臨時受付嬢の恋愛事情

永久(時永)めぐる

文字の大きさ
1 / 12
短編集

イブなのに!

しおりを挟む
 風邪をひきました。  
 よりにもよって、クリスマスイブに。和司さんと過ごす初めてのクリスマスイブに。

 何となく朝から喉がいがいがするなぁと思ってたんだけど、お昼をちょっとすぎたあたりでうっすらと寒気がしてきて。
 気のせい、気のせいと思ってたら、勘の鋭い和司さんにばれた。

「ちょっとひたい貸して」

 強引に引き寄せられて、彼の顔がどんどん迫ってくる。ちょっと待って、と言う間すらなくて、ひたいとひたいが合わさる。

「じっとして! ――ん。ちょっと高い、かな? 微熱ありそう」
「全然元気で……」
「嘘だ」

 弁解の言葉は途中で遮られた。なんで嘘だって言い切れるんだろう?

「そう言えば時々喉の辺りをさすってたよね。朝から喉が痛かったんでしょ」

 和司さんはそう言いきった。さすってた覚えはないけど、痛かったのは事実だ。図星を指されて黙り込んだ私を、彼は怒った顔で覗き込む。

「ゆ、き、の? ……じゃあ答えなくていいよ。口、開けて」
「えっ? な、何ですか、いきなり!」
「良いから、口開けて」

 こんな往来でですか? が急に立ち止まった私たちを、道行く人が迷惑そうにチラ見していくこの状況で……ですか?

「急になに言いだすんですか。嫌です!」

 そっぽを向いて抵抗した私に、和司さんが深々とため息をついた。呆れられちゃったかな? 不安に思ってちらっと彼のほうを見たら……すぐそばに彼の顔がありました。触れるぐらい近くて

「うわ!?」

 って色気のいの字もない奇声を発しながら、素で驚いた。心臓に悪い。

「予定変更。今からドラッグストアへ行きます。異議は受け付けない」

 強引に腕を引っ張られて、一路ドラッグストアへ。
 買い物かごに、体温計やら水枕やらをぽいぽいと放りこむ彼。

「ねぇ、雪乃がいつも使ってる風邪薬やのど飴教えて」
「ビタミン剤いる? 栄養ドリンクは? この濡れてるマスクって喉に良さそうじゃない?」

 色々と気を使ってくれるんだけど、私はかごに次々と放りこまれる商品の、その品数の多さにびっくりですよ。一体いくら買うつもりなの!?

「スポーツドリンクはこれでいい? お粥なら食べれる? あ、野菜ジュースは?」

 いやいや、そんなに要りません。お粥なら自分で作れます。って言うか……

「寝込むほどじゃないですから!」
「ダメ。こういう時の雪乃ほど信じられないものはないからね」

 でもでもでも! 本当に大したことないのになぁ。せっかくのクリスマスイブを寝て過ごすなんて嫌だ。
 ――和司さんと寄り添って、お喋りしながら、静かに夕食を……って楽しみにしてたのに。
 しょんぼりする私の頭を、和司さんが小突いた。

「ほら。会計して帰るよ? 先に車に戻ってる?」

 私は首を横に振って、和司さんのコートの裾を掴んだ。彼は困ったような顔でちょっと笑った。



 しんと静まった寝室で私はひとり横になっていた。
 遠くから買って来たものを片付けている物音が聞こえる。和司さんに任せきりで申し訳ない気分になる。けど、ここで起き出したらものすごく怒られそうなので、落ち着かない気持ちを抱えながら、天井を眺めたり窓の外を眺めたりしている。
 抜けるような青空が見える。冬の青空は、なんだかあっけらかんと明るくて大好きだ。個人的にはホワイトクリスマスより、このほうがずっといいと思っている。
 ああ。やっぱり喉、痛いなぁ……。そう思いながら目を閉じたら、控え目なノックと、私の名前を呼ぶ小さな声が聞こえた。
 きっと、私が寝ていた場合のことを考えてくれてのことだろう。

「はーい」

 掠れた声にならなくて良かった。

「ホットミルク作って来たよ」

 え? お茶は完璧に淹れられるのに何故か料理苦手で、目玉焼きを爆発させる和司さんが!? ホットミルク? 

「爆発……しなかったんですね、牛乳」

 つい本音が漏れた。
 和司さんがむっとしたように眉を吊り上げて、唇を尖らせた。

「俺だって進化してんの」

 そこは進化じゃなくて進歩じゃないのかな。なんて思ったけど、今度は黙っておいた。……なんて思うのには、照れ隠しの意味も含まれている。
 素直に喜べない自分の子どもっぽさが恥ずかしい。
 手渡されたホットミルクには蜂蜜が入っていて、甘くて美味しい。ふうふうと冷ましながらゆっくり飲む私の横で、和司さんはブラックコーヒーを飲む。
 ベッドの端に腰を下ろした彼は、静かな目で窓の外を眺めている。私も彼に倣うように外を見る。
 葉を落とした枝が、冷たい北風にゆらりゆらりと身を揺らしている。寒そうな光景を温かい場所から眺める。それは贅沢なことだ。ぼんやりと考えているうちに、ホットミルクはなくなっていた。

「ごちそうさまでした」

 なんだか飲み終わるのが勿体ないくらい、優しくて静かな時間だった。

「お粗末さまでした。――じゃあ良い子で寝てて?」

 ベッドから彼の重みが消えた。それが無性に寂しい。具合が悪くなるとどうしてこう人恋しくなっちゃうんだろう。うつしたら大変。本当なら早く部屋を出て貰って、出来るだけ私に近づかないで欲しいって言わなきゃいけないのに。

「雪乃?」

 困ったような彼の視線の先を辿ると……。私、しっかり彼のシャツの裾を掴んでました。

「あ。ごめんなさい!」

 慌てて手を離した。やだ、私ってば何やってるんだろ。いつもはこんなことしないのに、今日に限って二回も!! 寂しいって思ったけど、ちょっとこれは子供みたいで恥ずかしい。

「構わないよ。ちょっとこれだけ置いてくるから待ってて」

 和司さんはマグカップを持って出て行った。そしてすぐにまた戻ってくると、私の横に潜り込む。
 ふかふかのベッドが和司さんの重みで沈んで、そちら側に私の体も転がる。

「うつっちゃいますよ!?」

 咎めても、良いから良いからと言うだけで取り合ってくれない。

「ダメです!」

 言いながら和司さんと反対方向に体を向ける。少しでも私の息がかからないように。なのに! な の に ! あろうことか和司さんは後ろから、私をぎゅっと抱きすくめてきた。
 だから! 近づいちゃ駄目だって言ってるのに。
 もう一度注意しようとした私の耳の傍で、囁いた。

「俺、丈夫だからさ。風邪になんか負けないし。まぁ雪乃の風邪なら喜んで貰いたいんだけどね。っていうか、雪乃が他のやつに風邪うつしたらそれはそれで腹立たしい」

 腹立たしいってなに!?

「さっき買ってもらったマスクつけますから、ちょっと離して下さい」

 彼の言うことがよく分からなかったけれど、どことなく不穏な気がしたので、私は慌てて話題を変えたのだけれど……
 彼の腕が阻むので体が起こせず、サイドテーブルに置いてあったマスクが取れない。

「和司さん! これじゃ、起きられな……」
「起きる必要ないよ。はい、どーぞ」

 途端、ミントの良い匂いが漂った。片手で器用にマスクをつけてくれた和司さんは、私が暴れて少しずれた掛け布団を元のように戻してくれる。

「少し眠ったほうがいいよ」

 背中から感じる和司さんの大きな体と熱が心地いい。
 こんな昼間から眠れないと思ってたのに、安心からかゆるゆると眠気が襲ってくる。

「――ん……。和司さん……。一緒にいてくださいね……」

 意識がはっきりしてたら言わないことを、夢うつつの私はつい口に出していた。甘え過ぎで恥ずかしい、なんて思う気持ちはもうどこかに行っててる。
 後ろからふっと笑う気配がした。

「そばに、いるよ。だから安心して寝ると良い。起きたらきっとだいぶ良くなってるよ。――おやすみ」

 おやすみって返事を返す気力はなくて。そのまま眠りに落ちた。



**********

 「おやすみ」

 そう言うと、雪乃は幸せそうに笑って眠りに落ちた。
 それを確かめたうえで、俺は彼女の髪をゆっくりと撫でた。さらりとした細い髪が、指の間を零れた。
 『せっかくのクリスマスなのに……』って雪乃は落ち込むけどね。実は俺にとってはそんなことどうでもいい。
 無理をして元気に振る舞う雪乃とクリスマスを祝うより、こうしてのんびりしていたほうが俺は幸せなんだ。――そう言っても、彼女は俺が無理しているとしか考えてくれないんだろうけどな。
 意地っ張りで、頑固で、思い込みが激しくて、ドジで……って言うと、なんだか嫌な女みたいに聞こえるかも知れないけど、雪乃は可愛い。それが惚れた欲目だとしても、そうじゃないとしても、どうでもいい。
 俺は彼女の体を抱き直した。 小さな体は、微熱を発しているんだろう、いつもよりも暖かい。彼女の向こうに見える窓からは快晴の空と、葉を無くした枝が見える。
 ゆらゆらと揺れるそのこずえを眺めているうちに、俺も段々と眠くなってきた。

 こんなクリスマスがあっても良いじゃないか。
 次に目を覚ました頃、彼女は元気になっているかもしれない。そうしたら二人でのんびりと食事をしよう。
 雪乃は料理をしたがってたけれど、こんな日まで雪乃に料理をさせっぱなしと言うのは、ね。そう思って出来合いの物をある程度買ってきているから、俺でも用意ぐらいは出来る。足りなければ買い足しに行ったって良いしな。
 つらつらと考えていたら、いつの間にか俺も眠りに落ちていた。



**********

 目を覚ますと、だいぶ日が暮れていた。けれどこの時期にまだ真っ暗じゃないなら、それほど遅い時間じゃないはず。
 隣にいたはずの和司さんは見当たらなくて、なんとなく寂しい気分で寝がえりを打った。
 喉の痛みは相変わらずだったけれど、寒気もだるさも、関節の痛みもなくなっていた。私はのろのろと起き上がってリビングに向かう。明かりはついていたけれど、誰もいない。テーブルの上に一枚のメモがぽつんと置かれていた。

『雪乃へ 足りないものを買いに行ってくる。何かあったら連絡して 和司』

 いつ出てったのかな? もうそろそろ帰ってくるのかな? そんな気持ちを持て余しながら、寝室に戻って布団を被る。和司さんのいない部屋は広くて……寂しい。
 団子虫みたいに丸まって布団に潜る。小さい頃、拗ねた時によくこんな格好したなぁ。懐かしい。
 そんな格好でじっとしてると、すぐに玄関の鍵が回る音が微かに聞こえた。それから近づいてくる足音。床に置かれるレジ袋のがさりという音。

「雪乃? 起きてる?」

 置いてきぼりが悔しくて、返事はしなかった。
 すると、いったん遠ざかる足音が聞こえて、また戻ってくる。
 今度はノックも無しにドアが開いた音。

「雪乃、起きてんだろ? って! 何その格好!」

 吹き出す声が聞こえた。何って拗ねてるんですが! 理不尽だって分かってますけど、拗ねずにはいられないんですっ。

「どう? 具合よくなった?」

 笑いを堪えているような口調だ。ベッドに重みが加わったから、きっと腰をかけたんだろう。

「一度起きたんでしょ。具合どう? 辛い?」

 丸くなった私の背を、布団の上からぽんぽんと叩く。
 具合はかなり良くなったし、辛くはない。ただ拗ねてるだけです。もぞりと動いたら、思いっきり布団を剥がれた。

「何してるの、雪乃」
「……拗ねてます」

 我ながら子供っぽいと思うんですけど。

「何で?」
「秘密です」

 秘密って何だよ! って突っ込まれたり、問い詰められたりして、結局白状しました。目が覚めたら一人ぼっちで、それがすごく寂しかったからだって。
 からかわれるかと思ったら、予想に反してぎゅーっと抱き締められた。やっぱり和司さんの思考は良く分からない。こんな子供っぽいことして喜ばれるなんて。てっきり叱られると思ったのに。

 用意が遅れた分、ちょっとだけ夕食の時間も遅れたけど、それでも楽しいクリスマスイブだった。
 初めて二人で過ごすクリスマスだからって張り切ってたけど、実はそんなに気合い入れる必要なんてなかったんだね。
 和司さんがいてくれれば、それだけでいいんだ。

 翌日には私もすっかり回復していて、そして結局和司さんにはうつらなかった。
 丈夫さには自信があるって言ってたけど、私はうつしちゃったんじゃないかって不安だったのでホッとした。
 和司さんはちょっと不満そうにしてたので、元気が一番だと思う、と言ったら

「雪乃は分かってないなぁ」

 と呆れたように肩をすくめられてしまった。






-----------------
2016.8.12 再掲載にあたり加筆修正を加えました。

初出:2012.12.24
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました

由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。 ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。 遠い存在になったはずの彼。 けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。 冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。

身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~

椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」 私を脅して、別れを決断させた彼の両親。 彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。 私とは住む世界が違った…… 別れを命じられ、私の恋が終わった。 叶わない身分差の恋だったはずが―― ※R-15くらいなので※マークはありません。 ※視点切り替えあり。 ※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

夫に捨てられた私は冷酷公爵と再婚しました

香木陽灯
恋愛
 伯爵夫人のマリアーヌは「夜を共に過ごす気にならない」と突然夫に告げられ、わずか五ヶ月で離縁することとなる。  これまで女癖の悪い夫に何度も不倫されても、役立たずと貶されても、文句ひとつ言わず彼を支えてきた。だがその苦労は報われることはなかった。  実家に帰っても父から不当な扱いを受けるマリアーヌ。気分転換に繰り出した街で倒れていた貴族の男性と出会い、彼を助ける。 「離縁したばかり? それは相手の見る目がなかっただけだ。良かったじゃないか。君はもう自由だ」 「自由……」  もう自由なのだとマリアーヌが気づいた矢先、両親と元夫の策略によって再婚を強いられる。相手は婚約者が逃げ出すことで有名な冷酷公爵だった。  ところが冷酷公爵と会ってみると、以前助けた男性だったのだ。  再婚を受け入れたマリアーヌは、公爵と少しずつ仲良くなっていく。  ところが公爵は王命を受け内密に仕事をしているようで……。  一方の元夫は、財政難に陥っていた。 「頼む、助けてくれ! お前は俺に恩があるだろう?」  元夫の悲痛な叫びに、マリアーヌはにっこりと微笑んだ。 「なぜかしら? 貴方を助ける気になりませんの」 ※ふんわり設定です

記憶をなくしても君は忘れない

水城ひさぎ
恋愛
本田光莉(ほんだひかり)、アメリカ・ロサンゼルス在住フォトグラファー、28歳。光莉には、松村理乃(まつむらりの)という同い年の異母姉がいる。行方不明になった理乃を探すため、日本へやってきた光莉は、高校時代の元カレ、月島拓海(つきしまたくみ)と再会する。しかし、彼は高校時代以降の記憶を喪失していた……。

皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる

若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ! 数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。 跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。 両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。 ――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう! エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。 彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。 ――結婚の約束、しただろう? 昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。 (わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?) 記憶がない。記憶にない。 姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない! 都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。 若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。 後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。 (そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?) ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。 エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。 だから。 この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し? 弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに? ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。

完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす

小木楓
恋愛
完結しました✨ タグ&あらすじ変更しました。 略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。 「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」 「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」 大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。 しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。 強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。 夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。 恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……? 「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」 逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。 それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。 「一生、私の腕の中で溺れていろ」 守るために壊し、愛するために縛る。 冷酷な仮面の下に隠された、 一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。 ★最後は極上のハッピーエンドです。 ※AI画像を使用しています。

看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎ 倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。 栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。 「責任、取って?」 噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。 手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。 けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。 看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。 それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。

処理中です...