
「≪着いたらもっと、みっちり教える予定だから。発音の違いを押さえておかないと、理解が難しくなる。≫」
淡々と言うビリー。
オレとフィロウは頭を縦に振るしか無かった。
共通語禁止タイム、残りはまだ結構あるぞ……。
* * *
家に着いて。フィロウの部屋に移動して。
窓の近くにある座面がメチャ大きいソファに、オレ達は三人で三角形を描くような配置で座った。
真ん中に置いた、例の、分厚い条解本はまだ閉じたまま。
用意して貰った冷たい飲み物をサイドテーブル上に。
ビリーは更に、書くものと紙も用意させた。
あぁこれ……割と本気で勉強するモードなヤツだ……。
「イグゥ……、着替える前、に…言ったの……、分かった……?」
「え、いや、あんま…」
ゆっくり首を振るビリー。
共通語の禁止時間、まだ続いてたのか。
「≪もう一度会いたい。招かれた。……だけ聞き取った。≫」
「なんの……ん゛ん゛っ。……≪なに?≫」
正直に、殆ど聞き取れてない事実を白状するオレ。
やっぱりな……って表情になるビリー。
共通語を喋り掛けたフィロウが咳払いで誤魔化して、簡潔に聞いて来た。
「もう一度、言うから……良く、聞いて。……真逆に、間違え…がち……。」
注意を添えてからビリーは、さっきより遅めに話し始めた。
「……≪もう一度会いたいって思ってた所だから、ちょうど良かった。わざわざ招いてくれるって言うなら、俺が尻尾を巻いて逃げる理由は無い。≫」
あ、あれ……? ビリー、意外と挑戦的な発言してたんだな?
なんか随分、血気盛んな表情してるなぁって思ったけど、そんな台詞だったのか。
「……分か、る?」
こっくりするオレ。
こっくりしないフィロウ。
「分かる……?」
重ねてグイグイ行くビリー。
フィロウは今一つ微妙なのか。表情も微妙になった。
「……あのさ。もう一度会いたい、って……本当にそう思ってたの?」
「うん。……前半部分…は、正解かな……。」
「……ふぅん?」
会話も微妙に噛み合ってないぞ。
「後半、は……?」
「……わざわざ招いてくれて、……急いで立ち去る…事情も、無い……?」
あ、後半の翻訳はかなりアヤフヤだ。
たぶんオレも微妙な顔になったんだろう。
オレを見たフィロウは頬っぺたを膨らませる。
「もぉお~っ、分からないってばぁ。……速やかに? 姿を消す? 根拠? なにそれって感じなんだけど?」
悔しそうにぶーぶー言うフィロウ。
そんな表情が可愛く見えて、ニヤけながらオレが訳文を教えたら。
フィロウはチラってビリーを見てから、「ふーん、やっぱりね」って強がった。
王子っぽい余裕な笑みとのギャップがあって、なんか可愛い。
ビリーが更に説明する。
簡単に言うと、さっきの台詞の後半部分。
尻尾を巻いての部分は、それ単品だと『素早い』よりももっと早い、みたいな言葉。大慌てで、とか。取るもの取り敢えず、的な。
その単語を、場所を入れ替えて、接続言葉を一つ足したら……「わざわざ招いてくれるって言う理由が無いから、一目散に立ち去る」って台詞になる。
真逆の意味になる、って酷くないか。
紛らわし過ぎだろ、旧帝国語っ。
「ねぇ? ちょっと読んで貰う、って話じゃなかったっけ?」
「≪勿論、頼まれた部分は読んであげようと思ってるけど、まさか、読みたい物がある度に俺を呼ぶ気でいるの? そんな事はしないでしょう?≫」
「イグゥ……。なんか、この人……凄い厳しいんだけどぉ。」
「ま、まぁ、ビリーが言うのも尤もだし。オレも頑張るから一緒に頑張ろうか。」
ちょっと拗ねたフィロウを宥める。
オレより高い位置にある頭を撫でてやると、割とすぐに機嫌を直してくれた。
口を尖らせてたのは、お約束的な感じだったのか?
「あっ……、いい…なぁ……。」
反対側からビリーが羨ましそうな声を出す。
ビリーはちょっとオレの方に、にじり寄って来て。
「イグゥ……? 俺も……。」
空いてる方の手をビリーへと伸ばす。
同じように撫でてやったら、ビリーは嬉しそうに目を細めた。
小さく、はにかんだ笑顔はオレも良く知ってるビリー。
「≪旧帝国語が得意で本当に良かった。お陰でイグゥに頼って貰えた。イグゥが会いに来てくれた。≫」
「ぅおっ?」
油断してたら旧帝国語の聞き取りが襲って来た!
急な饒舌は良くないぞ、ビリーっ。
「≪俺がイグゥの役に立てるなんて本当に嬉しい。大好きなイグゥの為だから、俺、一生懸命頑張るから。……ねぇ、イグゥ? オレの言葉、ちゃんと分かってる?≫」
「おっ、……おぅ。」
怒涛の旧帝国語ラッシュの中に、さり気ないアピールとか。
イメージ以上に実物のビリーが積極的だ。
「……ちょっとぉ? 他にも一応だけど、分かる人がいるって、忘れてない?」
「≪今の長文は分かったんだね。本気で理解しようと思ったら、学習能力は伸びるって証明だ。その調子で頑張ろうね。≫」
微笑み合うフィロウとビリー。
置いてきぼりで寂しいから、オレも微笑んでみた。
「……ッガーラ?」
「……違う。……kガーラヴ。」
「うっ……ッガーラブ?」
「惜しい。……kガーラヴ。」
出発した馬車がフィロウの家に着くまで約十五分から二十分。
この狭い空間は『ビリー以外は共通語禁止エリア』になった。
今ビリーはフィロウに、旧帝国語の最も独特かつ基本的な発音の一つを教えてる。
ガ、の発音の前に詰まったような引っ掛かり音があるんだけど。か行をハッキリ発音しきらない、微妙な『k』の聞き取りと発音だ。
『k』は大丈夫なオレは、さ行を発音しきらない微妙な『s』を練習させられた。
「≪着いたらもっと、みっちり教える予定だから。発音の違いを押さえておかないと、理解が難しくなる。≫」
淡々と言うビリー。
オレとフィロウは頭を縦に振るしか無かった。
共通語禁止タイム、残りはまだ結構あるぞ……。
* * *
家に着いて。フィロウの部屋に移動して。
窓の近くにある座面がメチャ大きいソファに、オレ達は三人で三角形を描くような配置で座った。
真ん中に置いた、例の、分厚い条解本はまだ閉じたまま。
用意して貰った冷たい飲み物をサイドテーブル上に。
ビリーは更に、書くものと紙も用意させた。
あぁこれ……割と本気で勉強するモードなヤツだ……。
「イグゥ……、着替える前、に…言ったの……、分かった……?」
「え、いや、あんま…」
ゆっくり首を振るビリー。
共通語の禁止時間、まだ続いてたのか。
「≪もう一度会いたい。招かれた。……だけ聞き取った。≫」
「なんの……ん゛ん゛っ。……≪なに?≫」
正直に、殆ど聞き取れてない事実を白状するオレ。
やっぱりな……って表情になるビリー。
共通語を喋り掛けたフィロウが咳払いで誤魔化して、簡潔に聞いて来た。
「もう一度、言うから……良く、聞いて。……真逆に、間違え…がち……。」
注意を添えてからビリーは、さっきより遅めに話し始めた。
「……≪もう一度会いたいって思ってた所だから、ちょうど良かった。わざわざ招いてくれるって言うなら、俺が尻尾を巻いて逃げる理由は無い。≫」
あ、あれ……? ビリー、意外と挑戦的な発言してたんだな?
なんか随分、血気盛んな表情してるなぁって思ったけど、そんな台詞だったのか。
「……分か、る?」
こっくりするオレ。
こっくりしないフィロウ。
「分かる……?」
重ねてグイグイ行くビリー。
フィロウは今一つ微妙なのか。表情も微妙になった。
「……あのさ。もう一度会いたい、って……本当にそう思ってたの?」
「うん。……前半部分…は、正解かな……。」
「……ふぅん?」
会話も微妙に噛み合ってないぞ。
「後半、は……?」
「……わざわざ招いてくれて、……急いで立ち去る…事情も、無い……?」
あ、後半の翻訳はかなりアヤフヤだ。
たぶんオレも微妙な顔になったんだろう。
オレを見たフィロウは頬っぺたを膨らませる。
「もぉお~っ、分からないってばぁ。……速やかに? 姿を消す? 根拠? なにそれって感じなんだけど?」
悔しそうにぶーぶー言うフィロウ。
そんな表情が可愛く見えて、ニヤけながらオレが訳文を教えたら。
フィロウはチラってビリーを見てから、「ふーん、やっぱりね」って強がった。
王子っぽい余裕な笑みとのギャップがあって、なんか可愛い。
ビリーが更に説明する。
簡単に言うと、さっきの台詞の後半部分。
尻尾を巻いての部分は、それ単品だと『素早い』よりももっと早い、みたいな言葉。大慌てで、とか。取るもの取り敢えず、的な。
その単語を、場所を入れ替えて、接続言葉を一つ足したら……「わざわざ招いてくれるって言う理由が無いから、一目散に立ち去る」って台詞になる。
真逆の意味になる、って酷くないか。
紛らわし過ぎだろ、旧帝国語っ。
「ねぇ? ちょっと読んで貰う、って話じゃなかったっけ?」
「≪勿論、頼まれた部分は読んであげようと思ってるけど、まさか、読みたい物がある度に俺を呼ぶ気でいるの? そんな事はしないでしょう?≫」
「イグゥ……。なんか、この人……凄い厳しいんだけどぉ。」
「ま、まぁ、ビリーが言うのも尤もだし。オレも頑張るから一緒に頑張ろうか。」
ちょっと拗ねたフィロウを宥める。
オレより高い位置にある頭を撫でてやると、割とすぐに機嫌を直してくれた。
口を尖らせてたのは、お約束的な感じだったのか?
「あっ……、いい…なぁ……。」
反対側からビリーが羨ましそうな声を出す。
ビリーはちょっとオレの方に、にじり寄って来て。
「イグゥ……? 俺も……。」
空いてる方の手をビリーへと伸ばす。
同じように撫でてやったら、ビリーは嬉しそうに目を細めた。
小さく、はにかんだ笑顔はオレも良く知ってるビリー。
「≪旧帝国語が得意で本当に良かった。お陰でイグゥに頼って貰えた。イグゥが会いに来てくれた。≫」
「ぅおっ?」
油断してたら旧帝国語の聞き取りが襲って来た!
急な饒舌は良くないぞ、ビリーっ。
「≪俺がイグゥの役に立てるなんて本当に嬉しい。大好きなイグゥの為だから、俺、一生懸命頑張るから。……ねぇ、イグゥ? オレの言葉、ちゃんと分かってる?≫」
「おっ、……おぅ。」
怒涛の旧帝国語ラッシュの中に、さり気ないアピールとか。
イメージ以上に実物のビリーが積極的だ。
「……ちょっとぉ? 他にも一応だけど、分かる人がいるって、忘れてない?」
「≪今の長文は分かったんだね。本気で理解しようと思ったら、学習能力は伸びるって証明だ。その調子で頑張ろうね。≫」
微笑み合うフィロウとビリー。
置いてきぼりで寂しいから、オレも微笑んでみた。
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~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
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※第24話を少し修正しました。
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