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渡したいもの
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アルロード様、本当にオレのことを好きでいてくれたんだ……身体を繋げて、大切にされて、うなじに番の証を貰って、やっと心からそう思えた。
発情期が終わって思考能力を取り戻したオレに、アルロード様はここが公爵家の別荘であることを教えてくれて、その日はゆっくりとふたりの時間を楽しむことができた。
最初は発情期が終わったんだからそのまま登校すべきなんじゃないかと思ったんだけど、なんせずっとエッチし通しだったわけでうまく体が動かない。
しかも、アルロード様から気持ちを伝えてもらって翌日には婚約、その夜には発情期になってしまって、恋人としてお互いへの理解を深め合う時間を持つことすらできなかったわけで……アルロード様に寂しそうな顔をされてしまえば、それを押してまで体調不良のまま登校することもないかと思った。
食事や水分をアルロード様が手ずから運んでくれてちょっと申し訳なかったけれど、それも嬉しそうだったからありがたく世話を焼いてもらいながら一日を過ごし、オレはますますアルロード様が好きになった。
小柄ではあるけれど筋肉がしっかりついてるからそれなりに重いであろうオレを、軽々と姫抱きで運ぶところも格好いいし、俺との会話の中でちょっと照れたりドルフの話題でやきもちやいたりする貴重な表情は可愛いし。
お互いの子供の頃の話や家族の話なんかまで話題は尽きなくて、たくさん話してちょっと落ち着いたときだった。
「そうだ、ルキノに渡したいものがあったんだ」
そう言ってアルロード様が小さな箱を持って来て渡してくれた。なんか見るからに高級そうな箱で、ちょっと開けるのに躊躇してしまう。
「開けてみてくれる?」
促されて開けてみたら、シンプルでかっこいいチョーカーだった。
「かっこいい……」
「良かった、気に入ってくれた? ルキノがこれまで使っていたものに似せて、それにちょっとだけ僕の色を足して作ったものなんだ」
確かに、あんまり目立ちたくなかったオレはこれまで目立たないシンプルなチョーカーを使っていた。
アルロード様はきっと、オレのそんな気持ちを感じ取って、これまでに近いものを用意してくれたんだろう。
オレの肌の色に近い皮のチョーカー。
けれど、その喉の部分にはヴァッサレア公爵家の紋章が型押しされてるし、その下にはアルロード様の瞳の色をした小さな石が揺れている。
「ほんとだ。オレ好みのチョーカーなのに、しっかりアルロード様がくれたんだって主張されてる」
「うん。ルキノは僕の番だって、誰から見てもしっかり分かるようにしないといけないからね」
からかったつもりだったのに真顔で返されて、こっちが照れてしまう。
「実は婚約の申し込みに行ったあと、すぐにこのチョーカーの制作を依頼して、昨日できあがってきたばかりなんだよ。ルキノにつけてあげるのを楽しみにしていたんだ。僕がつけてもいいかな?」
わくわくした顔でそんな事を言われたら、断れるわけがない。
「どうぞ」
そう言って後ろを向いたら、アルロード様がほう……とため息をつく。
そっと触れられたうなじに、ぞく、とするような快感とピリ、とひきつるような痛みを同時に感じて、オレはわずかに身震いした。
「ごめんね、痛いよね」
「ちょっとだけ」
「本当にごめん……この傷跡を見ると複雑な気持ちになるよ」
「? どういう意味ですか?」
「ルキノのうなじを噛んだ時の僕は、理性が飛んでしまっていて、かなり強く噛んでしまったんだ。だから、この傷を見るたびに痛そうで申し訳なくて……けれど、それがルキノが僕の番だという確かな証だと思うと、今まで覚えたことのない満ち足りた気持ちにもなってしまうんだ」
「アルロード様……」
「これって独占欲なんだろうか」
ちょっぴり眉毛を下げるアルロード様。
「ルキノに出会ってから僕は、今まで知らなかった感情に翻弄されてばかりだよ。自分の中にこんな感情があったなんて知らなかった」
複雑な表情のアルロード様に、オレもちょっと複雑な顔で笑い返す。
「やっぱり本能なんですかね。オレも、前はうなじを噛まれるなんて怖い、絶対嫌だって思ってたのに、これがアルロード様がつけてくれた番の証だと思うと嬉しいんですよね」
「ルキノ……!」
「なんか不思議ですね。オレ、オメガとして幸せになれるなんて思ってなかったのに、今すごい幸せで、なんか自分でもびっくりします」
「そうか……! 良かった……!!!」
なんでだか急にアルロード様が泣きそうな、でも嬉しくてたまらないみたいな顔をする。
「ルキノは断れなくて不本意なまま僕と結婚したのかもしれないと、本当はずっと不安だったんだ」
「そんなこと!!! オレ、本当に幸せです!」
「ルキノ……!!!」
ハラハラと流れる涙が、アルロード様のご尊顔をキラキラと彩っている。
不安そうな顔も、嬉しさに溢れた顔も、今のうれし泣きの顔も。
たった一日でいろんなアルロード様の新しい魅力が見えてしまって、これから夫婦として一緒に暮らすことになったら、自分の心臓が持つだろうかと不安になったくらいだ。
発情期が終わって思考能力を取り戻したオレに、アルロード様はここが公爵家の別荘であることを教えてくれて、その日はゆっくりとふたりの時間を楽しむことができた。
最初は発情期が終わったんだからそのまま登校すべきなんじゃないかと思ったんだけど、なんせずっとエッチし通しだったわけでうまく体が動かない。
しかも、アルロード様から気持ちを伝えてもらって翌日には婚約、その夜には発情期になってしまって、恋人としてお互いへの理解を深め合う時間を持つことすらできなかったわけで……アルロード様に寂しそうな顔をされてしまえば、それを押してまで体調不良のまま登校することもないかと思った。
食事や水分をアルロード様が手ずから運んでくれてちょっと申し訳なかったけれど、それも嬉しそうだったからありがたく世話を焼いてもらいながら一日を過ごし、オレはますますアルロード様が好きになった。
小柄ではあるけれど筋肉がしっかりついてるからそれなりに重いであろうオレを、軽々と姫抱きで運ぶところも格好いいし、俺との会話の中でちょっと照れたりドルフの話題でやきもちやいたりする貴重な表情は可愛いし。
お互いの子供の頃の話や家族の話なんかまで話題は尽きなくて、たくさん話してちょっと落ち着いたときだった。
「そうだ、ルキノに渡したいものがあったんだ」
そう言ってアルロード様が小さな箱を持って来て渡してくれた。なんか見るからに高級そうな箱で、ちょっと開けるのに躊躇してしまう。
「開けてみてくれる?」
促されて開けてみたら、シンプルでかっこいいチョーカーだった。
「かっこいい……」
「良かった、気に入ってくれた? ルキノがこれまで使っていたものに似せて、それにちょっとだけ僕の色を足して作ったものなんだ」
確かに、あんまり目立ちたくなかったオレはこれまで目立たないシンプルなチョーカーを使っていた。
アルロード様はきっと、オレのそんな気持ちを感じ取って、これまでに近いものを用意してくれたんだろう。
オレの肌の色に近い皮のチョーカー。
けれど、その喉の部分にはヴァッサレア公爵家の紋章が型押しされてるし、その下にはアルロード様の瞳の色をした小さな石が揺れている。
「ほんとだ。オレ好みのチョーカーなのに、しっかりアルロード様がくれたんだって主張されてる」
「うん。ルキノは僕の番だって、誰から見てもしっかり分かるようにしないといけないからね」
からかったつもりだったのに真顔で返されて、こっちが照れてしまう。
「実は婚約の申し込みに行ったあと、すぐにこのチョーカーの制作を依頼して、昨日できあがってきたばかりなんだよ。ルキノにつけてあげるのを楽しみにしていたんだ。僕がつけてもいいかな?」
わくわくした顔でそんな事を言われたら、断れるわけがない。
「どうぞ」
そう言って後ろを向いたら、アルロード様がほう……とため息をつく。
そっと触れられたうなじに、ぞく、とするような快感とピリ、とひきつるような痛みを同時に感じて、オレはわずかに身震いした。
「ごめんね、痛いよね」
「ちょっとだけ」
「本当にごめん……この傷跡を見ると複雑な気持ちになるよ」
「? どういう意味ですか?」
「ルキノのうなじを噛んだ時の僕は、理性が飛んでしまっていて、かなり強く噛んでしまったんだ。だから、この傷を見るたびに痛そうで申し訳なくて……けれど、それがルキノが僕の番だという確かな証だと思うと、今まで覚えたことのない満ち足りた気持ちにもなってしまうんだ」
「アルロード様……」
「これって独占欲なんだろうか」
ちょっぴり眉毛を下げるアルロード様。
「ルキノに出会ってから僕は、今まで知らなかった感情に翻弄されてばかりだよ。自分の中にこんな感情があったなんて知らなかった」
複雑な表情のアルロード様に、オレもちょっと複雑な顔で笑い返す。
「やっぱり本能なんですかね。オレも、前はうなじを噛まれるなんて怖い、絶対嫌だって思ってたのに、これがアルロード様がつけてくれた番の証だと思うと嬉しいんですよね」
「ルキノ……!」
「なんか不思議ですね。オレ、オメガとして幸せになれるなんて思ってなかったのに、今すごい幸せで、なんか自分でもびっくりします」
「そうか……! 良かった……!!!」
なんでだか急にアルロード様が泣きそうな、でも嬉しくてたまらないみたいな顔をする。
「ルキノは断れなくて不本意なまま僕と結婚したのかもしれないと、本当はずっと不安だったんだ」
「そんなこと!!! オレ、本当に幸せです!」
「ルキノ……!!!」
ハラハラと流れる涙が、アルロード様のご尊顔をキラキラと彩っている。
不安そうな顔も、嬉しさに溢れた顔も、今のうれし泣きの顔も。
たった一日でいろんなアルロード様の新しい魅力が見えてしまって、これから夫婦として一緒に暮らすことになったら、自分の心臓が持つだろうかと不安になったくらいだ。
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