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第二部
冒険者ギルドに行きたい
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「その……、冒険者ギルドって、どんなところなんですか?」
私がおずおずとクラウディオに尋ねると、彼は肩をすくめた。
「話が、長く、なりそうだ。歩きながらで、いいか?」
「はい」
私は一も二もなくうなずいた。
まずは魔法で倒した角兎から、魔石を回収する。魔石は倒した三匹のうちの一匹にしかなかったが、どんな魔物からでも採集できるわけでもない。
私は背中の荷物をきちんと背負いなおして、クラウディオと共に歩き始めた。
クラウディオと私が今目指しているのは、ザッフィーロ国のヴェルディという北部の街らしい。
「ヴェルディの、街を、知らない、なんて、あんたは、どこから、来たんだ?」
「えっと……」
私は自分がドラゴンであることを隠しておくつもりだった。
父や母とも、人の住む場所に行くのならば、けっしてドラゴンだと知られてはいけないと、種族を隠すことを約束したのだ。
ドラゴンハンターに素材として狙われるのはまっぴらだし。
「私はここからずっと北の山のふもとで育ちました」
「北の、山というと、マリーニ山脈の、辺りか?」
私が人の世界に降りるにあたって、あまり不自然ではないように素性を考えていたのだが、にわかに自信がなくなってくる。
しかも、あの辺の山がマリーニ山脈って呼ばれているなんて、初めて知ったよ。
「そうです。モリーニの町の近くで……」
私は森人の町の名前を告げる。
「そうか……」
しばらく無言のまま歩いた。
「そんなに、小さいのに、旅に出るとは、なにか、深いわけが、あるのだな」
「え、ちょ、小さい?」
私は驚いてクラウディオの顔を見上げた。
彼は私のことを、いったい何歳だと思っているのだろう。
「私、小さくなんてないよ?」
「どう見ても、十には、届いていない、ように、見えるが……」
「十五歳です」
「む……」
クラウディオは少し後ろめたそうに視線を逸らした。
「えっと、冒険者ギルドについて、だったな……」
「はい」
どうも、クラウディオさんと話していると調子が狂う。ゆっくりとした話し方がうつってしまいそうだ。
「名前、性別、年齢、種族を登録すると、ギルドカードが、もらえる」
クラウディオは、首元をごそごそと探って、鎖がついたプレートを取り出した。
「見てみろ」
銀色の板に、文字が刻まれている。
文字と星のマークが三つ刻まれている。
やばい、やばい、やばい。私、文字が読めない!!!!
あんまりにも文字とは縁遠い生活をしていたせいで、文字の勉強するのを忘れていた。
だって、ドラゴンは文字がなくても生活できるし!
「ごめん……。読めない」
私はしょんぼりとプレートをクラウディオに返した。
「これが、ギルドランク」
クラウディオはプレートの星を指す。
「登録した、ばかりだと、若葉。試験があって、星になる。ひとつから、五つまで」
えっと、ギルドランクは若葉から星五つまであって、試験に合格すると増えるってことか。じゃあ、星一つだと初級で、五つなら上級ってところかな?
星三つのクラウディオは中級ということになる。
「ここが、年齢。二十二」
ごめん、クラウディオ。もっと年上だと思ってた。
「種別は、人。性別は、男。名前は、クラウディオ、だな」
私はプレートに刻まれている文字をそっとなぞった。
よし。街についたら文字の勉強をするんだ。
「見せてくれて、ありがとう……」
「ああ」
クラウディオは甲冑の中にプレートをしまう。
「なくても、冒険はできる、が、魔石の、買取りを、してくれるのは、ギルドだけだ」
なるほど。
「あとは、直接、ギルドで、教えてもらえば、いい」
「いろいろと、教えてくれてありがとう」
クラウディオはなんだかちょっと疲れて見えた。
「これも、冒険者の、務めだ。それより、日が、暮れるまでには、ヴェルディに、着きたい。急ぐぞ」
「はいっ。クラウディオ」
私は彼の好意に甘えて、ヴェルディの街に向かって進む足を早めた。
私がおずおずとクラウディオに尋ねると、彼は肩をすくめた。
「話が、長く、なりそうだ。歩きながらで、いいか?」
「はい」
私は一も二もなくうなずいた。
まずは魔法で倒した角兎から、魔石を回収する。魔石は倒した三匹のうちの一匹にしかなかったが、どんな魔物からでも採集できるわけでもない。
私は背中の荷物をきちんと背負いなおして、クラウディオと共に歩き始めた。
クラウディオと私が今目指しているのは、ザッフィーロ国のヴェルディという北部の街らしい。
「ヴェルディの、街を、知らない、なんて、あんたは、どこから、来たんだ?」
「えっと……」
私は自分がドラゴンであることを隠しておくつもりだった。
父や母とも、人の住む場所に行くのならば、けっしてドラゴンだと知られてはいけないと、種族を隠すことを約束したのだ。
ドラゴンハンターに素材として狙われるのはまっぴらだし。
「私はここからずっと北の山のふもとで育ちました」
「北の、山というと、マリーニ山脈の、辺りか?」
私が人の世界に降りるにあたって、あまり不自然ではないように素性を考えていたのだが、にわかに自信がなくなってくる。
しかも、あの辺の山がマリーニ山脈って呼ばれているなんて、初めて知ったよ。
「そうです。モリーニの町の近くで……」
私は森人の町の名前を告げる。
「そうか……」
しばらく無言のまま歩いた。
「そんなに、小さいのに、旅に出るとは、なにか、深いわけが、あるのだな」
「え、ちょ、小さい?」
私は驚いてクラウディオの顔を見上げた。
彼は私のことを、いったい何歳だと思っているのだろう。
「私、小さくなんてないよ?」
「どう見ても、十には、届いていない、ように、見えるが……」
「十五歳です」
「む……」
クラウディオは少し後ろめたそうに視線を逸らした。
「えっと、冒険者ギルドについて、だったな……」
「はい」
どうも、クラウディオさんと話していると調子が狂う。ゆっくりとした話し方がうつってしまいそうだ。
「名前、性別、年齢、種族を登録すると、ギルドカードが、もらえる」
クラウディオは、首元をごそごそと探って、鎖がついたプレートを取り出した。
「見てみろ」
銀色の板に、文字が刻まれている。
文字と星のマークが三つ刻まれている。
やばい、やばい、やばい。私、文字が読めない!!!!
あんまりにも文字とは縁遠い生活をしていたせいで、文字の勉強するのを忘れていた。
だって、ドラゴンは文字がなくても生活できるし!
「ごめん……。読めない」
私はしょんぼりとプレートをクラウディオに返した。
「これが、ギルドランク」
クラウディオはプレートの星を指す。
「登録した、ばかりだと、若葉。試験があって、星になる。ひとつから、五つまで」
えっと、ギルドランクは若葉から星五つまであって、試験に合格すると増えるってことか。じゃあ、星一つだと初級で、五つなら上級ってところかな?
星三つのクラウディオは中級ということになる。
「ここが、年齢。二十二」
ごめん、クラウディオ。もっと年上だと思ってた。
「種別は、人。性別は、男。名前は、クラウディオ、だな」
私はプレートに刻まれている文字をそっとなぞった。
よし。街についたら文字の勉強をするんだ。
「見せてくれて、ありがとう……」
「ああ」
クラウディオは甲冑の中にプレートをしまう。
「なくても、冒険はできる、が、魔石の、買取りを、してくれるのは、ギルドだけだ」
なるほど。
「あとは、直接、ギルドで、教えてもらえば、いい」
「いろいろと、教えてくれてありがとう」
クラウディオはなんだかちょっと疲れて見えた。
「これも、冒険者の、務めだ。それより、日が、暮れるまでには、ヴェルディに、着きたい。急ぐぞ」
「はいっ。クラウディオ」
私は彼の好意に甘えて、ヴェルディの街に向かって進む足を早めた。
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