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報連相
しおりを挟む「爆弾、今日も休み?」
「来る気ないでしょ、授業もきいてないし。この前の実力テスト白紙でだしたらしいよ。」
「部活も3年の先輩と口論してから来てないよね、大人しいのかと思ったら急に声張り上げて怒鳴るし情緒不安定なんじゃね?」
「だから爆弾って言われてるんだって。火がついたら一瞬よ。」
「なんか本当兄貴さまさまだよね、ソウタ先輩も優しいけどさ、それがその不安定さを助長してるっていうかさ、いないとダメ的な。
兄貴いてもダメな時はあるけど。」
クラスの陸上部1年が話している。ゴールデンウィークも終わり、久しぶりの学校生活。陸上部はゴールデンウィークも数日練習日があったようだが、顔を出していない模様。ここ最近は、部活も始まりなかなかクラスのことも気にかけられない。結局会わずじまい。どうやらまた口論したようで、次は目撃者が多く、また相手が生徒だったことから大々的に晒されていた。本人はきていない。帰ってから、どうしたのと聞きたい気持ちも山々だが、本人の辛さを考えるとそれは出来そうにない。
「はい、でははじめますよ。」
工藤が入ってきて、朝のHRが始まった。
レンのことには触れずに、話をさっさと済ませて1限目が始まる。休み時間もほぼその話で持ちきり。
これでは、復活したとしても、隅においやってしまう。そう考えたメグは、放課後、部活までの時間を使って、ソウタのもとへ向かった。
幸い、2年の教室は人もほぼはけて、メグの存在に気が付いたソウタがこっち側にきてくれた。
「……ありがとうメグちゃん。気にしてくれてたんだね。」
「いえ、あまりにもすごくて、その、ゴールデンウィークより前の話。ずっとみんなそれについて話してて、ヤバい奴なんじゃないかって、爆弾ってあだ名で呼ばれてるし…。全然そんなことないはずなんですけど、どうやっていっていいのかわからなくて。」
ソウタはメグの話に耳を傾け、そして少し考え込んだ。
「うーん、なんていうか、アイツが一方的に距離置いてるから今。そりゃハブられるわなってかんじだし、なんにせ人付き合いが下手くそだからなんだよなあ。
前日のも、キャプテンに物言いしてたみたいで、席外してたから直前のことわからないんだけど、もう相当な地獄だったよ、アレ。レンがブチ切れて叫んでるのみたことあるでしょ。」
「ま、まあ。」
「小学生のときより感情がでるようになったけど、なんか、極端っていうか、なんていうか。」
「私のせいですよね……」
「え!?そんなことないと思うよ…?レンの感情を引き出してくれたメグちゃんにはすっげー感謝してるし。元々ああいう性格なんだと思う。病的な異常さ?みたいなのはあると思うよ。」
「そうなんですかね、、。」
「まあ、放っていいと思うよ。気分で動くところあるし。メグちゃんと絡みたかったら隙間みつけてくるでしょ、それが学校か、家か場所は違えどね。ごめんね、心配かけて。いまは家でも手つけられないほど荒れてて、俺もその週はほぼ外出てたし。そっとしとこうかな~って感じ。」
はははと笑いながら部活の用意を始めるソウタ。かける言葉が見つからず、メグも部活に向かった。
「どうした~?浮かない顔して。」
部活のウォーミングアップ中、同小出身の2年である寺口美里てらぐちみさとが声をかけてくれた。
同じ地区で小さい頃から仲良しのミサト。メグの姉、芽衣とは幼馴染でもある。姉と同じように慕ってきたミサトに話してみることにした。
「ミサトちゃん、ちょっと話聞いて、」
帰り際、ミサトを誘って一緒に帰ることになったメグ。
「へ~仲良いんだ、確かにメイのママ看護師だもんね。そこの繋がり?」
「うん、そうなの。仲良いんだけど、最近あんまり馴染めてなくて、いや、最近っていうか、昔からみたいなんだけどね。」
「噂すごいたってるもんね、2年の間では、ソウタくんとか瑠位るいくんとかが上手いこと宥めてるよ。だからそんな悪い噂にはなってないけど、前回のはヤバかったらしいよね。」
「うちのクラスでも持ち切りで、今日も休みだったんだけど。」
「あ、そっか同じクラスなのか笑」
「そうなの!!だから悩んでるの!」
「そっかそっかごめえん笑」
そういって1人で大爆笑するミサト。
「1回荒れてるとこみたことあるけど、あれあの後普通に教室で授業うけたんでしょ?」
「机に突っ伏してたけどね。」
「それが出来るってことは、案外ケロッとしてそうだけどね。明日からは普通にくるんじゃない?」
悩みを引きづらないタイプのミサトは、不安顔のメグを元気づけようと、明るい話題に持っていってくれた。そのおかげか不安な気持ちがなくなったメグはどんな姿でレンがこようとも、普通に接することを心に決めたのだった。
次の日ミサトの予想は的中した。
クラスメイトがざわつく中、ごく普通に入ってきて、何事も無かったかのように(寝て)過ごした。早退もせず、きっちり全部授業も(寝てたけど)受けた。遠くからそんなレンをみつめて微笑むメグであった。
「はい。」
「えっ、板書とったの?!?!レンが?!?うそ!!!」
徐々に寝る回数もなくなり、起きて授業を受けるようにもなった。ソウタが言った通り、話す余力がある時は放課後こんなふうに話しかけてくれて、ノートを見せてくれた。
「は?ばかにしてんの?笑ノートくらいとれるし。」
「やだあ~レンくんやれば出来る子じゃん~!感動しちゃった!」
大袈裟に驚くとレンもケラケラ笑った、
よかった、元に戻ってくれて。メグは安堵した。それでもやはりメグ以外は疎遠らしく、乗り気では無い様子。教師や先輩とも不仲。
先日は廊下で教師相手に揉めていた。一定の波があるようで、ずっと平常心でいるのはなかなか難しいらしい。こういう日はメグにも話しかけてこない。それでも、クラスメイトとはコミュニケーションをとろうとしている姿もあった、思わぬ刺客に少々顔が引き攣っていたクラスメイトだったが、レンがなにもしてこないとわかると徐々に話す回数も増えて言ったようだった。
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