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おまけ
性癖が酷い人はもう充分です!②
しおりを挟む「ただいま、実花。」
「玲士~!おかえり。」
実花は、帰ってきたばかりの東堂玲士に抱きついた。玲士には本村に目をつけられている事をしっかり話しているので、思い切り甘やかして貰っている。もちろん、毎日仕事を頑張っている玲士の為に、今日は実花が心を込めて料理をした。
ピッタリと引っ付いて離れない実花を縦抱っこして中まで入っていく玲士に、今日あったことをぴーぴー言いつけていた。
「本当に、和葉さんには感謝だな。」
玲士が和葉を名前で呼ぶのには理由がある。可愛い和葉が名字呼びを極端に嫌うからだ。和葉は自分の名字にコンプレックスがある。実花も聞いた時に固まった位だ。本村は初手でその地雷をぶち抜いた。
「鬼瓦さんって、顔と名字のイメージ全然合わないね。」
周囲は本村のこの発言に凍りついた。ただでさえ本村が来る前から、みんなの不安要素だったのだが、この瞬間に彼への対応は決まったのだ。
鬼瓦和葉の地雷を初日にぶち抜いた厄介者。それが我が社の共通認識だ。
ソファに座る玲士の膝の上に乗せられた状態で話していた実花に、玲士は言い聞かせるように言った。
「実花、危なくなったら容赦なく急所を狙うんだよ?」
「うん。部長も目を光らせてくれてるから、下手なことはしないと願いたいけど、いざとなったら玲士の言う通りにする。」
「ああ。ところで、実花の手作りハンバーグは?楽しみに帰ってきたんだけど。」
「あっ!これから焼くんだった。玲士、着替えてきて。準備しておくね。」
実花がキッチンに向かうのを、玲士は笑いながら見ていたが、着替えるために部屋に向かった。
食事を終えると、何かを思い出した玲士は手紙を一通持ってきた。
「そうだ。実花に手紙が来ていたよ。」
「手紙?」
そう言って手渡された見覚えのあるデザインの封筒。ここのところ平和に暮らしていたのに、何だか手に取りたくない。
チラリと玲士を見る。笑顔を作っているけど、口角が若干引き攣っている。実花も同じものを感じているのだろう。恐らく出すタイミングを考えていたのだろう。これをウッカリ忘れるなんてありえない。覚悟を決めて受け取ると、いかにも高級な質感の封筒を慎重に開封した。
「玲士……人前式だって、両親とウェディングプランナーにしか、まだ話してないよね?」
「そうだな……芳樹にもまだ話してないな。」
「なんで、知ってるのかな。改めて留奈さんの情報収集能力が怖い。」
続けて二枚目の便箋に目を走らせた実花は、ヒッ!と思わず声を上げた。そのまま固まる実花から、そっと手紙を受け取った玲士も思わず唸った。
内容はこうだ。
『人前式でガーデンウェディングをするそうですね?よろしければウチのイタリアンのシェフたちを派遣します。場所もお決まりでなければ良いところがありますよ。もちろん費用の心配はいりません。良いお返事をお待ちしています。
……ところで、実花さんの周りに駄犬が迷い込んだとの事。その駄犬は二階堂グループ傘下の社員とトラブルを起こしております。そちらの躾の方は丁度よく知り合いに興味を持った方がおりますので、しばらく引き取らせて頂きます。しっかり躾をしたらお返しします。既に話が動いていますのでご安心ください。』
「実花……恐らく二階堂グループに喧嘩を売った時点で終わってたんだよ、多分。」
「本村さん、仕事は出来るから。まともになるなら、いい……よね?」
玲士は震え声でそう言った実花に、労わるようなキスをした。
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