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第二章 良太との日々
ルウファの街と図書館 良太side
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ゆうにぃに、ルウファについて話すようになってから数日が経った。
今日は、先日王子に誘われた図書館へと行くことになった。ただ、王子は鬱陶しいくらいテンションが高い。
ルウファの図書館へすぐ連れて行けばいいのに、王子がルウファの街をあちこち紹介したり連れ回そうとしたせいで、日が沈み始めていた。
ゆうにぃがこの世界について知りたいと僕に頼ってくれた翌日、タイミングよく王子が図書館を誘ったので、頷いたものの、その日は魔物が出たせいで図書館へ行くことはできなかった。
今日、ようやく図書館へ行くことになったが、王子が鬱陶しいテンションでずっと話し続けるので、図書館へ行く約束をしたことを少し後悔した。この世界のことや名産について聞くと永遠と喋り続けるので殺意が湧いた。
そもそも今日は図書館へすぐにでも向かいたかった。それなのに、ルウファの街へ入る前に、『少しだけ作業させて欲しい』と王子が、ルウファの外壁に罠の仕掛けを張っていた。でも、その仕掛けに王子が手間取っていたせいで、図書館や街を回るのも昼過ぎになってしまったのだ。
結界作業をする時、王子がいつも側にいて何をしているのか?なんて深く考えたことも、聞いたこともなかったけど、どうやらこの王子は自分の攻撃魔法で罠などを仕掛けていたらしい。
『良太、こっちだよ!』
ようやく図書館へたどり着いたものの図書館が閉まるのは17時までらしい。あと1時間もなかった。図書館に行きたかったのに、全然時間がなく、目の前のペチャクチャ喋る王子に腹立ちを隠し終えざる得なかった。
(ーーまぁ、でも他の魔術についても知りたかったし良かった……)
あと1時間しかないものの、少しでも魔術の本を見ることは可能なので、気を取り直して図書館の中を見渡した。
図書館は3階まであり、一番上の3階は限られた人しか入れない。もちろん国王陛下の許可が下りれば、入ることは可能ではあるものの、そう容易いことではないらしい。そして、王子はそこへ僕を連れて行った。
『良太、司書のスハンを紹介するよ。スハン1人でこの3階を管理しているから、スハンに聞けば知りたい本とか出してもらえるよ』
スハンと言われた青年は、少し日焼けしたような肌に少し長い黒い髪の毛を後ろで1つに括り、優しそうな風貌をしていた。その目の前の青年は両手にたくさんの本を持っている。作業をしてる途中だったのか、こちらを見た後はペコっとお辞儀をして、どこかへと去って行った。
『良太、こっちに魔術系の本があるよ』
王子に案内されながら本を読むためのテーブルや椅子の通路を通り過ぎ、奥の本棚へと案内される。やはり王子の部屋にある本に比べると図書館に置いてる本の数は多く、僕が気になり知りたかった魔術に関するものが多かった。1冊手に取って中をパラパラとめくる。
『なぁ、この本は借りて行ってもいいのか?』
『持ち出し禁止のものもあるけど、数冊程度なら大丈夫じゃないかな?スハンに確認したら借りれるかどうか教えてもらえるよ』
『分かった。聞いてみるよ』
気になる本を数冊取って司書のスハンを探す。スハンはテーブルに座って、スハンと似たような少し日焼けした肌で、肩下まである黒髪を2つ括りしている女の子の横に座っていた。女の子はまだ年齢が低そうだ。
『あの、司書の横に座ってる女の子は誰だ?』
『あぁ、スハンの妹だよ。身体が弱くて田舎から治療のためにスハンが連れてきたんだよ』
『ここは出入りが限られているのにあいつの妹はいいのか?』
『あぁ、スハンの能力、いや魔力は全然ないから個人の特性と言った方がいいのかな?スハンは一度見たものを覚えることができて、この3階の管理に彼が必要だから彼の妹も特別に3階の入館を許可しているんだ。3階は機密内容や世間に公開していないものもある。だから、記録を残したり、複数人が出入りするよりかは、彼1人で彼だけが分かるように管理した方が安全なんだよね。田舎から出てきた彼には身寄りがいないって理由もあるけど、妹の方は学校に元気に行けるほど身体も強くないし、家に1人でいて倒れられても後味が悪いしね』
『ふぅん……妹か……』
少し離れたところから見るスハンの表情は、兄として妹を可愛がっているような顔つきだった。スハンとその妹を見ていたら、こちらの視線に気づいたようでスハンは気まずそうに立ち上がり、僕と王子の方へと歩いてきた。
その後、スハンに本が借りれるか聞いたところ、借りれるとのことで手続きしてもらい、この日は図書館を去った。
今日は、先日王子に誘われた図書館へと行くことになった。ただ、王子は鬱陶しいくらいテンションが高い。
ルウファの図書館へすぐ連れて行けばいいのに、王子がルウファの街をあちこち紹介したり連れ回そうとしたせいで、日が沈み始めていた。
ゆうにぃがこの世界について知りたいと僕に頼ってくれた翌日、タイミングよく王子が図書館を誘ったので、頷いたものの、その日は魔物が出たせいで図書館へ行くことはできなかった。
今日、ようやく図書館へ行くことになったが、王子が鬱陶しいテンションでずっと話し続けるので、図書館へ行く約束をしたことを少し後悔した。この世界のことや名産について聞くと永遠と喋り続けるので殺意が湧いた。
そもそも今日は図書館へすぐにでも向かいたかった。それなのに、ルウファの街へ入る前に、『少しだけ作業させて欲しい』と王子が、ルウファの外壁に罠の仕掛けを張っていた。でも、その仕掛けに王子が手間取っていたせいで、図書館や街を回るのも昼過ぎになってしまったのだ。
結界作業をする時、王子がいつも側にいて何をしているのか?なんて深く考えたことも、聞いたこともなかったけど、どうやらこの王子は自分の攻撃魔法で罠などを仕掛けていたらしい。
『良太、こっちだよ!』
ようやく図書館へたどり着いたものの図書館が閉まるのは17時までらしい。あと1時間もなかった。図書館に行きたかったのに、全然時間がなく、目の前のペチャクチャ喋る王子に腹立ちを隠し終えざる得なかった。
(ーーまぁ、でも他の魔術についても知りたかったし良かった……)
あと1時間しかないものの、少しでも魔術の本を見ることは可能なので、気を取り直して図書館の中を見渡した。
図書館は3階まであり、一番上の3階は限られた人しか入れない。もちろん国王陛下の許可が下りれば、入ることは可能ではあるものの、そう容易いことではないらしい。そして、王子はそこへ僕を連れて行った。
『良太、司書のスハンを紹介するよ。スハン1人でこの3階を管理しているから、スハンに聞けば知りたい本とか出してもらえるよ』
スハンと言われた青年は、少し日焼けしたような肌に少し長い黒い髪の毛を後ろで1つに括り、優しそうな風貌をしていた。その目の前の青年は両手にたくさんの本を持っている。作業をしてる途中だったのか、こちらを見た後はペコっとお辞儀をして、どこかへと去って行った。
『良太、こっちに魔術系の本があるよ』
王子に案内されながら本を読むためのテーブルや椅子の通路を通り過ぎ、奥の本棚へと案内される。やはり王子の部屋にある本に比べると図書館に置いてる本の数は多く、僕が気になり知りたかった魔術に関するものが多かった。1冊手に取って中をパラパラとめくる。
『なぁ、この本は借りて行ってもいいのか?』
『持ち出し禁止のものもあるけど、数冊程度なら大丈夫じゃないかな?スハンに確認したら借りれるかどうか教えてもらえるよ』
『分かった。聞いてみるよ』
気になる本を数冊取って司書のスハンを探す。スハンはテーブルに座って、スハンと似たような少し日焼けした肌で、肩下まである黒髪を2つ括りしている女の子の横に座っていた。女の子はまだ年齢が低そうだ。
『あの、司書の横に座ってる女の子は誰だ?』
『あぁ、スハンの妹だよ。身体が弱くて田舎から治療のためにスハンが連れてきたんだよ』
『ここは出入りが限られているのにあいつの妹はいいのか?』
『あぁ、スハンの能力、いや魔力は全然ないから個人の特性と言った方がいいのかな?スハンは一度見たものを覚えることができて、この3階の管理に彼が必要だから彼の妹も特別に3階の入館を許可しているんだ。3階は機密内容や世間に公開していないものもある。だから、記録を残したり、複数人が出入りするよりかは、彼1人で彼だけが分かるように管理した方が安全なんだよね。田舎から出てきた彼には身寄りがいないって理由もあるけど、妹の方は学校に元気に行けるほど身体も強くないし、家に1人でいて倒れられても後味が悪いしね』
『ふぅん……妹か……』
少し離れたところから見るスハンの表情は、兄として妹を可愛がっているような顔つきだった。スハンとその妹を見ていたら、こちらの視線に気づいたようでスハンは気まずそうに立ち上がり、僕と王子の方へと歩いてきた。
その後、スハンに本が借りれるか聞いたところ、借りれるとのことで手続きしてもらい、この日は図書館を去った。
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