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第一章 王国編第二部(中等部)
エピソード133 悪い予感
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「クライヴ、かなり遅くなったんだね? お茶会はそんなに話が弾んだの?」
「あぁ……ちょっとその後鍵を返しに行って先生と話し込んでたんだよ……」
「にしても遅かろうが。ワシとモーガンはクライヴを待っとったけぇなぁ。腹が空いたんじゃ」
モーガンとショーンは不思議に思っているかも知れないが、二人とも深く聞いてくる事は無かった。
「オレもお腹空いたからちょっと遅めの夕食に行こうか」
オレはそう言って、二人と一緒に食堂に向かった。
食堂は夕食のタイミングをずらせたお陰が人が少なく、オレ達は【何ってこった! 豚息子がこんな可憐な子を連れてくるとは!】と言うメニュー名のポークカレーを注文した。
すると何故が料理長は先程のニヤケ面から一変して修羅の如くコックさん達に厳しい指導をされていた。
そしてオレ達はポークカレーを受け取ると空いている席を探そうとした時に遠くの方からオレ達を呼ぶ声が聞こえてきた。
「お~い、こっちこっち、クライヴ、モーガン、ショーン」
オレはキョロキョロと機嫌の良い声のする方へ見渡しそちらに進んでいたはずなんだが…………どうやら声の主に似た別の女子生徒の元へ行こうとしていたらしく、主はいつものツンが出てきた。
「アンタ! 聞こえてるでしょ! どこ行ってんのよこの変態! アタシが呼んでるんだから来なさいよ!」
(これである…………変態呼ばわり、そしてすぐ来なさいの犬扱い………………)
オレは方向転換して怒りの主の元へ辿り着くことに成功した。
そこには夕食を済ませたフィーネとリアナとクラリネさんが歓談して過ごしていた。
「みんなどうしたの? もしかしてボク達のせいかな?」
そうモーガンが言うと、リアナが神妙な顔つきで話し始めた。
「あぁ……それもあるのだが、少し気になる噂を耳にしたのだが…………高等部の先輩に平民嫌いな先輩がいるらしくて、その先輩に関わった平民はみんな辞めていっているんだ。
フィーネやクラリネに気をつけて欲しいと話をしていたんだよ。それでクライヴ達にも伝えないといけないと思ってみんなを待っていたんだ」
(へぇーこの学院でそんな事があるんだ。そんな事をしたら、その先輩って停学や退学とか何らかの処分があるだろう……)
「なんじゃそれ、ムカつく奴じゃのぉう」
「ショーンさん。あまり大きな声で言うと誰が聞いているか分かりませんよ」
「お、おぅ……」
クラリネさんからのツッコミでショーンは少し驚いていた。
(仕方ないよショーン…………君の役割だよ)
「しかし見過ごせない事だね。学院側の対応はどうなっているんだろうか……流石にお咎め無しではなさそうだけどね」
「まぁオレ達は関わらないように気をつけないとな。リアナはヘンダーソン子爵の娘だし、フィーネはアリア様と友達だから、オレとモーガンとショーンとクラリネさんは気をつけないとね」
暗くなりそうな話しをオレは笑顔で締めくくり、食堂から出ようとした。食器を片付けてそれぞれ各部屋に帰る中、オレは食堂の椅子にまた座って少し先程の話を考え込んでいた。
(今日のカーン達の出来事と繋がりが? いや流石にそれはないか……カーンとは初等部から一緒だが貴族との知り合いは居なかったと思うし……)
そんな考え事をしていると突然フィーネがやってきた。
フィーネは怒っているかのような心配しているかのようなそして少し泣き出しそうな……何と表現すれば良いのか分からない表情でオレに話しかけた。
「アンタ何で遅れたのよ! さっきアリアに聞いたんだけど、アンタが帰ってくるのがアリアが帰ってきてからかなり時間が経っていたらしいんだけど! アリアも驚いていたわ。
クライヴ何を隠しているの? アタシには言えない事なの?」
(何で今日に限り、勘がいいんだよ! でも本当のことは言えないし……かと言ってモーガン達のように濁す事は出来なさそうだし…………)
「実は……内緒だったんだけど…………フィーネって四月一日生まれだろ…………本当は入学式の日にと思っていたけど、まだ誕生日プレゼントを探せていなくて学生通りの雑貨屋さんに少し立ち寄って何かないか探していたんだ…………せっかくサプライズしたかったのに…………」
「え? ひゃ、そ、そ、それならちゃんと言いなさいよ! じゃなくって……あ、その、あ、アンタが、内緒にしな、え? アタシが聞いたから……そ、そんな嬉しい事を、を……そんな事聞いても嬉しくないわ……違う……あの、その、えっと………………ぁりがとぅ………………」
オレの嘘によってフィーネの顔を真っ赤になりポンコツ化してしまったがオレはフィーネに寮に戻ろうとエスコートして、オレも自室に戻った。
(あ、ぶなかったぁ! でも嘘がバレずに良かったぁ……フィーネさんには申し訳ないが打たれ弱いおかげで助かった……)
そして平穏な日々が続いていた。カーンはニヤニヤとオレを見ていたが…………
だが事件は週末の放課後、廊下で起きた。
クラリネさんが男子生徒達に絡まれている!
近づいてみると周りの学生は見て見ぬ振りをしており、クラリネさんは怯えて座り込んでいた。
「ふん! 薄汚い平民がこの美しい私に、いや美しさを引き立てるこの服になんて事をしてくれたんだい。弁償してもらうよ、勿論この服代の金貨二枚を明日までに用意するんだね。本当に穢らわしい」
そうクラリネさんに吐き捨てるのは一組のモースト様で、ボールトン伯爵家の次男だった。
そして周りの取り巻きはカーンと、もう一人はオレを痛めつけた生徒だ。
(カーン…………そんな事をしていると…………一年生中で嫌われるぞ…………)
オレは騒動に巻き込まれたくないのと、怖いのでクラリネさんに危ない目にあわなさそうなら出ていく事をしなかった。
理由は平民が首を突っ込むよりローズ様やアリア様が来てくれたら解決する問題だからだ。
が……その時オレを痛めつけていた生徒がクラリネさんの三つ編みを引っ張り、クラリネさんは痛みのあまり涙を流していた。
(くそ! 今日に限って何でみんな休日の冒険者協会の依頼に向けて依頼の確認と武器屋さんに行っているんだよぉ)
オレは見て見ぬ振りをする生徒達をかき分けて、クラリネさんの近くに行き、髪を引っ張る生徒の腕を【身体強化】で少し強く握った。
「痛てててて!」
クラリネさんの髪から手を離した生徒はオレを睨んできた。
「どうも、先日はお世話になりました」
無理だと思うが穏便に済ませないか礼儀正しくお辞儀をしたオレだった……………………
「あぁ……ちょっとその後鍵を返しに行って先生と話し込んでたんだよ……」
「にしても遅かろうが。ワシとモーガンはクライヴを待っとったけぇなぁ。腹が空いたんじゃ」
モーガンとショーンは不思議に思っているかも知れないが、二人とも深く聞いてくる事は無かった。
「オレもお腹空いたからちょっと遅めの夕食に行こうか」
オレはそう言って、二人と一緒に食堂に向かった。
食堂は夕食のタイミングをずらせたお陰が人が少なく、オレ達は【何ってこった! 豚息子がこんな可憐な子を連れてくるとは!】と言うメニュー名のポークカレーを注文した。
すると何故が料理長は先程のニヤケ面から一変して修羅の如くコックさん達に厳しい指導をされていた。
そしてオレ達はポークカレーを受け取ると空いている席を探そうとした時に遠くの方からオレ達を呼ぶ声が聞こえてきた。
「お~い、こっちこっち、クライヴ、モーガン、ショーン」
オレはキョロキョロと機嫌の良い声のする方へ見渡しそちらに進んでいたはずなんだが…………どうやら声の主に似た別の女子生徒の元へ行こうとしていたらしく、主はいつものツンが出てきた。
「アンタ! 聞こえてるでしょ! どこ行ってんのよこの変態! アタシが呼んでるんだから来なさいよ!」
(これである…………変態呼ばわり、そしてすぐ来なさいの犬扱い………………)
オレは方向転換して怒りの主の元へ辿り着くことに成功した。
そこには夕食を済ませたフィーネとリアナとクラリネさんが歓談して過ごしていた。
「みんなどうしたの? もしかしてボク達のせいかな?」
そうモーガンが言うと、リアナが神妙な顔つきで話し始めた。
「あぁ……それもあるのだが、少し気になる噂を耳にしたのだが…………高等部の先輩に平民嫌いな先輩がいるらしくて、その先輩に関わった平民はみんな辞めていっているんだ。
フィーネやクラリネに気をつけて欲しいと話をしていたんだよ。それでクライヴ達にも伝えないといけないと思ってみんなを待っていたんだ」
(へぇーこの学院でそんな事があるんだ。そんな事をしたら、その先輩って停学や退学とか何らかの処分があるだろう……)
「なんじゃそれ、ムカつく奴じゃのぉう」
「ショーンさん。あまり大きな声で言うと誰が聞いているか分かりませんよ」
「お、おぅ……」
クラリネさんからのツッコミでショーンは少し驚いていた。
(仕方ないよショーン…………君の役割だよ)
「しかし見過ごせない事だね。学院側の対応はどうなっているんだろうか……流石にお咎め無しではなさそうだけどね」
「まぁオレ達は関わらないように気をつけないとな。リアナはヘンダーソン子爵の娘だし、フィーネはアリア様と友達だから、オレとモーガンとショーンとクラリネさんは気をつけないとね」
暗くなりそうな話しをオレは笑顔で締めくくり、食堂から出ようとした。食器を片付けてそれぞれ各部屋に帰る中、オレは食堂の椅子にまた座って少し先程の話を考え込んでいた。
(今日のカーン達の出来事と繋がりが? いや流石にそれはないか……カーンとは初等部から一緒だが貴族との知り合いは居なかったと思うし……)
そんな考え事をしていると突然フィーネがやってきた。
フィーネは怒っているかのような心配しているかのようなそして少し泣き出しそうな……何と表現すれば良いのか分からない表情でオレに話しかけた。
「アンタ何で遅れたのよ! さっきアリアに聞いたんだけど、アンタが帰ってくるのがアリアが帰ってきてからかなり時間が経っていたらしいんだけど! アリアも驚いていたわ。
クライヴ何を隠しているの? アタシには言えない事なの?」
(何で今日に限り、勘がいいんだよ! でも本当のことは言えないし……かと言ってモーガン達のように濁す事は出来なさそうだし…………)
「実は……内緒だったんだけど…………フィーネって四月一日生まれだろ…………本当は入学式の日にと思っていたけど、まだ誕生日プレゼントを探せていなくて学生通りの雑貨屋さんに少し立ち寄って何かないか探していたんだ…………せっかくサプライズしたかったのに…………」
「え? ひゃ、そ、そ、それならちゃんと言いなさいよ! じゃなくって……あ、その、あ、アンタが、内緒にしな、え? アタシが聞いたから……そ、そんな嬉しい事を、を……そんな事聞いても嬉しくないわ……違う……あの、その、えっと………………ぁりがとぅ………………」
オレの嘘によってフィーネの顔を真っ赤になりポンコツ化してしまったがオレはフィーネに寮に戻ろうとエスコートして、オレも自室に戻った。
(あ、ぶなかったぁ! でも嘘がバレずに良かったぁ……フィーネさんには申し訳ないが打たれ弱いおかげで助かった……)
そして平穏な日々が続いていた。カーンはニヤニヤとオレを見ていたが…………
だが事件は週末の放課後、廊下で起きた。
クラリネさんが男子生徒達に絡まれている!
近づいてみると周りの学生は見て見ぬ振りをしており、クラリネさんは怯えて座り込んでいた。
「ふん! 薄汚い平民がこの美しい私に、いや美しさを引き立てるこの服になんて事をしてくれたんだい。弁償してもらうよ、勿論この服代の金貨二枚を明日までに用意するんだね。本当に穢らわしい」
そうクラリネさんに吐き捨てるのは一組のモースト様で、ボールトン伯爵家の次男だった。
そして周りの取り巻きはカーンと、もう一人はオレを痛めつけた生徒だ。
(カーン…………そんな事をしていると…………一年生中で嫌われるぞ…………)
オレは騒動に巻き込まれたくないのと、怖いのでクラリネさんに危ない目にあわなさそうなら出ていく事をしなかった。
理由は平民が首を突っ込むよりローズ様やアリア様が来てくれたら解決する問題だからだ。
が……その時オレを痛めつけていた生徒がクラリネさんの三つ編みを引っ張り、クラリネさんは痛みのあまり涙を流していた。
(くそ! 今日に限って何でみんな休日の冒険者協会の依頼に向けて依頼の確認と武器屋さんに行っているんだよぉ)
オレは見て見ぬ振りをする生徒達をかき分けて、クラリネさんの近くに行き、髪を引っ張る生徒の腕を【身体強化】で少し強く握った。
「痛てててて!」
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