催眠魔術師の性奴隷調教記 ~生意気剣聖少女やドM王女と、濡れ衣を着せた元パーティーメンバーを堕としにいく~

匿名

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バンティア男爵家(リン実家)編

真相と決断(リン視点)

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 翌日、あたしたちはそしらぬ顔で「通りすがりの冒険者」としてバンティア家に入った。正直、内心色々と思うところはあったけど、もしもギルムという人物が父の死に絡んでいるのであれば許してはおけない、という点ではアレンと同じ考えだった。

 父は典型的な貴族家の当主のような人物で、女子であるあたしとはあまり接点がなかったし、あたしが剣の練習をしているところを見て怒られることもあったのであまり好きではなかった。死んだと聞いたときも、衝撃は受けたがそこまで悲しくはなかった。
 だが、だからといって殺した人を許せるはずはない。

 家に入ったあたしたちだったけど、当然冒険者が偉い人に会える訳もなく、しかも屋敷の中にはゴメスが新しく雇ったと思われるガラの悪い家来ばかりになっていたため、知り合いに気づかれることはなかった。
 そのため、あたしたちは唯一この家ともギルムとも関係ないティアが情報収集している間他の雇われ冒険者たちと一緒に待たされていた。一応他の人にも話を聞いてはみたけど、雇われである彼らも当然詳しいことは知らない。

 そんなことをしているうちに夜になり、あたしたちは寝室に案内される。
 その時だった。

 ふと、歩いているあたしの前に人影が現れる。
 誰かと思えば……ゴメスだった。
 その獲物を見るような目つきにあたしは思わず身構えてしまう。

「冒険者の中に美しい女がいると聞いて見にきてみれば、お前はただの冒険者の割にはあいつに似ているな。全く、この俺から逃げて出ていくなんて、とんだじゃじゃ馬だったぜ」
「……」

 そう言って彼はあたしに好色の目を向ける。
 しばらく見ないうちにゴメスは体格が良くなり、貫禄のようなものも備わっていた。もっとも、それがいい貫禄かどうかは微妙だが。

 あたしは反射的に後ずさり、剣に手をかける。
 するとゴメスの目がきらりと光った。

「その身のこなし……お前もしかして……本物のリンか?」

 しまった、と思ったがもう遅い。
 そしてゴメスに本人だと打ち明けたところであたしにとって何かいいことがあるとは思えない。

「……」

 あたしが沈黙していると、ゴメスはじろじろとこちらを見てくる。
 そしてさらに何かに気づいたように言った。

「お前、もしかして何か魔法にかかっているな? そうか、もしかして悪い魔法使いにたぶらかされて家を出たのか」

 そう言えばゴメスは性格は悪かったが、魔術の腕に関してはそれなりだった気がする。だからあたしが魔法をかけられているのも分かるのもかもしれない。

「……解けるの?」

 もし魔法が解けるのであれば。
 あたしはそんな期待を胸に抱きつつ、尋ねる。
 するとゴメスは頷いた。

「もちろんだ。まさかこんなところで再会できるとはな! とはいえこりゃすげえな、何重にも強固に重ねがけがされている……。ちょっとやそっとじゃ解けないだろうが……」

 そう言ってゴメスはしばらくあたしにかけられている魔法を感心しながら分析していたが、やがてあたしに手を伸ばしてきたのであたしは反射的にそれを避ける。
 するとゴメスは舌打ちした。

「ちっ、どこの男か知らないが他の男を避けるように躾けているのか。面倒だな」

 いや、あんたを避けているのは催眠にかかる前からだけど……と思いつつ、あたしが彼を避けているのを催眠のおかげと思ってくれた方が都合がいいかもしれない。

「“ディスペル”」

 彼が魔法を唱えるとあたしにかかっている魔法が幾分か解けたような気がする。
 そうすると、あたしに刻まれていたアレンへの好意がみるみる薄くなっていった。このまま魔法だけ解かせて、そしたらあたしはこいつの元からもアレンの元からも逃げて、今度こそ悪い人に騙されないように自由な人生を送ろう。

 あたしはそう決意する。

「……すごい」

 あたしが言うと、ゴメスが再びあたしの胸を触ろうとするのであたしはそれを避ける。するとゴメスは不快そうに鼻を鳴らした。

「まだ完全には解けないか。まあいい、そういうことならこっちもちゃんと魔法を使うために準備するからお前は寝ろ。別の部屋を用意させておく」
「……どうも」

 そう言ってその日は個室に通されたのだった。


「すみません、少しだけよろしいでしょうか?」
「え?」

 翌日、なぜか部屋の窓の外から声がする。
 あたしの元にやってきたのは一人の執事だった。彼は元々あたしを世話してくれていた人物で、剣を教えてくれたのも彼だ。少し見ないうちに老けていたが、なぜそんなところから。

「お嬢様……本当にお帰りになっていたとは!」
「色々と事情があって……。でも一体ここはどうなっているの? どうしてそんなところから?」
「それは……」

 そう言って家臣は目を伏せる。

「大方、察しはついているから気は使わなくていいわ」
「分かりました。でしたら……」

 が、家臣が語ったことはあたしの予想の遥か上を行くことだった。

「実は先日、男爵様とゴメス様がいさかいを起こされまして……。その折に男爵様はゴメス様の家臣数名に彼の日頃の行状を問い詰めたのですが、その折に兄上様の死がゴメス様の命令であると言うものがおりまして……」
「え?」

 その言葉にあたしの目の前が真っ暗になった。
 兄は戦場で名誉の戦死を遂げたと聞いている。
 それが嘘だったなんて……

「当然それを知った男爵様はゴメス様を問い詰め、恐らくそれは真実だったのでしょう、ゴメス様は冒険者を雇って男爵様を暗殺したのです」
「なんと……もしやあのギルムという人物が……」
「確証はありませんが、恐らくそうでしょう」

 彼の言葉を、あたしはすぐには理解が出来なかった。
 とはいえ、もしそれが真実でないのなら、ゴメスはこんなことをする必要はなかったはずだ。何せ放っておけばいずれは家が継げるのだから。
 それに、彼とは古い付き合いだから彼の言葉は信用出来る。

「で、でもそれなら何で彼の悪事が見過ごされているの!?」
「今言ったことは全て状況証拠というのが一つ。もう一つが、これまでゴメス様は周到にこの家の継承権を持つ男性を遠ざけてきたのです」

 そう言って彼は親族が教会に入れられたり、他家の養子に出されたりしたことを語る。

「そして今、この家はゴメスが集めた傭兵や冒険者たちが溢れています。恐らくは全て、当主の座を手に入れるために仕組まれたことかと」
「そんな……」

 それを聞いてあたしは頭がくらくらした。
 いけすかないやつだとは思っていたけど、まさかゴメスがそこまでしていたなんて……そんなやつにあたしは魔法を解いてもらおうとしていたのか。
 もはや魔法を解いてどこかに逃げようなんていう考えはきれいさっぱりなくなっていた。
 兄を殺したのがゴメスだと分かれば、絶対にゴメスを許すことは出来ない。

「すみません、戻ってきたばかりでこのようなことを言ってしまって。とはいえ私は屋敷に入ることをゴメス様に禁じられた身です。それでは」

 そう言って彼は身を潜めるようにして姿を消す。
 それと入れ替わるようにして部屋のドアがノックされた。

「リン、魔法を解く準備をしてきたぞ」
「……どうぞ」

 あたしは覚悟を決めてそう言う。
 するとドアが開いて、宝石や呪符をたくさん持ったゴメスが室内に入ってきた。向こうはこちらがあんなことを知っているとも知らず、油断しているし、周りには誰もいない。
 やるなら今しかない。

「あの、その前に一つだけ聞きたいことがあるんだけど」
「何だ?」
「お兄ちゃんを殺したのはあんたの差し金?」

 あたしの問いに、一瞬ゴメスの表情が凍り付く。
 まさか彼もあたしがすでにそのことを知っているとは思わなかったらしい。
 あたしにとってはその一瞬の反応だけで十分だった。
 すぐに剣を抜くと、ゴメスに斬りかかる。

「喰らえっ」
「ヒール!」

 咄嗟にゴメスが唱えたのは一番初歩的な魔法だった。

「ぐわっ」

 あたしの剣はゴメスの肩の辺りを切り裂いたが、血が出たそばから治癒していく。ゴメスは肩を抑えてよろよろと後退した。
 そして激しくあたしを睨みつける。

「くそ……屋敷は俺に忠誠を誓う者で固めていたはずなのに、一体なぜ……」
「うるさいっ、ここで死ねっ」

 あたしは今度こそ心臓を一突きにすべく剣を突き出す。
 が。

「バリア!」

 ゴメスが持っていた宝石や呪符はどれも魔力を強化するものであり、とっさに唱えた初歩的な魔法だというのにゴメスのバリアは歴戦の魔術師のように強固だった。
 ガキン、と鈍い音がしてバリアが割れるが、あたしの剣はそこで止まる。

「くそっ!」

 そう言ってゴメスはその間に部屋を走り出た。

「悲鳴が聞こえたぞ!」
「何があった!?」

 そこへすぐに異変を察知した人々が廊下を走って部屋に駆け付ける。この状態でゴメスを追えばすぐにあたしが犯人だと分かってしまうだろう。
 そう思ったあたしは仕方なく窓から部屋を脱出した。



「はぁ、はぁ、はぁ……」

 どうにか逃げることは出来たけど、真実を知ったことへの衝撃、渾身の殺意をこめた攻撃をゴメスに防がれたことへの落胆であたしはひどく憔悴していた。
 今頃ゴメスはどうしているだろうか。
 あたしの仲間であるアレンたちを尋問でもしているのだろうか。いや、あたしに催眠魔法をかけていることを知った以上、グルだとは思わないか。

 この後、屋敷はどうなるだろう。
 希望的な観測を言えば、アレンたちがギルムに復讐する過程で、ゴメスも殺されるかもしれない。
 でも、アレンたちはギルムを倒すことだけに専念して、ゴメスは放置するかもしれない。

 もしゴメスたちと戦うことになったとしても、ゴメスの魔法によりみなの催眠が解除されて大変なことになるかもしれない。
 本来ならあんな汚らわしい魔法が解けることは嬉しいはずだけど、それでゴメスが勝つのだけは嫌だ。

 確実にゴメスを殺すためには、アレンの元に戻らなければならない。
 でも、そうすればあたしが一度逃げようとしたことを話さなければならないし、そうなれば彼は何をするか分かったものじゃない。
 これまで彼にされてきた数々の調教が脳をよぎり、あたしは思わずどきりとしてしまう。それと同時にあそこがきゅんとうずくのを感じた。

「あんなの絶対嫌だったのに……」

 気が付くとあたしは右手がスカートの中に伸びていたことに気づき、慌てて引っ込める。
 やっぱり何重にもかけられた催眠は完全には解けていないらしい。

 別にあの生活に戻りたい訳じゃないけど……それは断じて嫌だけど……ゴメスがのうのうと生きながらえることに比べれば、自分が多少の恥辱を与えられることの方がよっぽどましだ。

 復讐が果たせるのならば一生性奴隷として扱われてもいい。
 そう決めたあたしは再び屋敷に戻るのだった。
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