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第一章 王国編第二部(中等部)
エピソード162 実技前の授業
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「それでは一番の棒の前に一列で並んでね。これは火の適性を調べる魔道具よ。
次に水、風、土、光、闇、治癒の順に魔道具が並んでいるから、それぞれ魔道具の属性をイメージしながら棒に触れるのよ。
適性があれば魔道具が光り、その輝きが強い程、魔力が高いからね。それでは始めましょう」
ヘンリエッタ先生の説明を受けて、火の適正を調べる魔道具の棒の前に長蛇の列ができる。
(そもそも魔法の素質って五歳までに分かるんじゃなかったっけ? それに適性だって十歳までに分かるはずじゃ……)
「なぁモーガン?」
「ん? 何クライヴ?」
オレは疑問に感じた事をモーガンに質問した。
「間違っていたら訂正してくれないか。確か魔法の適正は五歳児の時に素質があれば発現するんだよな?
そして個人差はあるけど十歳頃には属性が自分で分かるようになるんじゃなかったっけ?」
「そうだねクライヴ。ただ素質に関しては五歳で分かるけど、属性に関しては十歳で分かるのは一つの属性だけなんだ。二つ以上属性がある場合は二つ目が分からないんだよ」
モーガンの説明にオレは驚愕した。
(そんなの初耳だぞ! 流石王国、魔法の知識や理解も魔法も帝国より進んでいるから解明されたんだろうなぁ。帝国は魔法を使える人が母さんぐらいだもんなぁ……そりゃ魔法を解明するよりも工業や武器防具等の技術に労力を費やすよな…………)
「身体の中に流れる魔力の色を魔法の属性と言われているけど、一色しかイメージできないし、他の属性を使おうにもその属性の魔法自体をイメージしづらいから余程のセンスがないと魔法を使う事が出来ないんだよ。
それに複数の属性の素質を調べる魔道具を使用するのも高額だから、学院に入学する前に調べるのは上級貴族ぐらいだよ」
「へぇ~、魔法を使えないから気にしてなかったけど、学院って機材が揃って凄いんだなぁ」
「一属性だいたい金貨二枚で調べるのが一般的だけど、学院では無料だからね」
「なるほど~」
「じゃあアタシにも魔法が使えるようになるかもしれないのね!」
「フィーネ、モーガンの話を聞いてなかったのか? そもそもフィーネはオレと同じで身体の中に魔力が流れるのを感じれないだろ?」
「あっ……忘れてたわ……」
「それとこの王国では初級以上の魔力を持つ確率は千分の一だからね。生活魔法レベルなら十分の一ぐらいだけどね」
喜びから哀しみにフィーネは一瞬で表情を変えて、その様子にモーガンは苦笑していた。
(王国でも一般的に攻撃魔法が使えるとは限らないのか……魔法使いはどこも重宝されるんだなぁ……ん? そう言えばモーガンは何で自分が水属性しか使えないって知っているんだ? 他の魔法は使えないの事を知っているって事は金貨二枚払って調べたのか? いやいや平民では無理だろう……実は貴族出身とか?)
オレは率直に思った事を聞いてみた。
「ん? モーガンは自分自身が魔法を一つしか使えないって、どうして知っているんだ?」
「えっ? 現段階では一つだけだよ。さっきも言った通り調べないと分からないからさ」
(そっか、水属性しか使えないではなくて、現在水属性は使えるって事だったのか? と言うか氷の魔法って水属性だったのね…………知らなかった。
まぁ二つ目の属性はイメージしづらいって言ってたし、これで新しい属性でもあれば戦いの幅が広がるのになぁ)
そんな事を考えてモーガンを見てみると、一瞬だけモーガンの表情が僅かに固まったかのように見えた。
まぁオレの見間違いだろう…………
オレは瞬きを一つすると、そこにはいつもの笑顔のモーガンがいた。
「こら~! そこ、話をしていないでちゃんと並びなさ~い」
ヘンリエッタ先生の注意により、オレ達は話をやめて列に並んだ。
「クックック……怒られてやがるぜ」
三つ前に並んでいるカーンがオレ達の方に振り返りニヤケ面で笑みを浮かべていたが、オレが何も反応を示さないと徐々に不機嫌な顔になり、オレを睨んでいた。
(絡むなよカーン。仲良くしようとは言わないけど何でそんなに意識してくるんだよ。ほっといてくれって)
そして列は進み出して一人一人魔法の適性を調べて行く。
オレの番になったが、もちろん魔道具は何も示さなかった。
「よっしゃー!」
そんなオレを見て、歓喜しているのはガッツポーズをするカーンだった。
どうやらオレが魔法の適性がない事が嬉しかったようで、ニヤニヤとしてオレの元へ近づいてきた。
「おうクライヴ、ヘヘヘッ残念だったなぁ。魔法も使えないなんてダッセーなお前。オレは火の生活魔法が使えるぜ! キャンプの時の火起こしができるんだぜ! スゲェだろ! まぁお前に自慢しても意味ないか。ハッハッハッハ」
(饒舌に喋るなぁ……オレが魔法を使えないのがそんなに嬉しいのか? カーンも生活魔法でドヤるなよ…………)
「カーンくん、クライヴに関わらないんじゃなかったっけ?」
「クッ…………」
モーガンが黒い笑みを浮かべてカーンに話しかけると、カーンはオレを睨みつけてその場から離れていった。
(なぜオレを睨むんだいカーン? オレは一言も喋ってないから気に触る事も言ってないぞ)
その後、モーガンとフィーネとクラリネさんの適性を調べる番が回ってきた。
適正の結果は、モーガンは水属性の初級レベルの魔力、フィーネは属性なし、クラリネさんは風属性の生活魔法レベルの魔力だった。
ちなみにカーンも二つ目の魔法の適性はなく、火属性の生活魔法レベルだった…………
そして、千分の一の確率のモーガンは瞬く間にクラスのみんなから神の如く崇められるようになった。
「あぁ愛しのモーガンくんが…………魔法使い……何そのおいしい展開は! 魔女っ子モーガンくん尊いわ」
(魔女っ子モーガン、ちょっと見てみたいけど、妄想が凄いね)
「何を言っていますの! クライヴ君がピンチの時にモーガン君が魔法で助ける。二人の愛がピンチから抜け出す。激アツじゃないの! もうわたくしお腹いっぱいですわ」
(お腹いっぱいになる理由が分からないけど、危ないね発想が…………)
「あぁ、モーガン様の魔法で私を蔑んで下さいまし。いつものキラキラ笑顔と違う冷たい瞳で氷漬けにされたいですわ」
(え、エムなの? 大丈夫? 過激な考えだよ!)
「モーガンたん……ハァハァ………………」
(おい変態! お前は男女問わずどちらもいけるのか!)
こうして、魔法の実技前の授業が終わり、魔法の適性があった人の中で希望者は次回からは魔道具作成コースとなった。
クラリネさんがこのコースを選んでいた。
ちなみにモーガンは攻撃魔法が使えると言う事で中等部の全生徒の中で攻撃魔法が使える生徒だけが受けられる特別コースを受ける事になった。
オレとフィーネは魔法の適性がない為、中等部一年生全体で希望者を募る武術コースとなった。
リアナとショーンもこちらのコースを選択したらしい。
後、カーンとサッソも武術コースを選んでいた…………
次に水、風、土、光、闇、治癒の順に魔道具が並んでいるから、それぞれ魔道具の属性をイメージしながら棒に触れるのよ。
適性があれば魔道具が光り、その輝きが強い程、魔力が高いからね。それでは始めましょう」
ヘンリエッタ先生の説明を受けて、火の適正を調べる魔道具の棒の前に長蛇の列ができる。
(そもそも魔法の素質って五歳までに分かるんじゃなかったっけ? それに適性だって十歳までに分かるはずじゃ……)
「なぁモーガン?」
「ん? 何クライヴ?」
オレは疑問に感じた事をモーガンに質問した。
「間違っていたら訂正してくれないか。確か魔法の適正は五歳児の時に素質があれば発現するんだよな?
そして個人差はあるけど十歳頃には属性が自分で分かるようになるんじゃなかったっけ?」
「そうだねクライヴ。ただ素質に関しては五歳で分かるけど、属性に関しては十歳で分かるのは一つの属性だけなんだ。二つ以上属性がある場合は二つ目が分からないんだよ」
モーガンの説明にオレは驚愕した。
(そんなの初耳だぞ! 流石王国、魔法の知識や理解も魔法も帝国より進んでいるから解明されたんだろうなぁ。帝国は魔法を使える人が母さんぐらいだもんなぁ……そりゃ魔法を解明するよりも工業や武器防具等の技術に労力を費やすよな…………)
「身体の中に流れる魔力の色を魔法の属性と言われているけど、一色しかイメージできないし、他の属性を使おうにもその属性の魔法自体をイメージしづらいから余程のセンスがないと魔法を使う事が出来ないんだよ。
それに複数の属性の素質を調べる魔道具を使用するのも高額だから、学院に入学する前に調べるのは上級貴族ぐらいだよ」
「へぇ~、魔法を使えないから気にしてなかったけど、学院って機材が揃って凄いんだなぁ」
「一属性だいたい金貨二枚で調べるのが一般的だけど、学院では無料だからね」
「なるほど~」
「じゃあアタシにも魔法が使えるようになるかもしれないのね!」
「フィーネ、モーガンの話を聞いてなかったのか? そもそもフィーネはオレと同じで身体の中に魔力が流れるのを感じれないだろ?」
「あっ……忘れてたわ……」
「それとこの王国では初級以上の魔力を持つ確率は千分の一だからね。生活魔法レベルなら十分の一ぐらいだけどね」
喜びから哀しみにフィーネは一瞬で表情を変えて、その様子にモーガンは苦笑していた。
(王国でも一般的に攻撃魔法が使えるとは限らないのか……魔法使いはどこも重宝されるんだなぁ……ん? そう言えばモーガンは何で自分が水属性しか使えないって知っているんだ? 他の魔法は使えないの事を知っているって事は金貨二枚払って調べたのか? いやいや平民では無理だろう……実は貴族出身とか?)
オレは率直に思った事を聞いてみた。
「ん? モーガンは自分自身が魔法を一つしか使えないって、どうして知っているんだ?」
「えっ? 現段階では一つだけだよ。さっきも言った通り調べないと分からないからさ」
(そっか、水属性しか使えないではなくて、現在水属性は使えるって事だったのか? と言うか氷の魔法って水属性だったのね…………知らなかった。
まぁ二つ目の属性はイメージしづらいって言ってたし、これで新しい属性でもあれば戦いの幅が広がるのになぁ)
そんな事を考えてモーガンを見てみると、一瞬だけモーガンの表情が僅かに固まったかのように見えた。
まぁオレの見間違いだろう…………
オレは瞬きを一つすると、そこにはいつもの笑顔のモーガンがいた。
「こら~! そこ、話をしていないでちゃんと並びなさ~い」
ヘンリエッタ先生の注意により、オレ達は話をやめて列に並んだ。
「クックック……怒られてやがるぜ」
三つ前に並んでいるカーンがオレ達の方に振り返りニヤケ面で笑みを浮かべていたが、オレが何も反応を示さないと徐々に不機嫌な顔になり、オレを睨んでいた。
(絡むなよカーン。仲良くしようとは言わないけど何でそんなに意識してくるんだよ。ほっといてくれって)
そして列は進み出して一人一人魔法の適性を調べて行く。
オレの番になったが、もちろん魔道具は何も示さなかった。
「よっしゃー!」
そんなオレを見て、歓喜しているのはガッツポーズをするカーンだった。
どうやらオレが魔法の適性がない事が嬉しかったようで、ニヤニヤとしてオレの元へ近づいてきた。
「おうクライヴ、ヘヘヘッ残念だったなぁ。魔法も使えないなんてダッセーなお前。オレは火の生活魔法が使えるぜ! キャンプの時の火起こしができるんだぜ! スゲェだろ! まぁお前に自慢しても意味ないか。ハッハッハッハ」
(饒舌に喋るなぁ……オレが魔法を使えないのがそんなに嬉しいのか? カーンも生活魔法でドヤるなよ…………)
「カーンくん、クライヴに関わらないんじゃなかったっけ?」
「クッ…………」
モーガンが黒い笑みを浮かべてカーンに話しかけると、カーンはオレを睨みつけてその場から離れていった。
(なぜオレを睨むんだいカーン? オレは一言も喋ってないから気に触る事も言ってないぞ)
その後、モーガンとフィーネとクラリネさんの適性を調べる番が回ってきた。
適正の結果は、モーガンは水属性の初級レベルの魔力、フィーネは属性なし、クラリネさんは風属性の生活魔法レベルの魔力だった。
ちなみにカーンも二つ目の魔法の適性はなく、火属性の生活魔法レベルだった…………
そして、千分の一の確率のモーガンは瞬く間にクラスのみんなから神の如く崇められるようになった。
「あぁ愛しのモーガンくんが…………魔法使い……何そのおいしい展開は! 魔女っ子モーガンくん尊いわ」
(魔女っ子モーガン、ちょっと見てみたいけど、妄想が凄いね)
「何を言っていますの! クライヴ君がピンチの時にモーガン君が魔法で助ける。二人の愛がピンチから抜け出す。激アツじゃないの! もうわたくしお腹いっぱいですわ」
(お腹いっぱいになる理由が分からないけど、危ないね発想が…………)
「あぁ、モーガン様の魔法で私を蔑んで下さいまし。いつものキラキラ笑顔と違う冷たい瞳で氷漬けにされたいですわ」
(え、エムなの? 大丈夫? 過激な考えだよ!)
「モーガンたん……ハァハァ………………」
(おい変態! お前は男女問わずどちらもいけるのか!)
こうして、魔法の実技前の授業が終わり、魔法の適性があった人の中で希望者は次回からは魔道具作成コースとなった。
クラリネさんがこのコースを選んでいた。
ちなみにモーガンは攻撃魔法が使えると言う事で中等部の全生徒の中で攻撃魔法が使える生徒だけが受けられる特別コースを受ける事になった。
オレとフィーネは魔法の適性がない為、中等部一年生全体で希望者を募る武術コースとなった。
リアナとショーンもこちらのコースを選択したらしい。
後、カーンとサッソも武術コースを選んでいた…………
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