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秘密基地
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「佐々木さん、ちょっといいかな。」
確信から2.3日経ったある日、メグは担任の工藤に呼ばれていた。
「ごめんね、呼び出しちゃって。」
「大丈夫です、今日は部活お休みなので。」
授業の用意があるから、と案内されたのは理科室。メグと工藤の2人きりだ。
「それはよかった。じゃあ本題に入ろうか。手短に話すからよく聞いてくれ。」
「はい、何でしょう……?」
工藤はなにやら真剣な顔をしている。
戸惑うような表情、言いたげだがなかなか言えなさそうな、そんな様子だ。
しばらくの沈黙のあと、工藤は驚くべきことを口にした。
「…佐々木さん、超能力使えるよね?」
「………!」
意を決して言葉を発する。
突然のことに固まってしまうメグ。
「な、な、何言ってるんです……?超能力……??」
咄嗟に言葉を吐き出すが、既に遅し。
工藤は図星を突かれたメグをみてはははと笑いだした。
「ごめんね、虐めるわけじゃないんだけどね、」
「!」
固まったままのメグに工藤はいつものように優しく微笑みかける。片手に持つビーカーを能力で宙に浮かせている様をみれば、すぐに本当だと確信できた。
「う、浮いてる、まさか。」
「そう、僕も実は使えるんだ、そこまで能力値は高くないんだけどね。」
いやいや、違ったらどうしようかと思った、頭を擦りながらホッと一息つく工藤。
「それでね、佐々木さんに話があるんだ。」
「先日引っ越してきた転校生の上野光のことなんだけど。」
「……はい、」
「多分佐々木さんもこの疑問に気づいていると思うんだよね、」
まるですべてお見通しの如く話を進める工藤。さらに付け加えた。
「確認だけど、松田くんも能力者だよね?佐々木さんがあの松田くんと仲良しなのも、それが関係してるのかなって。」
「……、そう、ですね。」
「上野さんのことは考えたことある?」
「ヒカルちゃんですか……?まあ、その、仲がいいなとは思っていますけど。」
心にわだかまりがあったメグはそれを解くように、少しずつ言葉を発する。
工藤先生は少し考え込むようにうーんと唸ってから、
「その上野さんなんだけどね、色々と調べさせてもらった結果、存在しないんだよね。」
「どういうことです……??」
「あんな無気力だった松田くんが自ら誘って、今まで見た事ないくらい笑ってる姿を見たんだ、隣にいるのは引っ越してきたばかりの転校生。なにかあるんじゃないかなって、調べたんだ。結局、松田くんが能力者だってわかったあとは簡単だった。現実世界と超能力を比べたら、後者の方が勝るしね。」
「は、はあ、つまりどういう……?」
「作り話ってことだよ。上野光はこの世に存在しないんだ。もしくは、過去に存在していたものを時間移動させてこっちに持ってきている可能性もあるけど。」
「は……???」
相変わらず意味はよく分からない。だが、もしレンが犯人だとしたらその異常さはみてとれた。
上野光という人物はこの世に実在しないらしい。
「じゃ、じゃあ…なんで光ちゃんは、この世にいるんですか??」
「佐々木さんさ、再生技術って知ってる??」
「再生技術??」
「知らない?じゃあ能力者の勉強程度に聞いてて。」
「さっき僕が言った「再生技術」それは、死んだ人を生き返らせることができる、というものでね。やりかたも至ってシンプルで能力者なら誰でもできるって言われてるんだ。」
「それをレンがやったってことですか?」
「そう、現実世界には、なんら影響がないんだ、なんとでもなる。でもね、これには続きがあって。この能力って、亡くなった人に、一度だけまた命を宿すことができる素晴らしい能力なんだけど、犠牲がいるんだ。人1人に対して誰かが犠牲になる。つまり、替えがいるんだ。犠牲者は死んでしまうっていう、禁忌の能力でもある。」
「ということはその、再生技術ってやつで、ヒカルちゃんは生きてるってことです…?」
「たぶんね、じゃあもし仮に上野さんと仲の良い松田君が再生技術を活用していたとしたら、松田君は誰を犠牲にするのかなって考えた時にね、思ったんだ。
この前、齋藤君が倒れたでしょ、しかも、その日松田君は私用でお休みなわけ。」
サーッと血の気が引いた。まさか、まさか。
工藤先生はニヤリと笑う。
「信頼していた幼馴染同士、でも虐めのせいでその仲は引き裂かれてしまった。齋藤君は復縁しようと思ったけど、松田君は許さなかった、というか、今までの腹いせに禁忌を行った可能性は十分すぎるよね。」
やけに詳しいのも力のおかげだろう。
もしレンがユウリを使ったとしたら、結末はわかる。しかしメグは尋ねた。
「じゃあ、もしレンのやってる再生技術がこのまま行われたら…」
「きっと、齋藤君は犠牲になる、だから、はやく食い止めなきゃいけないんだよ。」
「…先生、私、ユウリが犠牲になるのなんて嫌です、どうすれば、どうすればユウリが死なずに済むんですか……?!」
まあまあとメグを宥める工藤。
「落ち着いて、焦ってもいい事ないから。とりあえず、僕の話を上野さんにしてもらってもいいかな、話をつけて欲しいんだ。」
「私が、ですか?」
「そう、同じクラスメイトとしてね、伝えて欲しいんだ、どれだけ松田くんが危険なことに手を出しているのか、ってね。上野さんは優しいから、大丈夫だと思うよ。松田君がでてきたら、僕もいくね。同じ能力者として、力を貸してほしい。」
深深と頭を下げ、頼んだと背中を押される。
どうなるかわからないが、やってみるしかない。そうじゃないと、ユウリは犠牲になってしまう。
「わかりました。やってみます。」
理科室を飛び出し、急ぎ足で向かう。レンとヒカルの靴が残っているのを確認し、学校中を探した。
確信から2.3日経ったある日、メグは担任の工藤に呼ばれていた。
「ごめんね、呼び出しちゃって。」
「大丈夫です、今日は部活お休みなので。」
授業の用意があるから、と案内されたのは理科室。メグと工藤の2人きりだ。
「それはよかった。じゃあ本題に入ろうか。手短に話すからよく聞いてくれ。」
「はい、何でしょう……?」
工藤はなにやら真剣な顔をしている。
戸惑うような表情、言いたげだがなかなか言えなさそうな、そんな様子だ。
しばらくの沈黙のあと、工藤は驚くべきことを口にした。
「…佐々木さん、超能力使えるよね?」
「………!」
意を決して言葉を発する。
突然のことに固まってしまうメグ。
「な、な、何言ってるんです……?超能力……??」
咄嗟に言葉を吐き出すが、既に遅し。
工藤は図星を突かれたメグをみてはははと笑いだした。
「ごめんね、虐めるわけじゃないんだけどね、」
「!」
固まったままのメグに工藤はいつものように優しく微笑みかける。片手に持つビーカーを能力で宙に浮かせている様をみれば、すぐに本当だと確信できた。
「う、浮いてる、まさか。」
「そう、僕も実は使えるんだ、そこまで能力値は高くないんだけどね。」
いやいや、違ったらどうしようかと思った、頭を擦りながらホッと一息つく工藤。
「それでね、佐々木さんに話があるんだ。」
「先日引っ越してきた転校生の上野光のことなんだけど。」
「……はい、」
「多分佐々木さんもこの疑問に気づいていると思うんだよね、」
まるですべてお見通しの如く話を進める工藤。さらに付け加えた。
「確認だけど、松田くんも能力者だよね?佐々木さんがあの松田くんと仲良しなのも、それが関係してるのかなって。」
「……、そう、ですね。」
「上野さんのことは考えたことある?」
「ヒカルちゃんですか……?まあ、その、仲がいいなとは思っていますけど。」
心にわだかまりがあったメグはそれを解くように、少しずつ言葉を発する。
工藤先生は少し考え込むようにうーんと唸ってから、
「その上野さんなんだけどね、色々と調べさせてもらった結果、存在しないんだよね。」
「どういうことです……??」
「あんな無気力だった松田くんが自ら誘って、今まで見た事ないくらい笑ってる姿を見たんだ、隣にいるのは引っ越してきたばかりの転校生。なにかあるんじゃないかなって、調べたんだ。結局、松田くんが能力者だってわかったあとは簡単だった。現実世界と超能力を比べたら、後者の方が勝るしね。」
「は、はあ、つまりどういう……?」
「作り話ってことだよ。上野光はこの世に存在しないんだ。もしくは、過去に存在していたものを時間移動させてこっちに持ってきている可能性もあるけど。」
「は……???」
相変わらず意味はよく分からない。だが、もしレンが犯人だとしたらその異常さはみてとれた。
上野光という人物はこの世に実在しないらしい。
「じゃ、じゃあ…なんで光ちゃんは、この世にいるんですか??」
「佐々木さんさ、再生技術って知ってる??」
「再生技術??」
「知らない?じゃあ能力者の勉強程度に聞いてて。」
「さっき僕が言った「再生技術」それは、死んだ人を生き返らせることができる、というものでね。やりかたも至ってシンプルで能力者なら誰でもできるって言われてるんだ。」
「それをレンがやったってことですか?」
「そう、現実世界には、なんら影響がないんだ、なんとでもなる。でもね、これには続きがあって。この能力って、亡くなった人に、一度だけまた命を宿すことができる素晴らしい能力なんだけど、犠牲がいるんだ。人1人に対して誰かが犠牲になる。つまり、替えがいるんだ。犠牲者は死んでしまうっていう、禁忌の能力でもある。」
「ということはその、再生技術ってやつで、ヒカルちゃんは生きてるってことです…?」
「たぶんね、じゃあもし仮に上野さんと仲の良い松田君が再生技術を活用していたとしたら、松田君は誰を犠牲にするのかなって考えた時にね、思ったんだ。
この前、齋藤君が倒れたでしょ、しかも、その日松田君は私用でお休みなわけ。」
サーッと血の気が引いた。まさか、まさか。
工藤先生はニヤリと笑う。
「信頼していた幼馴染同士、でも虐めのせいでその仲は引き裂かれてしまった。齋藤君は復縁しようと思ったけど、松田君は許さなかった、というか、今までの腹いせに禁忌を行った可能性は十分すぎるよね。」
やけに詳しいのも力のおかげだろう。
もしレンがユウリを使ったとしたら、結末はわかる。しかしメグは尋ねた。
「じゃあ、もしレンのやってる再生技術がこのまま行われたら…」
「きっと、齋藤君は犠牲になる、だから、はやく食い止めなきゃいけないんだよ。」
「…先生、私、ユウリが犠牲になるのなんて嫌です、どうすれば、どうすればユウリが死なずに済むんですか……?!」
まあまあとメグを宥める工藤。
「落ち着いて、焦ってもいい事ないから。とりあえず、僕の話を上野さんにしてもらってもいいかな、話をつけて欲しいんだ。」
「私が、ですか?」
「そう、同じクラスメイトとしてね、伝えて欲しいんだ、どれだけ松田くんが危険なことに手を出しているのか、ってね。上野さんは優しいから、大丈夫だと思うよ。松田君がでてきたら、僕もいくね。同じ能力者として、力を貸してほしい。」
深深と頭を下げ、頼んだと背中を押される。
どうなるかわからないが、やってみるしかない。そうじゃないと、ユウリは犠牲になってしまう。
「わかりました。やってみます。」
理科室を飛び出し、急ぎ足で向かう。レンとヒカルの靴が残っているのを確認し、学校中を探した。
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