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第二章 良太との日々
ゆうにぃとの食事と魔術の書 良太side
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今日、ルウファの街と図書館へ行ったことを早速ゆうにぃに伝えようと、急ぎ足で食事を持ちながら、ゆうにぃのいる部屋へと向かった。部屋に入ると魔鏡を見ていたゆうにぃはビクッとして、こちらを振り向いた。
ゆうにぃを色々と悩ませてしまったけど、距離を置いたことで、最近はゆうにぃの顔色が良くなって食欲もあるみたいで安心した。ゆうにぃも最近の僕の様子を見て、顔色が良くなったことに僕と同じく安心していて、2人で少し笑った。
たまに、ゆうにぃが僕の双子の兄でなければ、もっと簡単に恋愛対象として受け入れてもらえたのかな?と思うことがある。でも、僕が好きなのは双子の兄弟として過ごしてきたことを含めてゆうにぃが好きだった。だから兄じゃなければ……とか意味のないことを考えることはやめた。
「今日見た生き物は殻から目玉1つ飛び出たドロドロの液状の小さくて気持ち悪い生き物だった」
ゆうにぃは今日見た魔鏡の生き物について興奮して話した。この前は綺麗な蜘蛛について興奮しながら嬉しそうに話してくれたので、ゆうにぃがこの部屋で過ごすのに魔鏡が本当にあって良かった。
今度は、僕がルウファの街に行ったことや、図書館について話すとゆうにぃは面白そうに聞いてくれる。
「今日、ルウファの名産品の芋みたいなのを買ってきたから、それで料理を作ってもらったよ。ピニャンて芋らしくて屋台ではその場で揚げ芋みたいにして売られてるんだ。見た目はどきつい緑色だけど、美味しいらしい」
「へぇ、匂いも香ばしくて美味しそうだな」
オレンジ色のソースがかかった蒸されたピニャンを2人で頬張った。ピニャンは緑色なのでオレーンジソースも相まってカラフルな見た目なものの、ホクホクで見た目と反して優しい味だった。
「「美味しい!」」
2人で他のピニャン料理を食べて、「優しい味だ」とか感想を言いつつ、またルウファの街の話をした。
「というか、今日街を見て回ったのに、良太は屋台でピニャンとか食べなかったのか?」
「あー、ゆうにぃと食べたくて……」
王子に食べ物を食べよう、あれを見よう、としつこく誘われたが、ゆうにぃと一緒に食べること以外で食事をとることに興味がなかった。それに、早く図書館へ行きたかったので、王子の誘い全てをスルーしていたことはゆうにぃに言わなかった。
ふとゆうにぃの顔を見ると、羨ましそうな、我慢しているような、そんな表情をしていた。このグッと堪えるようなゆうにぃの表情が、自分の心をいつも惑わせる。ハッと我に返り、今はそんなことを考える時じゃない……と頭を振って、ゆうにぃに話しかけた。
「ゆうにぃ、やっぱり外に出たいよね……」
「ん?あぁ、ごめん。無理なの分かってるんだけど、いつの日か行ってみたいなぁって思って……」
「そう、だよね……何とかできないか頑張ってみるから、もう少しだけ待ってて欲しい……」
「救世主としての役割もあるんだから別に大丈夫だよ。ありがとうな」
(ゆうにぃが「ありがとう」って言ってくれた……!ゆうにぃの願いを叶えてあげたいし、僕もゆうにぃと街デートしたい……)
その後も他愛のない話をして、ゆうにぃの部屋を出た。そのまま王子の隣の部屋へと行く。早速、今日図書館で借りてきた本を開いて、自分の調べたかったページを探す。
僕の能力、護るという概念がどこまで指すのか分からなかったけど、何度も読み直し、その気になっている魔術を試してみる他ないと考えた。
(もしうまくいけば……ゆうにぃと僕との世界に近づくはず……)
そんな願いを込めて、王子の部屋と繋がっている扉を開けた。王子は机に座って書類に目を通しているみたいだったが、話しかけるとうざいくらいの笑顔で王子がこちら見た。
ゆうにぃと僕との世界に近づけるため、王子に少しだけ愛想良く笑ってやった。
ゆうにぃを色々と悩ませてしまったけど、距離を置いたことで、最近はゆうにぃの顔色が良くなって食欲もあるみたいで安心した。ゆうにぃも最近の僕の様子を見て、顔色が良くなったことに僕と同じく安心していて、2人で少し笑った。
たまに、ゆうにぃが僕の双子の兄でなければ、もっと簡単に恋愛対象として受け入れてもらえたのかな?と思うことがある。でも、僕が好きなのは双子の兄弟として過ごしてきたことを含めてゆうにぃが好きだった。だから兄じゃなければ……とか意味のないことを考えることはやめた。
「今日見た生き物は殻から目玉1つ飛び出たドロドロの液状の小さくて気持ち悪い生き物だった」
ゆうにぃは今日見た魔鏡の生き物について興奮して話した。この前は綺麗な蜘蛛について興奮しながら嬉しそうに話してくれたので、ゆうにぃがこの部屋で過ごすのに魔鏡が本当にあって良かった。
今度は、僕がルウファの街に行ったことや、図書館について話すとゆうにぃは面白そうに聞いてくれる。
「今日、ルウファの名産品の芋みたいなのを買ってきたから、それで料理を作ってもらったよ。ピニャンて芋らしくて屋台ではその場で揚げ芋みたいにして売られてるんだ。見た目はどきつい緑色だけど、美味しいらしい」
「へぇ、匂いも香ばしくて美味しそうだな」
オレンジ色のソースがかかった蒸されたピニャンを2人で頬張った。ピニャンは緑色なのでオレーンジソースも相まってカラフルな見た目なものの、ホクホクで見た目と反して優しい味だった。
「「美味しい!」」
2人で他のピニャン料理を食べて、「優しい味だ」とか感想を言いつつ、またルウファの街の話をした。
「というか、今日街を見て回ったのに、良太は屋台でピニャンとか食べなかったのか?」
「あー、ゆうにぃと食べたくて……」
王子に食べ物を食べよう、あれを見よう、としつこく誘われたが、ゆうにぃと一緒に食べること以外で食事をとることに興味がなかった。それに、早く図書館へ行きたかったので、王子の誘い全てをスルーしていたことはゆうにぃに言わなかった。
ふとゆうにぃの顔を見ると、羨ましそうな、我慢しているような、そんな表情をしていた。このグッと堪えるようなゆうにぃの表情が、自分の心をいつも惑わせる。ハッと我に返り、今はそんなことを考える時じゃない……と頭を振って、ゆうにぃに話しかけた。
「ゆうにぃ、やっぱり外に出たいよね……」
「ん?あぁ、ごめん。無理なの分かってるんだけど、いつの日か行ってみたいなぁって思って……」
「そう、だよね……何とかできないか頑張ってみるから、もう少しだけ待ってて欲しい……」
「救世主としての役割もあるんだから別に大丈夫だよ。ありがとうな」
(ゆうにぃが「ありがとう」って言ってくれた……!ゆうにぃの願いを叶えてあげたいし、僕もゆうにぃと街デートしたい……)
その後も他愛のない話をして、ゆうにぃの部屋を出た。そのまま王子の隣の部屋へと行く。早速、今日図書館で借りてきた本を開いて、自分の調べたかったページを探す。
僕の能力、護るという概念がどこまで指すのか分からなかったけど、何度も読み直し、その気になっている魔術を試してみる他ないと考えた。
(もしうまくいけば……ゆうにぃと僕との世界に近づくはず……)
そんな願いを込めて、王子の部屋と繋がっている扉を開けた。王子は机に座って書類に目を通しているみたいだったが、話しかけるとうざいくらいの笑顔で王子がこちら見た。
ゆうにぃと僕との世界に近づけるため、王子に少しだけ愛想良く笑ってやった。
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