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第一章 壊れた日常の始まり
銀色の髪の男
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父は暗闇を無言で突き進む。ついて行きたくないのに、置いて行かれたくなくて小さな子供のように必死に追いかける。
ようやくたどり着いたのは、ラブホテル街だった。周りも奇異な目で俺たちを見ている。それはそうだ。だってここは、男女が夜の営みをする場所で、恋人だけでなくお仕事っぽい服装をした女の人と中年の男の人、ホストっぽい男の人と綺麗な女の人、周りにいるのは、そんな人ばかりだ。男女だけでなく、ちょっといかついお兄さんが屯ってたり、男の人同士が腕を組んで歩いたりもしている。
目の前を歩く父と俺。父は若いが、それでもーーそういう関係ーーに見えない俺たちは、この空間では異質な存在だった。
父は無言で1つのラブホへと入って行った。
「お前、今日から身体を売れ」
父は部屋に入るなりそう言った。
(……身体を売る?)
何を言っているのか分からず尋ね返そうとしたその時、ガチャッと扉から1人の男が入って来た。初めて見るその男は銀色の髪にチャラチャラしたピアスがついていて遊んでいそうな褐色肌の男だ。父よりも若く見える。
目の前の男が、ジロジロとこちらを見る。軽い雰囲気とは別に少しの胡散臭さもある。ふと先ほどの「お前は今日から身体売るんだ」という父の言葉を思い出した。ラブホテルの一室にやって来た目の前の男。
嫌な予感が頭を過る。
目の前の男にたじろいで父に助けを求めるように見ると、父は静かに「自分の食い扶持は自分で稼げ」と言った。その静かな物言いは、本気で俺に言っているようだった。
「あれ?この子だけ?もう一人は?」
「え……?」
男が軽い口調でそう尋ねた。
「いない」
「まぁ、今日はこの子だけでもいいよ。弘人くんだっけ?」
父が答えると、男がそう言った。今のこの状況についていけてないのは確かだが、2人の会話から嫌な汗が全身に流れた。これ以上、話が進む前に父に確認するように叫び、問い詰めた。
「……待って、もう一人って智のこと?!父さん、智もここに連れて来るつもりだったの?!」
「他に誰がいる」
「どうして?!父さん、どうしちゃったの?!」
父が自分だけでもなく弟の智まで売ろうとしたことが許せず、声を荒げ父につかみかかった。もちろん父の方が身長も高く、体格もいい。いつも殴り飛ばされている俺が敵うことなどないと分かっているが、それでもこの自身の怒りをぶつけずにはいられなかった。
ーーバシン
父の分厚い手のひらで頬を叩かれ、あっけなく尻餅をつく。父は反抗した俺に腹を立て更なる拳を振り上げた。
「萎えるからそれ以上殴らないでよ。弘人くん立てる?」
男が近づき、俺に手を差し出したが、それを無視して立ち上がる。一体どういう流れでこうなったのか分からない。でも、少なくともこの目の前の男が、俺と弟を買おうとしたことは確かだ。キッと睨むも、男は物怖じせずこの状況を楽しんでいるようだった。
ようやくたどり着いたのは、ラブホテル街だった。周りも奇異な目で俺たちを見ている。それはそうだ。だってここは、男女が夜の営みをする場所で、恋人だけでなくお仕事っぽい服装をした女の人と中年の男の人、ホストっぽい男の人と綺麗な女の人、周りにいるのは、そんな人ばかりだ。男女だけでなく、ちょっといかついお兄さんが屯ってたり、男の人同士が腕を組んで歩いたりもしている。
目の前を歩く父と俺。父は若いが、それでもーーそういう関係ーーに見えない俺たちは、この空間では異質な存在だった。
父は無言で1つのラブホへと入って行った。
「お前、今日から身体を売れ」
父は部屋に入るなりそう言った。
(……身体を売る?)
何を言っているのか分からず尋ね返そうとしたその時、ガチャッと扉から1人の男が入って来た。初めて見るその男は銀色の髪にチャラチャラしたピアスがついていて遊んでいそうな褐色肌の男だ。父よりも若く見える。
目の前の男が、ジロジロとこちらを見る。軽い雰囲気とは別に少しの胡散臭さもある。ふと先ほどの「お前は今日から身体売るんだ」という父の言葉を思い出した。ラブホテルの一室にやって来た目の前の男。
嫌な予感が頭を過る。
目の前の男にたじろいで父に助けを求めるように見ると、父は静かに「自分の食い扶持は自分で稼げ」と言った。その静かな物言いは、本気で俺に言っているようだった。
「あれ?この子だけ?もう一人は?」
「え……?」
男が軽い口調でそう尋ねた。
「いない」
「まぁ、今日はこの子だけでもいいよ。弘人くんだっけ?」
父が答えると、男がそう言った。今のこの状況についていけてないのは確かだが、2人の会話から嫌な汗が全身に流れた。これ以上、話が進む前に父に確認するように叫び、問い詰めた。
「……待って、もう一人って智のこと?!父さん、智もここに連れて来るつもりだったの?!」
「他に誰がいる」
「どうして?!父さん、どうしちゃったの?!」
父が自分だけでもなく弟の智まで売ろうとしたことが許せず、声を荒げ父につかみかかった。もちろん父の方が身長も高く、体格もいい。いつも殴り飛ばされている俺が敵うことなどないと分かっているが、それでもこの自身の怒りをぶつけずにはいられなかった。
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「萎えるからそれ以上殴らないでよ。弘人くん立てる?」
男が近づき、俺に手を差し出したが、それを無視して立ち上がる。一体どういう流れでこうなったのか分からない。でも、少なくともこの目の前の男が、俺と弟を買おうとしたことは確かだ。キッと睨むも、男は物怖じせずこの状況を楽しんでいるようだった。
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