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第一章 王国編第一部(初等部)
エピソード79 生誕祭はお得なセール
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嘘じゃない本当の話なんだがオレは天使のようなものを見たんだ…………少し話は遡るけどな……
お昼になったのでこの通りにあるカフェでランチをする事になったんだが、フィーネは全く口を聞いてくれなかった。
まぁそれには雑貨屋や服屋でフィーネが選びたい物を度々外すオレがフィーネの好みを分かっていない事が原因としよう。
ここからが本題なんだが、この日は生誕祭初日の為にカフェには限定百食のスペシャルメニューがあったんだ。
とりあえずオレ達は頼むことにした。
どんなメニューか楽しみにしたんだが…………前世の世界からしたら少しガッカリする内容だった。
クロワッサン、サイコロステーキ、エビフライ、コーンスープ、ポテトサラダといった内容だった。
勿論こんなメニューなんかじゃフィーネの機嫌は治らない…………
モーガン達はオレとフィーネには触れずに次は何処に行こうと計画を立てているので、オレとフィーネはそのツアープランの話には入れず気まずかったんだ。
そしたら最後にやってきたんだ天使が……
「こちらがスペシャルメニューの最後になりますパフェスティバルです」
(ネーミングはさておき、これは今までとは違う中々の手の込んだものだなぁ)
ゼリー、いちごのムース、生クリーム、いちごソースのかかったバニラアイスの四層の上には季節の果物達がまるで花のようにカットされ立体的な広がりを見せて、その果実の花達の頂上には片手を高々と掲げる勝者の形をしたフィナンシェがいた。
オレはこの独特の世界感に困惑していたが、フィーネは親族の通夜のような顔から花の開いたような明るい顔に変わった。
「可愛い! このパフェ凄いね。上に乗ってるお菓子のセンスはよく分からないけど、食べるのが勿体ないぐらいだねクライヴ」
フィーネは意識せずに自然と出た言葉に一瞬だけハッとした顔になったが、そうはさせない!
「うん。凄く手の込んだパフェだよね。一番上のはよく分からないけど、その下にある果実の花はパフェを見ていたフィーネの顔のように可愛いね」
「えっ! ア、ア、アタシはそんな事で許したりしないからね!」
そう言っているフィーネはランチ前とは違い表情は綻び、気まずい雰囲気も消えていた。
そうオレにとってはボクシングの勝者にも見えるポーズをしているフィナンシェこそがフィーネと仲直りをする天使となったんだ……………………
そんなこんなで、いつも通りのオレ達はお腹も満たされ事で次の目的地の大通りに向かった。
冒険者エリアの武器屋と魔道具店に掘り出し物がないかと、オレは楽しみで無意識に歩幅を少し大きくなっていた………………が足を止める事となった。
「あっ! このお店も半額セールしてるよ」
「ここは値段が少し高いから貴族が買いに来たりもするんだ。ぼくも以前は買いに来た事があったよ。
いつもは割と静かに見れるんだけど……今日は半額セールなので普段より人が多く感じるよ。
それにこの店は大人から子どもまで幅広い層の衣服が揃うから、家族連れも来ているんだろう」
リアナのガイドでフィーネはもう【それなら行くしかないでしょ】と言わんばかりの表情でお店の方へ身体を向けた。
「見るだけでも良いから入らない?」
フィーネのお願いでオレ達は本日二店舗目の服屋に入った。
貴族向けの服屋なだけあり、店舗の広さはそこまで広くなく、扱っている衣服は先程とは違いセミフォーマルな場でも恥ずかしく無い物や、奥の部屋にはパーティー等のタキシード風なフォーマルな衣装や、ドレス等を扱っていた。
また店員の接客レベルの質も高く、先程の服屋と比べるとワンランク上の服屋だった。
「そう言えば、クライヴってパーティーとかに着ていく衣装って持ってたっけ?」
オレが退屈そうにしているのを気遣ってモーガンは話しかけてくれた。
「いや一着も持ってないな。平民だから必要ないと思うんだけど……」
「念の為にそのうち準備していた方がいいと思うよ。クライヴだから何が起こるか分からないからね」
オレに対して笑顔で意地悪っぽくモーガンの姿に女性店員は熱い眼差しを向けていた…………
(店員の質は一流だが、性癖に難ありな店員がいるぞ! それとモーガン! オレは何も起こしません! 平穏な暮らしをするんです!)
オレ達は大通りの服屋や雑貨屋巡りをして、気づけば夕方前に冒険者エリアに辿り着いた……
まず武器屋から入ると、他領地や他国の冒険者はあまり生誕祭に来ていないのか、店内はいつもと同じで他の店と比べて人が少なくゆっくりと商品を見る事ができた。
「これはなんじゃ? 盾にトゲがついてカッケええがぁ!わ」
ショーンは嬉しそうに色々な盾を見ていると、武器屋のおじさんがショーンに声をかけていた。
「坊主、盾の必要性が分かってきたか? そいつはな、スパイクシールドって言う攻撃も兼ね備える盾だ! 今の坊主にはピッタリかもしれねぇな」
「おう! ワシはあれから盾役として活躍できるよう頑張るけぇ、コイツはええなぁ。それと軽くて丈夫な槍も必要じゃ」
ショーンは武器屋のおじさんに要望を伝えると、武器屋のおじさんは奥から普通より少し小さいサイズの槍をいくつか持ってきた。
「坊主がその盾を使うなら、槍はこれぐらいの方が扱い易いはずだ。今日は生誕祭初日だからその盾は小金貨七枚で販売してるんだが、小金貨二枚にしといてやるよ」
「おお、ええんかぁ! ワシは嬉しいがおっさんは大丈夫じゃなかろう?」
ショーンもまさかの破格の値段に少し気にしているようだ。
「ハハハッ坊主のくせにオレの心配をするってか。心配すんな、客は沢山いるんだ」
武器屋のおじさんはショーンに心配されて大笑いをしていた。
「こいつはタダでつけてやるよ」
そして武器屋のおじさんはキリッとした顔に渋めの声で小槍をショーンに投げ渡していた。
(渋すぎるよ。何その気前の良さ。儲けなど考えず冒険者の事を考える優しさ。こういう武器屋をオレ達は大事にしないとな…………)
オレはショーンと武器屋のおじさんのやり取りを微笑ましく思いながら、自分の武器や防具に破損がないか確認をお願いした。
武器屋のおじさんはオレのスネーフリンガー……じゃなくてゲフンゲフン……サーベルを雪模様にライオンの刻印の入りの鞘から抜き出した時に目の色を変えた。
「何だこれは! 坊主これはどうやって手に入れたんだ!」
「あまり詮索はして欲しくないんですが…………ドワーフの技術で作っていると聞いています。それよりも破損とかありますか?」
オレが答えると武器屋のおじさんはより大きく目を見開いた。
「ドワーフだと! それでか……納得いったぜ。これは俺なんかが触る代物じゃねえよ。刀身に傷一つ付いてねえかなりの業物だ、余程の事がない限り傷一つ付かねえよ」
(やっぱりそうですよね。一子相伝の技術のドワーフ略式製鋼法とか言ってたし……)
そして、もう一つ確認したい事を武器屋のおじさんに聞いてみた。
「おじさん、人を傷つけずに捕まえる武器とかありますか?」
「は? 坊主ここは武器屋だぞ? そんな武器聞いた事ねえよ」
オレの突拍子のない質問に武器屋のおじさんは驚いて声が裏返っていた。
「そういや、公園の露店にそんなのもあるかも知れないな……怪しいのに騙されなければいいけどな」
オレは露店の話を聞き、今からでも向かいたい気持ちを抑えて明日行こうと心に決めた。
そして、みんなそれぞれ武器や防具を購入や整備をして武器屋から出て行った。
外に出ると夕焼けが辺りを照らしていて、この人混みの中では学生寮に帰るのに時間が掛かりそうだ。オレ達の生誕祭の探索はここまでとして、学生寮に向かった………………
お昼になったのでこの通りにあるカフェでランチをする事になったんだが、フィーネは全く口を聞いてくれなかった。
まぁそれには雑貨屋や服屋でフィーネが選びたい物を度々外すオレがフィーネの好みを分かっていない事が原因としよう。
ここからが本題なんだが、この日は生誕祭初日の為にカフェには限定百食のスペシャルメニューがあったんだ。
とりあえずオレ達は頼むことにした。
どんなメニューか楽しみにしたんだが…………前世の世界からしたら少しガッカリする内容だった。
クロワッサン、サイコロステーキ、エビフライ、コーンスープ、ポテトサラダといった内容だった。
勿論こんなメニューなんかじゃフィーネの機嫌は治らない…………
モーガン達はオレとフィーネには触れずに次は何処に行こうと計画を立てているので、オレとフィーネはそのツアープランの話には入れず気まずかったんだ。
そしたら最後にやってきたんだ天使が……
「こちらがスペシャルメニューの最後になりますパフェスティバルです」
(ネーミングはさておき、これは今までとは違う中々の手の込んだものだなぁ)
ゼリー、いちごのムース、生クリーム、いちごソースのかかったバニラアイスの四層の上には季節の果物達がまるで花のようにカットされ立体的な広がりを見せて、その果実の花達の頂上には片手を高々と掲げる勝者の形をしたフィナンシェがいた。
オレはこの独特の世界感に困惑していたが、フィーネは親族の通夜のような顔から花の開いたような明るい顔に変わった。
「可愛い! このパフェ凄いね。上に乗ってるお菓子のセンスはよく分からないけど、食べるのが勿体ないぐらいだねクライヴ」
フィーネは意識せずに自然と出た言葉に一瞬だけハッとした顔になったが、そうはさせない!
「うん。凄く手の込んだパフェだよね。一番上のはよく分からないけど、その下にある果実の花はパフェを見ていたフィーネの顔のように可愛いね」
「えっ! ア、ア、アタシはそんな事で許したりしないからね!」
そう言っているフィーネはランチ前とは違い表情は綻び、気まずい雰囲気も消えていた。
そうオレにとってはボクシングの勝者にも見えるポーズをしているフィナンシェこそがフィーネと仲直りをする天使となったんだ……………………
そんなこんなで、いつも通りのオレ達はお腹も満たされ事で次の目的地の大通りに向かった。
冒険者エリアの武器屋と魔道具店に掘り出し物がないかと、オレは楽しみで無意識に歩幅を少し大きくなっていた………………が足を止める事となった。
「あっ! このお店も半額セールしてるよ」
「ここは値段が少し高いから貴族が買いに来たりもするんだ。ぼくも以前は買いに来た事があったよ。
いつもは割と静かに見れるんだけど……今日は半額セールなので普段より人が多く感じるよ。
それにこの店は大人から子どもまで幅広い層の衣服が揃うから、家族連れも来ているんだろう」
リアナのガイドでフィーネはもう【それなら行くしかないでしょ】と言わんばかりの表情でお店の方へ身体を向けた。
「見るだけでも良いから入らない?」
フィーネのお願いでオレ達は本日二店舗目の服屋に入った。
貴族向けの服屋なだけあり、店舗の広さはそこまで広くなく、扱っている衣服は先程とは違いセミフォーマルな場でも恥ずかしく無い物や、奥の部屋にはパーティー等のタキシード風なフォーマルな衣装や、ドレス等を扱っていた。
また店員の接客レベルの質も高く、先程の服屋と比べるとワンランク上の服屋だった。
「そう言えば、クライヴってパーティーとかに着ていく衣装って持ってたっけ?」
オレが退屈そうにしているのを気遣ってモーガンは話しかけてくれた。
「いや一着も持ってないな。平民だから必要ないと思うんだけど……」
「念の為にそのうち準備していた方がいいと思うよ。クライヴだから何が起こるか分からないからね」
オレに対して笑顔で意地悪っぽくモーガンの姿に女性店員は熱い眼差しを向けていた…………
(店員の質は一流だが、性癖に難ありな店員がいるぞ! それとモーガン! オレは何も起こしません! 平穏な暮らしをするんです!)
オレ達は大通りの服屋や雑貨屋巡りをして、気づけば夕方前に冒険者エリアに辿り着いた……
まず武器屋から入ると、他領地や他国の冒険者はあまり生誕祭に来ていないのか、店内はいつもと同じで他の店と比べて人が少なくゆっくりと商品を見る事ができた。
「これはなんじゃ? 盾にトゲがついてカッケええがぁ!わ」
ショーンは嬉しそうに色々な盾を見ていると、武器屋のおじさんがショーンに声をかけていた。
「坊主、盾の必要性が分かってきたか? そいつはな、スパイクシールドって言う攻撃も兼ね備える盾だ! 今の坊主にはピッタリかもしれねぇな」
「おう! ワシはあれから盾役として活躍できるよう頑張るけぇ、コイツはええなぁ。それと軽くて丈夫な槍も必要じゃ」
ショーンは武器屋のおじさんに要望を伝えると、武器屋のおじさんは奥から普通より少し小さいサイズの槍をいくつか持ってきた。
「坊主がその盾を使うなら、槍はこれぐらいの方が扱い易いはずだ。今日は生誕祭初日だからその盾は小金貨七枚で販売してるんだが、小金貨二枚にしといてやるよ」
「おお、ええんかぁ! ワシは嬉しいがおっさんは大丈夫じゃなかろう?」
ショーンもまさかの破格の値段に少し気にしているようだ。
「ハハハッ坊主のくせにオレの心配をするってか。心配すんな、客は沢山いるんだ」
武器屋のおじさんはショーンに心配されて大笑いをしていた。
「こいつはタダでつけてやるよ」
そして武器屋のおじさんはキリッとした顔に渋めの声で小槍をショーンに投げ渡していた。
(渋すぎるよ。何その気前の良さ。儲けなど考えず冒険者の事を考える優しさ。こういう武器屋をオレ達は大事にしないとな…………)
オレはショーンと武器屋のおじさんのやり取りを微笑ましく思いながら、自分の武器や防具に破損がないか確認をお願いした。
武器屋のおじさんはオレのスネーフリンガー……じゃなくてゲフンゲフン……サーベルを雪模様にライオンの刻印の入りの鞘から抜き出した時に目の色を変えた。
「何だこれは! 坊主これはどうやって手に入れたんだ!」
「あまり詮索はして欲しくないんですが…………ドワーフの技術で作っていると聞いています。それよりも破損とかありますか?」
オレが答えると武器屋のおじさんはより大きく目を見開いた。
「ドワーフだと! それでか……納得いったぜ。これは俺なんかが触る代物じゃねえよ。刀身に傷一つ付いてねえかなりの業物だ、余程の事がない限り傷一つ付かねえよ」
(やっぱりそうですよね。一子相伝の技術のドワーフ略式製鋼法とか言ってたし……)
そして、もう一つ確認したい事を武器屋のおじさんに聞いてみた。
「おじさん、人を傷つけずに捕まえる武器とかありますか?」
「は? 坊主ここは武器屋だぞ? そんな武器聞いた事ねえよ」
オレの突拍子のない質問に武器屋のおじさんは驚いて声が裏返っていた。
「そういや、公園の露店にそんなのもあるかも知れないな……怪しいのに騙されなければいいけどな」
オレは露店の話を聞き、今からでも向かいたい気持ちを抑えて明日行こうと心に決めた。
そして、みんなそれぞれ武器や防具を購入や整備をして武器屋から出て行った。
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