せっかくBLゲームに転生したのにモブだったけど前向きに生きる!

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第六章 ~ゲームと違ってオレのハーレムは自動生成されない~

せっかくメリクルが戻って来たから

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領主家の御者は、御者が休憩出来る小屋の外側にあるベンチで休んでた。
フィロウの指示ですぐに準備してくれて、オレはフィロウと並んで座席に腰掛ける。


実はオレ、何となく。
メリクル逹を迎えに行くのは今すぐにじゃない方がいいかなって。気を遣った方がいいんじゃないかなって、考えてたんだけど。
フィロウが「モタモタしてたら手遅れになるかも知れないよ」ってオレを脅すから。

言われてみれば確かにその通りだ。
盛り上がっちゃったメリクルとエステードさんが屋外で。いくら端っこの方に寄ったとは言え、教会の中庭で。
絶対にアレやコレやをしない、って言えないもんな。
最後まではシてなくても途中で兵士を呼ばれるような通報案件は避けてやりたい。


自分が屋外でフィロウとベロチューしたのは棚に上げるオレ。



中庭の方へ馬車を回して。
ここから先は車両や馬の乗り入れ禁止って地点まで行って、馬車を降りたら。
さっきの場所には誰もいない。

何処に行ったんだろうってメリクル達を探したら。


いた。
普っ通~にいた。
花壇を見るような位置で、陽は当たらないけど人目には付きやすいベンチの上で。
足を揃えて座ったエステードさん。その太腿の上に頭を乗せて、エステードさんの腰を抱くように腕を回したメリクルが寝そべってる。


「ナニやってるんだよ、もう……。」

あれもう完全に、土日祝日の臨海公園とかで見掛けるイチャイチャカップルだろ。
人の往来が少なくても教会だぞ? もうちょっと自重しようよ。


「おう、早かったなイグゥ。」

気配を察知したメリクルが仰向けに寝返りを打った。
さっきのイザコザが嘘みたいに血色の良い、ツヤッツヤのメリクルだ。
エステードさんは恥ずかしいのか、それとも逆に全く気にしてないのか。俯いたままでメリクルの頭を撫でてる。
ここでメリクルに「具合でも悪いのか?」って聞くのは流石に嫌味っぽく聞こえるだろうから、そこは黙っとこう。


「お兄さん、お昼はどうする?」
「あぁ、そうですね……メリクル、お昼はどうします?」
「そういや腹が減ったな。どっか適当に食いに行くか。」
「はい。」

メリクルめ、面倒臭がったな。
適当に、とか。何でもいいから、ってのが一番困るんだぞ。
しかもメリクルは嫌いな物が多くて大変なのに。


「じゃあもう、早く馬車に乗っちゃってよ。こんな所で堂々と膝枕するとか……あんまり見せ付けてると刺されるよ?」
「エステード。お前の弟、小うるせぇな。」
「酷いよ、一応これでも恩人? なのにぃ~。そんな態度するんだぁ?」
「お前の弟、可愛くねぇな。」
「クスッ……すみません。」

唸るメリクルにエステードさんは苦笑いだ。でもちょっと幸せそうに見える。
それを見てフィロウも安心したっぽい。
二人を馬車の方へ急かしながら、フィロウはオレを振り返って片目を瞑った。
悪戯っぽい表情に見惚れるのと同時に、オレもなんだかホッとした。






   *   *   *






教会を出発した馬車は、フィロウとエステードさんの実家……領主宅に到着した。
さて何を食べに行こうかって検討した結果、家で何か作った方がいいんじゃないかって結論になったんだ。
何だかんだ言っても結局、メリクルの好き嫌い問題が大きいからな。
悩む時間も勿体無いし、思いのほか、オレもメリクルもお腹が減ってたし。教会から近い位置にあった領主宅でお昼にする、って話にさせて貰った。


お昼御飯が出来るまでの間、オレとメリクルには客室が用意された。
最初は応接室に案内されようとしたのを、使用人に待機されるのが落ち着かないってメリクルが言ったからだ。
ちょうどオレもメリクルに話があったから都合が良かった。

イチャイチャ出来るくらいの元気が戻ってるなら、折角の機会だから。
ハーレムについて。相談させて貰おうと思う。
メリクルは天守の先輩だし、イクシィズのハーレムの関係者だからな。


冷たい果実水を用意して貰って、お代わり用のピッチャーを置いて。使用人が部屋から出てったら、室内にいるのはオレとメリクルの二人だけ。
エステードさんは、料理人にメリクルの嫌いな物を説明する為、厨房にいる。
フィロウはシャワーを浴びに行った。


「さて、と……。どう話したもんかな。」
「特に何か決まってないなら、オレから話してもいいか?」
「おい。話し辛そうにしてる俺の様子を、ちょっとは気に掛けろや。」
「気にはしてるぞ、一応。でも話し難いんだったら時間が勿体無いし、先にオレから話すんで良くない?」

忌々し気に舌打ちするメリクル。
それ以上は言わずにグラスを傾けるのは、とりあえず了承してくれた証だろう。

全然『優しいお兄ちゃん』じゃないのに安心するなぁ。
……っと。のんびりしてる場合じゃない。話が進まないぞ。


オレは居ずまいをそっと正した。


「メリクル。……イクシィズに繋ぎを取って欲しい。なるべく至急で。」
「イクシィズに、か……?」
「オレの……。……妻にしたい人の扱いについて、イクシィズと話したいんだ。」
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