テレ×2テレパシー 純愛

すばる♪

文字の大きさ
上 下
1 / 12

新しいクラス

しおりを挟む






4月。

満開の桜の下、桜中学校さくらちゅうがっこうの前には、
慣れないセーラー服をきた幼い生徒たちが校門の前で群がっている。掲示板に張り出された新しいクラス表をみて、手を合わせ喜ぶ生徒達。

「私1組!一緒だね!よろしく!」

「……あ、〇〇君と一緒だ!!」

「なになにー?誰と一緒って??」

「教えない!ひみつ!」



 彼女、佐々木 芽久ささき めぐもその1人だった。同年3月に小学校を卒業したばかりだ。
親友の斎藤 理々加さいとう りりかとも同じクラス。2人はハイタッチして喜んだ。
2人はそのあと、門をくぐって学舎へ、そして教室へ直行する。入学式までまだ時間がある。クラスで新しい友達をつくろうと大急ぎで向かった。



「あ!!メグちゃん」

「わ、…若菜わかなちゃん!?」

教室に入って1人目。声をかけてくれたのは、
小学校時代に仲良くなった友達の1人。隣吏となり小学校に通っていた月野 若菜つきの わかなだ。

「うれしい!一緒のクラスだったんだね!」

ワカナはメグの顔を見るや否や、すぐに駆け寄ってきてくれた。

「よろしくね!ワカナ!」

メグも嬉しくなってぴょんぴょんと飛び跳ねた。

「仲いい子がいてよかった~、優理ゆうり朝日あさひは別のクラスになっちゃったからさ~。」

「そうなんだね、でも、隣のクラスだし、また会いに行こう!」

ワカナが以前仲良しだった面子は、違うクラスに入ったよう。

「リリカちゃん、ユウリのいとこだよね!」

「そうそう!このまえ休日に会ったから、クラスどうなるかな~って話してたの。」

リリカのいとこである斎藤 優理さいとう ゆうりも、ワカナと同じ隣吏となり小学校の生徒だった。お互いに自己紹介を交わし、3人はすっかり仲良くなった。

暫くすると、他のクラスメイトが団体で教室に入ってきた。一気にごった返す教室。

「あー、こっちこっち!」
ワカナは同じ小学校だった友達を見つけ、メグたちの元を離れた。
リリカも、他の友達の元へ向かい、メグはぽつんと1人だけになった。黒板に貼られた座席表を元に自分の席を探し、腰掛ける。

「ふう……。」

朝から走り回ったせいか、思わずため息がでる。ふと教室を見回すと、今年1年一緒に活動するであろうクラスメイトが見えた。同じ小学校からの付き合いもいれば、隣吏小学校の子もいる。新しい顔もいれば、幼稚園からの付き合いもいれば…なにやら目が回る。
メグの席は丁度真ん中。顔を上げてあたりを見回す。後ろの席の方を見ると、見知った顔がもうひとつ。

「あ……。」

一番後ろの席、メグと同じように1人席に座って顔を伏せている。完全に寝ているわけではないようで、時々顔を上げる。



松田 蓮まつだ れん
 小学校時代、メグが仲良くなれた友達の1人だ。違う校区で性別も違う彼らが、なぜ仲良くなれたのか。一つ接点をあげるとするならば、メグとレンは超能力が使える、いわゆる能力者。事情持ちで彼の周りには誰一人として近づく様子はない。寧ろ、彼自身がそれを拒んでいるようだった。

視線に気がついたレンはちらりとメグの方を向いた。生気の無い目。でも、なにやら口をぱくぱくさせて伝えようとしてくる。

「(お は よ)。」

メグにはそう読めた。小さく手を振り返すと、視線を背けて再び顔を伏せた。違ったかな?と首を傾げているとリリカが後ろからとんとんと肩をつつく。

「うわ!びっくりした!」

急なことに思わずビクリと震えるとリリカは腹を抱えて笑いだした。

「もー、メグったらぼーっとして!ほら、廊下いこ、違うクラスの子達にも会いにいかなきゃ!」

手を引いてメグを廊下に連れ出すリリカ。
その様子をレンは顔を伏せながらも隙間からちらりとみた。今日何回目かもわからないため息をついて前の方に目を向けた。
しおりを挟む

処理中です...