【本編完結・外伝投稿予定】異世界で双子の弟に手篭めにされたけど薬師に救われる

miian

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第一章 異世界へ

馬車での移動(2日目)

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 馬車で移動した1日目の夜は、やはり魔物が多かったのか時々うなり声がした。
 馬車の中で結界を張ることに成功したように良太は野営している場所全体にも結界を張ることに成功した。王子だけでなく騎士団長やその他の騎士達も良太の魔力に圧倒されていた。周りの良太を見る目が憧れや尊敬の眼差しばかりで俺はなおさらいたたまれなくなった。

 夜は良太と俺の2人でテント1つに泊まり、最初は毛布に包まっていたものの、うなり声が聞こえると俺はついつい隣にいる良太にしがみついてしまった。

(……俺がしっかりしないと……いけないのに……)

 兄である俺がしっかりしないと、と思っているのに、物音がする度に良太にピタッとくっついた。
 今、この世界で良太と離れてしまったら俺はすぐに死んでしまうであろうことは分かる。良太とはぐれたら王子や騎士たちは絶対俺を助けることはないだろう。しっかりしないとと考えているのとは裏腹に、ついつい良太にすがってしまう。

「……うれしい」

 良太がぼそっと俺の耳元で言った。「えっ?」と俺は思わず良太を見上げる。

「いつも僕がゆうにぃにくっついてばかりで……ゆうにぃが僕のこと邪魔に思ってることも薄々気づいてたのに……こうやって僕を…頼ってくれるのが嬉しい……」

(俺が疎ましく思ってたことも分かってたのか……)

 決して良太が悪いわけじゃなかった。良太を中心に回って、周りが良太をいつも褒めるから俺が醜く嫉妬してしまっていただけなのに……。

「俺、こっちの世界で言葉も分からないし……魔力もないみたいだし……むしろ今度は良太に邪魔に思われるかもな……」

「ゆうにぃのこと邪魔になんて絶対に思わないよ!ゆうにぃのことは絶対僕が守る!!!だから、だから、僕のそばにいて……」

 この世界に来てから良太の怒ったところや弱気になっているところを目にするようになった。これまでずっと一緒に過ごしてきたのに、良太の知らない一面がまだまがあったみたいだった。
 高校を卒業したら良太とは離れて暮らす予定だったけど、こんな一面を見れて良かったとも思った。

ーーー

 翌朝、また馬車で移動することになった。今日も王子と一緒に3人で乗るのかと思えば、良太は王子に『ーーーー』と言うと王子は別の馬車に乗ることにしたみたいだった。

「どう言ったんだ?すごいな?」

 王子とは出会って間もないが、王子の良太への熱い眼差しは側から見ても分かるものだった。そんな王子があっさり納得して違う馬車へ乗るとは凄いことだ。

「魔術の練習を昨日の夜したから寝不足で眠い、だから違う馬車に行ってって言っただけだよ」

(寝不足ってだけで違う馬車へ行くのか?!どれだけ王子は良太に甘いんだ……)

「だからゆうにぃ、馬車では気兼ねなくいれるよ!」

 笑顔で良太がそう言った。実際のところ昨日の夜、良太が魔術の練習を少ししていたのは確かで馬車の中で、良太はぐっすり眠っていた。向かい側に座ると言っているのに「横にいて、膝枕して」と言うので仕方なく膝を貸してやった。

 スースーと寝息を立てて、すぐに眠ってしまった。眠る横顔はあどけなく昔から見ているお調子者で俺にべったりな弟だった。ここに来て、いきなり救世主だの結界だのと言われて精神的にも疲れてるんだろうなと思った。

 今までしたことはなかったけど、そっと良太の髪の毛を撫でた。
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