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第五章 ~ゲームに無かった展開だから遠慮しないで歯向かう~
シルシがあっても欲しいものは手に入らない・3 $フィロウ$
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家までイグゥに送って貰った、その翌日。
兵士長と司祭が領主を訪ねて来たのは、夜遅くになってからだった。
この町の兵士達は、基本的に『町に所属する』兵士。
国に雇われた兵士は、ほんの一部。赤ん坊の『探索隊』に加わる為に、王都から派遣されて来た十人程度だけ。
町の兵士を取りまとめるのは兵士長だけど、兵士団の最高責任者は領主だから。
通常レベルの事件はともかく、特殊な事件や、特に注意が必要で報告必須と指定した案件の場合は、兵士長と関係機関の要職にある人が領主の元へやって来るんだ。
こんな時間に来訪するんだから、特殊事件か指定案件に違いない。
そう思ったから。領主業の手伝いをお休みさせて貰ってる身ではあるものの。ボクはお父さんに無理を言って、神官長達の『報告』に立ち会わせて貰った。
緊急事態かも知れないのに、シルシがどうとか言って呑気にしてられないもん。
聞いてみたらやっぱり、指定案件の、速報的な報告だった。
タチ娼夫が同じ店の後輩を刃物で切りつけた、って事件と。
森の中で、推定タチを含む数人のグループが狩人達を襲った、って事件。
どちらも死人が出なかったのだけは良かった。
ノマルの町の指定案件…………タチによる重犯罪。きっと他の町も同じかな。
タチの犯罪者、多過ぎ問題。
七割がネコ、二割がタチ、一割がリバって言われてる人口比。
でも実際に街の中を見回してみたら、タチはもっと少ないように感じる。結構前の話だけど、登録されてる住民リストでボクが確認したら、ギリギリで一割程度しか居なくて。
なんでこんなに少ないかって考えてみたら、犯罪者になるタチが多いからだった。
犯罪者の大部分がタチって意味じゃない。
人数的にはもちろんネコの方が多い。
でも割合で言ったら。……タチの、半分近くが犯罪者になるんだ。
ちなみにリバも、三割ぐらいが犯罪者になってる。
タチは本当に、我慢が利かない人が多いみたいだね……。
ネコやリバを見下したり、乱暴だったり、冷酷だったり、怠惰だったり。
タチ同士でもマウントを取り合ったり、理由も無く衝突したり。
従順なネコには寛容な人でも、同じタチには凶暴性を見せる事も珍しくなくて。タチ同士で揉めると大体が血を見る結果になっちゃう。
* * *
更に次の日。
昨夜の指定案件についての纏まった報告を受け、それに対応する会議をする為に。
早朝からボクは教会にいた。
もちろん、領主であるお父さんの、単なる補佐として。
相変わらず会議の成果は芳しくないけど、ある意味これはボクにとって、気分転換になった。
見ず知らずの人に「妻にならないか」と口説かなきゃいけないのに、満足に声を掛ける事も出来ない……なんて非生産的な活動に時間を費やすより、ずっと有意義だ。
天守となる為の活動より優先したボクの行動を、お父さんはあまり良く思ってないだろうから。
午後になるタイミングで離脱する事にした。
一人になってから、神官にお願いして、建物一番高い所……塔の上に登った。
高い位置から眺めれば、ノマルが抱えてる議題の一つが見えて来る。
ノマルの街並み……町が広過ぎ、幅の狭い道路が多過ぎ問題。
住民人口の割に娼館が多い。
登録してない潜伏タチが多そう。
ハーレムが無い。
旅人がとても多い。
町の発展する方向として、どこまで旅人……外貨を当てにするか。
頭が痛くなるような脂っこい問題だけど、ハーレム問題に比べれば遥かにマシ。
だって、皆で意見を出し合って考えられるもん。
建物から出ようとしたら、イグゥを見付けちゃった。
また、あんまり良くないタイミング。……ボクの気分的に、ね?
イグゥはお墓に居た。年上の人、二人と一緒に。
一人がその場を立ち去った後、イグゥはもう一人を抱き締めてた。
ボクはイグゥの、恋人でも……、何でもないから……。別に…………平気。
ただ……ちょっと浮上してたのに。
イグゥを見付けられた嬉しい気持ちと同じだけ、悲しい気持ちが湧いて来るんだ。
勝手にこんな面倒臭い考えをするクセに、ボクは一も二も無く声を掛けた。
声を掛けなきゃイグゥと話せない。イグゥの声が聞けないもん。
「教会でバッタリ会うなんて初めてだね?」
お兄さんと一緒でボクも笑顔を貼り付けるのは得意、なツモリ。
取り繕ったボクの笑顔に、イグゥが笑い掛けてくれる。
イグゥは、お兄さんが置いてった本とかを読みたがった。
彼の家に上がり込んだ時みたいに、それっぽい言葉でボクの家へ誘う。
ボクにしては頑張って、お店に誘ってみたりもした。
「礼拝堂。……と、オヤツ。」
こんなに短い台詞なのに。言いながら心臓がバクバクする。
赤面は、してないよね? 大丈夫だよね?
「意外と信仰熱心なんだな、フィロウ。……何か願い事か?」
「うん。ハーレムがどうにかなりますように、って。」
わざと巫山戯てみた。仕事の話はしない。
でも、祈ってみるのも良いかも知れないよね。
ハーレムとは別件だし、叶うかどうかを決めるのは神様じゃないけども。
兵士長と司祭が領主を訪ねて来たのは、夜遅くになってからだった。
この町の兵士達は、基本的に『町に所属する』兵士。
国に雇われた兵士は、ほんの一部。赤ん坊の『探索隊』に加わる為に、王都から派遣されて来た十人程度だけ。
町の兵士を取りまとめるのは兵士長だけど、兵士団の最高責任者は領主だから。
通常レベルの事件はともかく、特殊な事件や、特に注意が必要で報告必須と指定した案件の場合は、兵士長と関係機関の要職にある人が領主の元へやって来るんだ。
こんな時間に来訪するんだから、特殊事件か指定案件に違いない。
そう思ったから。領主業の手伝いをお休みさせて貰ってる身ではあるものの。ボクはお父さんに無理を言って、神官長達の『報告』に立ち会わせて貰った。
緊急事態かも知れないのに、シルシがどうとか言って呑気にしてられないもん。
聞いてみたらやっぱり、指定案件の、速報的な報告だった。
タチ娼夫が同じ店の後輩を刃物で切りつけた、って事件と。
森の中で、推定タチを含む数人のグループが狩人達を襲った、って事件。
どちらも死人が出なかったのだけは良かった。
ノマルの町の指定案件…………タチによる重犯罪。きっと他の町も同じかな。
タチの犯罪者、多過ぎ問題。
七割がネコ、二割がタチ、一割がリバって言われてる人口比。
でも実際に街の中を見回してみたら、タチはもっと少ないように感じる。結構前の話だけど、登録されてる住民リストでボクが確認したら、ギリギリで一割程度しか居なくて。
なんでこんなに少ないかって考えてみたら、犯罪者になるタチが多いからだった。
犯罪者の大部分がタチって意味じゃない。
人数的にはもちろんネコの方が多い。
でも割合で言ったら。……タチの、半分近くが犯罪者になるんだ。
ちなみにリバも、三割ぐらいが犯罪者になってる。
タチは本当に、我慢が利かない人が多いみたいだね……。
ネコやリバを見下したり、乱暴だったり、冷酷だったり、怠惰だったり。
タチ同士でもマウントを取り合ったり、理由も無く衝突したり。
従順なネコには寛容な人でも、同じタチには凶暴性を見せる事も珍しくなくて。タチ同士で揉めると大体が血を見る結果になっちゃう。
* * *
更に次の日。
昨夜の指定案件についての纏まった報告を受け、それに対応する会議をする為に。
早朝からボクは教会にいた。
もちろん、領主であるお父さんの、単なる補佐として。
相変わらず会議の成果は芳しくないけど、ある意味これはボクにとって、気分転換になった。
見ず知らずの人に「妻にならないか」と口説かなきゃいけないのに、満足に声を掛ける事も出来ない……なんて非生産的な活動に時間を費やすより、ずっと有意義だ。
天守となる為の活動より優先したボクの行動を、お父さんはあまり良く思ってないだろうから。
午後になるタイミングで離脱する事にした。
一人になってから、神官にお願いして、建物一番高い所……塔の上に登った。
高い位置から眺めれば、ノマルが抱えてる議題の一つが見えて来る。
ノマルの街並み……町が広過ぎ、幅の狭い道路が多過ぎ問題。
住民人口の割に娼館が多い。
登録してない潜伏タチが多そう。
ハーレムが無い。
旅人がとても多い。
町の発展する方向として、どこまで旅人……外貨を当てにするか。
頭が痛くなるような脂っこい問題だけど、ハーレム問題に比べれば遥かにマシ。
だって、皆で意見を出し合って考えられるもん。
建物から出ようとしたら、イグゥを見付けちゃった。
また、あんまり良くないタイミング。……ボクの気分的に、ね?
イグゥはお墓に居た。年上の人、二人と一緒に。
一人がその場を立ち去った後、イグゥはもう一人を抱き締めてた。
ボクはイグゥの、恋人でも……、何でもないから……。別に…………平気。
ただ……ちょっと浮上してたのに。
イグゥを見付けられた嬉しい気持ちと同じだけ、悲しい気持ちが湧いて来るんだ。
勝手にこんな面倒臭い考えをするクセに、ボクは一も二も無く声を掛けた。
声を掛けなきゃイグゥと話せない。イグゥの声が聞けないもん。
「教会でバッタリ会うなんて初めてだね?」
お兄さんと一緒でボクも笑顔を貼り付けるのは得意、なツモリ。
取り繕ったボクの笑顔に、イグゥが笑い掛けてくれる。
イグゥは、お兄さんが置いてった本とかを読みたがった。
彼の家に上がり込んだ時みたいに、それっぽい言葉でボクの家へ誘う。
ボクにしては頑張って、お店に誘ってみたりもした。
「礼拝堂。……と、オヤツ。」
こんなに短い台詞なのに。言いながら心臓がバクバクする。
赤面は、してないよね? 大丈夫だよね?
「意外と信仰熱心なんだな、フィロウ。……何か願い事か?」
「うん。ハーレムがどうにかなりますように、って。」
わざと巫山戯てみた。仕事の話はしない。
でも、祈ってみるのも良いかも知れないよね。
ハーレムとは別件だし、叶うかどうかを決めるのは神様じゃないけども。
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