【本編完結・外伝投稿予定】異世界で双子の弟に手篭めにされたけど薬師に救われる

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最終章 終焉(ナミル・魔界編)

帰還 良太side

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 このままでは魔鏡が割れてしまう。そう思った時には自然に身体は動き、魔界へ行くための言葉を呟いていた。目の前は訪れたことのある暗い空間ーー魔界へと行っていた。魔界に僕が来たことに気付いた魔王がこちらへとやって来た。チラッと僕を見る。

「扉は閉ざされた」

 魔王が静かに言った。その言葉から魔鏡が割れてしまったのは確実のようだ。

「どうすればあちらの世界に戻れる?」
「魔界と人間界を繋ぐものはもうない」

 魔王が首を横に振る。人間界に戻ることはできないということなのだろう。妊娠する実・ニーファを手に入れて元に戻ればいいと思っていたが、そう簡単にはうまくいかなさそうだ。

「ニーファはどんな感じ?」
「熟すのにはもう少し時間がかかる」

 魔王と会話していると、いつの日かのように魔物が僕の傍へやって来て、ゴロンと転がり、お腹を見せた。虎の下半身、牛の顔、背中に翼のあるこの魔物はキイラという名前らしい。

「大分魔界に馴染んでいるが、このままでは魔障に負ける。ついてこい」

 魔王がそう言うのでついていくと、そこは丸いドーム型の小さな空間だった。薄暗いその空間を顎で魔王が指す。ここを使っていいということなのだろう。その空間に扉はなく、廊下にすぐ繋がっているけど、中は1つの部屋みたいだ。その部屋へと一歩足を踏み入れる。先ほどまでいた場所とあまり変わらない気もする。

「ここはどう違うの?」
「……魔障がほとんどない」

 魔障がほとんどない?一体どういうことだ?尋ねるよりも先に魔王はどこかへと去って行った。その薄暗い空間には中央に真っ白な少し大きめのベッド、小さいランプ、そして机があった。人一人生活できるくらいの広さだ。

 魔界には魔障がある。ゆうにぃは耐えることができないくらいと言われた魔障。膨大な魔力がある僕でも長くここにいると死んでしまうということだろうか?完璧に魔界に馴染めばここで生きることができる?どうすれば馴染むことができるだろう。

 ニーファが熟すまでもう少し。まだ時間はある。
 これから先のことを考えるため、ベッドに横たわり瞼を閉じた。
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