【本編完結・外伝投稿予定】異世界で双子の弟に手篭めにされたけど薬師に救われる

miian

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第三章 薬師・大輝との出会い

大輝さんの薬屋

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 今日は朝からワクワクしていた。大輝さんの薬屋へ行かせてもらうことになったからだ。
 採取した薬草を乾燥させたり分別する作業を手伝って欲しいと前日に大輝さんに声かけられた。以前、俺が勉強のお礼に何もできることがなく、でもタダで教えてもらうのを申し訳なさそうにしたたことを気にかけてくれたのか「明日手伝いに来てくれないか?と言ってもそんなに時間はかからないんだが」と言ってくれたのだ。
 その気遣いが嬉しくて二つ返事で答えた。

 薬屋まで1人で向かう時、ドキドキしたけどフードを深くかぶって無事に大輝さんのお店にたどり着くことができた。

「よく来たな。早速なんだが、机の上の薬草を乾燥させたくて1枚ずつ乾拭きしてくれないか?拭いた薬草は種類ごとによって乾かす方法が異なるんだが、これはクリップで上に吊り下げて、こっちはこの編みかご、これは瓶に入れておいてくれ」

「はい!」

「ちょっとこっちの部屋にいってるが、何かあったら呼んでくれ」

 机の上には積まれた色とりどりの薬草が置かれていて、自然の草木の香りがふわっと漂った。
 渡された布巾で薬草を一枚ずつ拭いていく。拭いた薬草は指示された通りクリップで吊るしたり、網かごに入れて風通しの良い場所へ置いたりした。
 積まれた薬草の中には先ほど頼まれていた薬草とは違う種類のものがあり、これはどうしたら良いだろうかと悩み、大輝さんのいる部屋へ聞きに行く。扉は完全には閉まっていなくて、ノックをせずに「大輝さん、これ……」と部屋へ入ってしまったことをすぐに後悔した。

「うわっ!!!」

「あぁ、すまん。この部屋は薬に使える生体を置いていたんだ。入ってこない方が良いと言っておけばよかったな。驚かせて悪かった」

「いえ、こちらこそ勝手に入ってごめんなさい。言われていた薬草は拭いて、乾燥するようにしておきました。この薬草は種類が違うようでどうしたらいいかと思って……」

 その部屋には蛇や蜘蛛などが入ったガラスが置かれていて、思わず驚いた声を上げてしまったのだ。大輝さんは何かの幼虫が入っている水槽に霧吹きをしている。虫があまり得意ではないので直視しないように宙を見る。

「おお、仕事が早いな。助かる。これは拭いて紙に挟んでおいてくれるか?っふ、そんなに虫が苦手なのに悪かったな」

「あ、いえ……別に……」

 そんなことはない、と言おうとしたものの苦手なのは本当なので言いよどんでしまう。そして、大輝さんにはそれがバレてしまい、また笑われた。そのことに恥ずかしさを感じて頰が熱くなる。

「もう少ししたらお茶を出すからそっちで待っててくれ。俺もすぐそっちに戻る」

 頷いて先ほどの薬草を拭いて紙に挟む。乾かし方を聞いてない薬草の乾拭きもしていたら、大輝さんが戻ってきて「そっちもやってくれてたのか。ありがとうな」と言って頭を撫でてくれた。嬉しくて目を細めてしまう。

「今日はスティという薬湯を出してやる。優馬がさっき拭いてくれた薬草と木ノ実を混ぜ合わせて作られる飲み物で、スッキリする喉越しでうまいぞ」

 差し出されたスティを飲むと頭がスッキリして爽やかな気持ちにさせてくれた。今、この国は少し蒸し暑い季節なのでちょうど良い飲み物だ。ふと先ほどの部屋の虫や蛇を思い出して大輝さんに話しかける。

「薬草だけでなく、虫からも薬を作れたりするんですね」

「あぁ、そうだな。薬草はもちろんだが、虫や爬虫類からもたくさんの薬が作れるぞ。例えば、さっき霧吹きをかけていた幼虫は火傷の傷を治すのに役立つんだ。獣が苦手な匂いを出す虫からその匂いの元を取り出して水と混ぜ合わせると、獣除けにもなるしな。まぁ、もう少し細かく言うと水以外にも混ぜ合わせるんだが……」

 嬉しそうに大輝さんが語り始めたので思わず「ふふっ」と笑ってしまう。そんな俺を見て、我に返って少し気恥ずかしそうする大輝さんの様子が、より一層面白くてまた声を出して笑ってしまう。

「僕にもそんな能力があれば良かったんですが……」

 ポロッと心の声を呟き、自身が大輝さんの能力を羨んでいることに気づき、自分を恥じた。大輝さんの能力というよりかは、良太含むこちらの世界に呼ばれて誰かのために役立つような能力を羨んでいるのだ。
 俺は呼ばれるべき人間ではなく、能力も何もない邪魔な人間だ。だから、少しでもこの世界で役立つ能力があれば、今のこの窮屈な状況からも脱出することが出来たんじゃないか……なんて思ってしまったのだ。

「いや、俺のこれは能力じゃないと思うぞ……」

「え?そうなんですか?!こんなにたくさんの薬が作れるのに?」

「元々薬の研究とかを前の世界でやってたからな……。こちらの世界に呼ばれた理由、国王陛下の病だが、原因を探るのに時間がかかっただけで、薬自体はすぐに作ることが出来た」

 目を見開いて大輝さんに聞くと、国王陛下の病は一部の地域から発症した病で、手足の末端が黒く硬くなり最後は心臓を止めてしまうという病だった。その病の原因を突き止めるのに時間がかかったものの、硬化の侵攻を防ぐ薬を作りつつ、発症した地域にいる生き物の糞便が原因だと分かればすぐに薬を作ったとのことだった。

「だから、俺の能力が薬を作れることだと言われてもあまりピンとこないんだよな」

「それでも、すごいです……!あの、良かったらまた仕事の手伝いとかさせてください。もちろんご迷惑じゃなければ大丈夫なので……」

「あぁ、もちろんだ。今日はありがとうな。薬の作り方とかもまた教えてやるよ」

「ありがとうございます!」

 嬉しくて笑顔でお礼を言う。大輝さんの仕事の邪魔をしてはいけないと思い、お茶も飲み終わったので図書館へと戻ることにした。挨拶をして薬屋を出た後、足取りが軽く鼻歌を歌い出しそうな気持ちになっている自分に驚いた。
 大輝さんの手伝いが出来て、役に立てたことが嬉しかったのだ。
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