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第二章 良太との日々
良太の機嫌 ラウリア王子side
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良太が休みたいと言った時、良太と図書館デートの約束ができたから最高にハッピーだ!
いつ行くかの約束はしていなかったけど、良太が休んだ翌日の今日、早速行くことを提案しに良太に会いに行った。
良太はいつも朝8時頃に1階の朝食室へとやってきて部屋にいるユニィの食事を貰いに来る。
良太のいる部屋は3階なので、執事に持って行かせるよと以前言ったが断られてしまい、いつも甲斐甲斐しく良太は部屋へと食事を持って行っていた。
良太は朝食を食べる習慣がないのか、ほぼ食事は取らず、朝は飲み物だけで終わらすことが多いようだ。昼食も朝食と同様に彼はほとんど食べていないに等しい。作業をしている時に僕から誘っても、彼は携帯食だけでいいと言って、結界を張るか魔術の練習に時間を費やしている。
さすがに心配になったので、コック長にハイカロリーな携帯食料などを用意するように言ったくらいだ。
夕食は以前一緒に食事した2階のダイニングルームで食べようと誘っても、夜は部屋で食べると言う。だから、実は良太とは食事を一緒にしたことが全然ないのだった。コック長に確認したところ、夜はそれなりに食べているようではあるので少し安堵するものの、きちんと食事はしてほしいと願っていた。
幸いなことに今日行く予定の図書館は、グルファン王国にある一番大きな都市・ルウファにあり、食事する店も屋台も沢山あるので良太の好みの食べ物が見つかるかもしれない。
(図書館デートだから食事も一緒にできる♪好きな食べ物があれば、お城でもきちんと食事を取ってくれるかもしれないし、日々の生活の楽しみにもなるからね!)
今は9時少し前で、良太はそろそろ1階の玄関ホールにいる頃合いかもしれない。
僕としては部屋に迎えに行ってもいいのだけど、良太は部屋の前をウロウロされたくないみたいで、玄関ホールで落ち合うことが多かった。
階段を降りると良太が見えたので声をかけようとしたら、以前も一度感じた威圧するような魔力を良太から感じた。
『りょ、うた……?』
あまりの禍々しさに息を飲みながら良太に話しかけると、先ほど感じた威圧するような魔力はなくなり、いつもの良太だった。
(……気のせい?……ではないな……)
先ほど感じた魔力は以前にも増して禍々しく感じ、心がざわついてしまう。
振り向いた良太の顔色は良くなく、眉間にはしわが寄っていて表情が曇っていた。
『大丈夫かい?』
『……あぁ』
どうやら今日の良太は機嫌が良くないらしい。いつもそっけない返事だけど、今日はいつも以上に声が低く、良太もそれを隠す気がない。
声をかけた時に、チラッと僕の方を見た後は、視線を落としてどうやら右手を見ているようだった。ただそんな機嫌の悪い時でも返事してくれる良太は、優しい。
『今日は作業せずに先日言っていた図書館へ行こうかと思ったけど、体調が悪いならそれも無理には行かない方が良いと思うんだけど……どうかな?』
本当は図書館デートと言いたかったけど、機嫌の悪い子を逆なでするほど僕も空気読めないわけじゃないので、普通に聞いてみることにした。
『……いや、大丈夫だ』
まぁ、精神が不安定な時に結界作業してもあまり効率的とは言えないし、まぁ今日は気分転換でもしてもらえたらいいかなと思った。良太に何があったのか気になり、教えてくれるか分からなかいけど、聞いてみることにした。
『昨日何があったか聞いても良いかい?例えばーー』
魔力のないユニィと何かあった?と聞こうとしたら胸元の通信石が軽く震えたので、出るとユグリルの声がした。
『ーーラウリア様、お忙しいところ申し訳ありません』
『どうしたんだ?』
『ルウファ郊外に魔物が出ました。新種のようで、負傷者も出ている状態です』
『そうか、分かった…ー』
今日のデートはお預けだな、と少しガッカリした声で返事をしてしまうと、通信石の向こうからユグリルが謝る。
『いや、今日はそちらに行くつもりではあったから気にするな』
そう言って、ユグルリとの会話を終わらせた。良太は表情が優れないまま、下の方を見て考え事をしているようで、通信の内容を聞いていたかは定かではなかった。
『良太、今日の図書館はお預けだ。都市周辺で魔物が出たらしい』
良太の様子を見るとあまり連れて行きたくなかったけど、そうも言ってられないので、ため息をつきながら良太に言う。良太の機嫌が優れないものの、一緒に図書館へ行けることは楽しみだったので、今の僕の顔は眉を下げて心底がっかりしているだろう。
『行く予定だった図書館もその都市、ルウファにあるけど、さすがに魔物退治優先だからね……。残念だよ』
良太は特に返事することもなく、ずっと自分の右手を片方の手で掴んで、じっと見ている。
ユグリルの話によると、魔物はルウファの東側に出たらしく、今から馬車で向かうにしては時間がかかりすぎる。
あまり使いたくなかったけど、転移の魔法石を使用して行くことにした。
『今日は魔法石を使用してルウファに行くことにするよ。僕の部屋にあるからついてきてくれるかい?』
僕が歩き始めると良太は無言でついてきた。
いつ行くかの約束はしていなかったけど、良太が休んだ翌日の今日、早速行くことを提案しに良太に会いに行った。
良太はいつも朝8時頃に1階の朝食室へとやってきて部屋にいるユニィの食事を貰いに来る。
良太のいる部屋は3階なので、執事に持って行かせるよと以前言ったが断られてしまい、いつも甲斐甲斐しく良太は部屋へと食事を持って行っていた。
良太は朝食を食べる習慣がないのか、ほぼ食事は取らず、朝は飲み物だけで終わらすことが多いようだ。昼食も朝食と同様に彼はほとんど食べていないに等しい。作業をしている時に僕から誘っても、彼は携帯食だけでいいと言って、結界を張るか魔術の練習に時間を費やしている。
さすがに心配になったので、コック長にハイカロリーな携帯食料などを用意するように言ったくらいだ。
夕食は以前一緒に食事した2階のダイニングルームで食べようと誘っても、夜は部屋で食べると言う。だから、実は良太とは食事を一緒にしたことが全然ないのだった。コック長に確認したところ、夜はそれなりに食べているようではあるので少し安堵するものの、きちんと食事はしてほしいと願っていた。
幸いなことに今日行く予定の図書館は、グルファン王国にある一番大きな都市・ルウファにあり、食事する店も屋台も沢山あるので良太の好みの食べ物が見つかるかもしれない。
(図書館デートだから食事も一緒にできる♪好きな食べ物があれば、お城でもきちんと食事を取ってくれるかもしれないし、日々の生活の楽しみにもなるからね!)
今は9時少し前で、良太はそろそろ1階の玄関ホールにいる頃合いかもしれない。
僕としては部屋に迎えに行ってもいいのだけど、良太は部屋の前をウロウロされたくないみたいで、玄関ホールで落ち合うことが多かった。
階段を降りると良太が見えたので声をかけようとしたら、以前も一度感じた威圧するような魔力を良太から感じた。
『りょ、うた……?』
あまりの禍々しさに息を飲みながら良太に話しかけると、先ほど感じた威圧するような魔力はなくなり、いつもの良太だった。
(……気のせい?……ではないな……)
先ほど感じた魔力は以前にも増して禍々しく感じ、心がざわついてしまう。
振り向いた良太の顔色は良くなく、眉間にはしわが寄っていて表情が曇っていた。
『大丈夫かい?』
『……あぁ』
どうやら今日の良太は機嫌が良くないらしい。いつもそっけない返事だけど、今日はいつも以上に声が低く、良太もそれを隠す気がない。
声をかけた時に、チラッと僕の方を見た後は、視線を落としてどうやら右手を見ているようだった。ただそんな機嫌の悪い時でも返事してくれる良太は、優しい。
『今日は作業せずに先日言っていた図書館へ行こうかと思ったけど、体調が悪いならそれも無理には行かない方が良いと思うんだけど……どうかな?』
本当は図書館デートと言いたかったけど、機嫌の悪い子を逆なでするほど僕も空気読めないわけじゃないので、普通に聞いてみることにした。
『……いや、大丈夫だ』
まぁ、精神が不安定な時に結界作業してもあまり効率的とは言えないし、まぁ今日は気分転換でもしてもらえたらいいかなと思った。良太に何があったのか気になり、教えてくれるか分からなかいけど、聞いてみることにした。
『昨日何があったか聞いても良いかい?例えばーー』
魔力のないユニィと何かあった?と聞こうとしたら胸元の通信石が軽く震えたので、出るとユグリルの声がした。
『ーーラウリア様、お忙しいところ申し訳ありません』
『どうしたんだ?』
『ルウファ郊外に魔物が出ました。新種のようで、負傷者も出ている状態です』
『そうか、分かった…ー』
今日のデートはお預けだな、と少しガッカリした声で返事をしてしまうと、通信石の向こうからユグリルが謝る。
『いや、今日はそちらに行くつもりではあったから気にするな』
そう言って、ユグルリとの会話を終わらせた。良太は表情が優れないまま、下の方を見て考え事をしているようで、通信の内容を聞いていたかは定かではなかった。
『良太、今日の図書館はお預けだ。都市周辺で魔物が出たらしい』
良太の様子を見るとあまり連れて行きたくなかったけど、そうも言ってられないので、ため息をつきながら良太に言う。良太の機嫌が優れないものの、一緒に図書館へ行けることは楽しみだったので、今の僕の顔は眉を下げて心底がっかりしているだろう。
『行く予定だった図書館もその都市、ルウファにあるけど、さすがに魔物退治優先だからね……。残念だよ』
良太は特に返事することもなく、ずっと自分の右手を片方の手で掴んで、じっと見ている。
ユグリルの話によると、魔物はルウファの東側に出たらしく、今から馬車で向かうにしては時間がかかりすぎる。
あまり使いたくなかったけど、転移の魔法石を使用して行くことにした。
『今日は魔法石を使用してルウファに行くことにするよ。僕の部屋にあるからついてきてくれるかい?』
僕が歩き始めると良太は無言でついてきた。
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