せっかくBLゲームに転生したのにモブだったけど前向きに生きる!

左側

文字の大きさ
280 / 364
第五章 ~ゲームに無かった展開だから遠慮しないで歯向かう~

内心は落ち着いてなんかない

しおりを挟む

閉じた扉を睨み付け続けて、どれくらい時間が経ったか。

オレは未だに怒りが収まらない。
頭の中がチリチリを通り越してカッとなってるし、何なら瞳も熱くなってる。
ベッドが小さく軋む音にさえ気付けないくらい、オレは平常じゃなかった。


ふと、オレの背中が仄かに暖かくなる。
背後にくっ付いたリオが腕を回して、オレを抱き締めてくれてた。

「イグゥ……おれ、大丈夫だから……。」
「リオ、ゴメン。あんな侮辱を言わせる前に止めれなくて。」

言われて傷付いたのはリオなのに。
オレが慰められてるみたいだ。


「ん、平気。イグゥが怒ってくれたから、かな。それに……事実だしな。」
「事実だから言っていいワケじゃない。……あの言い方は悪意があった。」
「本当に大丈夫だって。さっきは、ちょっと驚いただけ。……イグゥに。」
「オレに驚い……えぇっ?」

焦ったオレは反射的にリオへ向き直ろうとした。
しがみ付いたリオが腕に力を入れてそれを止める。振り返るな、って感じで。
振り解くのは簡単だけど、リオが嫌がるならオレは無理しない。

「ゴメンっ、リオ、ぁのっ、オレ……乱暴って言うか、ガラ悪かったっ。」
「え? あっ、違う、そうじゃなくて…」
「リオ……オレが怖く、ないか?」
「怖くなんかないったら、もおっ。イグゥもちょっと落ち着きなよ。」

そうは言うけどさ。
あのときのリオ、なんか凄いショックを受けてたっぽいし。
オレの所為だったのか、って考えたら……。


「アンタがあんな風に怒るなんて意外だったから、驚いたんだってば。しかも、おれの事で……だから……、う、嬉しかったし。」
「じゃあなんで今、ソッチ向いちゃダメなんだ?」
「おれが恥ずかしいからだろっ。……分かれよ、それぐらいっ。」



パパアァ~~~ッ♪


オレの気分は一気に浮上した。
チョロい、オレ、超チョロい。



「リオ、可愛い、凄い可愛い、なぁソッチ向いちゃダメか?」
「ダメ。……今の話、聞いてた?」
「聞いてた。恥ずかしがってるリオが見たい。」
「ダメだって。諦め悪いな。……おれの顔が戻るまで待ってて。」
「リオぉ……。」


しょぼ~ん。オレ、しょぼ~ん。

駄々こねて嫌われたくないし、仕方なく従うオレ。
それはともかく。足をケガしてるリオが立ちっぱなしなのは良くない。


「じゃあ、リオ。せめてベッドに座ろう? ケガに響くぞ。」
「……じゃ、このまま移動する。顔、見るなよ?」
「分かった、分かった。見ないから安心してくれ、約束する。」

しぶしぶって感じのリオを、背中にくっ付けたままベッドに運んだ。
並んで腰掛けたオレの後ろから、リオがまた同じように抱き締めて来る。
今度は背中にリオの額が押し当てられてるっぽい。

「イグゥ……このまま聞いて。まだ上手く纏まらないけど、ちゃんと話すから。」
「あぁ、分かった。」


オレが頷いた後、ちょっと間が空いてから。リオはどうにか話してくれた。
リオが気にしてる順で話すから時系列じゃなくて。言葉を探しながら、言い直したりもして。
全てを聞いてみたら、なるほど。
確かになかなか話し難い内容だった。




リオが身体を暴かれたのは二年ちょっとくらい前。
ハーレムに入りたいって希望を持って、王都に出て来て。
着飾って立ち寄った店でハーレム関係者に声を掛けられて、そのまま連れてかれた宮殿で天守と寝た。

そこまではいい。
オレの感情的なものは置いとくとして、そこまではいい。


「美人って持ち上げられてさ、調子に乗って……酷い目に遭ったよ。」


天守との『初めて』の後、天守配下の男が何人かリオの身体を拓いた。
一週間か、二週間か。その間ずっと。
配下の男達が色んな物で後孔を広げたり、天守が直接抱いたりしたけど、リオの後ろはちっとも快楽を感じず。後ろも濡れなかった。

それが天守は気に入らなかったようだ。
リオの属性を確認する為に、自分の妻の身体を使った。


「可哀想だよな。見ず知らずのおれに乗っかって……。天守に命令されたから。」


中折れしないで妻を抱けたのが決め手になって、リオはタチだって判断され。タチだからって理由でハーレムを追い出された。
その頃にはリオにも、ハーレムや天守への気持ちがすっかり無くなってたから、何も抵抗せずに宮殿を出た。妻の証として貰ってたハーレムリングは叩き返したらしい。
リオの身体には、経験済みを示す『割れた実』が出来てた。

それと、ハーレムへの借金も出来た。宮殿の滞在費、って名目だ。
……この部分がオレには理解出来ない。
出来ないけど、これに関してオレが語るのは後回しにする。

借金を被せられるときに、リオは『ネコの外見を偽装して天守を騙そうとした不届き者のタチ』って責められ。
本当なら罪人として衛兵に突き出すところだ、って脅されもしたらしい。
……胸糞悪いし、これにもオレは反論したいけど、それも後回しだ。


「まだ、半分も返せてないんだ。」

請求された滞在費は、結構な金額だった。
リオは教会の送金制度を利用して、ハーレムへの支払いを続けてる。
返済の手続きをする段階で、リオはようやく、天守の名前を知ったらしい。



天守・イクシィズ。


疫病神みたいな男だ。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

泥酔している間に愛人契約されていたんだが

暮田呉子
BL
泥酔していた夜、目を覚ましたら――【愛人契約書】にサインしていた。 黒髪の青年公爵レナード・フォン・ディアセント。 かつて嫡外子として疎まれ、戦場に送られた彼は、己の命を救った傭兵グレイを「女避けの盾」として雇う。 だが、片腕を失ったその男こそ、レナードの心を動かした唯一の存在だった。 元部下の冷徹な公爵と、酒に溺れる片腕の傭兵。 交わした契約の中で、二人の距離は少しずつ近づいていくが――。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…

こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』  ある日、教室中に響いた声だ。  ……この言い方には語弊があった。  正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。  テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。  問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。 *当作品はカクヨム様でも掲載しております。

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜

キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」 (いえ、ただの生存戦略です!!) 【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】 生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。 ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。 のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。 「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。 「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。 「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」 なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!? 勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。 捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!? 「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」 ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます! 元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした

和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。 そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。 * 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵 * 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください

僕がサポーターになった理由

弥生 桜香
BL
この世界には能力というものが存在する 生きている人全員に何らかの力がある 「光」「闇」「火」「水」「地」「木」「風」「雷」「氷」などの能力(ちから) でも、そんな能力にあふれる世界なのに僕ーー空野紫織(そらの しおり)は無属性だった だけど、僕には支えがあった そして、その支えによって、僕は彼を支えるサポーターを目指す 僕は弱い 弱いからこそ、ある力だけを駆使して僕は彼を支えたい だから、頑張ろうと思う…… って、えっ?何でこんな事になる訳???? ちょっと、どういう事っ! 嘘だろうっ! 幕開けは高校生入学か幼き頃か それとも前世か 僕自身も知らない、思いもよらない物語が始まった

処理中です...