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第一章 壊れた日常の始まり
手に届きそうな輝き※
しおりを挟む「なぁ?聞いてる?ヤッてみていい?」
不良に見えるのにその声に怖さはなく、迅は面白半分に俺を壁に押し寄せた。薄暗い道のはずなのに迅の綺麗な金色がキラキラと艶めいて目を奪われる。そのサラサラの髪が頬にサラッと触れる。迅の顔が近づく。
迅は、唇を這わせる優しいキスをした。こちらが嫌がっていないことを確認すると、そのままボタンを外していき、キスを唇から首へ、首から胸へと優しく落とした。その優しく触れる唇が気持ち良くて自分のペニスが勃っていることに気付いた。
セックスだけが目当ての客は、キスなんてあまりしてこない。してきても気持ちの悪い嫌悪感しかない。キスだけで勃起した自分は羞恥にかられ、また初めての身体の感情に戸惑った。
皆、面白半分に乱暴に抱き、時には暴力まがいのこともされる。いつもなら早く終わりますようにと祈るはずなのに……。
(油断しちゃダメだ・・・)
唇の柔らかさに引き込まれないように冷静を装う。結局のところ、迅だってやらせろと言ってきたのだから、他の男と変わらないのだ。
「おい、集中しろって」
「うぁっ、んっ……」
迅が俺に注意すると乳首をカリっと噛んだ。噛んだ後、はむはむと口に乳首の先端を含み舐める。乳首は芯を持ち始め身体は更に熱くなる。無理やり切り開かれる一方的な行為とは異なる迅の愛撫に驚きを交えなかった。
俺の声を聞いた迅は満足そうに静かに笑うと太ももへとキスを落とし、後孔へと指をいれた。ローションなどなく滑りが悪いと悟った迅は、「しゃぶって」と指を俺の口へと近づけた。言われるがままに迅の指を含む。迅の指が優しく口腔を撫でた。それさえも何故か気持ち良く感じた。
迅はその濡れた指で丁寧に後孔を解すと、ゆっくりと固くそそり立ったペニスを差し込んだ。
「うぁっ、あっ、、、」
熱くて太い肉棒が入って来ただけで甘い声が漏れ出る。迅は俺の様子を見た後、ゆっくりと腰を動かした。
「あっ、あっ、まって……んんっ……」
外だというのにどうしてこんなに感じるのだろうか?声を抑えないといけないのに漏れ出てしまう自分の裏腹な感情に戸惑っていると、迅がキスをし舌を絡ませてきた。ヌルヌル絡ませる迅の舌は、俺の舌を捕らえ、弄ぶ。
次第に迅の腰のスピードが速くなる。今まで感じたことのない気持ち良さに意識を飛ばしそうになっていると、お腹の中で熱く何かがほとばしった。迅が中で果てたのだ。そして同時に自身も果てる。荒い呼吸が耳にかかりくすぐったい。密着したお互いの脱げかかったシャツは俺の精液で汚れていた。
「おい、大丈夫か?」
気持ち良さで意識もうろうとしていると、迅が心配したようにこちらを覗き込んだ。大丈夫だと言うようにコクコクと頷くと、迅は後処理をし始めた。互いのシャツについた精液を迅のシャツの袖で拭くが、まぁ取れるはずがない。
「それぐらい別に・・・・・・」
そう言ったものの迅はもう一度取ろうとして被害を拡大していた。その様子が面白くてクスクス笑うと、迅は「おい、笑うなよ。ハンカチとかティッシュとか持ってねーんだからしょうがないだろ」と言って、こちらを睨みつけた。睨んではいるもののそこに怖さはない。
「お前の名前、確か本間弘人だったよな?」
認識されていただけでなく迅が名前を覚えていたことに驚いていると、「何だよ、教室にいない俺が覚えてちゃ悪いのかよ?」と少し拗ねたように言った。先ほどの行動や口調から見かけによらず迅は不良ではないのかもしれない。
「なぁ、お前、しんどい時、西校舎の屋上来いよ。俺、そこにいるから。あぁ、あとこれ渡しとくな」
そう言って、先ほど迅が落としたお金と写真を今度はしっかりと俺の手に握らせた。
「あいつ、全然、金持ってなかったし、払うつもりなかったのかもな。気をつけろよ。あと、これも写真だから元データ消させないと、あぁいうクソみたいな人間はまたやって来る」
迅はそう言うとその場を去って行った。シャツは精液まみれだし、まだお腹には迅の精子が残っている。きっと帰ってから父に客を取らされるはずだ。
急いで帰らないといけないのに何故かこの日はいつも以上に家に帰りたくなかった。
いつも見下ろしていたキラキラした金色の髪。その輝きに触れた時、どこか心が軽くなった気がした。その日の帰り道は、ずっと迅との行為を思い出していた。セックスは、嫌いな行為のはずなのに、何故か頭から消えなかった。
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