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お呼ばれしたんだけど
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立地最高。ギリギリまで寝れるじゃん。いや、アイツいっつもオレが教室に駆け込むような時間にはすんって座ってるもんなぁ。立地の無駄遣いだわ。
アホな事を考えつつ、佐々木にラインを送る。
〔着いたけどー〕
〔ロック解除したから中に入って〕
わーお。まさかこれ、アイツの家までラインで誘導されるパターン? って思ったら本当にそのまさかだった。
言われた通りにエレベーターに乗って、11階の……えーと、1106号室ね。
ていうかマンションの中までって、どんだけオレと一緒のとこ人に見られたくないんだよ。若干微妙な気持ちになりつつ、玄関前のインターホンを押したら、ガチャって扉が開いて佐々木が出迎えてくれた。
「いらっしゃい!」
声でか。限界、とか言ってた割には満面の笑顔だな、オイ。
「元気だなぁ。限界じゃなかったのかよ」
「はは、ごめん。宮下が来てくれた嬉しさの方が勝ったみたい」
キラキラしい笑顔に毒気を抜かれる。イケメン王子はどんな時もイケメンだった。
リビングに通されて、オレはポカンと口を開ける。でっかい窓から街がめちゃくちゃ見渡せた。さすがタワマン。
「すごっ!!! 景色良っ!!!」
思わずダッシュで窓まで走って、へばりついて下を覗き込む。いやだって、この景色は堪能しないとバチがあたるだろ。
見下ろしたら、一本向こうの通り、商店街になってる所をうちの制服を着た生徒たちがゾロゾロと歩いていた。ありんこみたいだが、いつもだったらオレもあのありんこの一匹なんだろう。なんか感慨深い。
「皆ぞろぞろ帰ってんなー。帰宅部の同志たちが」
「だいたいこれくらいの時間が一番多いみたいだよ。ちょっと話したりしてから帰る人が多いのかな」
「わ、あっちの時計台あるの、あれ駅かな。すげー、こんなに家があるのかぁ」
「ははは、俺もこの家に越してきた頃、毎日そんな感じで窓にくっついてたな。なんか懐かしい」
「あ、オレの家も見える」
「えっ!!? どれ?」
佐々木がわざわざ窓まで駆け寄ってきて、オレの視線の先を追う。もう見飽きた景色だろうに興味を示してくれるあたり、気ぃ遣いまくって生きてる佐々木らしい。
「あっち。あの川の側にスーパー『まるお』ってあるじゃん。川とスーパーの真ん中あたりにある赤い屋根がオレん家」
「一軒家なんだ。すごいな」
「ボロ屋だぞ。どう考えてもタワマンの方がすげーわ」
「そうかなぁ、庭も結構広いじゃん。木があるのすごい。庭付き一戸建ての方が断然すごいと思うけど。でも意外と近いんだな。あのスーパーなら歩いてもここから10分くらいなんじゃない?」
「だろうな。オレ学校まで20分近くかかるしな」
オレの言葉に、佐々木は窓下を見渡して「確かに」と頷いた。佐々木ん家から見るとオレの家と学校はちょうど真反対にあるようだった。
話の流れで学校の方に目をやると、邪魔な建物もなくて綺麗にグラウンドまで見えている。
「おー、学校まる見えじゃん。運動会とかここから観覧できそう」
「俺の父さんと一緒の事言ってる」
笑われてしまってちょっと恥ずかしい。だがしかし、こんなタワマンに住める程の財力を持つお父様と同じ思考回路ならむしろ誇っていいのでは。
「なんか地上から30mくらいあるって聞いたけど、かなり遠くまで見えるよね」
「ふわー、それが日常とかエグいわ。つーか、モダンな家だな」
やっと家の中を見渡す余裕が出てきた。白と黒を基調にしたおしゃれな内装。ソファとか絨毯もなんかこうスマートだ。観葉植物なんか置いてあって、モデルルームかなんかなの? ってくらいすっきりと片付いている。アイランドキッチンにはバスケットに入った色とりどりの果物まであるとか……家までシュッとしたイケメンってどういう事なの。
「物があんまりないからそう見えるんじゃないかな。片付けるのが面倒だから、モノは最小限にするって母さんが言ってた」
佐々木、知ってるか? 一般的には「片付けるのが面倒」なヤツの家は散らかってるんだ。オレん家みたいに、それはもうめちゃくちゃに。
リビングだけで散々びっくりしたオレは、佐々木の部屋に入ってさらに驚愕する。
なんっっっにも! ねぇ!!!
ベッドと机だけ!
「マンガもゲームも食いもんもエロ本もねぇ……佐々木、どうやって生活してんだ」
思わず口から出た。いや、エロ本は持ってても隠すだろうけど。
「持ってないなぁ。子供の頃親があんまりそういうの買ってくれなかったから、あんまり興味も湧かなくて」
マジかぁ! 佐々木のお父さん! お母さん! マンガやゲームは必要です! 子供同士のコミュニケーションツールなんだからぁ!
あまりにも殺風景な佐々木の部屋に衝撃を受けてたら、佐々木は「あ、でもお菓子くらいならあるかも」って部屋を出て行った。数分後戻ってきた佐々木の手には紅茶とポテチがあってちょっと安心した。
生活の常識が違い過ぎてちょっとビビったもんな。いや、ここでコーラじゃなくて紅茶なとこが佐々木らしいっちゃ佐々木らしいかもしれん。
アホな事を考えつつ、佐々木にラインを送る。
〔着いたけどー〕
〔ロック解除したから中に入って〕
わーお。まさかこれ、アイツの家までラインで誘導されるパターン? って思ったら本当にそのまさかだった。
言われた通りにエレベーターに乗って、11階の……えーと、1106号室ね。
ていうかマンションの中までって、どんだけオレと一緒のとこ人に見られたくないんだよ。若干微妙な気持ちになりつつ、玄関前のインターホンを押したら、ガチャって扉が開いて佐々木が出迎えてくれた。
「いらっしゃい!」
声でか。限界、とか言ってた割には満面の笑顔だな、オイ。
「元気だなぁ。限界じゃなかったのかよ」
「はは、ごめん。宮下が来てくれた嬉しさの方が勝ったみたい」
キラキラしい笑顔に毒気を抜かれる。イケメン王子はどんな時もイケメンだった。
リビングに通されて、オレはポカンと口を開ける。でっかい窓から街がめちゃくちゃ見渡せた。さすがタワマン。
「すごっ!!! 景色良っ!!!」
思わずダッシュで窓まで走って、へばりついて下を覗き込む。いやだって、この景色は堪能しないとバチがあたるだろ。
見下ろしたら、一本向こうの通り、商店街になってる所をうちの制服を着た生徒たちがゾロゾロと歩いていた。ありんこみたいだが、いつもだったらオレもあのありんこの一匹なんだろう。なんか感慨深い。
「皆ぞろぞろ帰ってんなー。帰宅部の同志たちが」
「だいたいこれくらいの時間が一番多いみたいだよ。ちょっと話したりしてから帰る人が多いのかな」
「わ、あっちの時計台あるの、あれ駅かな。すげー、こんなに家があるのかぁ」
「ははは、俺もこの家に越してきた頃、毎日そんな感じで窓にくっついてたな。なんか懐かしい」
「あ、オレの家も見える」
「えっ!!? どれ?」
佐々木がわざわざ窓まで駆け寄ってきて、オレの視線の先を追う。もう見飽きた景色だろうに興味を示してくれるあたり、気ぃ遣いまくって生きてる佐々木らしい。
「あっち。あの川の側にスーパー『まるお』ってあるじゃん。川とスーパーの真ん中あたりにある赤い屋根がオレん家」
「一軒家なんだ。すごいな」
「ボロ屋だぞ。どう考えてもタワマンの方がすげーわ」
「そうかなぁ、庭も結構広いじゃん。木があるのすごい。庭付き一戸建ての方が断然すごいと思うけど。でも意外と近いんだな。あのスーパーなら歩いてもここから10分くらいなんじゃない?」
「だろうな。オレ学校まで20分近くかかるしな」
オレの言葉に、佐々木は窓下を見渡して「確かに」と頷いた。佐々木ん家から見るとオレの家と学校はちょうど真反対にあるようだった。
話の流れで学校の方に目をやると、邪魔な建物もなくて綺麗にグラウンドまで見えている。
「おー、学校まる見えじゃん。運動会とかここから観覧できそう」
「俺の父さんと一緒の事言ってる」
笑われてしまってちょっと恥ずかしい。だがしかし、こんなタワマンに住める程の財力を持つお父様と同じ思考回路ならむしろ誇っていいのでは。
「なんか地上から30mくらいあるって聞いたけど、かなり遠くまで見えるよね」
「ふわー、それが日常とかエグいわ。つーか、モダンな家だな」
やっと家の中を見渡す余裕が出てきた。白と黒を基調にしたおしゃれな内装。ソファとか絨毯もなんかこうスマートだ。観葉植物なんか置いてあって、モデルルームかなんかなの? ってくらいすっきりと片付いている。アイランドキッチンにはバスケットに入った色とりどりの果物まであるとか……家までシュッとしたイケメンってどういう事なの。
「物があんまりないからそう見えるんじゃないかな。片付けるのが面倒だから、モノは最小限にするって母さんが言ってた」
佐々木、知ってるか? 一般的には「片付けるのが面倒」なヤツの家は散らかってるんだ。オレん家みたいに、それはもうめちゃくちゃに。
リビングだけで散々びっくりしたオレは、佐々木の部屋に入ってさらに驚愕する。
なんっっっにも! ねぇ!!!
ベッドと机だけ!
「マンガもゲームも食いもんもエロ本もねぇ……佐々木、どうやって生活してんだ」
思わず口から出た。いや、エロ本は持ってても隠すだろうけど。
「持ってないなぁ。子供の頃親があんまりそういうの買ってくれなかったから、あんまり興味も湧かなくて」
マジかぁ! 佐々木のお父さん! お母さん! マンガやゲームは必要です! 子供同士のコミュニケーションツールなんだからぁ!
あまりにも殺風景な佐々木の部屋に衝撃を受けてたら、佐々木は「あ、でもお菓子くらいならあるかも」って部屋を出て行った。数分後戻ってきた佐々木の手には紅茶とポテチがあってちょっと安心した。
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