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8話
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「―――何かお前達、言いたい事はあるか?」
普段よりもさらに低い声で、委員長は笑顔で団員席に戻ってきた。普段は大抵仏頂面なのに、今は笑顔だ。しかし笑顔であるのに歯をむき出して蟀谷がぴくぴくと痙攣するように動いている。感情が今にも爆発しそうなのは明白だった。クラスメイト達は気まずそうにあらぬ方向を見たりして出来るだけ委員長を刺激しないようにしていた。
そんな中ビビりながらも委員長に話し掛ける勇者、もとい飯岡。
「お、お疲れ、委員長。なんつうか、その……お疲れ」
やっぱり駄目のようだ。椅子に座りながらも腰が引けている姿は情けないとしかいいようがない。
「おう飯岡。声が震えてるぞ。言いたいことがあるならちゃんと言え」
「い、いや、なんもないっす……」
まるで猛獣を目の前にしたような反応だった。その気持ちは僕も分かる。先ほどは情けないと思ったが、委員長に対して話しかけられるだけでも大したものだと思う。
「なんでもあるかぁ! こっちは大恥掻いたわ!」
結局、委員長は盛大に切れた。盛大に切れ散らかす委員長をまあまあとクラスメイト達が宥め始める。
「アンカーの段階で最下位だったししょうがないって。多分誰が走ってもあそこからの追い上げは無理だったろ」
「委員長が鈍足だって知ってたし」
「スポーツテストの結果酷かったしな。委員長、見た目は運動できそうなんだけど。本当、見た目だけは」
「騎馬戦では活躍してたのになあ」
「まあ委員長は馬だったし、あれはどっちかと言えば機動力よりパワーが大事だから……」
「大丈夫大丈夫。後数年経てばいい思い出になるって」
途中からは煽るようになって更に委員長に怒りのボルテージが上がったことは想像に難くない。
最後は委員長に花を持たせたいという気持ちがなかったわけではなかろうが、大部分は多分その場のノリと勢いだ。
「貴様等ァ!」
「落ち着け。藤原。俺からも話あるからとりあえず座れ」
そのまま説教モードに移行した委員長を止めたのは後ろからゆったりと歩いてきたジャージ姿の五十嵐先生だった。流石に先生を目の前にすると気も削がれたらしい。委員長は不満気な表情は引っ込めていないが、渋々団員席につく。
「先ずはお疲れさん。取りあえずこれで体育祭は終わりや。これから閉会式で結果発表があるが……理解はしてると思うが期待するな」
暗にお前達は最下位だと告げながらも五十嵐先生は話を進める。
「知ってるかもしれんが、体育祭の後片づけには三年生は参加しない。閉会式が終わったら教室に帰って着替えてもええぞ」
準備もそれなりに大がかりだったため、片づけにも労力がかかる。実際はそこまで重労働ではないが、夕方とはいえ太陽が照り付ける中、疲れ切った身体をこれ以上酷使するのは誰もが避けたいと思っていた事だ。
小さなどよめきが起こり、中には露骨にガッツポーズをする人もいた。
僕としてもこれは助かる。ただでさえ体力を消耗して貧弱な身体がさらに弱っているのだ。
今日のところは何も考えずに家に帰ってゆっくり寝たかった。
「静かに。着替え終わったら教室に十六時半に着席集合、それからHRして―――」
そこで五十嵐先生は一旦言葉を切った。団員席をぐるりと見渡し、何故か邪悪そうな笑みを浮かべる。
「―――その後は視聴覚教室で課外授業。喜べや、頑張ったお前達に俺からのプレゼントだ」
周囲から割りと本気の悲鳴が上がった。
普段よりもさらに低い声で、委員長は笑顔で団員席に戻ってきた。普段は大抵仏頂面なのに、今は笑顔だ。しかし笑顔であるのに歯をむき出して蟀谷がぴくぴくと痙攣するように動いている。感情が今にも爆発しそうなのは明白だった。クラスメイト達は気まずそうにあらぬ方向を見たりして出来るだけ委員長を刺激しないようにしていた。
そんな中ビビりながらも委員長に話し掛ける勇者、もとい飯岡。
「お、お疲れ、委員長。なんつうか、その……お疲れ」
やっぱり駄目のようだ。椅子に座りながらも腰が引けている姿は情けないとしかいいようがない。
「おう飯岡。声が震えてるぞ。言いたいことがあるならちゃんと言え」
「い、いや、なんもないっす……」
まるで猛獣を目の前にしたような反応だった。その気持ちは僕も分かる。先ほどは情けないと思ったが、委員長に対して話しかけられるだけでも大したものだと思う。
「なんでもあるかぁ! こっちは大恥掻いたわ!」
結局、委員長は盛大に切れた。盛大に切れ散らかす委員長をまあまあとクラスメイト達が宥め始める。
「アンカーの段階で最下位だったししょうがないって。多分誰が走ってもあそこからの追い上げは無理だったろ」
「委員長が鈍足だって知ってたし」
「スポーツテストの結果酷かったしな。委員長、見た目は運動できそうなんだけど。本当、見た目だけは」
「騎馬戦では活躍してたのになあ」
「まあ委員長は馬だったし、あれはどっちかと言えば機動力よりパワーが大事だから……」
「大丈夫大丈夫。後数年経てばいい思い出になるって」
途中からは煽るようになって更に委員長に怒りのボルテージが上がったことは想像に難くない。
最後は委員長に花を持たせたいという気持ちがなかったわけではなかろうが、大部分は多分その場のノリと勢いだ。
「貴様等ァ!」
「落ち着け。藤原。俺からも話あるからとりあえず座れ」
そのまま説教モードに移行した委員長を止めたのは後ろからゆったりと歩いてきたジャージ姿の五十嵐先生だった。流石に先生を目の前にすると気も削がれたらしい。委員長は不満気な表情は引っ込めていないが、渋々団員席につく。
「先ずはお疲れさん。取りあえずこれで体育祭は終わりや。これから閉会式で結果発表があるが……理解はしてると思うが期待するな」
暗にお前達は最下位だと告げながらも五十嵐先生は話を進める。
「知ってるかもしれんが、体育祭の後片づけには三年生は参加しない。閉会式が終わったら教室に帰って着替えてもええぞ」
準備もそれなりに大がかりだったため、片づけにも労力がかかる。実際はそこまで重労働ではないが、夕方とはいえ太陽が照り付ける中、疲れ切った身体をこれ以上酷使するのは誰もが避けたいと思っていた事だ。
小さなどよめきが起こり、中には露骨にガッツポーズをする人もいた。
僕としてもこれは助かる。ただでさえ体力を消耗して貧弱な身体がさらに弱っているのだ。
今日のところは何も考えずに家に帰ってゆっくり寝たかった。
「静かに。着替え終わったら教室に十六時半に着席集合、それからHRして―――」
そこで五十嵐先生は一旦言葉を切った。団員席をぐるりと見渡し、何故か邪悪そうな笑みを浮かべる。
「―――その後は視聴覚教室で課外授業。喜べや、頑張ったお前達に俺からのプレゼントだ」
周囲から割りと本気の悲鳴が上がった。
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