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翌朝、遥斗が心地いい気怠さを感じながら目を覚ますと、泰生の腕の中にいた。
「おはよう。身体は大丈夫か?」
朝特有の少し掠れた低い声を聞いて、遥斗はいまだに燻っている身体がゾクリと震えた。
「だい、じょぶ」
さんざん喘がされた喉から、ガサガサな声が出た。
ケホンと軽く咳をすると、泰生はミネラルウォーターを準備してくれた。
「連絡先の交換をしないか? それに俺はきみをなんて呼べばいい? 名前すら聞いていなかった。俺は泰生。一条泰生だ」
「オレは藤井遥斗。いいよ、連絡先の交換をしよう」
名前すら知らないままだったなんて、どれだけお互いに夢中になっていたのか。と心の中で遥斗は苦笑した。
泰生は多忙だったが、平日でも時間があると、遥斗と身体を合わせる。最初は外で会っていた。
しかし、回数を重ねていくうちに、いつの間にか遥斗のマンションに来るようになった。
遥斗は、泰生に出会って以来、あのバーには行っていない。当然、他の男とも関係を持っていない。
泰生との逢瀬で満足していた。
───いつの間にか、それだけでは物足りなくなっていった。
ある日、泰生のマンションに行くことになった。初めて泰生のプライベートな空間に招き入れてもらえて嬉しい。遥斗はドキドキしながら、泰生のあとに続く。
「俺は普段、帰って寝るだけだから……」
泰生は、雑然とした部屋に、少し気恥ずかしそうに笑った。遥斗はその様子に、泰生に恋人はいないらしいと安堵した。
この頃には、遥斗は泰生に恋心を抱いていると自覚していた。
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