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第一章 壊れた日常の始まり
叔母
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龍の刺青が入った銀髪の男は、何度も俺を呼び出した。男は、正面から抱く時に顔を見つめてくる。
でも、その視線は俺を見ているようで俺を見ていない
行為をする時、父は必ずいる。いつも隣にいて俺が抱かれているのをじっと黙って見ている。
男はいつも終わると父にお金を渡す。男はいつも軽い感じで父に話しかけるが、父は何も言わずにお金を受け取るだけだ。
そんな日々が続いたある時、行為が終わった後、いつものように2人は金銭のやり取りをして、すぐに部屋を出て行った。2人が出て行った後、以前のようにホテルのお風呂でシャワーを浴びていると、以前眠っている俺に声をかけた小太りの従業員が、部屋へと入ってくるようになった。
最初のうちは、入ってきた後どもりぎみに謝ったので間違えたのかと思ったが、最近はそれも隠さず入ってきてジロジロとこちらを見る。吃音混じりの声をかけてくることもあれば、薄気味悪い視線でこちらを見ることもあった。小太りの男の汗や不快な匂いも合間って気持ち悪くなり、父と一緒に部屋を出ることにした。
父はこちらに気を止めることもなく前をさっさと歩く。銀髪の男からの羽振りが良いのか、背中越しから父の機嫌が良いことが分かる。薄暗い道を抜けると家はすぐそこだ。だが、いつも父は家には帰らず、数枚のお金を俺に投げつけるように渡すとどこかへと去って行った。
「兄ちゃん、お帰り……」
深夜とも言える時間にまだ起きていた智に驚いた。智は心配と不安が入り混じった表情でこちらを見てくる。何事もなかったかのように微笑んで安心させようとするも、疲れ切った俺を見て智は再度心配した表情をする。
「智、それよりもちゃんと戸締りしてる?もし何かあったらすぐに叔母さんのところに行くんだぞ」
父さんとは、智に身体を売らせないという約束はしている。でも、それが本当に守られるかなんて分からない。叔母さんと言うのは、死んだ母さんの妹で比較的近くに家がある。近いと言っても橋の向こうで治安の悪いこちら側とは異なり、ごくごく普通の家庭や一部ながらにもお金持ちの人が住んでいる治安のよい場所だ。薄暗いこの街とは雲泥の差がある綺麗な街。
叔母さんは、母に似た弟の智をよく可愛がっていた。小さい頃の病弱さも相まってか、智を自身の子供のように接していた。叔母さんの元に子供がいないからというのも大きな理由かもしれない。不謹慎だと思いつつも、今のこの状況を思うと良かったと心のどこかで思ってしまう。智とは逆に、父に似た俺のことを叔母さんはあまり好いていない。と言うのも、父と母は若くして子供が出来て結婚したからだ。
小さい頃、叔母さんにたまに会うと、その度にこっそりと「あんたが生まれてこなければ……」と誰もいないところで言われたことがあった。母と父は一心に俺を可愛がってくれたし、弟のことも同じく可愛がっていた。母と父、それに弟がいたらそれで幸せだったし、どうして叔母さんがそんなことを言うのか分からなかった。叔母さんに会うたびに、そう言われるたびに、どんよりと悲しい気持ちになった。
でも、その視線は俺を見ているようで俺を見ていない
行為をする時、父は必ずいる。いつも隣にいて俺が抱かれているのをじっと黙って見ている。
男はいつも終わると父にお金を渡す。男はいつも軽い感じで父に話しかけるが、父は何も言わずにお金を受け取るだけだ。
そんな日々が続いたある時、行為が終わった後、いつものように2人は金銭のやり取りをして、すぐに部屋を出て行った。2人が出て行った後、以前のようにホテルのお風呂でシャワーを浴びていると、以前眠っている俺に声をかけた小太りの従業員が、部屋へと入ってくるようになった。
最初のうちは、入ってきた後どもりぎみに謝ったので間違えたのかと思ったが、最近はそれも隠さず入ってきてジロジロとこちらを見る。吃音混じりの声をかけてくることもあれば、薄気味悪い視線でこちらを見ることもあった。小太りの男の汗や不快な匂いも合間って気持ち悪くなり、父と一緒に部屋を出ることにした。
父はこちらに気を止めることもなく前をさっさと歩く。銀髪の男からの羽振りが良いのか、背中越しから父の機嫌が良いことが分かる。薄暗い道を抜けると家はすぐそこだ。だが、いつも父は家には帰らず、数枚のお金を俺に投げつけるように渡すとどこかへと去って行った。
「兄ちゃん、お帰り……」
深夜とも言える時間にまだ起きていた智に驚いた。智は心配と不安が入り混じった表情でこちらを見てくる。何事もなかったかのように微笑んで安心させようとするも、疲れ切った俺を見て智は再度心配した表情をする。
「智、それよりもちゃんと戸締りしてる?もし何かあったらすぐに叔母さんのところに行くんだぞ」
父さんとは、智に身体を売らせないという約束はしている。でも、それが本当に守られるかなんて分からない。叔母さんと言うのは、死んだ母さんの妹で比較的近くに家がある。近いと言っても橋の向こうで治安の悪いこちら側とは異なり、ごくごく普通の家庭や一部ながらにもお金持ちの人が住んでいる治安のよい場所だ。薄暗いこの街とは雲泥の差がある綺麗な街。
叔母さんは、母に似た弟の智をよく可愛がっていた。小さい頃の病弱さも相まってか、智を自身の子供のように接していた。叔母さんの元に子供がいないからというのも大きな理由かもしれない。不謹慎だと思いつつも、今のこの状況を思うと良かったと心のどこかで思ってしまう。智とは逆に、父に似た俺のことを叔母さんはあまり好いていない。と言うのも、父と母は若くして子供が出来て結婚したからだ。
小さい頃、叔母さんにたまに会うと、その度にこっそりと「あんたが生まれてこなければ……」と誰もいないところで言われたことがあった。母と父は一心に俺を可愛がってくれたし、弟のことも同じく可愛がっていた。母と父、それに弟がいたらそれで幸せだったし、どうして叔母さんがそんなことを言うのか分からなかった。叔母さんに会うたびに、そう言われるたびに、どんよりと悲しい気持ちになった。
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