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バンティア男爵家(リン実家)編
リンの決意
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「え、リンが別室に?」
翌朝、俺はそれを聞いて胸騒ぎがした。俺にそれを教えてくれたのはティアだった。彼女も少し浮かない様子で言う。
「はい、どうも昨夜この家の方の目に留まったようで」
「そうか……」
もちろんリンの正体がバレないよう、俺はそれとなくリンがこの家の偉い人とは会わないようにしていたのだが、どこかでバレてしまったのだろうか。
それに、話を聞く限りリンはこの家の人、特にゴメスとは仲が悪かったようだ。だから余計に油断していたが、そうでもなかったということだろうか。
ちなみに昨日この家の事情を調べたところ、ゴメスという人物が男爵を暗殺させたのは状況証拠的にはほぼ確実。そして男爵の家臣の中で自分に従わない者たちに「男爵暗殺」の容疑をかけて殺したり追い出したりしたという。
そんなに人望がある訳でもないゴメスがどうやってそれを成し遂げたかというと、そこで活躍したのがギルムだったという訳らしい。
二人が繋がっているとすると面倒だが、ミリアやセシルを使ってギルムだけを呼び出すことは出来るかもしれないし、逆に俺たちがゴメスに気に入られてギルムの悪事を訴えるという方法もあるかもしれない。
どうしようかと考えた矢先の出来事に困惑した。
が。
「大変だ! リンお嬢様がゴメス様に斬りかかったらしい!」
「何だと!?」
「やっぱりリンお嬢様もゴメス様が男爵を殺したと思ったに違いない」
「またひと悶着あるのか!?」
「どうせならそのまま殺してくれれば良かったのに……」
「そんなことゴメスに訊かれたら大変なことになるぞ!」
突然屋敷の中が蜂の巣をつついたように騒がしくなる。
「おい、一体何があった!?」
俺は使用人たちに手あたり次第問い詰めたが、どうもリンがゴメスに斬りつけて逃げたらしいということしか分からない。
そんなときだった。
俺たちが滞在している部屋の窓が突然叩かれる。
そこには思いつめた表情のリンが立っていた。
「リン?」
「ごめんなさい」
何で謝るんだ、と思ったが俺はすぐに気づく。
リンにかけていた催眠が大幅に解けていることに。そう言えばゴメスには魔術の心得があったし、ここはリンにとって生まれた家。そこにいれば元の自分を取り戻しやすくなる。それで魔法が解けてしまったのだろうか。
「じゃあ一体何で……」
「内密で話をさせて欲しい」
「あ、ああ」
思いつめた表情のリンに俺は頷く。
リンが窓から入ってくると、一応部屋に人避けの結界をはり、さらに
「セシルは外の見張りを頼む」
と感覚が鋭いセシルに見張りを命じる。
「分かった」
そう言ってセシルは部屋の外に出た。
改めてリンは部屋に入ってくると、申し訳なさそうに床に膝をつく。
「まずは勝手に催眠を解除して逃げようとしてしまってごめんなさい。その上で聞いて欲しい話があるの」
本来で言えば、俺にかけられたような催眠は解除して逃げようと思って当然のもののはずだ。しかもリンと言えば本当はこの中で一番俺のことを嫌っていたと言っても過言ではない。
とはいえ、俺はそんな驚きを隠して険しい表情を作る。
「どうやら勝手にこの家の娘に戻ろうとしていたようだな」
「いえ、それは違う。もし魔法が解けたらこんな家は捨てて逃げるつもりだった」
「確かにそうか。じゃあ望みがかなったはずなのになぜ戻ってきたんだ?」
「実は……」
そう言ってリンは自分の兄が実はゴメスの陰謀により死んだこと、父である男爵が殺されたのもそれを見破ったせいだということを知る。
まさかそのようなことになっていたとは思わず俺は驚いてしまう。
聞いていたティアやミリアも予想外のことに息を呑んだ。
「……という訳であなたにはギルムだけでなくゴメスも殺して欲しい。もちろん一度逃げようとしたのに虫がいいことは分かってる! だからこれからは何でも言うことを聞くし、エッチなこともするし、どんな催眠にでもかかれと言われたらかかるから……」
そう言ってリンは震える手つきで自分のスカートをめくり、胸元のボタンを開けてみせる。彼女の大きなふくらみを包むブラと、パンツが露わになる。
おそらく彼女なりに俺に許しを請うにはどうすればいいかを一生懸命考えた結果がこれなのだろう。
普段は強気なリンの必死な頼みに思わず心を動かされてしまう。
部外者である俺ですらゴメスのやり方は信じられないようなことだったから、肉親を殺されたリンにとっては格別なのだろう。
屋敷内の反応を見ている限り仮に俺がリンの頼みでゴメスを殺しても正統性は主張できそうだ。
「……分かった。とはいえ一度催眠を解いたんだ。そのことについてのけじめはつけてもらおう」
「ありがとう」
俺の言葉にリンは安堵したように礼を言う。
本来ならここまでしてくれているリンを今すぐにでも犯してやりたいところなのだが、ことをなすなら早い方がいい。
「気持ちは分かった。いったん服はちゃんと着てくれ」
俺の言葉にリンはほっとした様子で服の乱れを直す。
「それで、ゴメスを倒す当てはあるのか?」
「当てというほどでもないけど、あたしが案内すれば彼の部屋まで行くことはたやすいと思う。仮に護衛がいても、あたしが説得する」
確かに、わざわざ冒険者を募集するぐらいだからゴメスに従っている家来はあまり多くないか。しぶしぶ従っているこの家の者たちは、リンがゴメスを倒すと言えば少なくともゴメスに味方することはしないだろう。
そうなればゴメスに味方するのは数少ない腹心と雇った冒険者だけとなる。
「……分かった。それならば早い方がいいな」
「ありがとう」
リンは重ね重ね礼を言う。
「ティアは問題ないだろうが、ミリアも、ギルムと戦うことにためらいはないな?」
「はい。アレン様と出会う前に彼のきたならしい物で危うく傷物にされるところでした。そのことは今思い出しても許せません!」
ミリアはミリアで敵意をむき出しにしている。
「セシル!」
「何?」
俺はセシルを呼び戻すと事情をかいつまんで説明する。
「色々あってゴメスとギルムを倒すことになったが、躊躇はないな?」
「もちろん、あいつめっ、よくも私を置いていきやがって……」
ギルムの名前を聞くと彼女も憎しみの炎を燃やしている。
セシルはあれ意味俺よりもギルムに対して敵意を抱いているのかもしれない。
そんな訳で俺たちは屋敷の中心にあるゴメスの部屋に向かうのだった。
翌朝、俺はそれを聞いて胸騒ぎがした。俺にそれを教えてくれたのはティアだった。彼女も少し浮かない様子で言う。
「はい、どうも昨夜この家の方の目に留まったようで」
「そうか……」
もちろんリンの正体がバレないよう、俺はそれとなくリンがこの家の偉い人とは会わないようにしていたのだが、どこかでバレてしまったのだろうか。
それに、話を聞く限りリンはこの家の人、特にゴメスとは仲が悪かったようだ。だから余計に油断していたが、そうでもなかったということだろうか。
ちなみに昨日この家の事情を調べたところ、ゴメスという人物が男爵を暗殺させたのは状況証拠的にはほぼ確実。そして男爵の家臣の中で自分に従わない者たちに「男爵暗殺」の容疑をかけて殺したり追い出したりしたという。
そんなに人望がある訳でもないゴメスがどうやってそれを成し遂げたかというと、そこで活躍したのがギルムだったという訳らしい。
二人が繋がっているとすると面倒だが、ミリアやセシルを使ってギルムだけを呼び出すことは出来るかもしれないし、逆に俺たちがゴメスに気に入られてギルムの悪事を訴えるという方法もあるかもしれない。
どうしようかと考えた矢先の出来事に困惑した。
が。
「大変だ! リンお嬢様がゴメス様に斬りかかったらしい!」
「何だと!?」
「やっぱりリンお嬢様もゴメス様が男爵を殺したと思ったに違いない」
「またひと悶着あるのか!?」
「どうせならそのまま殺してくれれば良かったのに……」
「そんなことゴメスに訊かれたら大変なことになるぞ!」
突然屋敷の中が蜂の巣をつついたように騒がしくなる。
「おい、一体何があった!?」
俺は使用人たちに手あたり次第問い詰めたが、どうもリンがゴメスに斬りつけて逃げたらしいということしか分からない。
そんなときだった。
俺たちが滞在している部屋の窓が突然叩かれる。
そこには思いつめた表情のリンが立っていた。
「リン?」
「ごめんなさい」
何で謝るんだ、と思ったが俺はすぐに気づく。
リンにかけていた催眠が大幅に解けていることに。そう言えばゴメスには魔術の心得があったし、ここはリンにとって生まれた家。そこにいれば元の自分を取り戻しやすくなる。それで魔法が解けてしまったのだろうか。
「じゃあ一体何で……」
「内密で話をさせて欲しい」
「あ、ああ」
思いつめた表情のリンに俺は頷く。
リンが窓から入ってくると、一応部屋に人避けの結界をはり、さらに
「セシルは外の見張りを頼む」
と感覚が鋭いセシルに見張りを命じる。
「分かった」
そう言ってセシルは部屋の外に出た。
改めてリンは部屋に入ってくると、申し訳なさそうに床に膝をつく。
「まずは勝手に催眠を解除して逃げようとしてしまってごめんなさい。その上で聞いて欲しい話があるの」
本来で言えば、俺にかけられたような催眠は解除して逃げようと思って当然のもののはずだ。しかもリンと言えば本当はこの中で一番俺のことを嫌っていたと言っても過言ではない。
とはいえ、俺はそんな驚きを隠して険しい表情を作る。
「どうやら勝手にこの家の娘に戻ろうとしていたようだな」
「いえ、それは違う。もし魔法が解けたらこんな家は捨てて逃げるつもりだった」
「確かにそうか。じゃあ望みがかなったはずなのになぜ戻ってきたんだ?」
「実は……」
そう言ってリンは自分の兄が実はゴメスの陰謀により死んだこと、父である男爵が殺されたのもそれを見破ったせいだということを知る。
まさかそのようなことになっていたとは思わず俺は驚いてしまう。
聞いていたティアやミリアも予想外のことに息を呑んだ。
「……という訳であなたにはギルムだけでなくゴメスも殺して欲しい。もちろん一度逃げようとしたのに虫がいいことは分かってる! だからこれからは何でも言うことを聞くし、エッチなこともするし、どんな催眠にでもかかれと言われたらかかるから……」
そう言ってリンは震える手つきで自分のスカートをめくり、胸元のボタンを開けてみせる。彼女の大きなふくらみを包むブラと、パンツが露わになる。
おそらく彼女なりに俺に許しを請うにはどうすればいいかを一生懸命考えた結果がこれなのだろう。
普段は強気なリンの必死な頼みに思わず心を動かされてしまう。
部外者である俺ですらゴメスのやり方は信じられないようなことだったから、肉親を殺されたリンにとっては格別なのだろう。
屋敷内の反応を見ている限り仮に俺がリンの頼みでゴメスを殺しても正統性は主張できそうだ。
「……分かった。とはいえ一度催眠を解いたんだ。そのことについてのけじめはつけてもらおう」
「ありがとう」
俺の言葉にリンは安堵したように礼を言う。
本来ならここまでしてくれているリンを今すぐにでも犯してやりたいところなのだが、ことをなすなら早い方がいい。
「気持ちは分かった。いったん服はちゃんと着てくれ」
俺の言葉にリンはほっとした様子で服の乱れを直す。
「それで、ゴメスを倒す当てはあるのか?」
「当てというほどでもないけど、あたしが案内すれば彼の部屋まで行くことはたやすいと思う。仮に護衛がいても、あたしが説得する」
確かに、わざわざ冒険者を募集するぐらいだからゴメスに従っている家来はあまり多くないか。しぶしぶ従っているこの家の者たちは、リンがゴメスを倒すと言えば少なくともゴメスに味方することはしないだろう。
そうなればゴメスに味方するのは数少ない腹心と雇った冒険者だけとなる。
「……分かった。それならば早い方がいいな」
「ありがとう」
リンは重ね重ね礼を言う。
「ティアは問題ないだろうが、ミリアも、ギルムと戦うことにためらいはないな?」
「はい。アレン様と出会う前に彼のきたならしい物で危うく傷物にされるところでした。そのことは今思い出しても許せません!」
ミリアはミリアで敵意をむき出しにしている。
「セシル!」
「何?」
俺はセシルを呼び戻すと事情をかいつまんで説明する。
「色々あってゴメスとギルムを倒すことになったが、躊躇はないな?」
「もちろん、あいつめっ、よくも私を置いていきやがって……」
ギルムの名前を聞くと彼女も憎しみの炎を燃やしている。
セシルはあれ意味俺よりもギルムに対して敵意を抱いているのかもしれない。
そんな訳で俺たちは屋敷の中心にあるゴメスの部屋に向かうのだった。
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