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序章
エピソード9 人気と嫉妬と狂気
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季節は変わり、北の国とは言えど夏は暑い。
クーラーが恋しくなる。誰かクーラーを発明してくれないかなぁ~と部屋でゴロゴロと他力本願に考えていた。
窓からは涼しい風が吹き込むが、まだまだ足りないぞオレの体温に。
窓の側に寄り掛かり外を眺めていると、母さんが庭園のテラスから手を振っていた。
そろそろ着替えをしようと思いクローゼットの前に立ち、クローゼットを開けようとしようした時、ナイスタイミングでドアをコツコツと叩く音がした。
ベテランメイドが現れた。
「スノウ様、おはようございます」
しかしドアの向こう側の廊下のそう遠くない位置に白いベッドシーツを抱えた「ハァハァ……汗ばむスノウ様、お身体を清拭……ハァハァ……肌着とズボン……ハァハァ……お手伝い……ハァハァ」と荒ぶる鼻息を放つ怪しい猛獣? 人影? が視野に入ってきた。
ベテランメイドを正面に捉え、思考をフル回転させる。よく考えろ! どれがベストなのか!
○自分で着替えると伝えてお引き取り願う。
しかしベテランメイドに苦言を呈されタイムロスとなる。廊下奥の怪しい人影が侵入して「ハァハァ」バッドエンド。
○今日の予定を伝えてお引き取り願う。
だがベテランメイドに習い事や皇太子としてのマナーを予定に取り入れるよう苦言を呈される。その隙に怪しい人影が侵入してくる。
「私がスノウ様のご予定に追加された習い事やマナーから抜け出さないか今日一日専属メイドとしてお役目を下さい」とベテランメイドに直訴する。
ベテランメイドから了承を得て「ハァハァ」バッドエンド。
○【いのちをだいじに】
取り敢えずドアを閉め鍵を掛ける。
「テラスから手を振っている母上に呼ばれているので身支度は自分でして急ぎたい」
とベテランメイドに伝える。また追加して、
「廊下でベッドシーツを抱えてこちらを見ている者に業務を怠るなと伝えて欲しい」
とベテランメイドに伝える。怪しい人影は捉えられる。
よし! この案で突破する!
急いで刺繍が施された麻の肌着と絹のシャツに、ストッキングと短パンスタイルに着替えて部屋を脱出した。
計画通り怪しい人影はベテランメイドからお叱りを受けており、その横を通り過ぎる際に「あっ!スノウ様の香りがハァハァ……肌を掠めたハァハァ」と猛々しい吐息が溢れ出ていた。
やはりあのメイドだったか。
今日は母さんのいる庭園のテラスまで行ってくるので護衛のヒュンメルにはゆっくり過ごす自由時間を与えた。いつも気を張り頑張ってくれているのでこれくらいの事はしないとね。ただでさえブラック企業の仕事内容なのに。
そしてオレは玄関を出て庭園のテラスに向かおうとした。
その時、偶然かどうかわからないが不敵な笑みを浮かべるマキシムに出会った。
「オイお前、最近勝手な事ばかりして父上を困らせているらしいな。おかげで母上は父上の機嫌を損なわれないよう献身的に支えているそうだ。まったくこれだから無能は困るんだ!」
どうしよう。オレは宇宙人と交信しているのか?
どのように解釈すれば、そのような斜め上の発想が出来るのだろうか?
むしろ王妃派貴族に対する民達からの信頼が底辺まで落ちて、城内でも権力が弱まって大混乱でしょ。
う~ん、やっぱりイーサン兄さんが次期帝王になって欲しいなぁ。こんな奴が国を治めると貴族達の言いなりになり崩壊してしまうよ。
「すみませんマキシム兄上にもご迷惑をかけてしまい……せっかくマキシム兄上が足を運んで下さったのでお話したかったのですが、母上に呼ばれており急いでおりますので、次の機会がございましたら是非ともご教示いただきたく存じます」
「フン! 気に食わん。オレ様は第一皇太子で将来は帝王となる身だぞ。お前みたいなごく潰しは気に入らん。それにオレに対する態度が気に食わない、いずれ後悔させてやる」
面倒なので大人気なくフル無視した。
さぁ今度こそ母さんの所に行こう。
庭園にはラベンダーの香りが広がり、周りを見渡すと様々な色の花が咲き誇っていた。
「スノウ」
優しい声に振り向くと母さんが微笑んでいた。
「こちらにいらっしゃい」
その優しい眼差しに吸い込まれるようにテラスの椅子に座り、母さんの好きなアールグレイの紅茶を嗜みながら久しぶりゆっくりとした時間を過ごした。
「あなたの活躍をマスクウェル王から聞きましたよ。城下の教会を修復に貢献し孤児達を救ったそうね。社交会でも、あなたの話で持ちきりよ。母親として嬉しい反面あなたの事が心配だわ」
母さんに褒められて、素直に嬉しい。また気恥ずかしくなり顔が熱くなった。
「あらあら、私の可愛い王子様は照れているのね。普段はイーサン皇子と共に大人に混じって話をしているけど、こうして見るとスノウの子どもらしい所が見れて幸せだわ」
「もう、母上からかわないでください」
「フフフ、こんなのんびりとスノウと沢山お話が出来る日々を大切にしないとね。」
「はい。勿論です母上」
母さんは何故か一瞬だけ悲しそうな表情を浮かべた。
何故だろう? 気のせいかな?
その後母さんと小一時間程度雑談をしてから別れ、イーサン兄さんとの訓練の為、王宮と離宮の間にある広場に向かっていた。
その時、ダイアナ王妃が王宮の方から歩いてきた。
急いでいたのでダイアナ王妃に対して「この後訓練がありまして急いでおりますので失礼します」と立ち止まり会釈をした。
ダイアナ王妃はまるで鬼のような形相で
「フン! 浅ましい奴め。あの時死んでいれば良かったのに」
とはっきりオレに聞こえるように言った。
えっ! 死んでれば良かった発言? ど真ん中の直球で来たぞ!!
これは流石に身の危険を感じ、オレも青ざめた。
何事も無ければ良いが、確実に暗殺で殺されるフラグが立ったような気がする。
一度イーサン兄さんに相談、いやイーサン兄さんを巻き込み危険な目に合わせてしまうかも知れない。
母さんは心配性だし、よし! ヒュンメルに相談だ。気が進まないけど……
その日からイーサン兄さんのガチ訓練から軍の兵士並みのスパルタ訓練を受ける事となった。まだ八歳ですよ? 遊びたい年頃ですよ? 俺の精神が大人だから何とかやり切れているんですよ? そもそもあなたが言ってくれた【人を傷つけるのではなく大事な人を守る為に剣を練習するんだ】と爽やかに言っていたのは嘘だったのですか? 心身ともにめちゃめちゃ傷ついてますよオレが。それで良いんですか? オレもう吐きますよ。 身体中が青アザだらけですよ。 もう泣いてますよ。
へぇー それでも手を止めてくれないんだ。
不思議~ …………そしてオレは意識を失った。
クーラーが恋しくなる。誰かクーラーを発明してくれないかなぁ~と部屋でゴロゴロと他力本願に考えていた。
窓からは涼しい風が吹き込むが、まだまだ足りないぞオレの体温に。
窓の側に寄り掛かり外を眺めていると、母さんが庭園のテラスから手を振っていた。
そろそろ着替えをしようと思いクローゼットの前に立ち、クローゼットを開けようとしようした時、ナイスタイミングでドアをコツコツと叩く音がした。
ベテランメイドが現れた。
「スノウ様、おはようございます」
しかしドアの向こう側の廊下のそう遠くない位置に白いベッドシーツを抱えた「ハァハァ……汗ばむスノウ様、お身体を清拭……ハァハァ……肌着とズボン……ハァハァ……お手伝い……ハァハァ」と荒ぶる鼻息を放つ怪しい猛獣? 人影? が視野に入ってきた。
ベテランメイドを正面に捉え、思考をフル回転させる。よく考えろ! どれがベストなのか!
○自分で着替えると伝えてお引き取り願う。
しかしベテランメイドに苦言を呈されタイムロスとなる。廊下奥の怪しい人影が侵入して「ハァハァ」バッドエンド。
○今日の予定を伝えてお引き取り願う。
だがベテランメイドに習い事や皇太子としてのマナーを予定に取り入れるよう苦言を呈される。その隙に怪しい人影が侵入してくる。
「私がスノウ様のご予定に追加された習い事やマナーから抜け出さないか今日一日専属メイドとしてお役目を下さい」とベテランメイドに直訴する。
ベテランメイドから了承を得て「ハァハァ」バッドエンド。
○【いのちをだいじに】
取り敢えずドアを閉め鍵を掛ける。
「テラスから手を振っている母上に呼ばれているので身支度は自分でして急ぎたい」
とベテランメイドに伝える。また追加して、
「廊下でベッドシーツを抱えてこちらを見ている者に業務を怠るなと伝えて欲しい」
とベテランメイドに伝える。怪しい人影は捉えられる。
よし! この案で突破する!
急いで刺繍が施された麻の肌着と絹のシャツに、ストッキングと短パンスタイルに着替えて部屋を脱出した。
計画通り怪しい人影はベテランメイドからお叱りを受けており、その横を通り過ぎる際に「あっ!スノウ様の香りがハァハァ……肌を掠めたハァハァ」と猛々しい吐息が溢れ出ていた。
やはりあのメイドだったか。
今日は母さんのいる庭園のテラスまで行ってくるので護衛のヒュンメルにはゆっくり過ごす自由時間を与えた。いつも気を張り頑張ってくれているのでこれくらいの事はしないとね。ただでさえブラック企業の仕事内容なのに。
そしてオレは玄関を出て庭園のテラスに向かおうとした。
その時、偶然かどうかわからないが不敵な笑みを浮かべるマキシムに出会った。
「オイお前、最近勝手な事ばかりして父上を困らせているらしいな。おかげで母上は父上の機嫌を損なわれないよう献身的に支えているそうだ。まったくこれだから無能は困るんだ!」
どうしよう。オレは宇宙人と交信しているのか?
どのように解釈すれば、そのような斜め上の発想が出来るのだろうか?
むしろ王妃派貴族に対する民達からの信頼が底辺まで落ちて、城内でも権力が弱まって大混乱でしょ。
う~ん、やっぱりイーサン兄さんが次期帝王になって欲しいなぁ。こんな奴が国を治めると貴族達の言いなりになり崩壊してしまうよ。
「すみませんマキシム兄上にもご迷惑をかけてしまい……せっかくマキシム兄上が足を運んで下さったのでお話したかったのですが、母上に呼ばれており急いでおりますので、次の機会がございましたら是非ともご教示いただきたく存じます」
「フン! 気に食わん。オレ様は第一皇太子で将来は帝王となる身だぞ。お前みたいなごく潰しは気に入らん。それにオレに対する態度が気に食わない、いずれ後悔させてやる」
面倒なので大人気なくフル無視した。
さぁ今度こそ母さんの所に行こう。
庭園にはラベンダーの香りが広がり、周りを見渡すと様々な色の花が咲き誇っていた。
「スノウ」
優しい声に振り向くと母さんが微笑んでいた。
「こちらにいらっしゃい」
その優しい眼差しに吸い込まれるようにテラスの椅子に座り、母さんの好きなアールグレイの紅茶を嗜みながら久しぶりゆっくりとした時間を過ごした。
「あなたの活躍をマスクウェル王から聞きましたよ。城下の教会を修復に貢献し孤児達を救ったそうね。社交会でも、あなたの話で持ちきりよ。母親として嬉しい反面あなたの事が心配だわ」
母さんに褒められて、素直に嬉しい。また気恥ずかしくなり顔が熱くなった。
「あらあら、私の可愛い王子様は照れているのね。普段はイーサン皇子と共に大人に混じって話をしているけど、こうして見るとスノウの子どもらしい所が見れて幸せだわ」
「もう、母上からかわないでください」
「フフフ、こんなのんびりとスノウと沢山お話が出来る日々を大切にしないとね。」
「はい。勿論です母上」
母さんは何故か一瞬だけ悲しそうな表情を浮かべた。
何故だろう? 気のせいかな?
その後母さんと小一時間程度雑談をしてから別れ、イーサン兄さんとの訓練の為、王宮と離宮の間にある広場に向かっていた。
その時、ダイアナ王妃が王宮の方から歩いてきた。
急いでいたのでダイアナ王妃に対して「この後訓練がありまして急いでおりますので失礼します」と立ち止まり会釈をした。
ダイアナ王妃はまるで鬼のような形相で
「フン! 浅ましい奴め。あの時死んでいれば良かったのに」
とはっきりオレに聞こえるように言った。
えっ! 死んでれば良かった発言? ど真ん中の直球で来たぞ!!
これは流石に身の危険を感じ、オレも青ざめた。
何事も無ければ良いが、確実に暗殺で殺されるフラグが立ったような気がする。
一度イーサン兄さんに相談、いやイーサン兄さんを巻き込み危険な目に合わせてしまうかも知れない。
母さんは心配性だし、よし! ヒュンメルに相談だ。気が進まないけど……
その日からイーサン兄さんのガチ訓練から軍の兵士並みのスパルタ訓練を受ける事となった。まだ八歳ですよ? 遊びたい年頃ですよ? 俺の精神が大人だから何とかやり切れているんですよ? そもそもあなたが言ってくれた【人を傷つけるのではなく大事な人を守る為に剣を練習するんだ】と爽やかに言っていたのは嘘だったのですか? 心身ともにめちゃめちゃ傷ついてますよオレが。それで良いんですか? オレもう吐きますよ。 身体中が青アザだらけですよ。 もう泣いてますよ。
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