6 / 35
6【花沢家集合】
しおりを挟む
フェルゼンは、
「すぐに終わるので、ぜひ、母上も来てほしい」
と、パーティーのホストであるハルキア王后も連れて、
王族が親類に会う時だけに使うというプライベートなリビングに案内された。
より近くで会話が出来るようにと、国王陛下が使うものでは一番狭いリビングだ。
室内は人払いがされていて、従者も護衛もいなかった。
そこには、フェルゼンと同じ、紺色の髪を長く伸ばして束ねた金色の瞳の男性が立っていた。
王冠は被っていないけれど、王冠を被った肖像画はここの途中にも掲げられていたので、この方が ピソーラ ハルキア国王なのだわ。
でも、もしかして、と私が国王様の隣に立っているそっくりなフェルゼンの方をちらりと見ると、彼は大きく頷いた。
そして国王陛下をもう一度見ると左手の手袋を外して右胸を抑えていた。
ピソーラ王は私に向かってにっこり微笑む。微笑みながら右手の人差し指で頬を少し掻いている。
この笑い方はやっぱりあの子だわ!
そして、図書館では我慢したけれど、お母様許してください。
私はすこし声がかすれていたかもしれないけれど、一言お願いする。
「あの、ハルキア王后、それにお母様、今ここで目にすることはできたら覚えないでいてほしいです」
「「え?」」
呆気に取られている二人の王后を尻目に、私は二人に掛け寄っていく。手袋を外しながら。
「健一!太一!」
「豊子!」
「母さん!」
あああーっ
わーん
私たちは再び左手を重ねた。
下からフェルゼンの手が、そして上からはハルキア国王の手が重なる。
でも私には健一と太一の手だった。
そして右手で抱擁を。まるで三人で円陣を組んでいるみたいだった。身長はかなりデコボコしているけれど。
傍らに二人の王后がいるのに。私はかつての家族の存在を確かめるのに夢中だった。
二人の王后はさぞかしびっくりしただろう。
それでも私たちは抱擁をやめる事が出来なかった。
だって、本当に愛する家族だったんだもの。
健一とは高校生の時に告白されてからのお付き合いだったし、太一は里子を求めて施設を訪れた時に、健一と二人で、この子しかいないよねって直感がぴったり合って決まったんだもの。
運命って何度もめぐるのよ。自分でもびっくりするわ。
「すぐに終わるので、ぜひ、母上も来てほしい」
と、パーティーのホストであるハルキア王后も連れて、
王族が親類に会う時だけに使うというプライベートなリビングに案内された。
より近くで会話が出来るようにと、国王陛下が使うものでは一番狭いリビングだ。
室内は人払いがされていて、従者も護衛もいなかった。
そこには、フェルゼンと同じ、紺色の髪を長く伸ばして束ねた金色の瞳の男性が立っていた。
王冠は被っていないけれど、王冠を被った肖像画はここの途中にも掲げられていたので、この方が ピソーラ ハルキア国王なのだわ。
でも、もしかして、と私が国王様の隣に立っているそっくりなフェルゼンの方をちらりと見ると、彼は大きく頷いた。
そして国王陛下をもう一度見ると左手の手袋を外して右胸を抑えていた。
ピソーラ王は私に向かってにっこり微笑む。微笑みながら右手の人差し指で頬を少し掻いている。
この笑い方はやっぱりあの子だわ!
そして、図書館では我慢したけれど、お母様許してください。
私はすこし声がかすれていたかもしれないけれど、一言お願いする。
「あの、ハルキア王后、それにお母様、今ここで目にすることはできたら覚えないでいてほしいです」
「「え?」」
呆気に取られている二人の王后を尻目に、私は二人に掛け寄っていく。手袋を外しながら。
「健一!太一!」
「豊子!」
「母さん!」
あああーっ
わーん
私たちは再び左手を重ねた。
下からフェルゼンの手が、そして上からはハルキア国王の手が重なる。
でも私には健一と太一の手だった。
そして右手で抱擁を。まるで三人で円陣を組んでいるみたいだった。身長はかなりデコボコしているけれど。
傍らに二人の王后がいるのに。私はかつての家族の存在を確かめるのに夢中だった。
二人の王后はさぞかしびっくりしただろう。
それでも私たちは抱擁をやめる事が出来なかった。
だって、本当に愛する家族だったんだもの。
健一とは高校生の時に告白されてからのお付き合いだったし、太一は里子を求めて施設を訪れた時に、健一と二人で、この子しかいないよねって直感がぴったり合って決まったんだもの。
運命って何度もめぐるのよ。自分でもびっくりするわ。
41
あなたにおすすめの小説
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)
ラララキヲ
ファンタジー
乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。
……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。
でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。
ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」
『見えない何か』に襲われるヒロインは────
※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※
※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※
◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした
ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!?
容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。
「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」
ところが。
ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。
無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!?
でも、よく考えたら――
私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに)
お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。
これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。
じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――!
本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。
アイデア提供者:ゆう(YuFidi)
URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる