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一瞬でバレた
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「ええと……」
自分の視線が彷徨うのが自分でも分かってしまう。
嘘は得意じゃない。
アルロード様のお名前を伏せて推し語りするくらいの事はできるけど、相手を欺こうという言葉はこんな風に口ごもっちゃうし目だって盛大に泳いでしまう。
少なくともドルフには、今オレが言いにくい事を言おうとしているって事がばれてるだろう。
「結局相手が見つからなくて結婚できないって事もあり得るので……その、もしもの場合に備えて、オレでも就けそうな職を今のうちから探しておこうかなって思って」
本当の事を言いつつ、冒険者として魔物討伐をしているという核心には触れない絶妙な言い回しができたと思ったのに、アルロード様は難しい顔で考え込んでるし、ドルフは逆に納得、とでも言いたげな顔でこう言った。
「あー、もしかして冒険者ギルドにでも行ってんのか」
「えっ!!???」
「おー図星みたいだな。前にちらっと冒険者なら雇って貰わなくても良いし、体調の良いときだけ活動すれば良いんだもんな、みたいなこと言ってただろ」
ニヤッと笑うドルフにびっくり通り越して感心した。
なんでそんな一瞬でバレるんだよ。しかも前にちらっと言ってた事なんてよく覚えてたな……!
「冒険者ギルド……!?」
ドルフを見つめてポカンと口を開けていたオレの耳に、今度はアルロード様の怪訝そうな声が響く。
あ、ヤバい。直感でそう思った。
「冒険者ギルドに行ってるってどういうことかな?」
「あー……えと」
助けてくれないかな、とチラッとドルフを見たけど、素知らぬ顔で飯をかき込んでいる。
「ルキノ?」
優しい笑顔なのになぜか有無を言わさない雰囲気を醸し出しているアルロード様の様子に、さすがにオレも観念した。
「その、もし結婚できなかったら、冒険者になるっていうのが一番現実的かなと思って、ここ二週間くらい放課後冒険者してたんですけど、意外にも良い感じで」
「ぼ、冒険者してたって……まさか」
アルロード様の顔が若干こわばる。
やっぱり心配されてしまったけれど、もうこうなったら全部言っちゃって「大丈夫」だってことを納得して貰うしかない。
オレはギルドで発行して貰った冒険者カードを尻ポケットから取り出して、アルロード様に見せてみた。
「これ、冒険者カードです。もう二週間くらい魔物の討伐依頼とかをこなしてるんですけど、今のところ大きなケガもなくやれてるし、意外と向いてるってちょうど実感できたところで!」
オレは自信ありげな表情で思いっきり笑って見せた。
心配するアルロード様を説き伏せるのはなかなか骨が折れたけど、最終的には納得して貰う事ができてひと安心だ。
あれからも真面目に放課後&休日冒険者を続けて、二ヶ月も経つ頃には森でそこそこ凶暴な魔物と戦えるまでになっていた。
アルロード様には相変わらず心配されるけど、オレだって自分の力量ぐらいは分かってる。無謀な討伐依頼なんて受けないから大丈夫。
アルロード様とよく話すようになって分かったのは、意外にもアルロード様はすごく心配性で面倒見がいいという事だった。
遠くで見ている時には分からなかったことだから、オレにとっては貴重なアルロード様情報で嬉しい。
けれど一方で、アルロード様のお心をオレごときが煩わせてしまう事がめちゃくちゃ申し訳なくもある。早いとこ、心配かけないように身の振り方を決めてしまいたいところだけど、こればっかりは仕方がない。
でもこのまま頑張れば、父さんにも「冒険者でやっていけそうだから、無理して嫁ぎ先を探さなくてもいいよ」と言えるかもしれない。
そんな慢心があったのか。
休日を利用して森へ討伐に来ていたオレは、まぁまぁ厳しい状況に立たされていた。
足の速い魔物を追っていつもよりちょっとだけ森の奥に入ったんだ。気がついたら数匹のウルフ型の魔物に囲まれてた。
ヤバい、とは思ったけれど冷静に対処すれば勝てない数じゃない。
オレは剣を構えたままゆっくりと息を整えた。
ウルフ系の魔物は連携して襲ってくる。じりじりと間合いを詰めてきているけれど、一匹が飛びかかってきたら、ソイツを仕留めている隙に次々に飛びかかってくる、というのが定石だろう。
返す刃でどれだけ無駄な間なく次の魔物に致命傷を与えていけるかが勝負だ。
相手もオレの隙を見ている。
四匹前後に並んでいた魔物は、いつの間にか正面に二匹、右斜め前、左斜め前に一匹ずつ、囲むように配置を変えていた。
さすがに頭が良い。
若干の冷や汗が出てくるけれど、大丈夫。四匹なら対処できるはず。
油断なく四匹に意識を配りながらにらみ合うこと幾ばくか。
……動いた!
一匹の魔物が高く跳躍して飛びかかってきた。
一瞬その魔物に気を取られそうになるけれど、他の三匹が一斉に直線的にオレに猛然と襲いかかってくるのが見えて、オレは瞬時に判断した。
大きく足を踏み出して、真正面の狼を袈裟懸けに両断し、そのままの勢いで右斜め前の狼を、返す刃で左斜め前の狼を屠って、最後に飛びかかってくるヤツを下から切り上げる。
何とか対処した、とホッとした時だ。
「危ない!」
切迫した声が響いた。
自分の視線が彷徨うのが自分でも分かってしまう。
嘘は得意じゃない。
アルロード様のお名前を伏せて推し語りするくらいの事はできるけど、相手を欺こうという言葉はこんな風に口ごもっちゃうし目だって盛大に泳いでしまう。
少なくともドルフには、今オレが言いにくい事を言おうとしているって事がばれてるだろう。
「結局相手が見つからなくて結婚できないって事もあり得るので……その、もしもの場合に備えて、オレでも就けそうな職を今のうちから探しておこうかなって思って」
本当の事を言いつつ、冒険者として魔物討伐をしているという核心には触れない絶妙な言い回しができたと思ったのに、アルロード様は難しい顔で考え込んでるし、ドルフは逆に納得、とでも言いたげな顔でこう言った。
「あー、もしかして冒険者ギルドにでも行ってんのか」
「えっ!!???」
「おー図星みたいだな。前にちらっと冒険者なら雇って貰わなくても良いし、体調の良いときだけ活動すれば良いんだもんな、みたいなこと言ってただろ」
ニヤッと笑うドルフにびっくり通り越して感心した。
なんでそんな一瞬でバレるんだよ。しかも前にちらっと言ってた事なんてよく覚えてたな……!
「冒険者ギルド……!?」
ドルフを見つめてポカンと口を開けていたオレの耳に、今度はアルロード様の怪訝そうな声が響く。
あ、ヤバい。直感でそう思った。
「冒険者ギルドに行ってるってどういうことかな?」
「あー……えと」
助けてくれないかな、とチラッとドルフを見たけど、素知らぬ顔で飯をかき込んでいる。
「ルキノ?」
優しい笑顔なのになぜか有無を言わさない雰囲気を醸し出しているアルロード様の様子に、さすがにオレも観念した。
「その、もし結婚できなかったら、冒険者になるっていうのが一番現実的かなと思って、ここ二週間くらい放課後冒険者してたんですけど、意外にも良い感じで」
「ぼ、冒険者してたって……まさか」
アルロード様の顔が若干こわばる。
やっぱり心配されてしまったけれど、もうこうなったら全部言っちゃって「大丈夫」だってことを納得して貰うしかない。
オレはギルドで発行して貰った冒険者カードを尻ポケットから取り出して、アルロード様に見せてみた。
「これ、冒険者カードです。もう二週間くらい魔物の討伐依頼とかをこなしてるんですけど、今のところ大きなケガもなくやれてるし、意外と向いてるってちょうど実感できたところで!」
オレは自信ありげな表情で思いっきり笑って見せた。
心配するアルロード様を説き伏せるのはなかなか骨が折れたけど、最終的には納得して貰う事ができてひと安心だ。
あれからも真面目に放課後&休日冒険者を続けて、二ヶ月も経つ頃には森でそこそこ凶暴な魔物と戦えるまでになっていた。
アルロード様には相変わらず心配されるけど、オレだって自分の力量ぐらいは分かってる。無謀な討伐依頼なんて受けないから大丈夫。
アルロード様とよく話すようになって分かったのは、意外にもアルロード様はすごく心配性で面倒見がいいという事だった。
遠くで見ている時には分からなかったことだから、オレにとっては貴重なアルロード様情報で嬉しい。
けれど一方で、アルロード様のお心をオレごときが煩わせてしまう事がめちゃくちゃ申し訳なくもある。早いとこ、心配かけないように身の振り方を決めてしまいたいところだけど、こればっかりは仕方がない。
でもこのまま頑張れば、父さんにも「冒険者でやっていけそうだから、無理して嫁ぎ先を探さなくてもいいよ」と言えるかもしれない。
そんな慢心があったのか。
休日を利用して森へ討伐に来ていたオレは、まぁまぁ厳しい状況に立たされていた。
足の速い魔物を追っていつもよりちょっとだけ森の奥に入ったんだ。気がついたら数匹のウルフ型の魔物に囲まれてた。
ヤバい、とは思ったけれど冷静に対処すれば勝てない数じゃない。
オレは剣を構えたままゆっくりと息を整えた。
ウルフ系の魔物は連携して襲ってくる。じりじりと間合いを詰めてきているけれど、一匹が飛びかかってきたら、ソイツを仕留めている隙に次々に飛びかかってくる、というのが定石だろう。
返す刃でどれだけ無駄な間なく次の魔物に致命傷を与えていけるかが勝負だ。
相手もオレの隙を見ている。
四匹前後に並んでいた魔物は、いつの間にか正面に二匹、右斜め前、左斜め前に一匹ずつ、囲むように配置を変えていた。
さすがに頭が良い。
若干の冷や汗が出てくるけれど、大丈夫。四匹なら対処できるはず。
油断なく四匹に意識を配りながらにらみ合うこと幾ばくか。
……動いた!
一匹の魔物が高く跳躍して飛びかかってきた。
一瞬その魔物に気を取られそうになるけれど、他の三匹が一斉に直線的にオレに猛然と襲いかかってくるのが見えて、オレは瞬時に判断した。
大きく足を踏み出して、真正面の狼を袈裟懸けに両断し、そのままの勢いで右斜め前の狼を、返す刃で左斜め前の狼を屠って、最後に飛びかかってくるヤツを下から切り上げる。
何とか対処した、とホッとした時だ。
「危ない!」
切迫した声が響いた。
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