せっかくBLゲームに転生したのにモブだったけど前向きに生きる!

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第五章 ~ゲームに無かった展開だから遠慮しないで歯向かう~

オレに任せてくれないか

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リオの話を聞く間、オレは拳を硬く握り込んでた。
力が入り過ぎて爪や指が痛いくらいだ。
そうしてなきゃ耐えれないくらい、気持ちが荒ぶってる。


後ろからオレに抱き付くリオの腕がちょっと震えてる。
本当に、微かに。よく注意して見なきゃ気付かない程度に。

「ご免な、今更になって、こんな話……。」


腕に触って、撫でて、安心させてやりたいのに。
オレが触ったら、何だか壊しちゃいそうで。手を動かせない。



凄いムカ付く。
リオへの仕打ち。

妻になれって誘って、ハーレム宮殿に連れてって。
散々弄り回して、天守以外の男にまで触らせといて、タチだからって追い出して。
その挙句、脅して、ワケの分かんない金銭の支払いを請求するとか。

……言っとくけど、これ、本来ならハーレム側から請求なんか出来ないからな?
リオの法律的無知につけ込んで、適当なこと、しやがって……!
金銭の請求って事務的な仕事には、天守は関与してないかも知れない。
だけど明らかにアウトなヤツだ。コッチも法外な慰謝料ふんだくってやろうか。



「……イグゥ、怒ってるの?」

窺うような囁き声に、オレは慌てて首をブンブン振った。
違う、リオには怒ってなんかいない。オレの心中が穏やかじゃないのは、ハーレム側に対してだ。
ちゃんと、そう話して。リオが誤解しないように。話したいのに。
咽喉の奥が何かで塞がれてるみたいで、上手く声が出て来ない。


「なぁ、なんか言えよ。……呆れた、でも……何でもいいから。」

握り締めたままのオレの拳に、リオが優しく片手を添える。
強張った手の甲に、乗せられた人肌が暖かい。


「リオ……。オレっ…リオ……、……抱…きたい…………。」

堪らずリオの手を掴まえる。
一瞬ビクッてなったのを、オレはもう片方の手も使って、両手の中に閉じ込めた。


「いっ、イグゥ、ダメ……っ、ここ、病院だぞっ。」
「せめてギュッてしたい。なぁ、ソッチ向いちゃダメか? リオが見えなくってオレ、上手く言葉も出て来ないんだ。何も……ちゃんと言えない。」
「イグゥ……。」
「なんか凄い頭の中がグルグルして、落ち着かないんだ。」

縋るように、リオからの『ヨシ』を待つオレ。
気付けば必死だった。

怒りとか憤りとかだけじゃなく、リオへもなんか嫉妬みたいな感情とか、同情みたいな気持ちとか。ワケ分かんない衝動が込み上げて。
とにかくリオを抱き締めたかった。抱き締めて落ち着きたい。

オレ自身が『オレっぽさ』を取り戻したくて必死だった。



「へ、変な事しない…なら、いいよ。」
「リオ~っ!」
「…ぅわっ!」

待ち望んでた『ヨシ』を貰ってリオに飛び付くオレ。
勢いが良過ぎてリオをベッドに押し倒す体勢になる。


「あ、ちょっと! ダメだって!」
「ギュッてするだけ、抱き締めるだけだからっ。……あぁ落ち着く~。」
「コラぁっ、もうっ。……もぉ、……しょうがないなぁ。」

ベッドでしばらく抱き付いてたら、観念した感じでリオは許してくれた。
リオの手がオズオズと動いて、オレの背中に回って来る。


「イグゥ。黙ってた事……許して、くれる?」
「リオは悪くない。許すも許さないも無いだろ。でも……それでリオの気持ちが晴れるんだったら。オレはリオを許すぞ。」
「……イグゥ、ホントに落ち着いたな。おれもヒトの事、言えないけどさ。なんか、気持ちの上がり下がりが激しくて心配になるんだけど?」

オレを覗き込んだリオ。
エステードさんちでオレがメリクルに対して思ったことを、そのまま言われてる。
瞬間的にさっきの、気持ち悪くなった仮メリクルを思い出し掛けたけど、急いで頭から追い出した。
せっかく気分が落ち着いたのに、またムカ付きたくはないから。


「でも本当にリオは悪くないんだぞ? リオに落ち度は無い。清らか……とか、そんなのでオレに申し訳なく思ってるんなら、オレは気にしないから安心してくれ。」
「いいのか? おれ……タチ、なのに…」
「オレが気にしてないんだから、いいだろ。」
「それに、……借金の、事も…」
「それなんだけどな。確か……宮殿の滞在費、だったか? それ……リオが払う必要は無い。ってオレは思う。」


オレには、リオが『宮殿の滞在費』を払わされてるのが納得出来ない。今でもハーレムと繋がりを持たされてるみたいで、そういう意味でも腹立たしい。
教会を通じて支払いをするたびに、きっと色々思い出すじゃないか。


「でも実際、請求されてるし。払わなきゃ捕まっちゃうよ。」
「リオは妻になる前提で宮殿にいたんだ。その間の費用はハーレム側で持つべきで、リオが払うものじゃない。」
「おれだって、納得してないけど……。タチだから。」
「ちなみに……ネコの振りして天守を騙そうとした、って責められた話だけど。……リオはそれまで自分の属性を知らなかったんだろうけどさ。もし、知ってて黙ってたんだとしても。タチがネコの振りするのも、その逆も、違法じゃないからな。」


ここ、重要だ。
例え天守が『ネコ限定』で妻を募集してた場合でも。タチだって分かった時点で資格が無くなるだけだ。
犯罪じゃないから衛兵に逮捕されもしない。
滞在中に掛かった費用をハーレムは請求出来ない。宮殿内でのレイプ紛いの『味見』が見逃されてる分だけ、そういう……条件を満たしてなかったり騙す気満々な男が寄って来る……リスクを背負うものだから。

ハーレム法をシッカリ頭に入れといて良かった。
普通の法律……民法の方はオレ、養育所でセンセイやってたから大丈夫だけど。


「オレも納得出来ない、リオが未だに嫌な思いさせられてるなんて。リオが許してくれるなら、オレ、ハーレムに目一杯、文句言いたいトコだ。慰謝料もふんだくってやる。」
「イグゥ、ありがと。そんなの無理だけど、その気持ちが嬉しい。」
「無理じゃない、リオ。……オレのハーレムに入ってくれ。」
「えっ?」

驚いたリオの額に、オレは口付けする。
変なことしないって約束したけど、これは、誓いのキスだから許してくれ。


「ハーレムに入って、オレの妻になって欲しい。リオを守りたいんだ、オレに守らせてくれ。イクシィズのハーレムから、リオを完全に離したい。……オレに、任せてくれないか?」
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