【完結】完璧アルファな推し本人に、推し語りするハメになったオレの顛末

竜也りく

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貴重な友

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「ナイトだってさ」

「まぁ騎士科だから間違っちゃいないが、話の流れ的に気持ち悪いな。ほら見ろよ、この鳥肌」

「うわぁ。でもオレも」

「ははは、すげぇな。どうせナイトって言われるなら、美しいお嬢さんを守るナイトでありてぇけどな」

「そりゃそーだ」

きっと誰だってそう思うだろう。オレみたいなぱっと見ごく普通の男に見えるオメガなんかより、麗しい令嬢を守りたいと思うに違いない。

ドルフの率直な物言いは、聞く人が聞けばオメガであるオレに配慮が足りないと思われるかも知れないんだけど、オレにとってはこの飾らない言葉が気楽で嬉しいんだ。

バカな事を言い合いながら、オレとドルフは教室へと急ぐ。

ドルフは楽しい事も不満な事も、バカな事も悩んでる事も、なんでも言い合える貴重な友だ。

オレが第二次性徴で突然オメガになっちゃって、騎士科だったせいもあって周囲が一斉に微妙な反応した時も、コイツだけはなーんも変わらなかった。あの時のドルフの言葉、今でも鮮明に覚えてる。

「俺ベータだったし関係ねぇな。お前も、そのヒート? っての? その時に気をつければいいんじゃね?」

そう軽く言ってくれた時、オレがどれほど救われたか。

ドルフのオレへの態度があまりにいつも通りだったから、次第に他のヤツらのよそよそしさも消えて、今では前みたいに普通に接してくれるようになったんだと思う。

そう考えるとドルフには感謝してもしたりないくらいだ。

「? どした?」

オレが見上げたもんだから、ドルフが不思議そうに尋ねてくれる。

「いや、なんでもねぇ」

オレはニカッと笑って見せた。だからこそコイツとは、バカな事言い合いながら、一生いい友達でいれたらいいって思ってるんだ。

まぁオレがどっか貴族に嫁入りするような事になれば、そういうわけにもいかないんだろうけどさ。


***


翌日。

黙々と学食を食ってたら、ドルフに笑われてしまった。

「いつもはこっちがうるさいって言いたくなるくらい『あのお方』のことをしゃべりまくってる癖に、今日はやけに大人しいな」

「だって……もしかしたら今日もおいでになるかもって思うと緊張しちゃって」

「でもあっちはお前が『あのお方』の事を全力で推し語ってるとこを聞きたいわけだろ? お前がそんな覇気のないことでどうすんだよ」

「まぁ、そうなんだけど、緊張するモンはするんだよ」

「楽しめばいいじゃねぇかよ。お前がだ~い好きなあの顔を間近で拝めるんだ。御の字だろ」

「ちょ、顔だけ好きみたいに言うなよ!」

思わず反論が口を突いて出る。
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