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第一章 王国編第一部(初等部)
エピソード36 王立学院分校(初等部)の入学式
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「ファァァ」
夜の闇を振り払う夜明けの光が部屋の中に入ってきて、オレの瞼は眩しさを感じて身体を起こした。
「あと少しだけ、もう少しだけ……」
オレはそのまま……眠りに……落ちた…………かった。
窓の方から声が聞こえる
「クライヴ起きてる? アタシなんだけど、聞こえてる? 今日入学式よ?」
フィーーネ! 知ってます! まだ朝日は登ってないから、もう少しゆっくり寝させてくれよ……
「アンタ起きてるんでしょ! 何よ! アタシを無視するつもりなの? 退屈何ですけどぉ」
えっウソでしょ、何その自己中!
…………諦めるしかないのか?
「起きてるよフィーネ。どうした?」
そう言いながらオレは窓から上を見上げるとフィーネと目が合った。
「ビ、びっくりさせないでよ! 別にどうもしないわよ!」
おい! 朝一のフィーネの迷走を解決するには、脳に糖分が足りない……
まぁ、フィーネとは借金の話もしたいしオレの部屋で話を進めようか。
「フィーネ、せっかくだから話をしないか? 今から降りてくるか?」
「ちょっと待って! まだ今日の準備出来てないから!」
頬を朱色に染めたフィーネが慌てているようだ。
…………バタバタうるさいぞ! 上の階の住人よ。
「お待たせクライヴ」
さっきと何が違うんだ? 制服のセーラー服に着替えただけだろ。あっさすが異世界、スカートの長さはふくらはぎが半分隠れるミモレ丈だ。
(何だか残念な気分だなぁ)
いやいやそんな事じゃなくて、あれだけ時間をかけたから何か違う所があるはずだ! 顔とか……
「フィーネ、眉毛が隠れていた前髪なんだけど、眉上の所まで切ったの?」
あっ正解だ! 目の前に真っ赤な顔のトマトフィーネがいる。
「入学式だから、ち、ちょっと髪を整えようとしたんだけど、へ、変かなぁ?」
「ううん。似合っているよ」
オレは敢えてド直球の言葉をぶつけた!
「そ、そっか、に、にひひぃ」
フィーネ、真っ赤な顔で不気味に笑う怪しい人になってるぞ。
オレはフィーネを褒めたあと、借金の話を切り出した。
「さぁフィーネ、借金の確認をしようか」
「えっ! アタシ覚えてないわよ」
「小金貨二枚と、銀貨二枚だからな!」
「くぅ~覚えていたのね。クライヴの分際で」
「真面目な話二年後には中等部の入学金も必要になるしな…………まずは入学金を貯めて、その後は借金を返してくれるか?」
「えっいいの? クライヴの……お人好し……」
フィーネは小さな声で返事をして顔を逸らしてしまった。
「さぁモーガンを起こしに行こうか?」
「フフフ、モーガンびっくりするかなぁ?」
オレ達はそっとモーガンの部屋の前に立つと、勢いよく扉が引かれた。
「あれだけうるさいとボクでも目を覚ますよ。で、ボクをびっくりさせるんだろうクライヴ」
モーガン待ってくれ! ブラックなオーラが出てるよ! ダメだよモーガンは男の娘キャラでしょ!
「ごめんねモーガン……早朝からうるさかったよね。クライヴが借金の催促をしてきて……」
おいフィーネ! お前から起こしに来たんだからな!
「クライヴ、あんまりフィーネをいじめないようにね、あっそうそうこの前はリアナと一緒にいたよね」
モーガンはニヤッと笑っていた。
黒い、黒過ぎるよ、モーガン君!
オレは昨夜もリアナから謝られたので、チームなんだからお互い守り合うものだろってカッコよく決めセリフを言っていたのを見ていたのか!
しかもフィーネのいるこのタイミングで言うか?
「アンタ! リアナに変な事してないでしょうね!」
ほらな、オレが凄い怒られるんだから……
「実はモーガンに話しがあるんだけど、今後も冒険者見習いとして活動していくのか?」
モーガンは真剣な表情で考え込んだ。
「いや、現実的に考えると難しいだろう……昨日のような事がいつ起こるかも分からないし、冒険者協会の依頼を受けるとしても、それとは別に安定して稼げる方法が必要だね」
多分モーガンは気づいている。オレに何か案がある事に。
「そこで本題になるんだけど、お店をしようと考えてるんだ移動販売だけどね」
「へぇー」
モーガンが意味深に呟いた。
「まぁ準備が必要だから、学院の下校時に寄り道して買い出しに行ってくるんで。
夕食前に食堂で披露するから検討してくれよ」
「わかったよクライヴ、でもみんなの反応をみてからだよ」
オレ達は階段を降りて食堂に向かう途中にリアナに会った。
「「「「おはよう」」」」
フィーネがリアナに近づいて話しかけた。
「リアナ、今日から学院生活がはじまるね。なんか楽しみだね」
「そうだな、フィーネの顔を見て見ると楽しさが伝わってくるよ。ぼく達以外にどんな人がいるんだろうな」
「そっか? オレは入学式って面倒だよ」
「クライヴ、ダメだよ初日からそんな事言ってちゃ! ボク達まで教師達に目をつけられたくないからね」
みんな優等生だなぁ、特にモーガンは学級委員長タイプだよな。
そしてオレ達は食堂に向かい朝食のメニューを見て、驚きを隠せなかった。
【焼き鮭と納豆定食】と【シリアルと野菜たっぷりコンソメスープ】の二種類だが、ネーミングがおかしい……いや、おかしくないんだけど学生寮の食堂としておかしい……
フィーネ意外は【焼き鮭と納豆定食】を食べたがメニュー通りの定食で味といつもの味だ。
フィーネも同様のようだった。
オレ達は腑に落ちなかったが、学院の入学式へ向かった。
「うわ、本当に集まってるなぁ。よく入学金を支払えたな」
今年の入学生はオレ達四名と、男子が三名と女子が四名の合計十一名だった。
ちなみにモーガンは右隣に、左隣には茶色のベリーショートのツンツン頭の赤い切れ長の少し目つきの悪い少年が座っていた。
そしてオレの真後ろにはリアナが座っていて、オレは思わず目を見開いた。そこには制服姿だぜ。
「クライヴ! アンタ! イヤらしい目でリアナを見てたでしょ!」
モーガンの真後ろに座るフィーネから説教された。
……すいません、つい出来心で……
「フフッ、ぼくも慣れないよこの服装には。でもドレス姿よりかは派手過ぎないから、まだ良いと思うんだが……クライヴそんなに似合わないかな?」
「違う違う! あまりにもリアナの制服姿が似合ってて、こうして見ると綺麗な女の子達だなぁっと思っただけなんだ」
珍しくリアナの顔が赤くなっていた。
「中々言われない言葉を受けると恥ずかしくなってしまうな。しかしクライヴ、誰彼構わずレディを褒めるのはどうかと思うよ」
「リアナ仕方ないよ、クライヴは女の子が大好きだからさ」
満面の笑顔でモーガンが余計な一言を放ちやがった。
おい! モーガン! 間違ってはいないけど男はみんな同じだろうが!
「でも商家の息子や、貴族の四男や四女とか色々あるからね。それにクライヴのような人もいるか楽しみだね」
それはどういう意味だモーガン! 良い意味か悪い意味か? 変わった人って事言いたいのか? 頑張ってお金貯めた凄いヤツって言いたいのか?
入学式が始まると二年生達が後ろの席に座り出した。そして最後尾は父兄席となっていた。
ありきたりな学院長の挨拶の後、二年生の代表者が挨拶をして、入学式を終えたのだか……無事ではなかった。
まさかの父兄席から大号泣の人物がいた。しかもかなり大きな声で……
「ウ、ウ、うおおおお! 遂に……遂に、よがっだ……ごごまで…………グオオ! ぎょうは宴じゃ!」
お分かりだろう。オレの背後の父兄席に座る不気味な人物を……………………そうヒューゴがやって来たのだった。
オレは一瞬だけ父兄席を確認した。僅か六人しか父兄は来ておらず、その内の一人の感情が爆発していた。
………………うん! ヒューゴ間違えているよ。
隣の夫婦を見てごらんよ。安堵の顔と母親は嬉し涙が少々だろ。
そんな事に頭を悩ましていたら、オレの右隣のヤツが呟いた。
「後ろの爺さんすげぇ感動しとるがぁ。あんなんなるんわ何があったんじゃろうな」
なんで異世界で訛りのある方言?
そんな疑問よりも、オレは今猛烈に恥ずかしい。穴があれば入りたいです……
「ねぇねぇクライヴ? あのお爺さんこっち見てない? この近くの席の子のお爺さんなのかなぁ? あれだけ感動して喜んでいるって事はお孫さんの入学式をとても楽しみにしていたんだろうね」
フィーネの優しさが今は痛い、心に言葉の矢が刺さるよ。
その後無事? 入学式が終わり二年生は会場を後にした。
一年生は家族と少し会話する時間を設けているそうだ。遠方から来た家族に対して、学院側からの配慮らしい。
「クオオオオライヴゥゥォォ! 会いたかったぞぉぉぉ!」
えっちょっと待ってそのテンション! ヒューゴとは一ヵ月前ぐらいに会ってるからな! 色々おかしいぞ! そのテンションは消息不明で生き別れたとなった家族に会うテンションだからな!
「爺ちゃん! リアクションが大げさだよ! ほんの一ヵ月振りで何でそんな感情なの?」
ほら周りの人がヤバいやつを見る目でオレらを見ているよ。モーガン達も生暖かく見守っているよ………………モーガン含み笑いし過ぎ……
あっちょうど良かった! オレはヒューゴに小声でお願いをした。
「爺ちゃん、実は王都に来るまでに色々とあって所持金をかなり減らしてしまったので少し貸してくれない?」
「何を言っとる? この一ヶ月分のシェリダン領でのクライヴの利益分を持って来たのも兼ねて入学式を見に来たんじゃ」
えっ! 本当ありがとう!
そしてヒューゴは懐に入れていた皮袋から一枚の金貨をオレの手に握らせた。
「これはシェリダン様からの祝い金も兼ねてじゃ」
マジで……初めて見たよ金貨……これだけで百万円だよ…………
シェリダン様ありがとうございます!
これでオレは安全に稼ぐ方法が現実的になりました。
夜の闇を振り払う夜明けの光が部屋の中に入ってきて、オレの瞼は眩しさを感じて身体を起こした。
「あと少しだけ、もう少しだけ……」
オレはそのまま……眠りに……落ちた…………かった。
窓の方から声が聞こえる
「クライヴ起きてる? アタシなんだけど、聞こえてる? 今日入学式よ?」
フィーーネ! 知ってます! まだ朝日は登ってないから、もう少しゆっくり寝させてくれよ……
「アンタ起きてるんでしょ! 何よ! アタシを無視するつもりなの? 退屈何ですけどぉ」
えっウソでしょ、何その自己中!
…………諦めるしかないのか?
「起きてるよフィーネ。どうした?」
そう言いながらオレは窓から上を見上げるとフィーネと目が合った。
「ビ、びっくりさせないでよ! 別にどうもしないわよ!」
おい! 朝一のフィーネの迷走を解決するには、脳に糖分が足りない……
まぁ、フィーネとは借金の話もしたいしオレの部屋で話を進めようか。
「フィーネ、せっかくだから話をしないか? 今から降りてくるか?」
「ちょっと待って! まだ今日の準備出来てないから!」
頬を朱色に染めたフィーネが慌てているようだ。
…………バタバタうるさいぞ! 上の階の住人よ。
「お待たせクライヴ」
さっきと何が違うんだ? 制服のセーラー服に着替えただけだろ。あっさすが異世界、スカートの長さはふくらはぎが半分隠れるミモレ丈だ。
(何だか残念な気分だなぁ)
いやいやそんな事じゃなくて、あれだけ時間をかけたから何か違う所があるはずだ! 顔とか……
「フィーネ、眉毛が隠れていた前髪なんだけど、眉上の所まで切ったの?」
あっ正解だ! 目の前に真っ赤な顔のトマトフィーネがいる。
「入学式だから、ち、ちょっと髪を整えようとしたんだけど、へ、変かなぁ?」
「ううん。似合っているよ」
オレは敢えてド直球の言葉をぶつけた!
「そ、そっか、に、にひひぃ」
フィーネ、真っ赤な顔で不気味に笑う怪しい人になってるぞ。
オレはフィーネを褒めたあと、借金の話を切り出した。
「さぁフィーネ、借金の確認をしようか」
「えっ! アタシ覚えてないわよ」
「小金貨二枚と、銀貨二枚だからな!」
「くぅ~覚えていたのね。クライヴの分際で」
「真面目な話二年後には中等部の入学金も必要になるしな…………まずは入学金を貯めて、その後は借金を返してくれるか?」
「えっいいの? クライヴの……お人好し……」
フィーネは小さな声で返事をして顔を逸らしてしまった。
「さぁモーガンを起こしに行こうか?」
「フフフ、モーガンびっくりするかなぁ?」
オレ達はそっとモーガンの部屋の前に立つと、勢いよく扉が引かれた。
「あれだけうるさいとボクでも目を覚ますよ。で、ボクをびっくりさせるんだろうクライヴ」
モーガン待ってくれ! ブラックなオーラが出てるよ! ダメだよモーガンは男の娘キャラでしょ!
「ごめんねモーガン……早朝からうるさかったよね。クライヴが借金の催促をしてきて……」
おいフィーネ! お前から起こしに来たんだからな!
「クライヴ、あんまりフィーネをいじめないようにね、あっそうそうこの前はリアナと一緒にいたよね」
モーガンはニヤッと笑っていた。
黒い、黒過ぎるよ、モーガン君!
オレは昨夜もリアナから謝られたので、チームなんだからお互い守り合うものだろってカッコよく決めセリフを言っていたのを見ていたのか!
しかもフィーネのいるこのタイミングで言うか?
「アンタ! リアナに変な事してないでしょうね!」
ほらな、オレが凄い怒られるんだから……
「実はモーガンに話しがあるんだけど、今後も冒険者見習いとして活動していくのか?」
モーガンは真剣な表情で考え込んだ。
「いや、現実的に考えると難しいだろう……昨日のような事がいつ起こるかも分からないし、冒険者協会の依頼を受けるとしても、それとは別に安定して稼げる方法が必要だね」
多分モーガンは気づいている。オレに何か案がある事に。
「そこで本題になるんだけど、お店をしようと考えてるんだ移動販売だけどね」
「へぇー」
モーガンが意味深に呟いた。
「まぁ準備が必要だから、学院の下校時に寄り道して買い出しに行ってくるんで。
夕食前に食堂で披露するから検討してくれよ」
「わかったよクライヴ、でもみんなの反応をみてからだよ」
オレ達は階段を降りて食堂に向かう途中にリアナに会った。
「「「「おはよう」」」」
フィーネがリアナに近づいて話しかけた。
「リアナ、今日から学院生活がはじまるね。なんか楽しみだね」
「そうだな、フィーネの顔を見て見ると楽しさが伝わってくるよ。ぼく達以外にどんな人がいるんだろうな」
「そっか? オレは入学式って面倒だよ」
「クライヴ、ダメだよ初日からそんな事言ってちゃ! ボク達まで教師達に目をつけられたくないからね」
みんな優等生だなぁ、特にモーガンは学級委員長タイプだよな。
そしてオレ達は食堂に向かい朝食のメニューを見て、驚きを隠せなかった。
【焼き鮭と納豆定食】と【シリアルと野菜たっぷりコンソメスープ】の二種類だが、ネーミングがおかしい……いや、おかしくないんだけど学生寮の食堂としておかしい……
フィーネ意外は【焼き鮭と納豆定食】を食べたがメニュー通りの定食で味といつもの味だ。
フィーネも同様のようだった。
オレ達は腑に落ちなかったが、学院の入学式へ向かった。
「うわ、本当に集まってるなぁ。よく入学金を支払えたな」
今年の入学生はオレ達四名と、男子が三名と女子が四名の合計十一名だった。
ちなみにモーガンは右隣に、左隣には茶色のベリーショートのツンツン頭の赤い切れ長の少し目つきの悪い少年が座っていた。
そしてオレの真後ろにはリアナが座っていて、オレは思わず目を見開いた。そこには制服姿だぜ。
「クライヴ! アンタ! イヤらしい目でリアナを見てたでしょ!」
モーガンの真後ろに座るフィーネから説教された。
……すいません、つい出来心で……
「フフッ、ぼくも慣れないよこの服装には。でもドレス姿よりかは派手過ぎないから、まだ良いと思うんだが……クライヴそんなに似合わないかな?」
「違う違う! あまりにもリアナの制服姿が似合ってて、こうして見ると綺麗な女の子達だなぁっと思っただけなんだ」
珍しくリアナの顔が赤くなっていた。
「中々言われない言葉を受けると恥ずかしくなってしまうな。しかしクライヴ、誰彼構わずレディを褒めるのはどうかと思うよ」
「リアナ仕方ないよ、クライヴは女の子が大好きだからさ」
満面の笑顔でモーガンが余計な一言を放ちやがった。
おい! モーガン! 間違ってはいないけど男はみんな同じだろうが!
「でも商家の息子や、貴族の四男や四女とか色々あるからね。それにクライヴのような人もいるか楽しみだね」
それはどういう意味だモーガン! 良い意味か悪い意味か? 変わった人って事言いたいのか? 頑張ってお金貯めた凄いヤツって言いたいのか?
入学式が始まると二年生達が後ろの席に座り出した。そして最後尾は父兄席となっていた。
ありきたりな学院長の挨拶の後、二年生の代表者が挨拶をして、入学式を終えたのだか……無事ではなかった。
まさかの父兄席から大号泣の人物がいた。しかもかなり大きな声で……
「ウ、ウ、うおおおお! 遂に……遂に、よがっだ……ごごまで…………グオオ! ぎょうは宴じゃ!」
お分かりだろう。オレの背後の父兄席に座る不気味な人物を……………………そうヒューゴがやって来たのだった。
オレは一瞬だけ父兄席を確認した。僅か六人しか父兄は来ておらず、その内の一人の感情が爆発していた。
………………うん! ヒューゴ間違えているよ。
隣の夫婦を見てごらんよ。安堵の顔と母親は嬉し涙が少々だろ。
そんな事に頭を悩ましていたら、オレの右隣のヤツが呟いた。
「後ろの爺さんすげぇ感動しとるがぁ。あんなんなるんわ何があったんじゃろうな」
なんで異世界で訛りのある方言?
そんな疑問よりも、オレは今猛烈に恥ずかしい。穴があれば入りたいです……
「ねぇねぇクライヴ? あのお爺さんこっち見てない? この近くの席の子のお爺さんなのかなぁ? あれだけ感動して喜んでいるって事はお孫さんの入学式をとても楽しみにしていたんだろうね」
フィーネの優しさが今は痛い、心に言葉の矢が刺さるよ。
その後無事? 入学式が終わり二年生は会場を後にした。
一年生は家族と少し会話する時間を設けているそうだ。遠方から来た家族に対して、学院側からの配慮らしい。
「クオオオオライヴゥゥォォ! 会いたかったぞぉぉぉ!」
えっちょっと待ってそのテンション! ヒューゴとは一ヵ月前ぐらいに会ってるからな! 色々おかしいぞ! そのテンションは消息不明で生き別れたとなった家族に会うテンションだからな!
「爺ちゃん! リアクションが大げさだよ! ほんの一ヵ月振りで何でそんな感情なの?」
ほら周りの人がヤバいやつを見る目でオレらを見ているよ。モーガン達も生暖かく見守っているよ………………モーガン含み笑いし過ぎ……
あっちょうど良かった! オレはヒューゴに小声でお願いをした。
「爺ちゃん、実は王都に来るまでに色々とあって所持金をかなり減らしてしまったので少し貸してくれない?」
「何を言っとる? この一ヶ月分のシェリダン領でのクライヴの利益分を持って来たのも兼ねて入学式を見に来たんじゃ」
えっ! 本当ありがとう!
そしてヒューゴは懐に入れていた皮袋から一枚の金貨をオレの手に握らせた。
「これはシェリダン様からの祝い金も兼ねてじゃ」
マジで……初めて見たよ金貨……これだけで百万円だよ…………
シェリダン様ありがとうございます!
これでオレは安全に稼ぐ方法が現実的になりました。
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