5 / 54
兄:ミジェ編 〜魔術室長の魔術セクハラが酷いんですけど!?〜
これは無理だ
しおりを挟む
「ミジェ?」
慌てたようなチェイス室長の声が聞こえた途端、俺の頬に触れていた魔力も、俺の舌先で蠢いて今まさに絡められようとしていた魔力も、一瞬で消え去った。
「体調が悪い? 大丈夫かい?」
「……!」
心配そうに俺の背中に添えられた手には、当然ながらいつもチェイス室長が纏っている魔力があるわけで、それを敏感に感じ取った俺は、羞恥に身を震わせる。
だって、チェイス室長の意外とあったかい手から、直接濃厚な魔力が流れ込んでくるんだよ……!
日ごろこの魔力にそこそこ触られてるって意識があるのに、直でチェイス室長の手の感触を感じて、その上濃厚な魔力に触れたりしたら……!
「大丈夫だから……! 触らないで、ちょっと放っといて……!」
近くにあった本でなんとかチェイス室長の手を押し返してガードしたら、チェイス室長が心配百パーセントの顔でおろおろしてるのが見えた。
「いや、でも、ホントに大丈夫?」
「大丈夫なんで、マジで放っといて!」
「でも……あっ、回復魔法かけようか? いや食あたりとかだったら解毒がいいのかな」
「そーいうんじゃないんで! マジ大丈夫っす」
食あたりなわけないだろ!
でも真面目に心配してくれてるらしいのはめちゃくちゃ分かる。なんせ直に触るなと言われたせいで、お馴染みの魔力が労わるようにさすさすと俺の背中をさすっているのだ。
さすがにこの触り方にエロさはない筈だが、既に恥ずかしいスイッチがフルスロットルで入り切っている俺には、労りの魔力ですら気持ちよさを感じてしまって恥ずかしい。
いい人なのかエロい人なのかハッキリしてくれ……!
心配しすぎて帰りたがらないチェイス室長をなんとか本を盾にして玄関から押し出した俺は、扉を背にそのまま床へへたり込んだ。
これはヤバい。
すっかり昂ってしまった体に、「落ち着け」と何度もいいきかせる。このままヌいたりしたら、恥ずかしすぎて今後一切チェイス室長の顔が見られなくなってしまう。平気な顔して会うなんて絶対に無理だ。
心配そうな顔で扉から押し出されていったチェイス室長の顔を思い出して、俺はそれをかき消すようにブルブルと首を振った。
アホか。思い出したらヤバいんだっつーの。
そもそも俺がチェイス室長の魔力に触られてると分かっていても、嫌悪感を抱かなかったのにはワケがある。
それは、チェイス室長の魔力がただただ心地よかったからだ。
イラついている人や悪意がある人の魔力はトゲトゲしい。妬み深い人や他人を貶めるのが好きな人の魔力は触るだけでモヤっと嫌な気持ちになるし、酷い時には吐き気がする時だってある。
慌てたようなチェイス室長の声が聞こえた途端、俺の頬に触れていた魔力も、俺の舌先で蠢いて今まさに絡められようとしていた魔力も、一瞬で消え去った。
「体調が悪い? 大丈夫かい?」
「……!」
心配そうに俺の背中に添えられた手には、当然ながらいつもチェイス室長が纏っている魔力があるわけで、それを敏感に感じ取った俺は、羞恥に身を震わせる。
だって、チェイス室長の意外とあったかい手から、直接濃厚な魔力が流れ込んでくるんだよ……!
日ごろこの魔力にそこそこ触られてるって意識があるのに、直でチェイス室長の手の感触を感じて、その上濃厚な魔力に触れたりしたら……!
「大丈夫だから……! 触らないで、ちょっと放っといて……!」
近くにあった本でなんとかチェイス室長の手を押し返してガードしたら、チェイス室長が心配百パーセントの顔でおろおろしてるのが見えた。
「いや、でも、ホントに大丈夫?」
「大丈夫なんで、マジで放っといて!」
「でも……あっ、回復魔法かけようか? いや食あたりとかだったら解毒がいいのかな」
「そーいうんじゃないんで! マジ大丈夫っす」
食あたりなわけないだろ!
でも真面目に心配してくれてるらしいのはめちゃくちゃ分かる。なんせ直に触るなと言われたせいで、お馴染みの魔力が労わるようにさすさすと俺の背中をさすっているのだ。
さすがにこの触り方にエロさはない筈だが、既に恥ずかしいスイッチがフルスロットルで入り切っている俺には、労りの魔力ですら気持ちよさを感じてしまって恥ずかしい。
いい人なのかエロい人なのかハッキリしてくれ……!
心配しすぎて帰りたがらないチェイス室長をなんとか本を盾にして玄関から押し出した俺は、扉を背にそのまま床へへたり込んだ。
これはヤバい。
すっかり昂ってしまった体に、「落ち着け」と何度もいいきかせる。このままヌいたりしたら、恥ずかしすぎて今後一切チェイス室長の顔が見られなくなってしまう。平気な顔して会うなんて絶対に無理だ。
心配そうな顔で扉から押し出されていったチェイス室長の顔を思い出して、俺はそれをかき消すようにブルブルと首を振った。
アホか。思い出したらヤバいんだっつーの。
そもそも俺がチェイス室長の魔力に触られてると分かっていても、嫌悪感を抱かなかったのにはワケがある。
それは、チェイス室長の魔力がただただ心地よかったからだ。
イラついている人や悪意がある人の魔力はトゲトゲしい。妬み深い人や他人を貶めるのが好きな人の魔力は触るだけでモヤっと嫌な気持ちになるし、酷い時には吐き気がする時だってある。
41
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。
悪役令嬢の兄、閨の講義をする。
猫宮乾
BL
ある日前世の記憶がよみがえり、自分が悪役令嬢の兄だと気づいた僕(フェルナ)。断罪してくる王太子にはなるべく近づかないで過ごすと決め、万が一に備えて語学の勉強に励んでいたら、ある日閨の講義を頼まれる。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
前世が教師だった少年は辺境で愛される
結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。
ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。
雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる