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巻き戻した未来
しおりを挟むそこから、1時間ほど経っただろうか。
外は薄暗くなりつつあった。
目を覚ましたレンは起きるや否や、あたりをきょろきょろ見回す。
「先生はもういないよ。」
メグがそっと声をかける。
レンがメグとヒカルの顔を確認すると布団に顔を伏せた。
しばらくの沈黙。
メグが声をかけようとしたその時、口を開いたのはレンだった。
「…んで、ヒカルはどうすんの。戻んの、」
布団のなかからレンが尋ねる。
「レンくんは、いいの…?って、いいわけないか。」
「もうどうでもいいや。戻すなら戻すし。」
「…。」
すっかり冷たくなったレンにヒカルは口を噤む。レンは起き上がってメグに顔を向ける。
「迷惑かけてごめん。メグにとってユウリは大切だもんね。」
そんなレンの言葉にメグはうんうんと頷く。
「うん。大切だよ。」
「再生技術がどうとかこうとかは、オレが全部帳消しにしとくから、安心して。」
「うん、わかった。もう、なにも心配ないんだよね、ユウリも、レンも、ヒカルちゃんも。」
安心して。そんな言葉のあとにレンが微笑む。メグもつられて微笑んだ。
「じゃあね、ヒカルちゃん。お空でも、どうかお元気で。」
「ありがとう、メグちゃん。私、メグちゃんのこと、とってもあったかくて、大好きになっちゃった。もう離れちゃうの寂しいけど、空から見守ってるね。」
そういいながら、メグの手を握る。ほんのり温もりを感じる。いいにおいもした。手短に話にきりをつけ、メグは、レンとヒカルに手を振り、保健室をあとにした。
メグが去った後、しんとなる保健室。
保健の先生もいないらしく、この部屋には現在ヒカルとレンだけである。
「ごめんね、レンくん。」
「もういいってば。」
メグが去った途端ぼろぼろ涙を流してはじめたヒカルをぎゅっと抱きしめる。
ヒカルの手に手を重ねるとヒカルの体が瞬く間に光につつまれた。
「はい、じゃあもうここで片付けよっか、もうお別れにしよう。」
「うん、ほんとごめんね、でも、少しでもレンくんの支えになれたかな、なれてたらいいな。」
徐々にヒカルの体が薄れていく。
「うん、なれたよ。ありがとね。」
「よかった。じゃあねレンくん、ばいばい。」
「ばいばい…」
レンがその言葉を放ったときにはもうヒカルの姿はなかった。
帰る支度をして、すれ違いに保健室の先生にあいさつする。
外へ出る頃にはもう星があちらこちらに瞬いていた。
テレ×2テレパシー純愛
おわり。
next→??
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